21世紀に入り国の内外で激しい開発競争が演じられているナノテクノロジーのなかでも、もっとも活発に工業化が進められ、また、世界のトップを走っているのが「ポリマー系ナノコンポジット」である。
とりわけ、自動車部品や包装材料、塗装剤・接着剤などへの用途開発による製品化も進み、この分野に参入する企業も後を絶たない。
本書は、とくにここ2,3年の最新技術開発の動向や、新しく開発されている製品の特長、応用展開などについてまとめるもので、
大きく「技術編」「製品開発編」「製品紹介編」の3編からなり、技術編では、新しいタイプ・新しい製法のナノコンポジットを取り上げ、製品開発編では、国内外各企業の第一線研究者にそれぞれの製品の特長や、
応用を展望していただき、製品紹介編では、10社の製品の物性や、特長を紹介することを目的とした。
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中條 澄 | K・C・リサーチ 代表 |
鬼形正伸 | (株)ホージュン セールスエンジニアリング部 化学グループ グループリーダー |
加藤 誠 | (株)豊田中央研究所 材料分野 有機材料研究室 主任研究員 |
今井祐介 | (独)産業技術総合研究所 実環境計測・診断研究ラボ 研究員 |
新田晃平 | 金沢大学 工学部 物質化学工学科 状態解析講座 助教授 |
岡本正巳 | 豊田工業大学 大学院工学研究科 極限材料専攻 講師 |
島田雅之 | 大阪市立工業研究所 有機材料課 機能性樹脂研究室 研究主任 |
高瀬博文 | タキロン(株) 研究開発部 研究主任 |
山本和弥 | 九州大学 大学院工学府 博士後期課程 |
和田信一郎 | 九州大学 大学院農学研究院 助教授 |
高原 淳 | 九州大学 先導物質化学研究所 教授 |
藤吉加一 | 岐阜県製品技術研究所 研究開発部 主任専門研究員 |
西村 透 | 東レ(株) 化成品研究所 樹脂研究室 主任研究員 |
上田一恵 | ユニチカ(株) 中央研究所 開発2グループ グループ長 |
角野岳志 | 日本エコラップ(株) セービックス営業部 課長 |
Gunter Beyer | Kabelwerk Eupen AG Laboratory Chem Phys. Manager |
合田秀樹 | 荒川化学工業(株) 新事業企画開発部 ハイブリッドグループ テクニカルチームリーダー |
村山英樹 | フロンティアカーボン(株) 研究開発センター長 副社長 |
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序章 ポリマー系ナノコンポジット概論 中條 澄 |
1. | ポリマー系ナノコンポジットの位置付け |
1.1 | ポリマー系ナノコンポジットとは |
1.2 | ポリマー系ナノコンポジットの分散状況 |
2. | ポリマー系ナノコンポジットの製造方法 |
2.1 | 製造方法の基本と分類 |
2.2 | 層間挿入法(層剥離法) |
2.3 | ゾル−ゲル法( In-Situ フィラー形成法) |
2.4 | その他の方法 |
3. | ポリマー系ナノコンポジットの構造とその解析法 |
4. | ポリマー系ナノコンポジットの物性 |
4.1 | 基本的物性 |
4.2 | 機能的物性 |
4.3 | 成形加工性 |
4.4 | 環境適性 |
5. | ポリマー系ナノコンポジットの応用・用途 |
6. | ポリマー系ナノコンポジットの今後 |
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第T編 技術偏 |
第1章 総論−ポリマー系ナノコンポジットの技術的な進歩と展開 中條 澄 |
1. | はじめに |
2. | ナノコンポジット製造技術の進歩 |
3. | ナノコンポジットの高機能化技術の進歩 |
4. | 新しいナノマテリアルの研究開発 |
5. | 基礎的研究の進歩 |
第2章 ポリマー/クレー系ナノコンポジット |
1. | ナノコンポジット用クレーの特徴と分散のための変性法 鬼形正伸 |
1.1 | はじめに |
1.2 | モンモリロナイトの特性 |
1.2.1 | モンモリロナイトの結晶構造 |
1.2.2 | 水中におけるモンモリロナイトの膨潤、会合機構 |
1.3 | 有機化粘土(有機ベントナイト)の特徴 |
1.3.1 | 有機ベントナイトの生成方法 |
1.3.2 | 有機ベントナイトの構造と特性 |
1.3.3 | 有機溶剤中における有機ベントナイトの膨潤、会合機構 |
1.3.4 | 物理的、化学的分散処理方法 |
1.4 | 機能性フィラー剤としての有機ベントナイトの課題 |
1.4.1 | 異分散性有機ベントナイト |
1.4.2 | 耐熱性有機ベントナイト |
1.5 | おわりに |
2. | ポリマー/クレー系ナノコンポジット製造法の進歩 加藤 誠 |
2.1 | ポリマー/クレー系ナノコンポジット |
2.2 | モノマー重合法 |
2.2.1 | ナイロン系 |
2.2.2 | ポリオレフィン系 |
2.2.3 | アクリル樹脂系 |
2.2.4 | エポキシ樹脂系 |
2.3 | 相溶化法 |
2.3.1 | ポリイミド系(溶媒による相溶化) |
2.3.2 | ゴム系(オリゴマーによる相溶化) |
2.4 | 溶融・混練法 |
2.4.1 | ナイロン系 |
2.4.2 | ポリオレフィン系 |
2.4.3 | ポリスチレン系 |
2.5 | その他 |
3. | PET系ナノコンポジット 今井祐介 |
3.1 | はじめに |
3.2 | PET/クレーナノコンポジット |
3.2.1 | 重合法によるPET/クレーナノコンポジット |
3.2.2 | 溶融混練法によるPET/クレーナノコンポジット |
3.2.3 | PET/クレーナノコンポジットのガスバリア性、生分解性 |
3.3 | その他の芳香族ポリエステル/クレーナノコンポジット |
3.3.1 | ポリブチレンテレフタレート(PBT)/クレーナノコンポジット |
3.3.2 | ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)/クレーナノコンポジット |
3.3.3 | PETコポリマー/クレーナノコンポジット |
3.3.4 | その他 |
4. | PP系ナノコンポジットの構造と物性 新田晃平 |
4.1 | クレイの構造 |
4.2 | PPマトリクスの結晶化 |
4.3 | 構造と力学物性の関係 |
5. | ナノコンポジット化による難燃化 中條 澄 |
5.1 | はじめに |
5.2 | 各種ポリマー系ナノコンポジットの燃焼挙動 |
5.3 | 難燃剤を併用したポリマー系ナノコンポジットの燃焼挙動 |
5.4 | ナノコンポジット化による難燃化の機構 |
5.5 | ナノコンポジット化による難燃化技術の今後 |
6. | ナノコンポジットのレオロジーと発泡成形 岡本正巳 |
6.1 | はじめに |
6.2 | 溶融レオロジーと自己集合組織化 |
6.3 | 発泡体セル構造の特異性 |
6.4 | 力学特性 |
6.5 | マイクロセルラーからナノセルラーへ |
6.6 | ナノコンポジットからセラミック多孔体 |
第3章 その他のナノコンポジット |
1. | ゾル−ゲル法によるPC/シリカ系有機−無機ハイブリッド材料 島田雅之 |
1.1 | はじめに |
1.2 | PC/ポリ(アルコキシシリル基含有メタクリル酸)ブロック共重合体を |
| 前駆体とする有機−無機ハイブリッド材料 |
1.2.1 | 両末端にフェノール性水酸基を有するPCの合成 |
1.2.2 | アゾ基含有PCの合成 |
1.2.3 | PC/ポリ(アルコキシシリル基含有メタクリル酸)ブロック共重 |
| 合体の合成 |
1.2.4 | ゾル−ゲル法によるハイブリッド材料の作製 |
1.3 | 溶融ブレンド法による有機−無機ハイブリッド材料の合成 |
1.4 | おわりに |
2. | カーボンナノチューブの分散性評価法 高瀬博文 |
2.1 | カーボンナノチューブ |
2.2 | カーボンナノチューブ凝集破壊のモデル |
2.3 | コンポジットの分散評価 |
2.3.1 | 面積率[Ar]と物性との相関性 |
2.3.2 | 最大粒子面積[Amax] |
2.4 | パーコレーション |
2.5 | カーボンナノチューブ複合材料の展開 |
3. | 新しい無機物を利用したナノコンポジット 山本和弥、和田信一郎、高原 淳 |
3.1 | イモゴライト |
3.1.1 | はじめに |
3.1.2 | 「イモゴライト」 |
3.1.3 | イモゴライトと水溶性高分子との複合化 |
3.1.4 | イモゴライトの表面化学修飾を利用したポリマーハイブリッド |
3.1.5 | イモゴライトのその場合成によるポリマーハイブリッドの創製 |
3.1.6 | おわりに |
3.2 | ベーマイト 藤吉加一 |
3.2.1 | はじめに |
3.2.2 | ジオールインターカレートベーマイトおよびその結晶形態制御 |
3.2.3 | ベーマイトの層間剥離 |
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第U編 製品開発偏 |
第1章 総論 中條 澄 |
1. | 商品化されているポリマー系ナノコンポジット |
2. | 高性能材料としてのポリマー系ナノコンポジットの商品化状況 |
3. | 高機能性材料としてのポリマー系ナノコンポジットの商品化状況 |
第2章 各社製品の特長と展開 |
1. | 新タイプPA/クレー系ナノコンポジット 西村 透 |
1.1 | はじめに |
1.2 | ナイロン系ナノコンポジット開発の歴史と実用材料としての価値 |
1.3 | 東レの新タイプナノコンポジットナイロン |
1.3.1 | 製造方法 |
1.3.2 | 結晶構造制御技術 |
1.3.3 | 材料特性 |
1.4 | おわりに |
2. | PLA系ナノコンポジット 上田一恵 |
2.1 | はじめに |
2.2 | PLAナノコンポジットの作製と特性 |
2.3 | 用途開発 |
2.4 | 今後の展開 |
3. | ナノコンポジットフィルム「セービックス」 角野岳志 |
3.1 | はじめに |
3.2 | セービックスの構造上の特徴とハイバリア性発現の機構 |
3.3 | バリア性の特徴 |
3.4 | 加工上の特徴 |
3.5 | ラミネートフィルムとしての実用物性 |
3.6 | セービックスのグレードと用途 |
(1) | 「生わかめ」(YOP-G2使用) |
(2) | 「削り節」(YPET-G2使用) |
(3) | 「もち、玄米」(YON-G2使用) |
3.7 | おわりに |
4. | 難燃性ナノコンポジット Gunter Beyer |
4.1 | Introduction |
4.2 | Nanocomposites prorerties |
4.3 | Experimental |
4.3.1 | materials |
4.3.2 | Properties of EVA nanocomposites |
4.4 | Results |
4.4.1 | Thermal stability |
4.4.2 | flamability properties |
4.4.3 | NMR-investigation and FR-mechanism |
4.4.4 | Intercalation versus exfoliation |
4.5 | Combination of the traditional filler ATD with a nanofiller |
4.6 | Corxial cable passing UL 1666 with a nanocomposite based outer sheath |
4.7 | Conclusion |
5. | コンポセラン 合田秀樹 |
5.1 | ゾル−ゲルハイブリッド |
5.2 | 分子ハイブリッドの分子設計 |
5.3 | 融けないプラスチック(エポキシ樹脂系) |
5.4 | 柔らかいハイブリッド材(ウレタン系) |
5.5 | 低コスト材料で高コスト材料に挑戦(ポリアミドイミド系) |
5.6 | 無電解めっき可能なポリイミド(ポリイミド系) |
6. | フラーレン 村山英樹 |
6.1 | はじめに |
6.2 | フラーレンとはなにか |
6.3 | フラーレンの特徴と応用例 |
6.4 | フラーレンの量産・安定供給 |
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第V編 製品紹介編 |
1. | 「合成雲母」 コープケミカル(株) |
2. | 「クニピア」 クニミネ工業(株) |
3. | 「ベンゲル」「エスベン」「オルガナイト」 (株)ホージュン |
4. | 「NCH−1015C2」 宇部興産(株) |
5. | 「NANOCON」「テラマック」 ユニチカ(株) |
6. | 「ナノコンポジットND15」 |
| 「ナノコンポジットN6」 東レ(株) |
7. | 「EUCASAFE cables」 Kabelwerk Eupen AG |
8. | 「コンポセラン」 荒川化学工業(株) |
9. | 「nanom」 フロンティアカーボン(株) |