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マイクロ・ナノ電子ビーム装置における真空技術

[コードNo.04NTS093]

■体裁/ B5判 並製函入 360頁
■発行/ 2003年12月19日
(株)エヌ・ティー・エス
■定価/ 41,800円(税込価格)


精密装置開発に欠かすことのできない高真空・超高真空技術の専門書。
第一部で真空装置の基礎設計に役立つ実用技術を、第二部で電子顕微鏡の真空システム技術を解説する。


発刊序文

 高真空の特徴的な性質は多くの生産装置や精密科学装置に積極的に利用されている。真空雰囲気の気体の平均自由行程が十分に長くなると, 真空中に放射された種々の微粒子(分子,イオン,電子など)は残留ガス分子と衝突することなく,直進飛行できるようになる。 真空蒸着装置やスパッタコーティング装置はこの性質を利用して,蒸発物質あるいはスパッタ物質をターゲットにコーティングしている。
 ナノテクノロジーの研究が盛んに行われている今日,電子顕微鏡やオージェ電子分光装置が多用されているが, これらの表面分析装置は微細な電子ビームをプローブとして,二次電子や特性X線を検出する。 これらの精密装置には高真空あるいは超高真空が必須である。
 本書『マイクロ・ナノ電子ビーム装置における真空技術』は三部構成になっている。
 第1部「真空計の基礎設計」では,各種の真空ポンプ,真空ゲージ,そして洗浄やリークテストなどの実用技術,さらに各種真空材料の表面処理技術など, 真空計の基礎設計に必要な基礎の知識を記述している。 「圧力シミュレーション」の章では,複雑な高真空系を真空回路(多くの真空抵抗からなる線形回路)に置換して, 既存の電子回路シミュレータソフト(Spice など)でシミュレーションする技法をその基礎概念と共に詳しく紹介している。 どのような真空装置であれ,その真空計の基礎設計に携わる技術者に役立つと考えている。
 第2部「マイクロ・ナノ電子ビーム装置の真空システム技術」では,主に電子顕微鏡の真空システム技術について扱っている。 今日の電子顕微鏡では,フィールドエミッション電子銃が用いられており,10-8Paオーダの超高真空が必要である。 一方,カメラ室には,大量の水蒸気を放出する電子感光フィルムが用いられているので,多段の差動排気系を構成する必要がある。 このように,高真空から超高真空にまたがる真空技術が利用されており,そこで研究・開発された真空システム技術は, 他の多くの真空装置に応用できる。
 第2部では,電子ビーム装置に必須のテーマである放電,電子線源に関する章を設けている。 これらの内容は,とくに各種の電子線装置の設計者とユーザにとって有用であろう。
 第3部「真空技術の基礎とJIS資料」ではJIS(日本工業規格)として発行されている真空技術関連の用語,図記号,真空装置用フランジを紹介し, 次に気体分子の運動や表面でのガス分子の作用など真空の基礎理論関連の諸式をまとめている。
 本書の特徴は多くの研究論文を引用し,その中心的検討部分を比較的詳しく紹介していることである。 このことによって,これらのテーマに対して読者の理解が深まると考えている。
 本書には著者が日本電子株式会社に在職中に研究仲間と共に行った研究論文も多数引用させていただいた。 本書の発刊に当たり,日本電子株式会社と,長年にわたって共に研究した仲間,そしてその代表として平野治夫氏に,厚く感謝の意を表します。
                                                        2003年12月  吉村 長光 著


監修者

岡野 達雄 東京大学生産技術研究所教授

著者

吉村 長光 技術士

詳細目次

第1部 真空系の基礎設計
はじめに 第1章 真空排気系の基礎設計 1. 高真空排気ポンプの選択  1.1 油拡散ポンプ(DP)が適合する場合  1.2 ターボ分子ポンプ(TMP)が適合する場合 2. 高真空排気ポンプの排気速度の決定  2.1 体積排気特性   2.2 定常排気特性(表面排気) 3. 粗引きポンプの排気速度の決定  3.1 体積排気特性 4. 補助排気ポンプの排気速度の決定  4.1 過大ガス負荷領域をすみやかに通過させるために  4.2 空間ガス負荷対策  4.3 クロスオーバーにおけるガス放出負荷対策  4.4 油拡散ポンプ(DP)排気系の制御  4.5 ターボ分子ポンプ(TMP)排気系の制御 第2章 真空ポンプ 1. 油回転ポンプ(RP)とルーツポンプ  1.1 翼型油回転ポンプ  1.2 ルーツポンプ(別名:メカニカルブースターポンプ) 2. ドライポンプ 3. 油拡散ポンプ(DP)  3.1 油蒸気の逆流特性  3.2 ポンプの作動油 4. ターボ分子ポンプ(TMP)  4.1 ターボ分子ポンプ(TMP)の排気系  4.2 TMP排気系の運転 5. スパッタイオンポンプ(SIP)  5.1 排気のメカニズム  5.2 放電強度  5.3 不活性ガスの排気 6. チタンサブリメーションポンプ(TSP) 7. 非蒸発ゲッターポンプ(NEG) 8. クライオポンプ(CP)  8.1 排気特性  8.2 排気系  8.3 排気系の設計上の注意  8.4 再生作業と保守 第3章 圧力測定 1. 真空計  1.1 機械的真空計  1.2 熱伝導真空計  1.3 電離真空計 2. 残留ガス分析計  2.1 磁場セクター型ガスアナライザー   2.2 4重極子マスフィルター 第4章 洗浄 1. 洗浄工程  1.1 洗浄の種類と工程  1.2 各種材料の洗浄工程  1.3 結論 2. 有機溶剤による洗浄  2.1 溶剤の物性  2.2 有機溶剤の引火性と毒性  2.3 水系洗浄溶液による洗浄 3. プラズマ洗浄 4. 洗浄に関する論文 第5章 リークテスト 1. ヘリウム漏れ試験方法  1.1 分析管の動作原理       1.2 試験装置  1.3 真空吹き付け法(スプレー法)  1.4 真空外覆法(真空フード法)  1.5 真空積分法          1.6 吸い込み法(スニッファー法)  1.7 加圧積分法          1.8 吸盤法(サクションカップ法)  1.9 真空容器法(ベルジャー法)   1.10 浸漬法(ボンビング法) 2. その他のリークテスト  2.1 ヘリウムリークディテクターが利用できる場合  2.2 残留ガス分析計(マスフィルターなど)が利用できる場合  2.3 電離真空計が備わっている場合 第6章 構成材料のガス放出 1. ガス放出のプロセス  1.1 熱励起ガス放出    1.2 電子励起脱離(ESD) 2. ガス放出速度の測定方法  2.1 差動的圧力上昇法   2.2 可変コンダクタンス法  2.3 新しい3点圧力法    2.4 新しい2点圧力法  2.5 1点圧力法       2.6 コンダクタンス変調法(CM法)  2.7 流路切り替え法    2.8 各種測定方法の比較 3. ガス放出速度のデータ  3.1 熱励起ガス放出    3.2 電子励起脱離(ESD) 4. 超高真空用金属材料の表面処理  4.1 ステンレス鋼     4.2 アルミニウム合金  4.3 銅と銅合金      4.4 チタン 第7章 圧力シミュレーション 1. 真空回路の基礎  1.1 従来の圧力解析        1.2 真空ポンプの排気機能  1.3 チャンバー壁のガス放出機能  1.4 真空回路 2. ガスフローによる空間圧力分布
第2部 マイクロ・ナノ電子ビーム装置の真空システム技術
第1章 電子顕微鏡の真空排気系 1. 電子顕微鏡の真空的特徴  1.1 透過型電子顕微鏡(TEM)の鏡体各部の構造と材料  1.2 鏡体各部の機能と真空 2. 電子顕微鏡の油拡散ポンプ排気系  2.1 透過型電子顕微鏡(TEM)のDP排気系  2.2 走査型電子顕微鏡(SEM)のDP排気系 3. 電子顕微鏡と表面分析装置の超高真空系  3.1 透過型電子顕微鏡(TEM)の超高真空系  3.2 表面分析装置の超高真空系  3.3 構成材料の表面処理  3.4 真空装置内のほこり(パーティクルコンタミネーション)対策 第2章 電子顕微鏡における各部圧力のシミュレーション 1. 真空回路の設計 2. 抵抗回路網シミュレータによる圧力解析 3. コンピュータによるマトリックス解析 4. 真空回路による高真空系の解析事例 第3章 微細電子ビーム照射によって誘起される試料汚染 1. 炭化水素ガス分子の輸送  1.1 Ennosの実験    1.2 Christyの解析  1.3 Wallの解析    1.4 Yoshimura et al.の実験 2. 二次電子像(SEI)の暗化  2.1 Gressus et al.の実験   2.2 Yoshimura et al.の実験 3. カーボン試料のエッチング現象  3.1 Heideの実験    3.2 ノウハウ技術 4. 汚染となる材料 第4章 真空中での放電 1. インシュレータ沿面放電  1.1 放電に関わる因子  1.2 インシュレータの表面の帯電  1.3 沿面放電のメカニズム  1.4 インシュレータの表面性状  1.5 カソード側のインシュレータ・電極接合部(トリプルジャンクション)の形状  1.6 SF6ガス中での沿面放電 2. 電極ギャップ放電  2.1 アノード開始説      2.2 イオン交換現象と全電圧効果  2.3 電極表面上のウィスカー  2.4 電極表面のガス分子 第5章 微細電子ビームエミッタ 1. タングステン(W)-FEエミッタ  1.1 Crewe et al.のFE電子線源をもつ電子銃の研究  1.2 エミッション特性とエミッションノイズ  1.3 リモルディング処理とビルドアップ処理 2. ZrO/Wエミッタ  2.1 ZrO/Wエミッタのエミッション特性 3. ランタンヘキサボライド(LaB6)エミッタ  3.1 Laffertyのホウ化物の熱電子放出特性の研究 4. その他の電子線源
第3部 真空技術の基礎の諸式とJIS資料
1. 真空技術用語  1.1 真空技術一般用語    1.2 圧力の単位  1.3 真空ポンプ関連用語   1.4 真空計および関連用語 2. 真空装置用図記号  2.1 真空ポンプと関連部品  2.2 真空フランジ・排気管・弁などの図記号  2.3 真空ゲージの図記号 3. 真空装置用フランジ  3.1 真空装置用フランジ   3.2 真空装置用クランプ形継手  3.3 真空装置用ベーカブルフランジ 4. 気体分子の運動  4.1 蒸気圧      4.2 入射頻度   4.3 平均自由行程  4.4 コンダクタンス  4.5 排気特性   4.6 吸着  4.7 脱離       4.8 拡散     4.9 表面排気



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