健康ブームを背景に、特定保健用食品表示(トクホ)を許可された食品が市場に多く出回るようになった。プロバイオティクス効果を期待できる微生物の株名を表示した商品も例外ではない。最近の乳酸菌科学の発展はめざましく、従来の整腸作用のほか、アレルギー予防、発ガン予防、炎症性腸疾患治療、感染症予防、血圧抑制、コレステロール代謝の改善など多くの働きが明らかになってきた。しかし、どのようなメカニズム、どの成分で保健効果を示すのか多くの疑問も残されている。本書では、プロバイオティクス、バイオジェニクスの有効性のメカニズムを物質レベル、遺伝子レベルで解明し、新たな展開・開発を行なうための参考書となっている。
本書籍のタイトルにある「プロバイオティクスとバイオジェニクス」は乳酸産生菌や芽胞菌などの生菌剤とヨーグルトに代表される乳酸菌発酵産物を含めた機能性食品を意図したものである。しばしば腸内フローラに関する質問を受けるときに、「腸内環境を改善する機能性食品としてプロバイオティクス、プレバイオティクス、バイオジェニックスとあるが、ヨーグルトはどのカテゴリーに属するものか」と聞かれることがある。ヨーグルトはいずれの要素も含まれると考えるのが妥当で、単に生菌ばかりでなく代謝産物による有効な作用も重要な要素である。すでに加熱殺菌したヨーグルトにも保健効果がみられることは1907年、メチニコフの著書『The Prolongation of Life−Optimistic Studies』の中に記載されている。
最近の乳酸菌科学の発展はめざましく、従来の整腸作用のほか、医学領域ではアレルギー予防、発ガン予防、IBD(炎症性腸疾患)治療、感染症の予防、血圧抑制、コレステロール代^n謝の改善など多くの働きが明らかになり、従来の腸内フローラの改善を介しての保健効果ばかりでなく、プロバイオティクス、バイオジェニックスの生体への直接作用と考えられる成績も多くみられる。また、バイオプリベンションとして乳酸菌の作り出すバクテリオシンが食品保存に用いられ、乳酸菌の発酵産物が化粧品としても多く使われている。さらに乳酸菌をワクチンとして利用する試みも行なわれている。このような状況の中、乳酸菌ばかりでなく各種菌種の新しい菌株探しや遺伝子改変微生物の作製などさらに新しい展開をみせている。
しかし、プロバイオティクスがどのようなメカニズムで保健効果を示すのか、菌株による違いは何か、乳酸菌発酵産物はどのような成分がどのように作用するかなど多くの疑問が残されたままである。今後はプロバイオティクス、バイオジェニックスの有効性のメカニズムを物質レベル、遺伝子レベルで解明することが、新たなステップに進むためには必要不可欠なものと考える。
本書籍は今後のプロバイオティクス、バイオジェニクスの新たな展開・開発を行なうための参考書となることを目的に企画された。
編著代表 伊藤喜久治
| |
伊藤喜久治 | 東京大学大学院農学生命科学研究科獣医公衆衛生学研究室助教授 |
野俊明 | カルピス(株)基礎研究フロンティアラボラトリー長 |
藤原茂 | カルピス(株)基盤技術研究所グループリーダー |
須藤信行 | 九州大学大学院医学研究院心身医学助教授 |
花田信弘 | 国立保健医療科学院口腔保健部部長 |
八村敏志 | 東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻助教授 |
大草敏史 | 順天堂大学医学部消化器内科講師 |
佐藤信紘 | 順天堂大学医学部消化器内科教授 |
福土審 | 東北大学大学院医学系研究科行動医学教授 |
野本康二 | (株)ヤクルト本社中央研究所基礎研究II部臨床微生物研究室 |
平山和宏 | 東京大学大学院農学生命科学研究科獣医公衆衛生学教室助手 |
小倉嘉夫 | 鳥取大学医学部病態解析医学講座統合分子医化学分野助手 |
内田清久 | 鳥取大学非常勤講師 |
秦葭哉 | 常磐大学大学院人間科学研究科客員教授 |
牛田一成 | 京都府立大学大学院農学研究科生物機能学専攻教授 |
中井裕 | 東北大学大学院農学研究科資源動物群制御科学分野教授 |
藤英博 | 北里大学北里生命科学研究所研究員 |
服部正平 | 北里大学北里生命科学研究所教授 |
森田英利 | 麻布大学獣医学部動物応用科学科助教授 |
政岡俊夫 | 麻布大学獣医学部教授 |
鈴木徹 | 岐阜大学生命科学総合研究支援センターゲノム研究分野助教授 |
桑原知巳 | 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部生体制御医学講座助教授 |
佐々木隆 | 明治乳業(株)研究本部食機能科学研究所乳酸菌研究部部長研究員 |
梅崎良則 | (株)ヤクルト本社中央研究所基礎研究II部腸管機能研究室主席研究員 |
島龍一郎 | (株)ヤクルト本社中央研究所基礎研究II部腸管機能研究室 |
戸邉亨 | 大阪大学大学院医学系研究科機能分子制御分野助教授 |
中山二郎 | 九州大学大学院農学研究院生物機能科学部門助教授 |
田中重光 | 九州大学大学院生物資源環境科学府生物機能科学専攻博士課程 |
園元謙二 | 九州大学大学院農学研究院生物機能科学部門教授 |
戸塚護 | 東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻客員助教授 |
五十君静信 | 国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部第一室室長 |
木村勝紀 | 明治乳業(株)研究本部食機能科学研究所乳酸菌研究部研究員 |
中村康則 | カルピス(株)商品開発研究所製品開発第二グループマネージャー |
八重島智子 | 森永乳業(株)栄養科学研究所主任研究員 |
浅田雅宣 | 森下仁丹(株)研究開発部部長 |
久米村恵 | 大塚製薬(株)大津栄養製品研究所主任研究員 |
山村秀樹 | ビオフェルミン製薬(株)研究部長 |
内田愼輔 | ビオフェルミン製薬(株)常務取締役 |
田代靖人 | 明治製菓(株)ヘルスケア企画管理部 |
瀬尾元一郎 | 東亜薬品工業(株)第二学術部部長 |
田杭浩 | 東亜薬品工業(株)開発部室長 |
| |
第1章 | 腸内フローラとは、プロバイオティクスとバイオジェニクスとは |
1. | 腸内フローラとは |
1.1 | 腸内フローラ研究 |
1.2 | 腸内フローラとは |
1.3 | 腸内フローラと生体反応 |
1.4 | 指標としての腸内フローラ |
2. | プロバイオティクス、バイオジェニクス |
2.1 | 定義 |
2.2 | プロバイオティクス、バイオジェニクスの有効性評価モデル |
|
第2章 | プロバイオティクスとバイオジェニクスとしての微生物 |
1. | はじめに |
2. | プロバイオティクスの定義と要件 |
2.1 | プロバイオティクスに求められる条件 |
2.2 | プロバイオティクスと安全性 |
3. | バイオジェニクスとその定義 |
4. | 菌の定着と腸管との相互作用 |
4.1 | クロストークにおける腸管親和性の意義 |
4.2 | 腸内有用菌の由来と生態 |
4.3 | 経口投与されたプロバイオティクスの消化管内での動態 |
4.4 | プロバイオティクスの付着機構 |
4.5 | 腸内での細菌の増殖と生体への影響 |
4.6 | 腸内での細菌の定着と宿主の認識・応答に関する知見 |
4.7 | 上皮組織による微生物の認識と応答―生菌と死菌― |
4.8 | 上皮組織による微生物の認識と応答―内因性菌と外来性菌― |
4.9 | 二次代謝産物と微生物−宿主クロストーク |
5. | 生体機能の調節 |
5.1 | 腸管感染防御 |
5.2 | 免疫応答の調節 |
5.3 | アレルギー・自己免疫疾患 |
5.4 | 炎症性腸疾患 |
5.5 | 過敏性腸症候群とストレス応答 |
5.6 | 血圧調節とバイオジェニクス |
5.7 | 皮膚の健康 |
6. | その他の課題 |
6.1 | 難培養性微生物とプロバイオティクス・バイオジェニクス |
6.2 | プロバイオティクスとバイオジェニクスの利用と有効性評価 |
7. | 最後に |
|
第3章 | プロバイオティクスとバイオジェニクスの保健効果 |
第1節 | ヒトへの効果 |
1 | ストレス改善 |
1. | はじめに |
2. | ストレスによる腸内細菌叢の変化 |
3. | 腸内細菌叢がストレス反応性へ及ぼす影響 |
3.1 | サイトカインを介する液性経路 |
3.2 | 腸内細菌由来の生成物質を介した液性経路 |
3.3 | 神経系を介する経路 |
4. | プロバイオティクスによるストレス軽減作用に関する臨床知見 |
5. | 開発の展望 |
2 | 歯周病の予防・改善 |
1. | はじめに |
2. | 歯周病菌の感染論 |
3. | 歯周病菌とは何か |
4. | 歯周病菌の口腔内分布 |
5. | 歯周病とS. anginosus |
6. | 歯周病菌の感染経路 |
7. | 歯周病のリプレイスメントセラピー |
8. | 歯周病とプロバイオティクス |
9. | プロバイオティクスの効果判定 |
10. | 化学療法、FMD、3DSの問題点 |
11. | 開発の展望 |
12. | おわりに |
3 | アレルギー低減 |
1. | アレルギーとその発症機構 |
2. | 腸内細菌とアレルギー |
3. | プロバイオティクスのアレルギー抑制効果 |
4. | プロバイオティクスの作用点としての腸管免疫系 |
4.1 | GALTの構造とIgA産生 |
4.2 | 腸管上皮と上皮内リンパ球 |
4.3 | 経口免疫寛容 |
5. | プロバイオティクスによるアレルギー抑制機序 |
6. | バイオジェニクス、プレバイオティクスによるアレルギー抑制とその機構 |
4 | プロバイオティクスによるIBDの治療と再発予防 |
1. | はじめに |
2. | IBD動物モデルに対する効果 |
2.1 | 酢酸腸炎・MTX起因性腸炎 |
2.2 | IL−10KOマウス腸炎 |
2.3 | DSS腸炎 |
2.4 | TNBS腸炎 |
3. | 潰瘍性大腸炎に対する効果 |
4. | 潰瘍性大腸炎術後の回腸炎に対する効果 |
5. | クローン病に対する効果 |
6. | 開発の展望 |
5 | プロバイオティクスによる過敏性腸症候群の制御 |
1. | はじめに |
2. | IBSの診断 |
3. | IBSの治療の概要 |
3.1 | 第1段階 |
3.2 | 第2段階 |
3.3 | 第3段階 |
4. | 薬物療法の原理 |
4.1 | 抗コリン薬 |
4.2 | 消化管機能調整薬 |
4.3 | 高分子重合体 |
4.4 | 下剤 |
4.5 | プロバイオティクス |
4.6 | 抗うつ薬 |
4.7 | 抗不安薬 |
4.8 | その他 |
5. | プロバイオティクスのIBSの治療における位置 |
5.1 | 粘膜炎症による消化管運動と知覚の変化 |
5.2 | 粘膜炎症、サイトカインと神経伝達物質 |
5.3 | IBSに対するプロバイオティクスの効果 |
6. | 開発の展望 |
6 | プロバイオティクスの感染防御作用 |
1. | はじめに |
2. | 急性下痢症 |
2.1 | ロタウイルス感染性下痢に対する作用 |
2.2 | 抗生剤誘導下痢症 |
2.3 | 旅行者下痢症 |
3. | 新生児および小児科領域におけるプロバイオティクスの効果 |
3.1 | 壊死性腸炎および関連疾患に対する作用 |
3.2 | カンピロバクター腸炎に対する作用 |
4. | 消化器外科領域における感染性合併症の予防 |
5. | その他 |
5.1 | ピロリ菌(Helicobacter pylori)感染症 |
5.2 | 産婦人科および泌尿器科領域における感染防御作用 |
6. | 開発の展望 |
6.1 | 臨床試験の拡大 |
6.2 | 作用機序 |
6.3 | 安全性 |
7 | 発ガンの抑制 |
1. | はじめに |
2. | 腫瘍あるいは腫瘍細胞に対する効果 |
2.1 | 実験動物を用いた腫瘍抑制効果の研究 |
2.2 | 抑制のメカニズム |
3. | 発ガンのプロセスに対する効果 |
3.1 | 前ガン病変の抑制 |
3.2 | 遺伝子毒性の抑制 |
3.3 | 抑制のメカニズム |
4. | 腸内環境の改善による効果 |
4.1 | 腸内菌叢の量的・質的な変化による腸内菌叢の代謝活性への影響 |
4.2 | 腸内の生理化学的状態への影響 |
5. | 開発の展望 |
8 | コレステロール・胆汁酸代謝の改善 |
1. | はじめに |
2. | コレステロールの代謝動態 |
3. | 胆汁酸の代謝動態 |
4. | コレステロールに対する腸内細菌の作用 |
4.1 | 還元反応 |
4.2 | コレステロール取り込み作用 |
5. | 胆汁酸に対する腸内細菌の作用 |
5.1 | 脱抱合反応 |
5.2 | 酸化・還元および異性化反応 |
5.3 | 脱水酸化反応 |
5.4 | 胆汁酸取り込み作用 |
6. | ヒトへの健康効果 |
6.1 | 血清コレステロール低下作用 |
6.2 | 大腸ガン予防効果 |
7. | 開発の展望 |
9 | プレバイオティクス、プロバイオティクスとバイオジェニクスのヒト高血圧への効果 |
1. | はじめに |
2. | 血圧に対するプレバイオティクス |
3. | 血圧に対するプロバイオティクス |
4. | 血圧に対するバイオジェニクス |
5. | バイオジェニクスの食品としての意義 |
6. | 血圧に対するプレバイオティクス、プロバイオティクス、バイオジェニクスの必要性 |
7. | 血圧に対するプレバイオティクス、プロバイオティクスあるいはバイオジェニクスの適用 |
8. | 開発の展望 |
9. | おわりに |
10 | プロバイオティクスと糖質代謝の改善 |
1. | はじめに |
2. | 大腸における糖質代謝 |
2.1 | 難消化性糖質の発酵分解 |
2.2 | プロバイオティクスと短鎖脂肪酸生成 |
3. | 開発の展望 |
|
第2節 | 動物への効果 |
1 | 家畜・家禽用プロバイオティクス |
1. | 飼料添加物としてのプロバイオティクス |
2. | 抗生物質、プロバイオティクスの有効性 |
3. | プロバイオティクスの飼料添加物としての指定 |
4. | プロバイオティクスの菌株 |
5. | 家畜・家禽でのプロバイオティクス |
5.1 | ニワトリのプロバイオティクス |
5.2 | ブタにおけるプロバイオティクス |
5.3 | ウシにおけるプロバイオティクス |
6. | 開発の展望 |
2 | 環境改善 |
1. | はじめに |
2. | ラグーンにおける微生物群集と機能性微生物 |
3. | コンポストにおける微生物群集と機能性微生物 |
3.1 | コンポスト化に関わる生物および微生物 |
3.2 | コンポスト化過程における微生物の役割 |
3.3 | コンポスト化過程の微生物群集の変化 |
3.4 | 微生物によるコンポスト化過程からの悪臭除去 |
4. | 経口投与型環境改善微生物資材のコンポスト化過程における機能と動態の解析 |
5. | 開発の展望 |
|
第4章 | プロバイオティクスとバイオジェニクスを理解するための先端科学 |
第1節 | ゲノム解析 |
1 | 総論 |
1. | はじめに |
2. | 微生物のゲノム解析技術 |
2.1 | 微生物ゲノムシークエンシング |
2.2 | 微生物ゲノムの情報学的解析 |
3. | 微生物ゲノム解析で得られた知見 |
3.1 | 微生物ゲノムの構造 |
3.2 | 水平伝播 |
4. | 微生物群集のゲノム解析(Metagenomics) |
5. | プロバイオティクスおよび食品関連微生物のゲノム解析 |
6. | 開発の展望 |
2 | 乳酸菌 |
1. | 乳酸菌のゲノムプロジェクト |
2. | ゲノム解析から見た乳酸菌の安全性 |
3. | 乳酸菌の遺伝子の機能分類(COG)の検討 |
4. | Lactobacillus属細菌のゲノム解析 |
5. | 菌株レベルのゲノム解析の重要性 |
6. | 開発の展望 |
3 | ビフィズス菌 |
1. | はじめに |
2. | Bifidobacterium属細菌の生理 |
3. | ビフィズス菌の分類 |
3.1 | Bifidobacterium属の菌種 |
3.2 | Bifidobacterium属細菌の16S rRNAによる分子系統樹 |
4. | Bifidobacterium属のゲノムサイズ |
5. | ビフィズス菌のゲノムプロジェクト |
6. | 相同性による遺伝子の機能推定 |
7. | B. longum NCC2705株の遺伝子構成 |
7.1 | アミノ酸・核酸・ビタミンなどの合成系路 |
7.2 | オリゴ糖の利用に関する遺伝子群 |
7.3 | 大腸の環境に適応した厳密な調節系 |
7.4 | 細胞外タンパク質 |
7.5 | 遺伝子の水平移行によるB. longumの特異的形質の獲得 |
8. | Bifidobacterium属の比較ゲノム全体像の比較 |
9. | 開発の展望 |
4 | 日和見常在菌Bacteroidesのゲノム |
1. | はじめに |
2. | Bacteroidesの特徴 |
3. | B. fragilisのゲノムの概要 |
4. | 糖利用に関する遺伝子の重複 |
5. | 莢膜多糖 |
6. | Multiple DNA逆位 |
7. | 開発の展望 |
|
第2節 | 遺伝子組換え技術とその応用 |
1. | はじめに |
2. | 遺伝子組換え技術 |
2.1 | 遺伝子組換え技術とは |
2.2 | 遺伝子組換え技術の原理 |
2.3 | 遺伝子組換え技術の特徴 |
2.4 | 組換え体の利用に関して |
3. | 乳酸菌研究と遺伝子組換え技術 |
3.1 | 乳酸菌研究の歴史 |
3.2 | 乳酸菌の遺伝子組換え技術 |
4. | 遺伝子組換え技術を応用した乳酸菌の研究例 |
4.1 | 食品などへの応用を可能にする技術開発 |
4.2 | 発酵食品製造 |
4.3 | 有用物質の製造 |
4.4 | 健康・医薬分野での応用 |
5. | 開発の展望 |
5.1 | 乳酸菌での応用研究の進展 |
5.2 | 今後の応用の可能性 |
5.3 | 乳酸菌などの組換え体利用の将来 |
6. | おわりに |
|
第3節 | 宿主と腸内フローラのクロストーク |
1. | 序論 |
2. | 腸粘膜の腸内菌に対する認識機構 |
3. | 腸粘膜細胞の腸内菌に対する作用について |
3.1 | IgAとクリプチジン |
3.2 | 腸上皮細胞の分化と糖鎖 |
4. | 腸内菌の腸粘膜細胞への作用について |
4.1 | 腸内菌の腸粘膜免疫システムの発達への関与 |
4.2 | 腸内菌の腸上皮細胞の分化と機能発現への関与 |
5. | 伝子発現より見た腸内菌−宿主のクロストーク |
5.1 | 分子生物学的手技と実験上の問題点 |
5.2 | 腸上皮細胞の遺伝子発現に対する腸内菌ならびにプロバイオティクス株の影響 |
6. | 開発の展望 |
|
第4節 | 腸内菌相互の関係 |
1 | 病原細菌の腸管感染メカニズム |
1. | はじめに |
2. | 病原細菌の病原性 |
2.1 | 細胞付着 |
2.2 | 病原因子分泌あるいは注入 |
2.3 | A/E病原細菌 |
2.4 | 細胞侵入性細菌 |
2.5 | 組織および宿主特異性 |
2.6 | 環境応答による発現制御 |
2.7 | 病原細菌のゲノム解析と網羅的遺伝子発現解析 |
3. | 細菌間コミュニケーション |
3.1 | クオラムセンシングとオートインデューサー |
3.2 | 走化性システム |
4. | プロバイオティクスによる感染阻害 |
4.1 | 細胞付着阻害 |
4.2 | 細胞侵入阻害 |
4.3 | 増殖阻害 |
4.4 | 免疫活性化 |
5. | 開発の展望 |
2 | 常在菌 |
1. | はじめに |
2. | 菌種間の協調作用 |
3. | 菌種間の拮抗作用 |
3.1 | 有機酸による拮抗作用 |
3.2 | 水素ガス、炭酸ガスの奪取による拮抗作用 |
3.3 | 低分子抗菌物質による拮抗作用 |
3.4 | 抗菌ペプチド“バクテリオシン”による近縁種に対する拮抗作用 |
4. | 化学シグナルを介した細胞間コミュニケーション |
5. | 腸内細菌間の遺伝子伝達 |
6. | 開発の展望 |
|
第5節 | ニュートリゲノミクス |
1. | はじめに |
2. | ニュートリゲノミクスとは |
3. | ニュートリゲノミクスの技術的側面 |
3.1 | トランスクリプトーム解析 |
3.2 | プロテオーム解析 |
3.3 | メタボローム解析 |
4. | ニュートリゲノミクスによるプロバイオティクス機能の解析 |
5. | 開発の展望 |
|
第6節 | プロバイオティクスの安全性 |
1. | はじめに |
2. | プロバイオティクスの病巣からの分離 |
3. | プロバイオティクスの生体内からの分離 |
4. | 生体内でのプロバイオティクスの挙動 |
5. | 有毒物質の生成に関わる酵素活性 |
6. | その他の安全性に関わる活性 |
7. | 安全性のまとめと開発の展望 |
|
第5章 | プロバイオティクスとバイオジェニクスの開発事例 |
第1節 | Helicobacter pylori抑制作用に優れたプロバイオティクスヨーグルトの開発 |
1. | はじめに |
2. | H. pylori感染症に対するプロバイオティクス |
3. | H. pylori抑制作用に優れた菌株の選抜 |
3.1 | in vitro試験による菌株の選抜 |
3.2 | H. pylori感染マウス投与試験による菌株の選抜 |
4. | ヨーグルト適性試験 |
5. | LG21含有ヨーグルトのヒト投与試験 |
5.1 | 健常者に対する投与試験 |
5.2 | 健常者に対する長期投与試験 |
5.3 | 胃炎症状を有する患者に対するLG21含有ヨーグルトの投与試験 |
6. | LG21の経口投与によるH. pylori感染スナネズミの胃潰瘍発症抑制作用 |
7. | LG21の作用機序 |
8. | おわりに |
|
第2節 | カルピス酸乳アミールS |
1. | はじめに |
2. | 発酵乳の血圧への影響 |
3. | 発酵乳中の血圧降下ぺプチド |
3.1 | ペプチド生成メカニズム |
3.2 | 降圧メカニズム |
4. | 臨床試験の成績 |
4.1 | 高血圧者への影響 |
4.2 | 正常高値血圧者への影響 |
4.3 | 正常血圧者への影響 |
5. | 食品への応用 |
|
第3節 | ビヒダスプレーンヨーグルト |
1. | はじめに |
2. | ビヒダスプレーンヨーグルトの開発 |
2.1 | ビフィズス菌の選択と培養条件 |
2.2 | ヨーグルト用乳酸菌の選択 |
2.3 | ビヒダスプレーンヨーグルト製造上の検討課題 |
3. | Bifidobacterium longum BB536の生理効果 |
3.1 | 整腸効果 |
3.2 | 免疫賦活作用と感染防御 |
3.3 | 発ガン抑制作用 |
4. | おわりに |
|
第4節 | ビフィズス菌カプセルとその特性 |
1. | はじめに |
2. | シームレスカプセルの製法 |
2.1 | 液中滴下法による2層カプセル |
2.2 | 3層カプセル |
3. | ビフィズス菌のカプセル化:機能性pH依存崩壊カプセル |
4. | 植物性皮膜カプセル |
5. | ビフィズス菌カプセル製剤の効果 |
5.1 | 腸内細菌のビフィズス菌の占有率 |
5.2 | 整腸効果 |
5.3 | 透析患者における腸内細菌叢の改善効果 |
5.4 | ペット用ビフィズス菌カプセル |
6. | 生ビフィズス菌水懸濁液のカプセル化と培養 |
7. | おわりに |
|
第5節 | 食物繊維飲料「ファイブミニ」の開発 |
1. | はじめに |
2. | 素材のスクリーニング |
2.1 | ポデキストロースとは |
2.2 | ヒトでの処方量の決定 |
3. | ヒト腸内フローラへの影響 |
4. | 整腸作用の検討―特定保健用食品の取得― |
5. | 開発の展望―プロバイオティクスとしてのPD― |
|
第6節 | ビオフェルミン |
1. | ビオフェルミンの誕生 |
2. | 新開発品の紹介 |
2.1 | ビオフェルミン錠剤(医療用医薬品) |
2.2 | ビオフェルミン下痢止め(一般用医薬品) |
3. | 「ビオフェルミン」に今後期待される効果 |
3.1 | 抗アレルギー効果 |
3.2 | 感染防御効果 |
3.3 | 糖・脂質代謝改善効果 |
3.4 | う蝕・歯周病改善(予防)効果 |
4. | むすび |
|
第7節 | フラクトオリゴ糖 |
1. | はじめに |
2. | 虫歯にならない砂糖代替糖質として |
3. | 難消化性糖質として |
4. | ビフィズス菌増殖作用のある糖質(プレバイオティクス)として |
5. | 家畜・ペット用素材として |
6. | 腸内細菌叢の変化を介した多機能性糖質として |
6.1 | 抗脂血作用 |
6.2 | 血糖上昇抑制作用 |
6.3 | 大腸ガン予防作用 |
6.4 | ミネラル吸収促進作用 |
6.5 | 尿中窒素排泄低減作用 |
6.6 | 消化管免疫を介した作用 |
7. | おわりに |
|
第8節 | 動物用ビオスリー |
1. | はじめに |
2. | 開発の経緯 |
3. | 動物用ビオスリーの概要 |
4. | 使用事例 |
4.1 | 基礎 |
4.2 | 応用 |
5. | おわりに |
|
略語一覧 |
学名索引 |
事項索引 |