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ポリ乳酸グリーンプラスチックの開発と応用
―植物系樹脂の実用化―
[コードNo.05FTB004]
■体裁/ |
B5判・230頁 |
■発行/ |
2005年 8月 1日 (株)フロンティア出版 |
■定価/ |
55,000円(税込価格) |
刊行のねらい
国際的な環境意識の高まりの中で、いま、生分解性プラスチックが熱い視線を浴びている。なかでも植物由来のプラスチックであるポリ乳酸は、その原料となるトウモロコシやサトウキビの生長の過程で二酸化炭素を吸収するので、コンポスト化設備がなくても大気中の二酸化炭素を増やすことなく使用後に燃焼して熱回収するという選択肢がある。2005年2月の「京都議定書」発効により二酸化炭素の発生抑制は至上命題であり、ポリ乳酸は時代にふさわしいプラスチックといえよう。
本書は、その優れた特性により、「愛知万博」における採用、官庁・学校における導入決定など食品容器としての認可や、工業用・医療用など用途の広がり、“世界のトヨタ”の参入など、ここにきて急速に脚光を浴びてきた“グリーンプラのエース「ポリ乳酸」”の原料・製造・製品・用途展開・市場の現状と、見通しについて、その最新動向を産業界・学界の第一線の研究者・技術者がまとめたものである。
執筆者一覧(執筆順)
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大島一史 | 生分解性プラスチック研究会 事務局長 |
金井康矩 | (元)カーギル・ダウ社 技術顧問 |
山中敬雄 | 技術士(繊維部門) (元)カネボウ合繊(株) ラクトロン技術所管 |
上倉正雄 | 大日本インキ化学工業(株) ポリマ添加剤技術本部 ポリマ改質剤技術グループ 主席研究員 |
宮本貴志 | 東洋紡績(株) バイロン事業部 主席部員 |
宮村岳志 | 第一工業製薬(株) 技術開発本部 機能材料研究部 課長 |
指田和幸 | 理研ビタミン(株) 大阪工場 化成品技術第1グループ リーダー |
中塚廣重 | (株)C・P・R 代表取締役 |
望月政嗣 | ユニチカ(株) テラマック事業開発部 部長 |
葛谷勝美 | 吉忠化学工業(株) 取締役相談役 |
景山英治 | (株)東海化成 副社長 営業本部長 |
多田大 | 松下電池工業(株) 企画グループ パッケージ企画チーム チームリーダー |
渡辺達也 | 東セロ(株) 新フィルム開発室 室長 |
松村一也 | 東レ(株) 機能資材・商品開発センター 販売開拓室 室長 |
位地正年 | 日本電気(株) 基礎・環境研究所 エコマテリアルTG 研究部長 |
稲葉英彦 | ダイニック(株) 開発技術センター 参事 |
辻秀人 | 豊橋技術科学大学 工学部 エコロジー工学系 助教授 |
岡高茂 | グンゼ(株) 研究開発センター 主任研究員 |
構成と内容
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序 | はじめに |
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第1章 | 総論−ポリ乳酸の技術開発と広がる用途(大島一史) |
1. | はじめに |
2. | 製造技術 |
2.1 | 合成路の多様化 |
2.2 | 縮重合方法(ラクチド開環法と乳酸直重合法) |
2.3 | 最新の進歩:酵素合成法 |
3. | 物性制御技術の動向 |
3.1 | 生分解性 |
3.2 | 固体物性 |
3.3 | 衝撃性改良の考え方 |
3.4 | 繊維強化型PLA |
3.5 | 耐久性及び耐熱性の付与 |
4. | 今後の展開と課題 |
4.1 | 基盤資材としての認知:“愛・地球博”会場への導入 |
4.2 | 拡がる用途と課題 |
4.2.1 | 食品容器包装資材としての展開 |
4.2.2 | 文具・日常品・衣服類・産業副資材への展開 |
4.2.3 | 実用化に向けた課題 |
(1) | 天然物系との共生 |
(2) | 機能上の課題 |
|
第2章 | ポリ乳酸製造技術の最新動向 |
1. | 総論(金井康矩) |
1.1 | はじめに |
1.2 | 植物系バイオマス原料 |
1.3 | 乳酸 |
1.3.1 | 糖化工程 |
1.3.2 | 発酵工程 |
1.3.3 | 分離精製工程 |
1.4 | ラクチド |
1.5 | ポリ乳酸 |
2. | ポリ乳酸繊維加工技術(山中敬雄) |
2.1 | はじめに |
2.2 | 繊維材料としてのポリ乳酸 |
2.3 | ポリ乳酸繊維の製造方法 |
2.4 | ポリ乳酸繊維の物性 |
2.5 | ポリ乳酸繊維の染色加工 |
2.6 | 繊維種類と用途展開例 |
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第3章 | ポリ乳酸副資材 |
1. | ポリ乳酸用改質剤(上倉正雄) |
1.1 | はじめに |
1.2 | PLAの特性 |
1.3 | PLAの改質方法 |
1.3.1 | PLAの耐衝撃性の改良 |
1.3.2 | PLAへの柔軟性の付与 |
1.4 | PLA用改質剤プラメート |
1.4.1 | プラメートPD−150(耐衝撃性付与剤) |
1.4.2 | PLA用柔軟性付与剤プラメートPD−350 |
1.5 | 用途展開 |
1.5.1 | シート・フィルム分野 |
1.5.2 | 射出成形分野 |
1.6 | おわりに |
2. | 有機溶剤可溶性ポリ乳酸(宮本貴志) |
2.1 | はじめに |
2.2 | 環境に適応した機能性ポリ乳酸樹脂の開発 |
2.3 | ポリ乳酸系樹脂「バイロエコール」の特性 |
2.3.1 | 溶剤溶解性 |
2.3.2 | 物性 |
2.3.3 | 分子量 |
2.3.4 | バイロエコール有機溶剤溶解品を経由するエマルションの製造方法 |
2.4 | バイロエコールの応用展開例 |
2.4.1 | 海洋生物付着防止塗料 |
2.4.2 | 被覆肥料 |
2.4.3 | グラビアインキ |
2.5 | おわりに |
3. | ポリ乳酸エマルション(宮村岳志) |
3.1 | はじめに |
3.2 | 製品の概要 |
3.2.1 | ポリ乳酸エマルション「プラセマL110」 |
3.2.2 | 可塑剤エマルション「サプラセマPCZ」 |
3.3 | 製品の加工条件と特性 |
3.3.1 | 加工条件 |
3.3.2 | フィルムの強度物性 |
3.3.3 | 耐薬品性 |
3.3.4 | 生分解性 |
3.4 | ポリ乳酸エマルションの応用例 |
3.4.1 | ヒートシール加工 |
3.4.2 | 成形用バインダー |
3.4.3 | 紙への塗工 |
3.4.4 | 発泡体 |
3.5 | 実施例 |
3.6 | おわりに |
4. | ポリ乳酸樹脂用可塑剤(指田和幸) |
4.1 | はじめに |
4.2 | アセチル化モノグリセライド系可塑剤の特徴 |
4.3 | 可塑性評価結果 |
4.3.1 | 評価配合 |
4.3.2 | 評価手順 |
4.3.3 | 試験用サンプルの作成 |
4.3.4 | 評価項目および条件 |
4.3.5 | 評価結果 |
4.4 | おわりに |
5. | ポリ乳酸樹脂改質分解剤(中塚廣重) |
5.1 | はじめに |
5.2 | 分解促進剤 |
5.3 | 分解微生物 |
5.4 | ポリ乳酸分解酵素 |
5.5 | ポリ乳酸樹脂の再原料化 |
5.6 | おわりに |
|
第4章 | ポリ乳酸の特性と機能付与(望月政嗣) |
1. | ポリ乳酸の特性と用途展開 |
1.1 | ポリ乳酸の基本特性 |
1.2 | ポリ乳酸製品の特徴 |
1.2.1 | フィルム・シート |
1.2.2 | 繊維 |
1.2.3 | 成形用樹脂 |
1.3 | 用途展開 |
1.3.1 | 農林・園芸・土木分野 |
1.3.2 | 容器・包装・緩衝・梱包材分野 |
1.3.3 | 食品包装・容器・食器・食品(廃棄物)フィルター分野 |
1.3.4 | 医療・インテリア・生活・衛生分野 |
1.3.5 | 電子機器筐体・自動車内装材分野 |
2. | ポリ乳酸の性能向上と機能性付与 |
2.1 | 耐熱性 |
2.1.1 | ポリ乳酸の結晶化速度向上 |
2.1.2 | 成形プロセスと耐熱性 |
2.2 | 耐久性(耐湿熱性) |
2.3 | 柔軟性・耐衝撃性 |
2.4 | 防炎化・難燃化 |
2.5 | 静菌・防黴性 |
2.6 | 耐候性・耐光性 |
2.7 | ガス透過性・ガスバリア性 |
2.8 | 熱融着性・熱接着性 |
|
第5章 | ポリ乳酸の用途展開 |
1. | 総論(金井康矩) |
1.1 | はじめに |
1.2 | 農業・園芸資材 |
1.3 | コンポストバッグ・レジ袋 |
1.4 | 土木・建設資材 |
1.5 | 一般繊維製品 |
1.6 | 食品容器包装資材 |
1.7 | 一般包装資材 |
1.8 | 耐久性商品 |
2. | 食品容器・食器(望月政嗣) |
2.1 | ディスポーザブル食品容器 |
2.2 | リターナブル容器 |
3. | ゴミ袋・水切り袋(葛谷勝美) |
3.1 | はじめに |
3.2 | PLAゴミ袋の現状 |
3.3 | PLAの問題点と対応 |
3.3.1 | 分解が遅い |
3.3.2 | フィルムが硬い |
3.3.3 | 経時変化が早い |
3.4 | 万博(愛・地球博)におけるゴミ袋の使用状況 |
3.5 | 需要拡大のキーポイント |
4. | 繊維製品(山中敬雄) |
4.1 | ポリ乳酸繊維の物性 |
4.1.1 | 風合い・光沢 |
4.1.2 | 吸汗・速乾性 |
4.1.3 | 抗菌性 |
4.1.4 | その他快適性 |
4.2 | 繊維製品の取扱い |
4.3 | 生分解性 |
4.4 | ポリ乳酸繊維の機能と用途展開 |
4.4.1 | 生分解性の利用 |
4.4.2 | 新しい機能性の利用 |
4.5 | 用途展開例 |
4.5.1 | 土木・建設分野 |
4.5.2 | 農園芸分野 |
4.5.3 | 林業用資材 |
4.5.4 | 衣料・生活用品 |
4.5.5 | インテリア・寝装品・その他 |
4.6 | おわりに |
5. | 発泡シート(望月政嗣) |
6. | 発泡魚箱(山中敬雄) |
6.1 | はじめに |
6.2 | 発泡ポリスチレン |
6.3 | ポリ乳酸発泡体の製造 |
6.4 | ポリ乳酸発泡体の物性 |
6.4.1 | 基本物性 |
6.4.2 | 発泡倍率と物性 |
6.4.3 | 緩衝物性 |
6.4.4 | 耐薬品性 |
6.4.5 | 耐熱性・断熱性 |
6.4.6 | 生分解性 |
6.5 | 「京都モデル」実証実験 |
6.5.1 | 実証実験概要 |
6.5.2 | バイオガス化実験 |
6.6 | ビーズ法ポリ乳酸発泡体の用途 |
6.7 | おわりに |
7. | ポット(景山英治) |
7.1 | ポリ乳酸ポットの必要性 |
7.2 | ポリ乳酸苗ポットとその他の生分解性ポットの歴史 |
7.3 | ポリ乳酸育苗ポットの特性と課題 |
7.3.1 | 価格 |
7.3.2 | 多種多様の生分解性速度 |
7.3.3 | 定植時のリスク |
7.3.4 | カビの発生の抑制 |
7.3.5 | 栽培上のメリット |
8. | 植物系「生分解性プラスチック」を全面使用した乾電池ブリスター(多田大) |
8.1 | はじめに |
8.2 | 自然にやさしい植物系「生分解性プラスチック」の採用 |
8.3 | 約1年で自然に還る生分解性シート設計 |
8.4 | 衝撃に強いシート素材の開発 |
8.5 | 接着シート素材の開発 |
8.6 | 温度に弱く・もろいポリ乳酸の成型加工 |
8.7 | 台紙とカバーの熱接着・台紙印刷 |
8.8 | 厳しい品質試験に合格し商品化 |
8.9 | おわりに |
9. | 自動包装用フィルム(渡辺達也) |
9.1 | はじめに |
9.2 | 生分解性二軸延伸フィルム「パルグリーン」 |
9.3 | ポリ乳酸を中間層に用いた三層構成フィルム |
9.4 | 生分解性無延伸フィルム「パルシール」 |
9.5 | 単層ヒートシーラブルフィルム |
9.6 | 耐熱・ヒートシールの二層構成フィルム |
9.7 | インフレーション成形フィルム |
9.8 | おわりに |
10. | 自動車内装材の開発(松村一也) |
10.1 | カーボンニュートラル・資源循環型のポリ乳酸 |
10.2 | ポリ乳酸繊維の応用展開と特性の改善 |
10.3 | 自動車内装材の開発 |
10.4 | カーペット・寝装品分野への応用 |
10.5 | おわりに |
11. | 電子機器筐体(位地正年) |
11.1 | はじめに |
11.2 | ケナフ繊維添加ポリ乳酸の開発 |
11.3 | 脱ハロゲン脱リンの難燃性ポリ乳酸の開発 |
11.4 | リサイクル可能な形状記憶性ポリ乳酸 |
11.5 | まとめ及び将来展望 |
12. | 事務用品・雑貨(稲葉英彦) |
12.1 | はじめに |
12.2 | 使用されるグリーンプラ材料 |
12.3 | グリーンプラシート・フィルムの製法 |
12.3.1 | グリーンプラシート・フィルムの製法と留意点 |
12.3.2 | グリーンプラシート・フィルムの成形時の留意点 |
12.4 | グリーンプラシート・フィルムの特性 |
12.4.1 | グリーンプラシート・フィルムの生分解性 |
12.4.2 | グリーンプラシート・フィルムの材料物性 |
12.5 | グリーンプラシート・フィルムの2次加工適性 |
12.6 | ポリ乳酸系のシート・フィルムを用いた事務用品・雑貨の用途例 |
12.6.1 | 窓付き封筒 |
12.6.2 | クリアフォルダー |
12.6.3 | ファイル・バインダー表紙材 |
12.6.4 | 光沢フィルム貼り加工品 |
12.6.5 | カード類 |
12.6.6 | バナー(垂れ幕)・サイン(指示幕)・ポスター |
12.6.7 | ラベル・シール類 |
12.6.8 | その他文具・雑貨類 |
12.7 | 事務用品・雑貨類へのポリ乳酸系グリーンプラ普及の課題 |
13. | ポリ乳酸医用材料の作製と特性(辻秀人) |
13.1 | ポリ乳酸高分子の合成 |
13.2 | 医用材料の作製 |
13.3 | 物理特性 |
13.4 | 加水分解挙動 |
13.5 | 薬物放出挙動 |
13.6 | 最近の基礎研究の動向 |
13.6.1 | 触媒毒性の除去 |
13.6.2 | 加水分解の加速 |
13.6.3 | 非晶化材料の加水分解挙動 |
13.6.4 | 残存結晶領域 |
13.6.5 | ステレオコンプレックス化材料 |
13.6.6 | 表面処理 |
14. | ポリ乳酸の医用材料への応用(岡高茂) |
14.1 | ポリ乳酸を医療用途に用いた場合に求められる性質 |
14.1.1 | 力学的性質と分解性 |
14.1.2 | 安全性 |
14.1.3 | 可滅菌性 |
14.2 | 医療での用途 |
14.3 | 応用のための工夫 |
14.3.1 | 強度があり柔らかい生地(不織布)の作製法 |
14.3.2 | 高強度成形品の作製法 |
14.3.3 | スポンジの作製法 |
14.3.4 | 強度を上げるための複合化 |
14.4 | 応用例 |
14.4.1 | 吸収性縫合糸 |
14.4.2 | 靱帯補強材 |
14.4.3 | 骨接合材 |
14.4.4 | 癒着防止材、GTR用膜材 |
14.4.5 | 人工硬膜 |
14.4.6 | 顎骨再建材 |
14.4.7 | 再生用足場 |
14.4.8 | DDS |
|
第6章 | ポリ乳酸市場の現状と展望(大島一史) |
1. | 市場動向とPLAの位置づけ |
2. | コンポスト化を活かした用途 |
3. | 完全生分解性を活かした用途 |
4. | 各種リサイクル化有効分野 |
5. | 基盤資材としてのPLA−今後の展開と課題 |
5.1 | 期待される用途展開 |
5.2 | 国の基本戦略における期待 |
5.3 | 基盤資材たるための具体的な課題 |
5.4 | 価格低減化の動き |
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<参考資料>各社のポリ乳酸樹脂・ポリ乳酸応用製品紹介 |
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