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実用超精密加工と計測技術
−ナノテクノロジーの新展開に向けて−
[コードNo.03NTS067]
■体裁/ |
B5判 上製函入 332頁 |
■発行/ |
2003年10月 1日 (株)エヌ・ティー・エス |
■定価/ |
46,860円(税込価格) |
(財)長野県テクノ財団 善光寺バレー地域センターと信州大学地域共同研究センターとの共催による超精密産業技術研究会の編集。
産学官の連携を機軸に、マイクロからナノまでの微細加工と計測技術を詳解。豊富な図表や写真に加え、研究会での質疑応答と用語解説を充実させて、
これからこの分野に携わる方にも理解を深められるように工夫した。
発刊にあたって
平成14年(2002年)の春,財団法人長野県テクノ財団・同善光寺バレー地域センター事務局長の原山昇氏ならびにコーディネーターの服部寛氏が小生に語られた:
「大学の研究成果や企業の先端的技術を活用して,町おこし,企業おこし,創造的ものつくりを本気になって推進して,この不況脱出に少しでもお役に立ちたい」と。
話し合いの結果,長野県内の企業は精密電子・機能部品,精密機械・研磨加工関連技術について日本の中で屈指の実力があるということであり,
「産学官連携を一層強力に推進して,地域ニーズに密着した超精密関連産業の育成を図るために,微細加工からナノ加工までの研究状況を把握し,研究基盤整備や製造技術,
ならびに計測技術を習得する」という目標に向かって研究会を開催し,地場産業の活性化と創造的ものつくりのために働きましょうということになった。
このことが契機になり,「超精密産業技術研究会−微細加工からナノ加工まで−」という名称の研究会が発足したのである。小生にとって「やせ馬に重荷」ではあったが,
少しでもお役に立てればと思いお引き受けした。
ここに,(財)長野県テクノ財団善光寺バレー地域センターと信州大学地域共同研究センター(CRC)との共催で本研究会が発足する運びとなった。
時間の経過は実に速いもので,平成14年の6月20日の第1回研究会を開催して以来,およそ隔月で開催して,
瞬く間に最終回の第6回研究会(平成15年2月13日)を盛況のうちに終了することができ嬉しい気持ちでいっぱいである。
仕事や研究が飯より好きという,第一線で活躍しておられる合計15名の講師を迎え,県内外の参加企業・長野県の工業・精密試験場・信州大学合わせて28社,
また参加者延べ数220余名,アルバイトの学生諸君,善光寺バレーの事務局の皆さん,CRCの事務局の皆さんなど多くの方のご協力を頂き,また熱心にご討論を賜った。
この場をお借りして心より感謝の意を表したい。
本研究会の内容には,長年にわたる著者の汗の結晶が詰まっている。そこには21世紀産業界のコメといわれるナノテクノロジ―へのタネが満載されているといっても過言ではない。
本研究会設立の初期の目的を達成するためにも,また県内外からの是非書物にとの要望もあり,(株)エヌ・ティー・エスのご協力のもと,専門書として刊行することになった。
さて,本書の主題は「実用超精密加工と計測技術」であり,副題を―ナノテクノロジーの新展開に向けて―とした。この書物は,上記の「超精密産業技術研究会」の内容をほとんど網羅して,
読者が容易に理解できるように編集したつもりである。
本書は,大きなキーワードをつけた第1章から第6章までと,あとがき,用語解説の構成となっている。
各章には2名から3名の著者がほとんどライフワークあるいはそれに近い貴重な成果を執筆した。
あとがきには,21世紀産業革命といわれるカーボンナノファイバー発現の原点からの研究者のナマの声を掲載した。
また,付録の用語解説は智恵を絞ってわかりやすい解説にした。
「3人よれば文殊の智恵」という諺があるように,優れたアイデアを創出するためには産学官連携を機軸にして,全体的,戦略的観点から研究開発を行い,
新しい21世紀に対処していかなければ生き残れないという厳しい時代背景を認識しなければならない。
以上,本書から汲み取れる情報が,皆様にとって,21世紀への宝の山の構築に,そして磐石な土台の創生に向けて少しでもお役に立てれば誠に幸いである。
多忙のところにもかかわらず本書を精力的に執筆された皆様ならびにご支援下さった関係者に厚く御礼申し上げる。
また,本書の執筆にあたり,内外の多くの著書,論文等を参考にさせて戴き,あるいは引用させて戴いた。ここに深く感謝の意を表する。
最後に,本専門書の出版に対して献身的なご協力を頂いた(株)エヌ・ティー・エス代表取締役の吉田隆氏,そして編集企画部の臼井唯伸氏・関係者に心から感謝申し上げる。
平成15年9月吉日 信州大学教授 中澤光男
監修者
編集幹事
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服部 寛 | 前(財)長野県テクノ財団 善光寺バレー地域センターコーディネーター(元長野日本無線研究所所長) |
編集委員
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原山 昇 | (財)長野県テクノ財団 善光寺バレー地域センター事務局長 |
小沼義治 | 信州大学名誉教授 |
神田鷹久 | 信州大学工学部物質工学科教授 |
吉田 隆 | (株)エヌ・ティー・エス代表取締役社長 |
臼井唯伸 | (株)エヌ・ティー・エス編集企画部課長 |
黒岩真弓 | 京都大学農学研究科応用生命科学・食品生物科学専攻 |
執筆者(執筆順)
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森本尚武 | 前信州大学学長 |
金子八郎 | (財)長野県テクノ財団理事長 |
山口光彦 | 前(財)長野県テクノ財団専務理事 |
中澤光男 | 信州大学工学部電気電子工学科教授 |
水谷 太 | 九州大学技術移転推進室アドバイザー(元三井物産コーディネーター) |
長浦善昭 | ナガウラ・ラボ(株)代表取締役社長/信州大学大学院 |
千葉亜紀雄 | 日本電波工業(株)技術統括本部第五技術部専門部長 |
有泉武彦 | (株)グローバル代表取締役会長 |
植田敏嗣 | 早稲田大学大学院情報生産システム研究科教授 |
上村喜一 | 信州大学工学部電気電子工学科教授 |
中島博文 | 長野電子工業(株)常務取締役 |
傳田精一 | 長野県工科短期大学客員教授 |
跡部光朗 | セイコーエプソン(株)生産技術開発本部生産技術開発部部長 |
岩本 修 | セイコーエプソン(株)生産技術開発本部生産技術開発部課長 |
井上 明 | セイコーインスツルメンツ(株)科学機器事業部事業開発部部長 |
滝澤秀一 | 長野県工業試験場金属材料部主任研究員 |
斉藤保典 | 信州大学工学部情報工学科助教授 |
神田鷹久 | 信州大学工学部物質工学科教授 |
小沼義治 | 信州大学名誉教授 |
服部 寛 | 前(財)長野県テクノ財団 善光寺バレー地域センターコーディネーター(元長野日本無線研究所所長) |
詳細目次
第1章 21世紀への目標と戦略
第1節 21世紀を生き抜く技術と産学官連携
1. 時代認識
1.1 日本経済のいま 1.2 1980年代のアメリカ
1.3 日本の財政/傾斜配分 1.4 競争原理
2. 国の科学技術予算
3. 地域間競争
3.1 地域のシーズを結集したプラットフォーム(共通基盤)の重要性
3.2 地域内拠点間の競争と協調
3.3 地域の中核組織としての大学
4. 産学連携
4.1 大学の変化 4.2 研究開発のあり方 4.3 大学の持つシーズの活用
5. 国の資金の活用
6. 研究開発のあり方
6.1 技術マネジメント 6.2 研究開発体制
7. 知財戦略
8. まとめ
8.1 全体観の把握 8.2 産学連携
8.3 知財戦略 8.4 技術管理
第2節 国際特許戦略
第2章 水晶振動子のマイクロ・ナノ加工への挑戦
第1節 ナノテク研磨への挑戦
はじめに
1. 水晶振動子の概要
1.1 水晶振動子の歴史 1.2 水晶振動子のカットの種類
1.3 水晶振動子の構成
2. 水晶振動子の市場と動向
2.1 水晶製品の市場 2.2 水晶振動子の動向
3. 水晶振動子の加工法
4. 高周波ウェーハ加工
4.1 貼り付け技術 4.2 平面研削
4.3 片面ポリシング 4.4 ウェーハの平行度
4.5 ポリシング加工面の品質 4.6 砥粒の影響
5. メカノケミカルポリシング(ナノテク研磨)
6. 片面加工の優位性
7. まとめと今後の展望
第2節 マイクロエッチング加工技術
はじめに
1. インバーテッドメサについて
1.1 インバーテッドメサの概要 1.2 インバーテッドメサの加工法
1.3 表面特性と不良
2. 加工における問題点
2.1 エッチングの問題点 2.2 研磨精度の問題
3. 新しい加工法への挑戦
3.1 ケミカルエッチングによる表面粗さ
3.2 ラップ加工層のブランクへの影響
3.3 エッチング加工に関するまとめ
第3節 水晶のマイクロ・ナノ加工とその応用
〜21世紀のセンシングデバイスを目指して〜
1. センサの市場とその用途
1.1 センサの市場規模 1.2 新しい産業とセンサ
1.3 ナノ加工とセンサ 1.4 バイオ分野への期待
2. 光関係のセンシングデバイス
3. 世代に対応するための水晶加工技術
3.1 高速高周波センシング 3.2 製造技術
3.3 水晶の加工
4. マイクロセンサ
4.1 水晶温度計 4.2 圧力計 4.3 光スキャナ
4.4 金属の微細加工 4.5 NC加工機械用エンコーダ
第3章 半導体ナノテクノロジー
第1節 半導体ナノテクノロジーへの展望
〜超微細加工からナノ加工まで〜
はじめに
1. ナノテクノロジーの動向
1.1 ナノテクノロジーが注目された背景 1.2 ナノのむずかしさ
2. 半導体技術の進化の方向
2.1 半導体のナノテクノロジー 2.2 半導体での微細化の現状
2.3 なぜ微細化するか 2.4 半導体メモリーセルとその進展
2.5 DRAMセルの進化 2.6 配線遅延の問題
3. シリコンLSI新材料技術
3.1 銅配線 3.2 高誘電率ゲート絶縁膜
3.3 キャパシタ絶縁膜 3.4 強誘電体メモリ
3.5 低誘電率層間絶縁膜
4. 半導体超格子
4.1 周期中の電子エネルギー 4.2 量子井戸構造と半導体レーザー
4.3 共鳴トンネルダイオード 4.4 変調ドーピングとHEMT
4.5 半導体超格子の作成方法
5. 上村研究室のナノ技術
5.1 SiCマイクロフローセンサ
5.2 多結晶Si薄膜を用いたバイポーラトランジスタ
5.3 炭素ナノ繊維薄膜の作製 おわりに
第2節 シリコンウェーハの超研磨技術
1. はじめに〜シリコンの加工は古くて新しい技術〜
2. シリコン加工の歴史
3. シリコンウェーハへのニーズ
3.1 リソグラフィー領域 3.2 CMP領域
3.3 ゲート酸化膜領域 3.4 フラットネスをどのように求めるか
4. ウェーハの研磨方法
5. 研磨方式
6. おわりに
第4章 超精密実装加工技術とナノテクノロジー
第1節 エレクトロニクス実装における超微細加工技術とナノテクノロジー
はじめに 〜実装技術とナノテクノロジー〜
1. 実装技術とは
1.1 半導体工程と境界のなくなった半導体技術
1.2 トップダウンとボトムアップ型技術
2. 微細配線技術
2.1 半導体から実装基板へ 2.2 接続の技術 2.3 ビルドアップ基板
2.4 テープ積層 2.5 異方性導電接着材
3. 金属ナノ微粒子の開発
3.1 金属ナノ微粒子とは
3.2 ナノ粒子導電性ペースト
3.2 ハイブリッド銀ペースト
3.3 常温ナノ原子間接合
3.4 ナノレベルでの金属微粒子の形状制御
3.5 スーパーソルダー
3.6 銅ナノ粒子微細配線
3.7 ナノポーラスシートによる微細ビア基板
第2節 マイクロマシン技術を用いた水晶デバイスとSiインクジェットヘッド
1. はじめに
2. 水晶マイクロマシン技術を用いた音叉型水晶振動子
2.1 音叉型水晶振動子の小型化について
2.2 SSTF振動子の開発について
2.3 水晶マイクロマシン技術によるSSTF振動子の製造プロセス
2.4 まとめ
3. Siマイクロマシン技術を用いたインクジェットヘッドの開発
3.1 構造 3.2 メカニズム 3.3 仕様
3.4 製造プロセス 3.5 特性 3.6 まとめ
4. おわりに
第5章 SPM・FIB・レーザー光技術とナノ加工の超精密検証
第1節 SPMによる微細表面評価
1. プローブ顕微鏡の機能と応用
2. カーボンナノチューブ(CNT)のSPMへの応用
2.1 探針への課題 2.2 CNT探針 2.3 CNT探針取り扱い上の注意
3. SPMの観察以外への応用/その他
3.1 電界支援酸化 3.2 マニピュレーション
第2節 FIBによるマイクロ加工
はじめに
1. FIBとは
1.1 FIBの概要と歴史 1.2 FIBの加工領域 1.3 イオン源としてのGa
1.4 使用の際の問題点 1.5 Gaイオン源の構造
2. FIBの加工
2.1 加工原理 2.2 FIB−CVD法
2.3 FE-SEMとFIBの組みあわせによる加工
3. FIBの加工例
3.1 半導体分野への応用 3.2 TEMサンプル
3.3 ボトムアップ型加工
4. 長野県工業試験場での応用 FIB微細加工
5. 最近の用途例
第3節 加工計測技術へのレーザー光技術の応用
はじめに
1. フェムト秒レーザーによる加工
1.1 フェムト秒レーザーによる加工実例
1.2 フェムト秒レーザー加工の特徴
1.3 多光子吸収
2. 時間分解分光手法の応用
2.1 時間分解蛍光検出の例
2.2 加工プロセスへの展開
3. おわりに
第6章 超精密計測と創造的発展
第1節 水晶振動子とナノオーダー計測
1. まえがき
2. 計測の基本
2.1 宇宙からの啓示
2.2 エラトステネス(B.C. 275-195)とナノテクノロジー
2.3 国際単位系(SI単位系:Systeme International d'Unites)
2.3.1 基本単位
3. 圧電気効果と水晶の性質
3.1 水晶結晶
3.2 水晶結晶が安定で使いやすい理由は何か?
3.3 圧電気効果
3.4 応力の説明
3.5 圧電気直接効果(Direct Piezoelectric Effect)
3.6 圧電気逆効果(Converse Piezoelectric Effect)
3.7 運動方程式と圧電基本式
3.7.1 運動の3法則 3.7.2 圧電基本式
3.8. カット角と周波数温度特性
3.8.1 厚み振動モード
4. 水晶振動子を使用したナノオーダー計測
4.1 時間センサとしての活用
4.2 力―電気効果(圧電気直接効果)の活用
4.3 QCM(Quartz Crystal Microbalance)としての活用(圧電気逆効果の応用)
4.4 探針法(Probe Method)を用いた振動電荷分布と歪の測定
5. むすび
第2節 セルロースとナノテクノロジー
はじめに 〜セルロースとセルラーゼ〜
1. セルロースの応用の可能性
2. セルロースの構造
3. セルロースとセルロース分解
4. 酵素の作用
5. バクテリアによるセルロースの合成
6. 今後の展開
7. おわりに
あとがき(ナノの世界への道案内)
ナノテクノロジーを拓く道〜炭素繊維(カーボンファイバー)研究の足跡〜
1. まえがき
2. 研究のスタート
3. 炭素繊維(カーボンファイバー)の発現
4. 一次元カーボンナノファイバー
ナノ世界の創造
1. はじめに
2. アインシュタインの相対性理論とナノの世界
2.1 特殊相対性理論と量子力学のドッキング
2.2 一般相対性理論の概要
3. ナノの世界はどんな世界か?
4. カーボンナノチューブの発現とナノ粒子の振舞い
5. おわりに
超精密産業技術研究会とナノテクへのアプローチ
用語解説
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