電子ディスプレイと紙の長所を併せもつ電子ペーパーディスプレイの実用化が見えてきた。本書では各社のハード・ソフト・周辺技術・マンマシンインタフェイスなどの最新技術の紹介と今後の市場展望を解説する。
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尾鍋史彦 | 東京大学名誉教授/社団法人日本印刷学会 会長/日本・紙アカデミー 会長 |
三嶋良武 | (株)三菱総合研究所 情報環境研究本部本部長 |
澤部直太 | (株)三菱総合研究所 情報技術研究部主任研究員 |
長谷川雅樹 | 日本アイ・ビー・エム(株) 東京基礎研究所主任研究部員 |
三田恒正 | 富士ゼロックス(株) 研究本部先端デバイス研究所統括マネージャー |
藤掛英夫 | 日本放送協会 放送技術研究所(材料基盤技術)主任研究員 |
Alain Boissier | President of Nemoptic |
高畠満夫 | (元)旭硝子(株) 電子応用研究所部長(翻訳) |
柳澤匡浩 | (財)化学技術戦略推進機構 研究開発事業部「リライタブルペーパー」プロジェクト岡山集中研究室研究員 |
吉澤秀和 | 岡山大学 環境理工学部環境物質工学科教授 |
田沼逸夫 | (株)ブリヂストン 研究開発本部電子システム開発部長 |
増田善友 | (株)ブリヂストン 研究開発本部開発第1部電子システム開発ユニットリーダー |
櫻井良 | (株)ブリヂストン 研究開発本部開発第1部主任研究員 |
佐野健二 | (株)東芝 研究開発センター環境技術ラボラトリー研究主幹 |
高山暁 | (株)東芝 研究開発センター環境技術ラボラトリー主任研究員 |
筒井恭治 | (株)リコー 研究開発本部中央研究所部長研究員 |
堀田吉彦 | (株)リコー サーマルメディアカンパニー課長 |
眞島修 | (有)マジマ研究所 代表 |
立間徹 | 東京大学 生産技術研究所助教授 |
小林範久 | 千葉大学 工学部情報画像工学科教授 |
大森裕 | 大阪大学 先端科学イノベーションセンター教授 |
中西洋一郎 | 静岡大学 電子工学研究所教授 |
高橋泰樹 | 工学院大学 工学部電子工学科講師 |
Rob Hayes | Philips Research Laboratories |
Johan Feenstra | Philips Research Laboratories |
Ivo Camps | Philips Research Laboratories |
小林範久 | 千葉大学 工学部情報画像工学科教授(翻訳) |
斎藤英雄 | 慶應義塾大学 理工学部情報工学科助教授 |
面谷信 | 東海大学 工学部応用理学科光工学専攻教授 |
小清水実 | 富士ゼロックス(株) 研究本部先端デバイス研究所 |
岩崎常人 | 産業医科大学 眼科学教室講師 |
本多薫 | 山形大学 人文学部助教授 |
石本明生 | (社)人間生活工学研究センター ユーザビリティサポート部部長 |
井上陽司 | 日本放送協会 放送技術研究所主任研究員 |
時任静士 | 日本放送協会 放送技術研究所主任研究員 |
神谷利夫 | 東京工業大学 応用セラミックス研究所助教授 |
野村研二 | (独)科学技術振興機構 ERATO−SORST研究員 |
細野秀雄 | 東京工業大学 フロンティア創造共同研究センター教授 |
鵜飼育弘 | ソニー(株) マイクロシステムズネットワークカンパニーモバイルディスプレイカンパニー担当部長 |
中村慶久 | 東北大学 電気通信研究所次世代情報ストレージ寄附研究部門客員教授/名誉教授 |
上岡玲子 | 東京大学 先端科学技術研究センター廣瀬・広田研究室客員研究員 |
竹内崇 | 日立マクセル(株) コンポーネンツ事業グループモバイルデバイス事業部長/理事 |
守屋潔 | (株)ワコム マーケティング部ジェネラルマネージャー |
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序文 | 電子ペーパー実用化最前線 |
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1 | なぜ紙は普遍的な材料になりえたのか |
1. | はじめに |
2. | 紙から見た電子ペーパーの発展段階 |
3. | ペーパーミメティックスの重要性 |
4. | 書写材料の歴史から見た紙の普遍化の過程 |
5. | 紙の大量生産の実現と近代市民社会の誕生 |
6. | 紙に文字を定着・安定化させることの社会的な意味 |
7. | 紙メディアの解析のための理論 |
| メディア理論 |
| 記号論 |
| メディオロジー |
| 認知科学 |
| 発達心理学 |
| 心理物理学 |
| 文化遺伝子理論 |
8. | 紙メディアの集合体としての書物が持つ意味 |
9. | 紙メディアと書物の将来 |
10. | 電子ペーパーは紙メディアの普遍性を発揮できるのか |
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2 | 紙と電子媒体 |
1. | 電子ペーパーへの道のり |
2. | 究極の電子ペーパーとは |
3. | 情報生産量は増加の一途 |
4. | 紙とデジタル情報の棲み分け |
5. | 電子ペーパーに近付く携帯機器 |
| 電子ブックリーダー |
| 携帯電話 |
| PDA |
| タブレット型パソコン |
| 携帯ゲーム機 |
6. | 紙を超える電子ペーパーの機能部分 |
7. | 電子ペーパーの応用分野 |
| 教育分野 |
| 高齢者対策 |
| オフィス環境 |
8. | 電子ペーパーの将来 |
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第1編 | 電子ペーパーの表示方式 |
1 | 液晶 |
1.1 | コレステリック液晶 |
1. | コレステリック液晶とは |
2. | 表示原理 |
3. | 開発の現状 |
1.2 | 光書き込み型E─Paper─紙と電子の融合を目指して─ |
1. | はじめに |
2. | 光書き込み型E─Paperの概要 |
| 基本原理 |
| カラー表示への取り組み |
3. | まとめ |
1.3 | 強誘電性液晶 |
1. | フレキシブル動画ディスプレイへの期待 |
2. | フレキシブル化の技術課題 |
3. | 素子の構成と動作原理 |
4. | 印刷技術を活用した作製方法 |
5. | 表示特性と湾曲性 |
6. | 今後に向けて |
1.4 | Bistable LC for digital paper applications |
1. | Bistable LCD technologies |
2. | Why “standard LC” technologies do need permanent power supply? |
3. | Bistable Ferroelectric LCDs |
4. | Bistable Cholesteric LCDs |
| Two stable states |
| Switching between the two stable textures |
| Gray levels |
| Color |
5. | Bistable nematic LCDs |
| Bistability |
| Switching by anchoring breaking |
| Optical properties |
| Gray level capabilities |
| Color displays |
1.4 | (訳)双安定LCの電子ペーパーへの応用 |
1. | 双安定LCD技術 |
2. | 「標準LC」技術はなぜ電力供給を継続する必要がないか |
3. | 双安定強誘電体LCD |
4. | 双安定コレステリックLCD |
| 2つの安定状態 |
| 2つの安定テクスチャ間のスイッチング |
| グレーレベル |
| 色 |
5. | 双安定のネマチックLCD |
| 双安定性 |
| アンカリングの破壊によるスイッチング |
| 光学特性 |
| グレーレベルの性能 |
| カラーディスプレイ |
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2 | マイクロカプセル型(電気泳動) |
1. | はじめに |
2. | カプセル化 |
| シート化 |
| 表示デバイス化 |
3. | 研究開発の動向 |
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3 | トナー |
3.1 | 電子粉流体ムを用いた新しいディスプレイ「QR─LPD」の最新技術 |
1. | はじめに |
2. | 構造と表示の仕組み |
3. | 基本特性の特徴 |
| ペーパーライク表示と広視野角 |
| バイステイブル性 |
| 高応答速度 |
4. | ディスプレイ樹脂化 |
| リブ形状の検討 |
| 背面基板の検討 |
| 樹脂ディスプレイの作成 |
| 樹脂ディスプレイの評価 |
5. | 結論と今後の展望 |
3.2 | 消去可能インク・トナー |
1. | はじめに |
2. | 消去可能トナー「e−blueTM」の工業化 |
3. | e−blueTMの特長と使用方法 |
4. | 環境影響評価 |
5. | 電子ペーパーとしての評価 |
6. | 社外評価とこれまでの受賞など |
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4 | リライタブル |
4.1 | ロイコ染料可逆発色型 |
1. | はじめに |
2. | ロイコ染料の可逆発色 |
| ロイコ色素/顕色剤/有極性化合物系 |
| ロイコ色素/顕色剤/可逆剤 |
| ロイコ色素/両性顕減色剤系 |
| ロイコ染料/長鎖型顕色剤系 |
3. | ロイコ染料/長鎖型顕色剤系の発色型リライタブル記録媒体 |
| 発色・消色の原理 |
| 実用的な材料の設計 |
| リライタブル記録媒体の性能とプリントシステム |
4.2 | 透明白濁型 |
1. | はじめに |
2. | 記録材料 |
3. | 記録プロセス |
| 消去手段 |
| オーバーライト方式 |
4. | まとめ |
4.3 | 磁性粉体移動─リサイクル・カラー化可能な超薄型磁気感熱式電子ペーパー「サーモマグ」─ |
1. | はじめに |
2. | 微粒子泳動型ディスプレイ |
| 電気泳動型 |
| 磁気泳動型 |
3. | 磁気感熱式電子ペーパー「サーモマグ」 |
4. | 電子ペーパー「サーモマグ」の応用 |
5. | おわりに |
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5 | クロミズム |
5.1 | フォトクロミズム |
1. | フォトクロミズムとフォトクロミック材料 |
2. | フォトクロミック材料のリライタブルペーパーへの応用 |
3. | フォトクロミズムとその機構 |
4. | マルチカラーフォトクロミズム |
5. | 無機系マルチカラーフォトクロミック材料 |
6. | 有機系マルチカラーフォトクロミック材料 |
7. | おわりに |
5.2 | エレクトロクロミック方式 |
1. | はじめに |
2. | 有機EC材料 |
3. | 電解析出 |
4. | 電解質材料 |
5. | おわりに |
|
6 | その他の方式 |
6.1 | 有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode) |
1. | 有機ELの特徴 |
2. | 有機ELディスプレイ材料の特徴 |
3. | 電子ペーパーとしての有機EL |
4. | 今後の展開 |
6.2 | 電界放射型ディスプレイ |
1. | はじめに |
2. | 電界放射型ディスプレイ |
3. | FED用電子源 |
4. | FED用蛍光体 |
5. | FEDの今後の展望 |
6.3 | 異方性流体を用いた微粒子ディスプレイ(MFPD) |
1. | はじめに |
2. | MFPD(Mobile Fine Particle Display)セル |
| MFPDの基本構造および表示原理 |
| MFPDセル中の異方性流体(液晶)および微粒子の移動 |
| 電極パターンに対する微粒子挙動 |
3. | まとめ |
6.4 | A video─speed reflective display based on electrowetting:principle and properties |
1. | Introduction |
2. | Principle |
3. | Fabrication |
4. | Electro─optic properties |
| Reflectivity and contrast |
| Temporal response |
5. | Controlling Oil Motion |
6. | Active Matrix Addressing |
7. | Conclusions |
6.4 | (訳)エレクトロウェッティング方式を用いたビデオスピード対応反射型ディスプレイ─原理と特徴─ |
1. | はじめに |
2. | エレクトロウェッティング方式の原理 |
3. | エレクトロウェッティング方式テストセルの作成 |
4. | エレクトロウェッティングセルの電気光学特性 |
| 反射率ならびにコントラスト |
| 応答性 |
5. | オイル移動の任意制御 |
6. | アクティブマトリックス方式 |
7. | おわりに |
6.5 | バーチャルブック方式 |
1. | はじめに |
2. | HMDを利用した方式 |
3. | プロジェクタを利用した方式 |
|
第2編 | 電子ペーパーの品質と評価に向けて |
1 | 電子ペーパーが目指す方向性と求められる条件 |
1. | はじめに |
2. | 電子ペーパーに対する期待の背景 |
3. | 電子ペーパーに対する期待の多様性 |
| 読みやすさへの期待 |
| コンパクトさへの期待 |
| 多機能性への期待 |
| 省資源への期待 |
4. | 電子ペーパーの達成目標と実現形態 |
| 達成目標 |
| 電子ペーパーの実現形態 |
5. | 電子ペーパーのヒューマンインターフェース条件 |
6. | 電子ペーパーの用途 |
7. | おわりに |
|
2 | 人間工学からみる電子機器の評価 |
2.1 | 電子ペーパーのヒューマンインターフェース |
1. | はじめに |
2. | 各種表示媒体を用いた文書の読みやすさに関する比較実験 |
| 評価タスク |
| 実験に用いた表示媒体 |
| 評価の進め方・被験者 |
| 評価結果 |
3. | 電子ペーパー媒体の形態受容度の評価実験 |
| 評価タスク |
| モックアップ表示媒体 |
| 評価の進め方・被験者 |
| 評価結果 |
4. | 実験結果のまとめ |
5. | おわりに |
2.2 | 視覚負荷とディスプレイ |
1. | はじめに |
2. | 眼の疲れ(眼疲労)と眼精疲労 |
| 眼精疲労の定義 |
| 生理的疲労と病的疲労 |
3. | 眼精疲労の原因 |
| 視器要因─眼の能力(視機能)が原因する場合─ |
| 環境要因─眼の使用に影響する原因─ |
| 心理的要因 |
4. | まとめ |
2.3 | 画面構成とページ移動の理想的な快適性とは |
1. | はじめに |
2. | 画面構成 |
| 素早い情報の検索(強調) |
| 視認性が確保され(簡潔性) |
| 内容の理解(一貫性) |
3. | 情報の提示位置 |
| 実験の内容 |
| 実験結果および考察 |
| まとめ |
4. | 長文提示におけるページ移動 |
| 実験内容 |
| 心拍データの処理 |
| 実験結果および考察 |
| まとめ |
5. | おわりに |
2.4 | 初心者および高齢者における(簡易操作のために)電子機器開発 |
1. | はじめに |
2. | 操作キーの間隔 |
| 現状と問題点 |
| 計測目的 |
| 計測内容 |
| 計測装置 |
| 実験方法と計測手順 |
| 実験および解析結果 |
3. | 透過型液晶画面上の表示文字の大きさ |
| 表示文字に関する問題点 |
| 計測の目的 |
| 計測内容 |
| 計測装置仕様 |
| 実験および解析結果 |
4. | タッチパネル入力 |
| 現状と問題点 |
| 計測目的 |
| 計測内容 |
| 計測装置仕様 |
| 実験および解析結果 |
5. | 記憶力 |
| 現状と問題点 |
| 計測の目的 |
| 計測の内容 |
| 実験の結果 |
6. | おわりに |
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第3編 | 支援技術 |
1 | 関連基盤技術 |
1.1 | 有機TFT(薄膜トランジスタ) |
1. | はじめに |
2. | 有機TFTの現状と課題 |
| 有機TFTの構造と電気特性 |
| 有機TFT材料 |
3. | 有機TFTの性能改善 |
| チャネル長の微細化 |
| ゲート絶縁膜の改善 |
4. | ディスプレイ駆動への応用 |
| アクティブ駆動回路 |
| TFTに要求される性能 |
5. | アクティブ駆動有機ELパネルの試作 |
6. | おわりに |
1.2 | 透明酸化物半導体を使った高性能な薄膜トランジスタ |
1. | フレキシブルディスプレイの課題:半導体材料の問題 |
2. | 新しい半導体材料:透明酸化物半導体(TOS) |
3. | 新しいTOS材料の開発:要求される特性 |
4. | 酸化物半導体の利点と電子構造の特徴 |
5. | 薄膜形成と膜構造 |
6. | キャリア輸送特性と電子構造 |
7. | 高品質単結晶膜を用いた高性能透明トランジスタ |
8. | アモルファス酸化物半導体を用いたフレキシブルトランジスタの室温形成 |
9. | おわりに |
1.3 | 低温ポリシリコン薄膜トランジスタ(Low Temperature poly─Silicon Thin Film Transistor:LTPS─TFT) |
1. | はじめに |
2. | LTPS─TFT、LTPS TFT─LCD |
| 開発経緯 |
| TFT─LCDの表示モード |
| フレキシブル基板を用いたLTPS TFT─LCD |
| システム・オン・パネル技術 |
| 二色性色素添加高分子分散型液晶 |
| 展望 |
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2 | 記録技術 |
2.1 | 超小型ハードディスクがもたらすユビキタス社会 |
1. | はじめに |
2. | ストレージ・デバイス |
3. | 垂直磁化方式 |
4. | テラビット・ストレージ |
5. | ユビキタス・ストレージ・システム |
6. | むすび |
2.2 | 「思い出記録装置」の開発 |
1. | はじめに |
2. | 体験記録のための5つの要素 |
| Emotion |
| Location |
| Vision |
| Audio |
| Ambience |
3. | 体験記録のためのウェアラブルコンピュータの提案 |
| 5要素統合型ウェアラブルコンピュータ |
| 空間要素統合型ウェアラブルコンピュータ |
4. | ケーススタディ |
| 概要 |
| 5要素統合型システムケーススタディ |
| 空間要素統合型ケーススタディ |
5. | おわりに |
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3 | 伝達技術 |
3.1 | Anoto方式電子ペンシステム |
1. | はじめに |
2. | 電子ペンシステムの技術 |
| 電子ペーパー |
| 電子ペン |
| PLS |
| ASHおよびアプリケーション |
| インターフェースおよび通信 |
3. | システムモデルと応用例 |
| ローカルモデル |
| エンタプライズモデル |
| グローバルモデル |
4. | おわりに |
5. | 付録:「Anoto符号空間」 |
3.2 | 液晶ペンタブレットの開発 |
1. | 書ける電子ペーパーの開発 |
2. | ワコム方式のタブレットの特長 |
| 画面品質を劣化させない |
| 高耐久性 |
| 精度 |
| ホバーリングが可能 |
| 手で触れても誤動作しない |
| 多機能な電子ペン |
3. | タブレットの動作原理 |
| 構造 |
| 位置検出の仕組み |
| 電子ペンの種類 |
4. | 液晶ペンタブレットの用途 |
| グラフィックデザイン |
| 電子カルテなど医療用として |
| 学校におけるPC教育用として |
| プロジェクタと組み合わせたプレゼンテーション用途 |
| マウスよりも早いポインティング用途として |
| 究極のモバイルPC「タブレットPC」 |
5. | 書ける電子ペーパーの実現に向けて |