21世紀を迎えた現在、人類は高度に発達した文明の下で生計を営んでいるが、高度文明を支えている最も基本的なものは材料であり、革新的材料が発見・発明されることにより、人類生活と直結する技術・システムが根底から改善・改良され、文明の飛躍的進歩が果たされてきた。
現在の発達した文明を支えている3大物質は、金属、セラミックス、ポリマーと捉えられている。金属と同様に、セラミックスの構成相である酸化物、フッ化物、硫化物などにおいても、3元系、4元系と成分が多元化された系において、しかもナノスケールで組織制御された非平衡状態にあるセラミックスの基礎的性質はほとんど解明されておらず、この状況は金属材料分野と似ており、このナノ制御セラミックスは将来性豊かな新規材料と位置付けられる。また、3大物質の中で最も新しく開発されたポリマーにおいても基礎・応用の両面で現在極めて活発に研究開発が行われているが、ナノスケールで構造・構成相を制御した複雑系ポリマーに関する理解は充分ではなく、金属やセラミックスと同様な状況にあるものと思われる。
本書のテーマである「ナノコンポジットマテリアル」では、3大物質とみなされている金属、セラミックス、ポリマーを取り上げて、金属−金属、セラミックス−セラミックス、ポリマー−ポリマー、金属−セラミックス、金属−ポリマー、セラミックス−ポリマー、金属−セラミックス−ポリマーのコンポジット化や界面制御下をナノメートルスケールで行い、金属、セラミックス、ポリマーの各単体、およびマイクロメートルより大きなスケールで組み合わせた通常のコンポジット材料では得られない、様々な有用特性を示す新規材料をナノコンポジットマテリアルとして位置付けし、ナノコンポジットマテリアルを構成する主相の種類別、すなわち、金属、セラミックス、ポリマー別に新材料としての構造、組織、新規特性に着目して基礎科学・応用の両方の視点に基づいてまとめたものである。
先に定義した「ナノコンポジットマテリアル」では、3大物質を主構成相とするコンポジット化に限定しても組み合わせの数は無限にあり、また諸物性へのナノスケールのスケーリングの影響・効果の解明も考慮に入れた場合、近い将来においても全容を解明することは不可能に近いと思われる。科学技術が発達した現在においてもナノスケールのコンポジット化によって初めて発現したと考えられる有用な特性の事例は急速に増大してきている。換言すれば、これまでに報告されている限られた研究成果に基づいても、本書で紹介しているように、有用なナノコンポジットマテリアルの創出が果たされていることから、「ナノコンポジットマテリアル」は基礎・応用の両面で材料科学工学の主要分野として21世紀においても発展を続けていくものと確信している。
本書が、材料と関係ある研究者、技術者、学生の関心をひき、金属、セラミックス、ポリマーを基本構成相とする将来性豊かな「ナノコンポジットマテリアル」への興味を沸き起こすきっかけになると共に、人類社会に役立つ材料として使用する際の手引書として活用していただけることを念願しているものである。(本書「序」より)
井上明久
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井上明久 | 東北大学 金属材料研究所 所長・教授 |
宝野和博 | (独)物質・材料研究機構 フェロー |
進藤大輔 | 東北大学 多元物質科学研究所 教授 |
小山敏幸 | (独)物質・材料研究機構 計算材料科学研究センター 主幹研究員 |
木村久道 | 東北大学 金属材料研究所 金属ガラス総合研究センター 助教授 |
長村光造 | 京都大学 大学院 工学研究科 材料工学専攻 教授 |
足立大樹 | 京都大学 大学院 工学研究科 材料工学専攻 助手 |
近藤勝義 | 東京大学 先端科学技術研究センター 特任助教授 |
高木節雄 | 九州大学 大学院 工学研究院 材料工学部門 教授 |
吉見享祐 | 東北大学 大学院 環境科学研究所 助教授 |
牧野彰宏 | 東北大学 金属材料研究所 教授 |
宮ア照宣 | 東北大学 大学院 工学研究科 応用物理学専攻 教授 |
高梨弘毅 | 東北大学 金属材料研究所 磁性材料学研究部門 教授 |
隅山兼治 | 名古屋工業大学 大学院 ながれ領域 物質工学専攻 教授 |
浅見勝彦 | (元)東北大学 金属材料研究所 教授 |
戸叶一正 | (独)物質・材料研究機構 超伝導材料研究センター 特別研究員 |
東健司 | 大阪府立大学 大学院 工学研究科 物質・化学系専攻 マテリアル工学分野 教授 |
土井稔 | 名古屋工業大学 大学院 工学研究科 物質工学専攻 教授 |
吉沢克仁 | 日立金属(株) 先端エレクトロニクス研究所 金属機能ユニット 主管研究員 |
浜野正昭 | (社)未踏科学技術協会 特別研究員 |
船川義正 | JFEスチール(株) スチール研究所 薄板研究部 課長 |
細谷佳弘 | JFEスチール(株) スチール研究所 薄板研究部 理事・部長 |
中津英司 | 日立金属(株) 冶金研究所 研究員 |
鍛冶俊彦 | 住友電工焼結合金(株) 伊丹製造部 アルタフグループ グループ長 |
関野徹 | 大阪大学 産業科学研究所 セラミック構造材料研究分野 助教授 |
幾原雄一 | 東京大学 大学院 工学系研究科 総合研究機構 教授 |
若井史博 | 東京工業大学 応用セラミックス研究所 構造デザイン研究センター 教授 |
香山正憲 | (独)産業技術総合研究所 ユビキタスエネルギー研究部門 ナノ材料科学研究グループ グループ長 |
田中真悟 | (独)産業技術総合研究所 ユビキタスエネルギー研究部門 ナノ材料科学研究グループ 研究員 |
松原秀彰 | (財)ファインセラミックスセンター 材料技術研究所 研究第二部長 |
渡辺友亮 | 東京工業大学 応用セラミックス研究所 特任講師 |
吉村昌弘 | 東京工業大学 応用セラミックス研究所 教授 |
目義雄 | (独)物質・材料研究機構 材料研究所 微粒子プロセスグループ ディレクター |
北條純一 | 九州大学 大学院 工学研究院 応用化学部門 教授 |
後藤孝 | 東北大学 金属材料研究所 複合機能材料学研究部門 教授 |
平尾一之 | 京都大学 大学院 工学研究科 材料化学専攻 教授;NEDO ナノガラス技術プロジェクトリーダー |
山下仁大 | 東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 教授 |
菅原義之 | 早稲田大学 理工学術院 教授 |
鶴見敬章 | 東京工業大学 大学院 理工学研究科 材料工学専攻 教授 |
辰巳砂昌弘 | 大阪府立大学 大学院 工学研究科 応用化学分野 教授 |
林晃敏 | 大阪府立大学 大学院 工学研究科 応用化学分野 助手 |
水崎純一郎 | 東北大学 多元物質科学研究所 融合システム研究部門 教授 |
大瀧倫卓 | 九州大学 大学院 総合理工学研究院 物質科学部門 助教授 |
楠美智子 | (財)ファインセラミックスセンター 材料技術研究所 主席研究員 |
佐藤次雄 | 東北大学 多元物質科学研究所 融合システム研究部門 教授 |
殷シュウ | 東北大学 多元物質科学研究所 融合システム研究部門 助教授 |
西敏夫 | 東京工業大学 大学院 理工学研究科 有機・高分子物質専攻 教授 |
辻井敬亘 | 京都大学 化学研究所 材料機能化学研究系 助教授 |
福田猛 | 京都大学 化学研究所 材料機能化学研究系 教授 |
一ノ瀬泉 | (独)物質・材料研究機構 物質研究所 アソシエートディレクター |
黄建国 | (独)物質・材料研究機構 物質研究所 研究員 |
宮下徳治 | 東北大学 多元物質科学研究所 多元ナノ材料研究センター センター長・教授 |
三ツ石方也 | 東北大学 多元物質科学研究所 有機系基盤システム研究分野 助教授 |
原口和敏 | (財)川村理化学研究所 材料化学研究室 理事・室長 |
中嶋直敏 | 九州大学 大学院 工学研究院 応用化学部門 教授 |
中西八郎 | 東北大学 多元物質科学研究所 所長・教授 |
及川英俊 | 東北大学 多元物質科学研究所 助教授 |
増原陽人 | 東北大学 多元物質科学研究所 助手 |
小野寺恒信 | 東北大学 多元物質科学研究所 准職員 |
笠井均 | 東北大学 多元物質科学研究所 助教授 |
遠藤聡 | (独)科学技術振興機構 CREST研究員 |
栗原和枝 | 東北大学 多元物質科学研究所 多元ナノ材料研究センター 教授 |
柴山充弘 | 東京大学 物性研究所 中性子科学研究施設 教授 |
高原淳 | 九州大学 先導物質化学研究所 分子集積化学部門 教授 |
下嶋敦 | (独)科学技術振興機構 CREST研究員 |
黒田一幸 | 早稲田大学 理工学術院 教授 |
池田裕子 | 京都工芸繊維大学 工芸学部 物質工学科 助手 |
稲垣伸二 | (株)豊田中央研究所 フロンティア研究部門 主席研究員 |
近藤哲男 | 九州大学 バイオアーキテクチャーセンター 教授 |
幾田信生 | 湘南工科大学 工学部 マテリアル工学科 教授 |
佐藤数行 | ダイキン工業(株) 化学事業部 化学品開発部 高機能材チーム 主事 |
大槻主税 | 奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 助教授 |
本間格 | (独)産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 ナノエネルギー材料グループ グループ長 |
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序 | 井上明久 |
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第T編 | 金属系ナノコンポジット編 |
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第1章 | 総論―金属系ナノコンポジット技術の現状と展望―(井上明久) |
1. | 金属系ナノコンポジットの作成方法 |
2. | 液相凝固法による金属系ナノコンポジット材料の作製と特性 |
2.1 | 合金開発指針 |
2.2 | バルク金属ガラスと特性 |
2.3 | ナノコンポジット合金の組織と特性 |
3. | 応用展開と今後の期待 |
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第2章 | 構造と分析・解析技術 |
1. | 構造成分分析(宝野和博) |
1.1 | ナノコンポジット組織 |
1.2 | ナノコンポジット構造解析組成 |
1.3 | 3次元アトムプローブ |
1.4 | 解析例 |
2. | 磁区解析(進藤大輔) |
2.1 | はじめに |
2.2 | ローレンツ顕微鏡法の原理 |
2.2.1 | ディフォーカス法 |
2.2.2 | インフォーカス法 |
2.3 | 電子線ホログラフィーの原理 |
2.4 | ナノコンポジット磁石Nd-Fe-Bの磁区解析例 |
2.5 | おわりに |
3. | 計算予測(Phase-field法を用いたアプローチ)(小山敏幸) |
3.1 | はじめに |
3.2 | ナノグラニュラー組織形成および規則−不規則変態のPhase-fieldモデリング |
3.3 | 組織形態の計算結果を用いた磁気特性の解析 |
3.4 | おわりに |
|
第3章 | ナノコンポジット金属構造用材料 |
1. | アルミニウム合金(井上明久、木村久道) |
1.1 | はじめに |
1.2 | 機械的性質 |
1.2.1 | 引張強度 |
1.2.2 | 耐熱強度 |
1.3 | おわりに |
2. | 準結晶粒子分散アルミニウム合金(木村久道、井上明久) |
2.1 | はじめに |
2.2 | 単ロール液体急冷法 |
2.3 | 粉末冶金法(P/M法) |
2.4 | おわりに |
3. | 高強度アルミニウム合金(長村光造、足立大樹) |
3.1 | 高強度アルミニウム材料の現状 |
3.2 | アルミニウム合金の強化機構 |
3.2.1 | 析出強化 |
3.2.2 | 繊維強化 |
3.2.3 | 微細結晶粒強化 |
3.3 | 超高強度アルミニウム合金の実用化の展望 |
3.4 | おわりに |
4. | 複合アルミニウム合金(近藤勝義) |
4.1 | はじめに |
4.2 | 急冷凝固法によるナノ複合化 |
4.3 | 反応合成法によるナノ複合化 |
5. | ナノ鉄鋼(高木節雄) |
5.1 | 鉄鋼材料におけるナノ結晶化の必要性 |
5.2 | 鉄鋼材料における結晶粒微細化の現状 |
5.3 | ナノ結晶粒の定義とナノ結晶組織の特徴 |
5.4 | 超微細粒鉄の変形挙動 |
6. | ナノポーラス金属間化合物(吉見享祐) |
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第4章 | ナノコンポジット金属機能材料 |
1. | ナノ軟磁性合金(牧野彰宏) |
1.1 | はじめに |
1.2 | ソフト磁性発現のメカニズム |
1.3 | ナノ軟磁性合金の特性 |
2. | ナノ磁気抵抗材料(宮崎照宣) |
2.1 | 磁気抵抗効果の分類 |
2.2 | トンネル磁気抵抗効果 |
2.2.1 | 交換バイアス層を有するスピンバルブタイプ接合 |
2.2.2 | MgOを障壁に用いたトンネル接合 |
2.2.3 | ハーフメタルを用いたトンネル接合 |
2.2.4 | 磁性半導体のトンネル磁気抵抗効果 |
3. | ナノ積層膜(高梨弘毅) |
3.1 | はじめに |
3.2 | ナノ積層膜の作製 |
3.3 | ナノ積層膜の機能性 |
3.3.1 | 巨大磁気抵抗効果/トンネル磁気抵抗効果 |
3.3.2 | 層間交換結合 |
3.3.3 | 垂直磁気異方性 |
3.3.4 | 磁気光学効果 |
3.4 | ナノ積層膜の応用 |
4. | クラスター集合体(隅山兼治) |
4.1 | はじめに |
4.2 | 気相法におけるクラスター形成・集合過程 |
4.3 | クラスター集合体と複合機能化 |
4.4 | おわりに |
5. | ナノ触媒(浅見勝彦) |
5.1 | はじめに |
5.2 | 非晶質パラジウム合金の塩素発生電極触媒 |
5.3 | レーザーおよび電子ビーム処理により作製した非晶質表面合金高活性電極触媒 |
5.4 | 非晶質Ni-Zr合金を前駆体としたCO2のメタン化触媒 |
5.5 | 水素発生用電析ナノ結晶触媒 |
5.6 | その他の研究 |
6. | ナノ組織制御超伝導材料(戸叶一正) |
6.1 | ナノ組織制御と超伝導特性 |
6.2 | Nb-Ti合金のナノ組織制御 |
6.3 | A15型化合物のナノ組織制御 |
6.4 | 二硼化マグネシウムのナノ構造・組織制御 |
6.5 | おわりに |
7. | ナノ組織制御超塑性材料(東健司) |
7.1 | はじめに |
7.2 | ナノ組織制御と超塑性特性 |
7.3 | ナノ材料の工業的応用 |
7.4 | 今後の研究課題 |
8. | ナノスピノーダル組織制御材料(土井稔) |
8.1 | スピノーダル組織と自由エネルギー |
8.2 | スピノーダル組織と強い材料 |
9. | ナノ結晶分散バルク金属ガラス(井上明久) |
9.1 | バルク金属ガラス単相材 |
9.1.1 | はじめに |
9.1.2 | アモルファス型合金の開発と問題点 |
9.1.3 | 過冷却液体の安定化とバルク金属ガラスの創製 |
9.1.4 | バルク金属ガラスの合金系 |
9.1.5 | バルク金属ガラスの3成分則と安定化機構 |
9.1.6 | 金属ガラスの構造の特徴とアモルファス型合金との差異 |
9.1.7 | バルク金属ガラスの特性 |
9.1.8 | バルク金属ガラスの特異な精密成形加工性 |
9.2 | ナノスケールな結晶および準結晶粒子分散型バルク金属ガラスの生成と性質 |
9.2.1 | 開発指針と作製 |
9.2.2 | 特性 |
9.2.3 | デンドライト分散バルク金属ガラス |
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第5章 | ナノコンポジット金属の応用 |
1. | 軟磁性材料(吉沢克仁) |
1.1 | はじめに |
1.2 | 磁気特性と特長 |
1.3 | 応用例 |
1.4 | おわりに |
2. | ハード磁性材料(浜野正昭) |
2.1 | ナノコンポジット磁石の概念と特徴 |
2.2 | ナノコンポジット磁石の種類と磁気特性 |
2.3 | ナノコンポジット磁石の応用と将来展望 |
3. | 鉄鋼材料―ナノ析出物と鋼とをコンポジットした高強度鋼板で自動車部品を高性能化―(船川義正、細谷佳弘) |
3.1 | 自動車用高強度鋼板の歴史とナノハイテンの設計思想 |
3.2 | ナノハイテンのプレス成形性と部品形状での衝突吸収エネルギー |
3.3 | ナノハイテンのナノテクノロジー |
3.4 | 今後の展望 |
4. | 工具鋼(中津英司) |
4.1 | はじめに |
4.2 | ナノ組織制御された微細粒工具鋼 |
4.3 | おわりに |
5. | アルミニウム(鍛冶俊彦) |
5.1 | はじめに |
5.2 | 合金開発指針 |
5.3 | 開発合金の特性 |
5.4 | おわりに |
|
第U編 | セラミックス系ナノコンポジット編 |
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第1章 | 総論―セラミックス系ナノコンポジット技術の現状と展望―(関野徹) |
1. | はじめに |
2. | 力学的な機能改善および機能付与:粒子分散型ナノコンポジット |
3. | 機能性セラミックス基ナノコンポジット |
4. | 粒界構造制御型ナノコンポジット |
5. | セラミックス基ナノコンポジットの将来 |
|
第2章 | 構造解析と評価 |
1. | ナノ微細構造観察(幾原雄一) |
1.1 | はじめに |
1.2 | 高分解能電子顕微鏡法 |
1.3 | 局所状態・組成分析 |
1.4 | おわりに |
2. | ナノ超塑性(若井史博) |
2.1 | はじめに |
2.2 | 超塑性機構と構成方程式 |
2.3 | 超塑性変形の促進 |
2.4 | 超塑性成形 |
3. | ナノ界面設計(香山正憲、田中真悟) |
3.1 | ナノレベルの力学物性と第一原理計算 |
3.2 | SiC粒界の引っ張り強度と破壊 |
3.3 | アルミナ/銅界面の引っ張り強度と破壊 |
3.4 | ナノ界面メカニックスの構築に向けて |
4. | ナノ粒界成長計算(松原秀彰) |
4.1 | はじめに |
4.2 | 分子動力学法による粒界・界面シミュレーション |
4.3 | モンテカルロ法による焼結と粒成長のシミュレーション |
4.4 | おわりに |
|
第3章 | ナノコンポジットセラミックの製造プロセス |
1. | ナノ粒子ソフトプロセス(渡辺友亮、吉村昌弘) |
1.1 | はじめに |
1.2 | セラミックスナノコンポジット粒子の溶液からの直接作製 |
1.3 | おわりに |
2. | ナノ粒子コロイドプロセス(目義雄) |
2.1 | はじめに |
2.2 | 合成したゾルからのナノ構造体作製 |
2.3 | 市販の微粒子からのナノ構造体の作製 |
2.4 | ナノ粒子の作製とナノコンポジットの作製 |
2.5 | ヘテロ凝集を利用した多孔質体の作製 |
2.6 | 電気泳動法(EPD)を利用した高次構造制御体の作製 |
2.7 | おわりに |
3. | ナノ粒子気相プロセス(北條純一) |
3.1 | 気相からのナノ粒子合成 |
3.2 | ナノ複合粒子の合成 |
3.3 | Si3N4系、SiC系の複合粒子 |
3.4 | 複合粒子からのナノコンポジット生成 |
4. | ナノ膜気相プロセス(後藤孝) |
4.1 | はじめに |
4.2 | シャッター制御によるPVDナノ膜の構造 |
4.3 | 共析出によるCVDナノ膜の製造 |
4.4 | 過飽和度制御によるナノポア分散PVD・CVDナノ膜 |
4.5 | おわりに |
5. | ナノ固相コンポジット合成(関野徹) |
5.1 | はじめに |
5.2 | 粉末冶金的プロセス |
5.3 | その場(in-situ)ナノ組織形成プロセス |
5.4 | おわりに |
|
第4章 | ナノコンポジットセラミックの機能 |
1. | ナノ構造制御・ナノ加工技術による新機能ガラスの開発(平尾一之) |
1.1 | はじめに |
1.2 | 光通信用デバイス〜三次元光回路 |
1.2.1 | 光導波路 |
1.2.2 | 回折格子 |
1.3 | 光通信用記録技術〜光メモリディスク・ヘッド |
1.3.1 | 光メモリディスク |
1.3.2 | 光メモリヘッド |
1.4 | 表示技術〜ディスプレイ |
2. | ナノ生体機能構造(山下仁大) |
2.1 | はじめに |
2.2 | ジルコニア系セラミックナノコンポジット |
2.3 | アパタイト系セラミックナノコンポジット |
2.4 | アパタイト−ポリマーナノコンポジット |
3. | 無機−有機ナノコンポジット合成における分子設計(菅原義之) |
3.1 | セラミックス系無機−有機ナノコンポジット |
3.2 | ゾル−ゲル法について |
3.3 | ゾル−ゲル法によるセラミックスを主成分としたナノコンポジットの合成 |
4. | ナノ誘電・圧電機能(鶴見敬章) |
4.1 | はじめに |
4.2 | ナノ構造の制御と誘電機能 |
4.3 | ナノドメインおよびナノコンポジットと圧電機能 |
5. | ナノイオン伝導(辰巳砂昌弘、林晃敏) |
5.1 | はじめに |
5.2 | 銀イオン伝導体 |
5.3 | リチウムイオン伝導体 |
5.4 | ナノ固体界面の利用 |
5.5 | おわりに |
|
第5章 | ナノコンポジットセラミックの応用 |
1. | ナノ燃料電池(水崎純一郎) |
1.1 | 燃料電池とナノ制御 |
1.2 | SOFCの技術課題とナノ領域制御への期待 |
1.3 | ナノ制御によるSOFC高機能化の可能性 |
2. | ナノ熱電材料(大瀧倫卓) |
2.1 | 熱電材料とは |
2.2 | ナノ熱電材料 |
2.3 | 代表的なナノ熱電材料の報告例 |
3. | カーボンナノチューブ(楠美智子) |
3.1 | はじめに |
3.2 | SiC表面分解法による高配向カーボンナノチューブ膜 |
3.2.1 | SiC表面分解法とは |
3.2.2 | CNT生成のSiC結晶表面方位依存性 |
3.2.3 | ナノキャップの形成とCNT直径の制御 |
3.3 | カーボンナノチューブの機械的特性 |
3.4 | セラミックス/CNT複合材料 |
3.5 | おわりに |
4. | ナノ光機能(佐藤次雄、殷シュウ) |
4.1 | はじめに |
4.2 | 層間ナノコンポジット光触媒 |
4.3 | ナノコンポジット紫外線遮蔽剤 |
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第V編 | ポリマー系ナノコンポジット編 |
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第1章 | 総論−ポリマー系ナノコンポジット技術の現状と展望―(西敏夫) |
1. | はじめに |
2. | ポリマー系ナノコンポジットへの要求 |
3. | ポリマー系ナノコンポジットの構造制御と材料評価 |
4. | おわりに |
|
第2章 | コンポジット合成・調整 |
1. | 無機界面からのグラフト重合(辻井敬亘、福田猛) |
1.1 | はじめに |
1.2 | 表面開始グラフト重合 |
1.3 | 表面開始リビングラジカル重合(LRP) |
1.4 | その他のリビング重合 |
1.5 | おわりに |
2. | 自己組織化によるハイブッリド化(一ノ瀬泉、黄建国) |
2.1 | はじめに |
2.2 | 交互吸着法 |
2.3 | 表面ゾルゲル法 |
2.4 | 天然繊維のナノコーティング |
|
第3章 | ハイブリッド系への展開 |
1. | 高分子ナノシートと粒子系ハイブリッド(宮下徳治、三ツ石方也) |
1.1 | はじめに |
1.2 | Langmuir-Blodgett(LB)法による高分子超薄膜―高分子ナノシート― |
1.3 | 高分子ナノシートと金属ナノ粒子によるナノコンポジット集積体の自在構築 |
1.4 | おわりに |
2. | ハイブリッドゲル(原口和敏) |
2.1 | はじめに |
2.2 | 有機/無機ネットワークを有するNCゲルの合成 |
2.3 | NCゲルの力学物性 |
2.4 | NCゲルの膨潤/収縮特性 |
3. | カーボンナノチューブ系ハイブリッド(中嶋直敏) |
3.1 | はじめに |
3.2 | 化学修飾によるカーボンナノチューブ系ハイブリッドマテリアル |
3.3 | カーボンナノチューブサイドウオールへの物理吸着による可溶化(あるいはコロイド分散) |
3.4 | DNA/カーボンナノチューブ系コンポジット |
3.5 | 合成高分子とのコンポジット |
3.6 | おわりに |
4. | 有機ナノ結晶系ハイブリッド(中西八郎、及川英俊、増原陽人、小野寺恒信、笠井均) |
4.1 | はじめに |
4.2 | 銀(コア)−PDA(シェル)型ハイブリッドナノ結晶 |
4.3 | PDA(コア)−銀(シェル)型ハイブリッドナノ結晶 |
4.4 | 金属(コア)−J-会合体色素(シェル)型ハイブリッドナノ複合体 |
4.5 | フラーレン(コア)−金属(シェル)型ハイブリッドナノ複合体 |
4.6 | おわりに |
|
第4章 | 構造物性解析 |
1. | 界面・表面解析(遠藤聡、栗原和枝) |
1.1 | はじめに |
1.2 | 金に修飾したチオール誘導体の単分子膜とたんぱく質の相互作用 |
1.3 | 単分子膜の分子認識 |
1.4 | 固体表面の高分子吸着層 |
1.5 | おわりに |
2. | 中性子散乱(柴山充弘) |
2.1 | はじめに |
2.2 | 小角中性子散乱(SANS)の特徴 |
2.3 | 中性子散乱施設・装置 |
2.4 | 中性子散乱理論 |
2.5 | ナノコンポジットの解析に用いるおもな散乱関数 |
2.6 | 中性子散乱によるナノコンポジット研究例 |
2.7 | おわりに |
|
第5章 | 構造材料への応用展開 |
1. | 総論(高原淳) |
2. | ケイ素系ハイブリッド(下嶋敦、黒田一幸) |
2.1 | はじめに |
2.2 | 両親媒性オルガノシランの利用 |
2.3 | 有機架橋型ハイブリッド |
2.4 | おわりに |
3. | ナノフィラーコンポジットゴム(池田裕子) |
3.1 | はじめに |
3.2 | ナノフィラーコンポジットゴムの三次元モルフォロジー解析 |
3.3 | 天然ゴム系ナノコンポジットの伸長結晶化 |
3.4 | おわりに |
4. | 有機・無機メソ多孔体(稲垣伸二) |
4.1 | はじめに |
4.2 | メソポーラス有機シリカ |
4.3 | 結晶状メソポーラス有機シリカ |
4.4 | おわりに |
5. | 無機ナノファイバーと高分子のコンポジット(高原淳) |
5.1 | イモゴライトとは |
5.2 | (イモゴライト/高分子)複合系 |
5.3 | イモゴライトのその場合成によるナノコンポジット化 |
6. | セルロース系ナノコンポジット(近藤哲男) |
6.1 | セルロースとは |
6.2 | セルロース系ポリマーブレンド |
6.3 | セルロース系ナノコンポジット |
6.3.1 | メカノケミカル処理によるセルロース繊維の微粒子化とその複合化 |
6.3.2 | 高強度複合材料、透明繊維強化材料 |
6.4 | おわりに |
7. | ポリアミド系ナノコンポジット(幾田信生) |
7.1 | ポリアミドの概要 |
7.2 | 強化ポリアミド |
7.3 | ポリマーアロイと分子複合材料 |
7.4 | クレイ・ナノコンポジット |
7.5 | ナノファイバー |
8. | フッ素系ナノコンポジットゲル薄膜による表面改質(佐藤数行) |
8.1 | はじめに |
8.2 | フッ素系ナノコンポジットゲル薄膜によるナイロン繊維用改質剤への適用 |
8.3 | 感光性はっ液ゲル薄膜 |
8.4 | ミクロ相分離を活用した超はっ水性ゲル薄膜 |
8.5 | まとめと展望 |
|
第6章 | 医用材料・エネルギー関連材料への応用展開 |
1. | 医用材料(大槻主税) |
1.1 | はじめに |
1.2 | 生体活性セラミックスが骨と結合する機構 |
1.3 | カルシウムイオンとシラノール基を用いた生体活性有機−無機ハイブリッド |
2. | 有機無機ナノコンポジットの燃料電池電解質膜への応用(本間格) |
2.1 | はじめに |
2.2 | 耐熱性有機無機ハイブリッド型高分子電解質膜 |
2.2.1 | 有機無機ハイブリッド材料の設計 |
2.2.2 | 電解質膜の合成と物性評価 |
2.3 | おわりに |