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ナノテクノロジーの基礎科学

[コードNo.04NTS096]

■体裁/ B5判 並製 282頁
■発行/ 2003年 9月 1日
(株)エヌ・ティー・エス
■定価/ 30,360円(税込価格)


原書
『Nanotechnology : Basic Science and Emerging Technologies』(2002年) UNSW Press(豪)
原書著者
Mick Wilson/Kamali Kannangara/Geoff Simmons/Michelle Simmons/Burkhard Raguse


本書は、ナノテノロジーの基礎的な技術から観察手法・活用法・未来の可能性までをわかりやすく解説したもので、 一般向けの教養書とハイレベルな専門書との橋渡しが出来るように編集された画期的な入門書。 「良く観察し、自然に学ぶこと」が研究の出発点であると同時に到達点でもあることを教えてくれる指導書でもある。 原著はAmazon.com のAverage Customer Reviewでも5つ星を獲得している。
各章の終わりにある、その章のポイントを示す「まとめ」と演習問題で理解力を深め、参考文献はその専門的領域へ進むための手助けとなる。


発刊にあたって

 本書『ナノテクノロジーの基礎科学』は,NANOTECHNOLOGY−−basic science and emerging technologies/Michael Wilson et al. の全訳であり, ナノテクノロジー全般の入門書として大変行き届いた編集のテキストである。 これからナノテクノロジーを手がけようという学習者にとっては,願ってもない内容から構成されている。
 ナノテクノロジーは,単一の独立した分野ではなく,広い科学技術全般を,ある側面から眺める技術の集合といえるので,特定の分野を深く学習する前に, その関連分野全般でどのようなことが行われてきたか,また行われつつあるかを知っておくことは,極めて重要である。 原書著者が「序文」で述べているように,本書は最先端の詳細な研究に入る前の,広い予備知識を得るための最適なテキストを目指している。
 本書のキーワードは,「見よ,観よ,そして学べ」である。 本書の随所に,「生物界から学ぶことはたくさんある」,「自己組織化という点では,自然が長年この問題を解決してきたことは驚くべきことではない」 という表現が見られることに読者は気づくであろう。
 時代の最先端を行くといわれるナノテクノロジーの多くは,全くこれまで存在しなかった物質,現象を扱うものではない。 実は,生物界,自然が長い間に完成してきた物質,現象を,「注意深く観察することによって,そこから学び,それを発展させる」ことによって, 多くの技術革新を実現してきたのである。
 DNAの自己組織化から学んで,膨大な量の様々なナノマテリアルやナノ構造体,架台,さらに実働ナノマシンを作り,モルフォ蝶の羽の信じられないような美しさを研究して, それが色素で得られているのではないことに驚き,感激すると同時に,ナノサイズの世界における光の特殊な動きに関する研究が進む。 また,鉄を得るのに,なぜ,ダイナマイトによる爆破,高熱における還元などが必要なのであろうか,微生物には,常温でそれをしてくれる可能性を持つものがいるではないか。 このように本書は,新規に考え出すことも重要であるが,自然をもっと深く良く「観察し」「研究する」ことによって, あるがままの自然界よりもさらに数段いろいろな点ですぐれた技術を生み出すための示唆が得られることを,随所に述べている。
 ナノテクノロジーの発展に極めて大きな貢献をしている技術に,「見る」技術がある。 各種の電子顕微鏡技術の発展なしには,これまでの発展もなかったであろうし,これからの技術向上も期待できなかったであろう。 原子,分子を直接見ることができるという途方もない技術の開発に貢献した研究者に対しては,だれもが敬意を表するであろう。
 ナノテクノロジーの発展により,あらゆる分野で,「効率が大幅に上がる」ことが期待されており,経済効果は計り知れない。 また,ナノテクノロジーは,自然資源に乏しいが,頭脳には恵まれている日本にとって,願ってもない研究テーマである。 バイオテクノロジーにおいて,若干遅れをとった日本ではあるが,ナノテクノロジーは,政府の主要重点分野技術に指定され, 国家戦略としてこれからますます研究が盛んに行われるであろう。 米国をはじめ,各国においても,国家戦略として研究が進んでいる。 今後の研究を支える学習者に期待されているものは大きい。
 本書は,単なる技術入門書ではなく,「良く観察し,自然に学ぶこと」が研究の出発点であると同時に到達点でもある, という古くて新しい研究の哲学を教えてくれる指導書でもある。
                                                     2003年8月  監訳者 小薗井 薫


原書著者

Mick Wilson/Kamali Kannangara/Geoff Simmons/Michelle Simmons/Burkhard Raguse

監訳者

小薗井 薫

詳細目次

口絵
監訳者まえがき
監訳者プロフィール
序文
謝辞
著者紹介

第1章 ナノテクノロジーの背景
 第1節 科学革命
 第2節 ナノテクノロジーとナノマシンの種類
 第3節 周期表
 第4節 原子構造
 第5節 分子と相
 第6節 エネルギー
 第7節 分子および原子のサイズ
 第8節 表面および次元空間
 第9節 トップダウンとボトムアップ
 第1章のまとめ
 演習
 参考文献

第2章 分子ナノテクノロジー
 第1節 推論の結果としての原子
 第2節 電子顕微鏡
 第3節 走査型電子顕微鏡(SEM)
 第4節 最新の透過型電子顕微鏡(TEM)
 第5節 走査型プローブ顕微鏡検査法(SPM)ー原子間力顕微鏡(AFM)
 第6節 走査型トンネル顕微鏡(STM)
 第7節 ナノマニピュレータ
 第8節 ナノピンセット
 第9節 原子操作
 第10節 ナノドット
 第11節 自己組織化
 第12節 ディップペンナノリソグラフィ(DPN)
 第2章のまとめ
 演習
 参考文献

第3章 ナノパウダーとナノマテリアル
 第1節 ナノマテリアルとは何か?
 第2節 ナノマテリアルの調製法
 第3節 プラズマアーク法
 第4節 化学蒸着法
 第5節 ゾルーゲル法
 第6節 電着
 第7節 ボールミル法
 第8節 天然ナノ粒子の利用
 第9節 ナノマテリアルの応用例
 第3章のまとめ
 演習
 参考文献

第4章 炭素の時代
 第1節 新しい形態の炭素
 第2節 ナノチューブの種類
 第3節 ナノチューブの生成
 第4節 アセンブリ
 第5節 カーボンナノチューブの精製
 第6節 ナノチューブの特性
 第7節 ナノチューブの用途
 第4章のまとめ
 演習
 参考文献

第5章 分子模倣
 第1節 カテナンおよびロタキサン
 第2節 分子スイッチ
 第3節 電子駆動の分子シャトルスイッチ
 第4節 pH駆動の分子シャトルスイッチ
 第5節 光駆動の分子シャトルスイッチ
 第6節 ロタキサンおよびカテナンの合成
 第7節 ロタキサンと分子コンピュータ
 第8節 ケミカルローター
 第9節 突き棒
 第10節 水かき
 第11節 原子シャトル
 第12節 アクチュエータ
 第13節 端子作成
 第5章のまとめ
 演習
 参考文献

第6章 ナノバイオミメトリクス
 第1節 はじめに
 第2節 ナノレンガとナノモルタルとしての脂質
 第3節 同じであるが異なるー自己組織化膜
 第4節 役に立つ小片ータンパク質
 第5節 構造は情報であるーDNA
 第6節 生体ナノテクノロジーの未来
 第6章のまとめ
 演習
 参考文献

第7章 光学、フォトニクスと太陽エネルギー
 第1節 光の特性とナノテクノロジー
 第2節 光とナノテクノロジーの相互作用
 第3節 ナノホールと光子
 第4節 画像化
 第5節 ナノ粒子を基にした低コスト、
     高エネルギー効率の新しい窓とソーラーアブソーバー
 第6節 フォトニック結晶,表面導波路,光路制御
 第7章のまとめ
 演習
 参考文献

第8章 ナノエレクトロニクス
 第1節 はじめに
 第2節 ナノテクノロジーの恩恵
 第3節 エレクトロニクスの誕生
 第4節 マイクロ加工とナノ加工のツール
 第5節 古典物理学から量子物理学へ
 第6節 量子エレクトロニクスデバイス
 第7節 量子情報と量子コンピュータ
 第8節 量子コンピュータの試験的実行\
 第8章のまとめ
 演習
 参考文献

第9章 将来の応用
 第1節 マイクロ電気機械システム
 第2節 ロボットーどこまで小型化できるのか
 第3節 長寿命の材料
 第4節 損傷を受けた材料に内在する原子の転位の目に見えない修復
 第5節 ナノ力学とナノ弾性力学
 第6節 ナノ粒子のコーティングー新たな特殊効果
 第7節 ナノエレクトロニクスデバイス、
     磁気デバイスそして新しいコンピュータシステム
 第8節 オプトエレクトロニクスデバイス
 第9節 環境への応用
 第9章のまとめ
 演習
 参考文献

第10章 想像の世界へ
 第1節 はじめに
 第2節 コミュニケーション
 第3節 製作
 第4節 ナノメディシン
 第5節 社会と倫理
 第6節 宗教と万物創造
 第7節 すべての魚に感謝
 第10章のまとめ
 演習
 参考文献

●索引



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