第1講 わが国におけるカット青果物の製造の現状と消費動向
阿部 一博 大阪府立大学 農学部 助教授
1. 日本におけるカット野菜研究の推移
2. カット野菜製造の実態
2.1. カット野菜の問題点
2.2. カット野菜製造業者の地域分布
2.3. カット野菜製品の販売先
2.4. カット野菜製品に使用する原料野菜の数
2.5. 使用量第5位までの原料野菜
2.6. 原料野菜の入手先
2.7. 原料野菜入手の取引方法
2.8. 輸入野菜の使用状況
2.9. 販売額5位までのカット野菜製品
2.10.カット野菜製造上の難点
3. カット野菜に対する若者の考えと、国内各地のカット野菜状況
4. 国外のカット野菜事情
5. まとめ
第2講 カット果実・野菜の研究動向ならびに生理・化学的特性と
流通技術
阿部 一博 大阪府立大学 農学部 助教授
1. はじめに
2. ピーマン
2.1. 縦切りと輪切り
3. キュウリ
4. ニンジン
5. キャベツ
6. ピーマンの色調変化
7. ナスの低温障害
8. バナナのエチレン生成
9. プチトマト
10.カット野菜の鮮度保持について
11.包装
12.まとめ
第3講 野菜の切断によるビタミンC代謝の変動と消費者嗜好
大羽 和子 名古屋女子大学 家政学部 教授
1. ビタミンCの生理作用
1.1. 抗壊血病因子
1.2. オキシゲナーゼ(水酸化)反応に関与
1.3. 免疫機能の活性化
1.4. 疾病の予防
1.5. 抗ヒスタミン作用
1.6. 鉄分吸収の促進
2. ビタミンC摂取の現状
2.1. ビタミンCの摂取状況
2.2. ビタミンCの主な供給源は野菜類
2.2.1. 摂取食品の変化
2.2.2. 食事形態の変化
2.3. 実質的な摂取状況の把握
2.3.1. 定量法によってビタミンC量の値は異なる
2.3.2. ビタミンCの実質的な摂取量は国民栄養調査の結果より著しく少ない
3. 野菜の切断、放置に伴うビタミンC量の変化
3.1. 市販カット野菜のビタミンC量
3.1.1. 切断による影響
3.1.2. 切断形態による違い
3.2. 切断後の放置温度とビタミンC量の変化
3.2.1. キャベツ、レタス
3.2.2. ジャガイモ、サツマイモ、ダイコン、ニンジン
3.2.3. タマネギ、ニンジン
3.3. アスコルビン酸酸化酵素活性による影響
4. 切断後のビタミンC増大のメカニズム
4.1. 植物におけるビタミンCの生合成と代謝経路
4.2. ビタミンC量の変化とアスコルビン酸酸化酵素活性の変動
4.2.1. タマネギ
4.2.2. ニンジン
4.2.3. アスコルビン酸酸化酵素の局在化
4.3. ビタミンC量の変化とアスコルビン酸合成酵素(GLDHase)活性の変動
4.3.1. タマネギ、ニンジンの場合
4.3.2. ジャガイモ、サツマイモの場合
4.4. L−ガラクトノラクトンデヒドロゲナーゼ(GLDHase)
4.4.1. 精製と性質
4.4.2. 抗体実験
5. 切断野菜の消費者嗜好
5.1. 切断野菜の色
5.2. 切断野菜の硬化(リグニン生成による影響)
5.3. 切断ジャガイモの煮熟後のビタミンC残存率及び煮崩れ防止効果
5.4. 切断野菜の官能評価
5.4.1. ジャガイモの可食限界
5.4.2. アスパラガスのテクスチャーと味
6. まとめ
6.1. ビタミンCの摂取状況
6.2. 野菜の切断に伴うビタミンCの増大とそのメカニズム
6.3. 切断野菜の消費者嗜好
第4講 カット青果物生産企業の問題と現状・将来展望
舘本 勲武 デリカフーズグループ 代表取締役社長
1. 品質面・経済面からみたカット青果物の問題点
1.1. カット野菜事業
1.1.1. カット野菜事業の難しさ
1.1.2. 品質面からみて
1.1.3. 経済面からみて
1.1.4. カット野菜処理の実情
1.2. カット野菜の生理作用
1.2.1. 野菜の生理作用
1.2.2. 野菜の保存
1.2.3. 果物の保存
1.2.4. カット野菜の生理作用
2. カット青果物の現在と将来の市場性
2.1. 外食産業でのカット青果物
2.1.1. ファミリーレストラン
2.1.2. ファーストフード
2.1.3. カット野菜業者に要求される事業内容
2.2. 中食産業でのカット青果物
2.3. 内食産業でのカット青果物
3. ビッグバン後の予想される食品業界の動向
3.1. 需要市場の変化
3.1.1. 時代背景
3.1.2. 食品業界の変化
3.2. 供給市場側の変化
3.2.1. カット野菜業者・流通業者の変化
3.2.2. スーパーの変化
3.2.3. 「健康」からみた献立
3.2.4. これからの開発
3.3. 荷受けの変化
3.3.1. 買取販売
3.3.2. 生産者との協調
3.3.3. 産地が変わる
第5講 野菜の切断が細胞レベルで誘導する損傷エチレンの生成
兵藤 宏 静岡大学 農学部 教授
1. 高等植物におけるエチレンの生合成
2. 傷害によるエチレン生成の誘導とエチレンの生理作用
3. カット野菜におけるエチレン生成とその作用
第6講 洗浄剤あるいはガス環境調節によるカット野菜の微生物制御
泉 秀美 近畿大学 生物理工学部生物工学科 講師
1. はじめに
2. 微生物の生育・増殖に関わる6要素
3. 腐敗原因菌と食性病害菌
4. 日本における食品の法的規制と自主衛生管理について
5. 日本のHACCPに関する動向
6. カット青果物に関する規制について
6.1. 日本の場合
6.2. アメリカの場合
7. HACCP
7.1. HACCPシステムとカット野菜の製造工程
7.2. HACCPの7原則
8. QTVプログラム
9. カット野菜の微生物制御方法
9.1. 殺菌剤の利用
9.2. 化学薬剤の利用
9.3. CA/MA貯蔵の利用
第7講 カット野菜の原料管理と製造工程における品質管理
伊瀬 哲也 全国農業協同組合連合会 大消費地販売推進部事業開発グループ
1. カット野菜の品質
2. 製造工程とHACCP
2.1. 製造工程
2.2. ISO9000の活用
2.3. HACCPの概念
3. カット野菜工程のHACCP
3.1. 一般的なHACCP
3.2. HACCP作成の注意点
4. 各工程の危害分析と重要監視点
4.1. 原料搬入
4.2. 前処理工程
4.3. 洗浄工程
4.4. 検品工程
4.5. 殺菌条件の検討
4.6. 品質管理マニュアルの作成
4.7. 三次洗浄工程
4.8. 脱水工程
4.9. 包装工程
4.10.金属探知工程
4.11.製造中における微生物コントロール
5. 日々の品質管理
5.1. 殺菌条件と菌数の関係
5.2. 冷却の管理
5.3. 拭き取り検査
5.4. 微生物管理
5.5. 品質管理マニュアル
5.6. 日々の管理
5.7. 農産物の管理
6. おわりに
第8講 切り花の定量的鮮度管理とマーケティング課題
原 明弘 日本包装コンサルタント協会副会長
(有)はらAI設計
1. 定量的鮮度管理の考え方
1.1. 定量的鮮度の表現
1.1.1. 指数関数型鮮度劣化曲線
1.1.2. 片対数による鮮度
1.1.3. 指数関数とは
1.2. 温度の影響と微生物汚染
1.2.1. 温度と微生物汚染の関係
1.2.2. アレニウス則
1.2.3. 鮮度劣化速度係数kと保存期間tとの関係(温度一定の場合)
2. 切り花の流通形態と定量的鮮度
2.1. 流通形態の違いと鮮度
2.1.1. 現状の乾式常温流通
2.1.2. 乾式流通と湿式流通
2.1.3. 官能検査による観賞期間、呼吸、水分、色の変化の定量的関係
2.2. オランダと日本の切り花流通の比較
2.3. 流通形態と鮮度劣化
2.3.1. 乾式流通の品温経過
2.3.2. 乾式流通の鮮度劣化速度
2.3.3. 湿式流通の鮮度劣化
2.4. 乾式低温流通の経済的試算
2.5. 予冷効果
2.6. カット野菜の鮮度に及ぼす要因
3. 21世紀における企業的戦略と課題
3.1. 流通の管理
3.2. 鮮度と流通管理
3.3. 切り花の湿式低温流通システム作りへの提言
3.4. 切り花の鮮度評価の標準化の推進の提言
4. おわりに
資料編 加工用原料野菜の除菌技術
宮尾 茂雄 東京都立食品技術センター 主任研究員
1. 加工用原料野菜の細菌汚染
1.1. 加工用原料野菜における細菌の汚染実態
1.2. 加工用原料野菜における食中毒菌および細菌の挙動
1.2.1. 加工用原料野菜における食中毒菌
1.2.2. 加工用原料野菜における食中毒菌および細菌の挙動
1.3. 非加熱農産加工品における細菌の挙動
1.3.1. カット野菜における細菌の挙動
1.3.2. 浅漬における細菌の挙動
2. 加工用原料野菜の除菌
2.1. 物理的除菌
2.2. 化学的な除菌
2.2.1. 次亜塩素酸ナトリウムによる殺菌洗浄
2.2.2. 有機酸による殺菌洗浄
2.2.3. オゾン水による除菌
2.2.4. その他の除菌方法
2.2.4.1. 電解水
2.2.4.2. 酵素含有洗浄剤
2.2.4.3. カルシウム製剤溶液
2.2.4.4. 過酸化水素