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バイオ電池の最新動向    
Recent Progress in Biofuel Cells
[コードNo.2011T820]

※ 本書籍はご試読頂けません ※

■監修/ 加納健司
■体裁/ B5判 246ページ
■発行/ 2011年12月 (株)シーエムシー出版
■定価/ 71,280円(税込価格)
■ISBNコード/ 978-4-7813-0474-8

 
★生体系に学び、その仕組みを利用した新しいエネルギー変換装置=バイオ電池!
★生ゴミなど多種多様なバイオマスを燃料源として利用でき、安全・低環境負荷・低コストなバイオ電池の研究・開発が
  世界中で進行中!
★電気エネルギー回収が期待できるため、微生物燃料電池の廃水処理への適用も進む!

キーワード

酵素電池/酵素固定化/酵素電極/メディエータ型/直接電子移動型/医療用電源/バイオセンサ/微生物燃料電池(MFC)/電気培養/廃水処理/微生物太陽電池

刊行にあたって

 電池とは適当な酸化剤と還元剤から成るものであり、その酸化還元反応の活性化エネルギーが高く、触媒なしには反応が進行しない系を選び、適当な電極触媒の下で、必要に応じて反応を進行させ、化学エネルギーを電気エネルギーに変えるものである。このように考えると、生体エネルギー変換系と電池のエネルギー変換系の両者は驚くほど類似点が多い。したがってこの生体系に学び、その仕組みを利用することによって、新しいエネルギー変換装置をつくることができるはずである。これがバイオ電池(バイオ燃料電池)と呼ばれるものである。本書では、主に代謝・呼吸に相当する生体機能を利用したバイオ電池について、その作動原理や特徴を紹介し、未来の電源への展開へ向けた研究開発動向についてまとめた。本稿では、続く章との重複を避け、バイオ電池について概説したい。
 バイオ電池において、最も重要な反応は、生体触媒酸化還元反応と電極反応を共役させた反応系、つまり生体触媒を電極触媒として利用する電極反応である。これを生体触媒電極反応(バイオエレクトロカタリシス反応)と呼ぶ。本触媒系は、活性化エネルギーが高い生体関連物質の電気化学反応を非常に穏和な条件下で実現できる利点がある。この反応系は、既にデバイスに組み込まれており、各種バイオセンサとして市販されている。特に血糖値センサは、現在では開発・販売競争が世界的規模で展開されている。バイオ電池の生体触媒として酵素を使う場合を酵素バイオ電池、そして微生物を用いる場合は微生物バイオ電池と呼ぶ。本書もそのような観点で、これら2つを大別して扱っている。
 酵素バイオ電池の場合は、単位面積あたりの出力が数mW程度までと太陽電池に匹敵する程にまで向上しており、小型化が容易である利点もある。将来的には、携帯電子機器の電源や生体内埋め込み型医療装置の電源などへの展開が期待されている。一方、微生物バイオ電池は、その単位面積(体積)あたりの出力は、酵素バイオ電池の1/10〜1/100程度であるので、大型化して利用することが想定されている。活性汚泥による水処理との関連から、微生物電池は水質浄化システムに組み込むことが提案されているほか、水田や海洋での利用形態も考えられている。いずれにしても身近な化合物を燃料とし、温和な条件で機能する安全、安価な次世代電源として位置付けることができ、世界中で活発に研究・開発が進められている。 (中略)
 電池は、触媒や電極の科学が必須であることはいうまでもなく、物質移動を考慮した構造設計やスタッキング技術の向上も必要で、さらにバイオ電池の場合には、酵素やメディエータの固定化も大きな鍵となる。まさに総合科学の結集であり、非常に魅力あるテーマでもある。一方、電池研究では時として、出力の議論に重点がおかれるが、バイオ電池の現状を考えるとまず単極反応の電流―電圧曲線を解析・議論することが重要であると思われる。その意味で、本書では、生体触媒電極反応の電流―電圧曲線の解析法に関する記述についても紙面を割いている。
 実用化を視野に入れた場合にはいくつかの課題がある。酵素バイオ電池の場合、1)高電流密度化、2)耐久性の向上、3)多電子酸化系の構築、および4)電池構造や作動形態の検討が必要である。1)については、酵素とメディエータの固定化法の改善が最も重要であろう。炭素電極の開発も重要な鍵となる。2)については、現状では明確な指針を打ち出せないが、固定化酵素などのように工業レベルでの実用化の実例から考えて、よりサイエンティフィックなアプローチを重ねれば決して不可能ではないと思っている。3)については、どの燃料にターゲットをあてるかで、アプローチが決まるが、多種類酵素の固定化は重要な鍵となるであろう。
 一方、微生物バイオ電池では、負極の反応機構の解明と正極の触媒に対する新規な提案が今後の鍵となるであろう。光合成系を利用した負極構築も魅力的であり、バイオ太陽電池への展開も期待できる。
 このように、バイオ電池は多種多様なバイオマス燃料を利用できる新しい電池として注目を集めているだけでなく、その進展は、エネルギー問題だけでなく、環境問題解決への一つのアプローチとなる可能性がある。生体触媒と電極との界面の科学は未知な点が多い。さらにバイオ電池へと展開させるためには生物電気化学のみならず、材料科学、酵素科学、応用微生物学、機械工学といった多くの分野からの参入を呼び込みそれぞれの連携を深めていくことで、ブレークスルーする必要がある。基礎科学に立脚した多様な分野の融合により、新しい科学の創成も期待される。そのためにも根底となる基礎を固めていくことがなによりも必須である。本書を通じて、多くの方に、この領域に参画していただき、飛躍的な進展をすることを心から期待している。
(「はじめに」より抜粋)

著者一覧

加納健司京都大学 大学院農学研究科 応用生命科学専攻 教授
辻村清也筑波大学 大学院数理物質科学研究科 物性・分子工学専攻 准教授
中村暢文東京農工大学 大学院工学研究院 准教授
冨永昌人熊本大学 大学院自然科学研究科 准教授
吉野修平東北大学 大学院工学研究科 バイオロボティクス専攻
三宅丈雄東北大学 大学院工学研究科 バイオロボティクス専攻 助教
西澤松彦東北大学 大学院工学研究科 バイオロボティクス専攻 教授
大野弘幸東京農工大学 大学院工学研究院 生命工学専攻 教授
矢吹聡一(独)産業技術総合研究所 バイオメディカル研究部門 主幹研究員
駒場慎一東京理科大学 理学部 応用化学科 准教授
勝野瑛自東京理科大学大学院 総合化学研究科
渡辺真也東京理科大学大学院 総合化学研究科
白井理京都大学 大学院農学研究科 応用生命科学専攻 生体機能化学分野 准教授
四反田功東京理科大学 理工学部 工業化学科 助教
田巻孝敬東京工業大学 資源化学研究所 助教
酒井秀樹ソニー(株) コアデバイス開発本部 環境エネルギー事業開発部門 環境技術部 バイオ電池開発Gp. プロジェクトリーダー
中川貴晶ソニー(株) コアデバイス開発本部 環境エネルギー事業開発部門 環境技術部 バイオ電池開発Gp.
山口猛央東京工業大学 資源化学研究所 教授
山崎智彦(独)物質・材料研究機構(NIMS) 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA) ナノバイオ分野生体機能材料ユニット 生命機能制御グループ MANA研究員
早出広司東京農工大学 大学院工学府 生命工学専攻/産業技術専攻 教授
中村龍平東京大学 大学院工学系研究科 応用化学専攻 助教
中西周次東京大学 先端科学技術研究センター 特任准教授
橋本和仁東京大学 工学部 教授
井上謙吾宮崎大学 IR推進機構 IRO特任助教
二又裕之静岡大学 工学部 物質工学科 准教授
松本伯夫(財)電力中央研究所 環境科学研究所 バイオテクノロジー領域 上席研究員
平野伸一(財)電力中央研究所 環境科学研究所 バイオテクノロジー領域 主任研究員
渡邉一哉東京薬科大学 生命科学部 教授
柿薗俊英広島大学 大学院先端物質科学研究科 准教授
岡部聡北海道大学 大学院工学研究院 環境創生工学部門 教授
西尾晃一東京大学 大学院工学系研究科 応用化学専攻

構成および内容

【酵素バイオ電池編】

第1章酵素電極反応  加納健司、辻村清也
1酵素型バイオ電池
2酵素電極反応
3電極触媒として用いられる酸化還元酵素
3.1アノード用酵素
3.1.1ニコチンアミドジヌクレオチド(リン酸)(NAD(P))依存性脱水素酵素反応系
3.1.2NAD(P)非依存性の酸化還元酵素
3.1.3アノード酵素に求められる特性
3.2カソード用酵素
4酵素電極反応とバイオエレクトロカタリシス
4.1酵素反応機構
4.2バイオエレクトロカタリシス反応
4.2.1メディエータ型酵素電極反応
4.2.2直接電子移動型酵素電極反応
5バイオ電池の評価方法および出力決定因子の解析
第2章電池材料の研究開発
1金ナノ粒子電極  中村暢文
1.1はじめに
1.2金ナノ粒子電極の利点
1.3金ナノ粒子電極に関する報告
1.4金ナノ粒子電極を用いたバイオ電池
1.5おわりに
2ナノ構造金属カーボン複合電極  冨永昌人
2.1はじめに
2.2SAMを用いた金電極界面デザイン
2.3ビリルビンオキシダーゼおよびラッカーゼとの直接電子移動反応のためのSAM修飾金電極
2.4フルクトースデヒドロゲナーゼとの直接電子移動反応のためのSAM修飾金電極
2.5金ナノ粒子を用いたナノ構造金属カーボン複合電極の作製とバイオ燃料電池への応用
3カーボンナノチューブ電極  吉野修平、三宅丈雄、西澤松彦
3.1はじめに
3.2CNTによる電極の作製方法
3.2.1電極基板(集電体)へのCNT修飾
3.2.2自立したCNT集合体の作製と利用
3.3CNTの機能化
3.3.1共有結合的な分子修飾
3.3.2非共有結合的な分子修飾
3.4おわりに
4多孔性炭素電極  辻村清也
4.12次元から3次元電極
4.2バイオ電池に適した細孔径の設計
4.3マクロ孔多孔質炭素マテリアル
4.4メソ孔多孔質炭素中における酵素電極反応
4.5まとめ
5イオン液体  大野弘幸
5.1はじめに
5.2イオン液体
5.3バイオ電池にイオン液体は使えるか?
5.4イオン液体を用いたバイオマス処理
5.5酵素の溶媒としてのイオン液体
5.6イオン液体を用いたバイオ電池
5.7将来展望
第3章酵素電極の研究開発
1酵素固定化法  矢吹聡一
1.1はじめに
1.2酵素固定化法の種類
1.2.1吸着固定化
1.2.2包括固定化
1.2.3共有結合を利用した固定化
1.3酵素電池構築のための酵素固定化法
1.4.1吸着によるカーボン上への酵素固定
1.4.2ポリエレクトロライト複合体による酵素包括固定
1.4.3カーボンナノチューブを用いた酵素の固定化
1.4.4長期安定な酵素固定化
1.5おわりに
2ポリイオンコンプレックスを用いる酵素電極  駒場慎一、勝野瑛自、渡辺真也
2.1はじめに
2.2バイオセンサ
2.3バイオ電池
3マイクロカプセルとリポソーム  白井 理
3.1はじめに
3.2マイクロカプセル固定化電極について
3.2.1マイクロカプセル調製法
3.2.2マイクロカプセルの固定化
3.3リポソーム型電極について
3.3.1リポソーム調製法
3.3.2リポソーム固定化法
4ボルタンメトリと対流ボルタンメトリによる評価  辻村清也
4.1はじめに
4.2直接電子移動型酵素電極反応
4.3メディエータ型酵素電極反応
4.4物質輸送律速(拡散と対流)
4.5まとめ
5電気化学インピーダンス法による解析  四反田功
5.1はじめに
5.2基本的な等価回路とインピーダンススペクトルの表記法
5.3ファラデーインピーダンスについて
5.4メディエータ型酵素電極における電気化学インピーダンス適用例
5.5メディエータ型酵素電極のファラデーインピーダンス
5.6おわりに
6酵素固定多孔質電極  田巻孝敬
6.1はじめに
6.2電極構成
6.3特性
6.4おわりに
第4章酵素電池の研究開発
1高出力バイオ電池  酒井秀樹、中川貴晶
1.1はじめに
1.2メディエータ型酵素電池の要素技術
1.2.1電池構造
1.2.2バイオ負極
1.2.3バイオ正極
1.2.4電解質
1.2.5セル特性
1.3おわりに
2医療用マイクロ酵素電池  三宅丈雄、吉野修平、西澤松彦
2.1はじめに
2.2医療用酵素電池開発の経緯と現状
2.3酵素電池を支えるナノ・マイクロ技術
2.3.1自動バックアップシステム
2.3.2直列化システム
2.3.3フレキシブルな貼る酵素電極
2.4おわりに
3直接電子移動型バイオ電池  辻村清也
3.1直接電子移動型の酵素機能電極反応
3.2カソード:マルチ銅酸化酵素
3.3アノード酵素
3.3.1ヒドロゲナーゼ
3.3.2セロビオースデヒドロゲナーゼ
3.3.3フルクトース脱水素酵素
3.3.4その他
4PEFC型バイオ電池  田巻孝敬、山口猛央
4.1はじめに
4.2セル構成
4.3開発例
4.4気相酸素供給バイオカソード
4.5おわりに
5バイオセンサへの応用 〜酵素燃料電池型バイオセンサから自立型バイオセンサへ〜  山崎智彦、早出広司
5.1はじめに
5.2酵素燃料電池型バイオセンサ
5.3バイオキャパシタ〜自立型バイオセンサの開発〜
5.4まとめ

【微生物電池編】

第5章微生物の電気化学  中村龍平、中西周次、橋本和仁
1序論
2細胞外電子移動の界面電気化学
2.1鉄還元細菌が行う電極への細胞外電子移動
2.2外膜シトクロムcの分光電気化学的検出
2.3外膜シトクロムcの光化学を用いた電流生成ダイナミクスの追跡
2.4Cyclic voltammetry(CV)検出
2.5CVによる界面電子移動速度の見積もり
2.6光ピンセットを用いた単一Shewanella細胞の電気化学
2.7シトクロムモデル金属錯体を用いた細胞外電子伝達の効率化
3微生物代謝過程の電気化学的制御
3.1電気化学的アプローチ
3.2微生物代謝活性の電極電位依存性
3.3TCA回路の電気化学的開閉
3.4TCA回路開閉のトリガー
4微生物と鉱物の電気化学的相互作用
4.1酸化鉄ナノ粒子添加による電流増加
4.2半導体を利用した長距離細胞外電子伝達モデルの提唱
4.3電流生産における酸化鉄ナノ粒子のバンド構造の影響
4.4タンパク質変性実験と遺伝子破壊株を用いた電子ホッピングモデルの検証
4.5電流生成の酸化鉄コロイド濃度依存性予測と実証
4.6金属性硫化鉄ナノ粒子のバイオミネラリゼーション
4.7深海底に広がる巨大電気化学システム
第6章微生物電池―アノード反応
1微生物―電極間電子移動  井上謙吾
1.1微生物の細胞内から細胞外への電子移動
1.2細胞表面からアノードへの電子移動
1.2.1直接接触
1.2.2電子シャトル
1.2.3電気伝導性ナノワイヤー
1.3微生物から電極への電子移動
1.3.1電位
1.3.2バイオフィルム
1.3.3プロトン
2電気生産微生物生態ネットワーク  二又裕之
2.1はじめに
2.2効率的な電子伝達経路、電気生産微生物の特性および微生物生態系
2.3効率的発電に向けた電極上微生物生態系の制御
2.4有機性廃棄物利用型微生物燃料電池における微生物生態ネットワーク構造
2.5まとめ
第7章電気培養
1電気培養とは  松本伯夫
1.1序論
1.2呼吸と電気化学
1.3電気培養の構成
1.4電気培養による高密度培養
1.5電気培養装置の種類
1.6まとめ
2電気培養による微生物の探索  平野伸一
2.1序論
2.2通電による微生物の生育促進
2.3電子受容体の再生による微生物の高密度培養
2.3.1電気培養による鉄還元菌の生育促進と環境中からの集積
2.3.2電気培養によるキノン還元菌の生育促進と単離
2.3.3電気培養によるクロム還元菌の選択的培養
2.4電位制御による微生物の生育促進と集積効果
2.4.1硫酸還元菌をモデル生物とした電位制御の生育に与える効果の検証
2.4.2環境微生物への適用による未培養微生物の集積
2.5まとめ
3微生物の電気化学的代謝制御  平野伸一
3.1序論
3.2電気培養装置および代謝制御技術の実例
3.2.1電極―微生物間の電子授受反応に立脚した代謝制御技術
3.2.2培養環境における溶液電位の電気的な制御
3.3今後の展望
第8章微生物電池の応用
1電池の構造およびカソード反応  渡邉一哉
1.1はじめに
1.2電池の構造
1.3カソード
1.4おわりに
2微生物燃料電池を用いる廃棄物バイオマスの分解処理  柿薗俊英
2.1はじめに
2.2稲わらを分解して電力源にする利点
2.32槽型微生物電池による稲わら分解
2.4稲わら分解から電力を生み出す可能性
2.5稲わら以外のセルロース性廃棄物の分解処理
3廃水処理  岡部 聡
3.1下水処理の現状
3.2下水のエネルギーポテンシャル
3.3微生物燃料電池の下水処理への適用
3.4微生物燃料電池の現状と適用例
3.5ビール醸造廃水への適応例
3.6ワイン醸造廃水への適用例
3.7実用化への課題
3.7.1課題1 実廃水の使用による問題
3.7.2課題2 スケールアップによる構造上の問題
3.7.3課題3 スケールアップによるコストの増大
3.8実用化に向けて―今後の展望
3.9おわりに
4水田発電  渡邉一哉
4.1はじめに
4.2ポットでの実験
4.3水田での実験
4.4おわりに
5微生物型太陽電池  西尾晃一、橋本和仁
5.1はじめに
5.2微生物型太陽電池の原理
5.3自然微生物群集を用いた微生物型太陽電池
5.4今後の展望



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