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最新免震構法の理論と実践
プラントから住宅・都市計画まで

[コードNo.03NTS055]

■体裁/ B5判 上製 218頁
■発行/ 1998年10月 9日
(株)エヌ・ティー・エス
■定価/ 27,500円(税込価格)


エヌ・ティー・エス主催
 「最新免震工法の理論と実践〜広がる応用分野,プラントから住宅・都市計画まで〜」セミナー(1997年7月)
を編集。建築物の振動対策として注目されている、免震工法を解説。


編集からのメッセージ

 「免震」が注目されている。1987年に初めての免震建築が完成して以降、1995年までの建築申請は約70件だったが、 現在そのその総数は600件を越えようという勢いである。 こうしたブームのきっかけは3年前の阪神大震災だった。
 この大地震で倒壊や全壊があいつぐ中、揺れそのものを免れた建築物が2棟あり、どちらも免震構造を採用していた。 又、1994年1月のロサンゼルス地震でも唯一揺れを免れた建物があり、免震構造の建築物であった。 こうして免震構造の有効性は一般にも認知されるようになった。
 それでは「免震」とはどんな技術なのだろうか。 一口でいえば震動を横にそらすゴムの「バネ(アイソレーター)」と震動を減衰(ダンピング)する「ダンパー」という 二つの装置の座布団の上に建物を乗せて「中の空間を震動から守る」方法である。 一方「耐震」とは建物自体を頑丈にして、震動に耐える方法である。
 免震も耐震も震動が建物の中に入ることを嫌い「そらし」「逆らう」考えが基にあるが、入ることをいとわない「制震」という技術もある。 これは一旦震動を建物の中に導き入れ、それを制御して建物を守る考えが基本にある。 例えば建物の屋上に振り子を置くと、入った震動は振り子を揺らし、その揺れに震動のエネルギーが吸収される仕組みである。
 免震技術はフランスとイギリスで生まれ、終戦後日本で発展した言われるが、 日本の古い寺院の中には大地震が来ると「歩いて」倒壊を逃れるものがあったという。
 日本の木造建築は大きな石を地面に敷き、その上に太い柱を乗せる技法のため、地震がくるとトントンと建物全体がずれる。 これも又、日本古来の知恵が生んだ免震技術といえるだろう。                        協力 ブリヂストン(株)


目次と著者

第1講 免震構造と耐震構造
  和田 章 東京工業大学 建築物理研究センター 教授  1.免震構造   1.1. 耐震設計の歴史    1.1.1. 歴史的地震と耐震設計    1.1.2. 従来の耐震構造の問題点    1.1.3. 耐震構造の三基準   1.2. 免震構造の歴史   1.3. 設計の実例   1.4. 床免震   1.5. ゴムの耐久性   1.6. 実際の使用状況   1.7. 免震構造と非免震構造との比較   1.8. 免震構造の課題   1.9. ダンパーの長所   1.10.免震構造の意義  2.−補足−(免震構造のしくみ)
第2講 建築における免震構造の適用の現状
  小幡 学 (株)久米設計 取締役 構造設計部 統括部長  1.免震部材の種類と特長   1.1. 免震建物のモデル化   1.2. 免震建物における地震入力低減の原理   1.3. 積層ゴムの耐荷機構   1.4. 免震構造部の種類   1.5. 各種免震部材の特徴  2.免震構造の適した建物用途   2.1. 建物用途と免震構造適用の効果   2.2. 被害と階数の関係   2.3. 被害建物に対する補修と補強を要する建物の割合比   2.4. 阪神大震災以前と以後の動き   2.5. 免震建物の評定推移   2.6. 阪神大震災以前の免震建物の評定状況   2.7. 阪神大震災以後の免震建物の評定状況   2.8. 阪神大震災以後の免震建物の用途   2.9. 最新の免震建物の用途   2.10.阪神大震災以前と以後での傾向の違い   2.11.建物にかかる地震力の比較   2.12.阪神大震災以前の免震の部材   2.13.防災施設に対するアンケート結果   2.14.海外の免震建物の状況  3.おわりに
第3講 免震部材設計と地震応答解析
  玉松 健一郎 (株)泉創建エンジニアリング 代表取締役副社長  1.はじめに  2.免震部材の簡略設計プログラム   2.1. 初期画面   2.2. アイソレ一夕の負担荷重と配置の入力   2.3. 設計条件の入力   2.4. アイソレ一夕の形状設計   2.5. 銅棒ダンパーの特性と配置の入力   2.6. 鉛ダンパーの特性と配置の入力   2.7. 偏心状況の表示  3.免震部材簡略設計の理論   3.1. エネルギーの釣合式   3.2. エネルギー応答性状   3.3. 設計基本式における免震部材のせん断力の相互関係   3.4. 免震部材簡略設計基本式   3.5. アイソレ一夕の設計   3.6. ダンパーの設計  4.地震応答解析プログラム   4.1. 上部質点系の設定   4.2. 振動固有値解析   4.3. 地震動データの選択   4.4. 地震動波形表示と解析区間設定   4.5. 地震応答スペクトル   4.6. 最大応答値の表示   4.7. 応答波形の表示   4.8. 復元力特性   4.9. シミュレーション表示  5.おわりに
第4講 大規模計画への導入手法 〜免震街区による都市計画〜
  三浦 周治 (株)三浦周治アトリエ代表 建築家 工学博士  1.はじめに  2.免震がもたらす都市計画の変化   2.1. 日本の住宅の現状と問題点   2.2. 免震導入の経緯   2.3. 日本におけるハウジングの歴史   2.4. 社会資本としての住宅  3.建築の長期耐用年限化のもたらす可能性   3.1. 土地神話から空間利用価値への経済的転換   3.2. 免震による土地の有効利用   3.3. 免震・スケルトンハウジング    3.3.1. 免震・スケルトンハウジングの現状と問題点    3.3.2. 免震・スケルトンハウジングのメリット   3.4. 免震・スケルトンハウジングの集合化    3.4.1. 免震・スケルトンハウジングの集合化による合理化    3.4.2. 土地神話の悪害    3.4.3. 免震・スケルトンハウジングの集合化がもたらすもの   3.5. 免震のスケルトンハウジングの構成  4.インフラストラクチャーとしての免震・スケルトンハウジング  5.スケルトンハウジングが免震街区に至るまでの経緯と経過   5.1. 自己完結型(スタンドアローン)の地区の形成   5.2. コミュニティの形成   5.3. 免震地区の都市計画   5.4. 免震地区の設備計画  6.免震・スケルトンハウジングの実例
第5講 プラントへの適用
  桐原 英秋 (株)日建設計 東京本社 設計室長  1.はじめに  2.適用上の特徴   2.1. 固有な機能の維持   2.2. 類似施設との横並び   2.3. プラントの機能維持    2.3.1. 内部空間の確保    2.3.2. 雰囲気管理    2.3.3. 微振動制御    2.3.4. 閉じ込め  3.施設の重要度評価   3.1. 社会的影響   3.2. 従業員の安全性   3.3. 財産の保護  4.機能維持   4.1. 躯体の損傷防止   4.2. 臨界安全形状   4.3. 耐震設計レベルと機能確保    4.3.1. 原子力施設    4.3.2. 科学技術関連施設    4.3.3. 公共施設  5.免震適用のメリット   5.1. 空間設計   5.2. 地震入力の低減   5.3. 内装設備の耐震設計   5.4. 剛構造設計  6.建築コスト  7.ユーティリティー施設の免震設計例  8.設計上の課題   8.1. 地震入力レベル   8.2. フレキシブルジョイント    8.2.1. エキスパンション量    8.2.2. 渡り配管   8.3. 二次的振動問題  9.維持管理   9.1. 三位一体の体制   9.2. 竣工後のルール作り   9.3. 管理マニュアル   9.4. システムの検証  10.おわりに
第6講 集合住宅への適用
  公塚 正行 (株)東急設計コンサルタント建築技術室 構造部 部長  1.はじめに  2.高層集合住宅の対地震時性能   2.1. 検討の目的   2.2. 建築物の耐震性能  3.耐震性能の比較   3.1. 計画概要   3.2. 耐震構造の設計   3.3. 免震構造の設計   3.4. 耐震性能の検証    3.4.1. 検証の方法    3.4.2. 固有振動解析    3.4.3. 地震応答解析  4.高層集合住宅の対地震時性能について  5.設計例(某集合住宅)   5.1. 建物概要   5.2. 構造設計概要   5.3. 免震部材の概要   5.4. 地盤および基礎概要   5.5. ねじれ地震応答解析   5.6. 地震応答解析
第7講 免震構造の現状
  跡部 義久 大日本土木 技術研究所 副所長  1.はじめに  2.免震構造の評定手続き   2.1. 大臣認定手続き   2.2. (財)日本建築センター評定手続き    2.2.1. 「構造設計説明書抜粋資料」の項目内容    2.2.2. 入力地震動の大きさとレベルの分類    2.2.3. 目標応答状態のレベル    2.2.4. 耐震性能クラス  3.免震構造の分析  4.評定完了建物の現況   4.1. 年度別評定件数   4.2. 建設地別評定件数   4.3. 用途別評定件数   4.4. 年度別積層ゴム使用実績  5.兵庫県南部地震後の動向について   5.1. 構造種別   5.2. 軒高   5.3. 最高高さ   5.4. 免震層位置   5.5. 積層ゴム種別   5.6. ダンパータイプ   5.7. ダンパーの個数   5.8. 面庄   5.9. 水平震度   5.10.レベル2地震時等価周期   5.11.レベル2地震時最大応答せん断ひずみ   5.12.免震構造を採用した公共建物
第8講 耐震技術の未来像 〜免震構造はどこまできたか〜
  秋山 宏 東京大学 工学部 建築学科 教授  1.免震構造の歴史的展開  2.免震構造の成立要因   2.1. エネルギースペクトル  3.免震構造の優位性  4.免震構造・耐震構造の今後の発展−柔剛混合構造の一般化  5.おわりに  
第9講 地震対策の新しい視点 〜4秒免震への道〜
  多田 英之 (株)日本免震研究センター 代表取締役 工学博士 一級建築士 技術士  1.はじめに  2.積層ゴムアイソレータ   2.1. 圧壊実験   2.2. 発電所への応用   2.3. 免震住宅への応用   2.4. 免震構造と軟弱地盤  3.免震のコスト   3.1. 建築コストについて   3.2. 欧米の事情   3.3. 国内の事情  4.免震部材(アイソレータとダンパー)とその管理 〜別置型システムの特長〜   4.1. ダンパーの強度   4.2. アイソレ一夕の強度   4.3. 免震部材(アイソレ一夕とダンパー)の耐久性  5.“本物の免震”の普及のために  6.機器免震の評価  7.おわりに



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