過熱水蒸気は熱効率が非常に高く、低環境負荷で乾燥、加熱、焼成、焙煎、炭化、殺菌、熱分解作用などを持ち、食品・環境・材料・エネルギーなど多くの分野で注目されている。本書ではこの過熱水蒸気の特性、各分野での応用技術、発生装置開発の現状を詳しく解説する。
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鈴木寛一 | 広島大学大学院生物圏科学研究科生物資源開発学専攻食資源科学講座(食品工学研究室)教授 |
山崎雅夫 | 東京農業大学生物産業学部食品科学科講師 |
門馬哲也 | シャープ(株)電化システム事業本部電化商品開発センター第二開発室係長 |
岸本卓士 | シャープ(株)電化システム事業本部電化商品開発センター第二開発室主事 |
田中源基 | シャープ(株)電化システム事業本部電化商品開発センター第二開発室主事 |
高見星司 | シャープ(株)電化システム事業本部電化商品開発センター第二開発室 |
佐田守弘 | 味の素(株)生産技術開発センター基盤エンジニアリング第2グループ専任課長 |
阿部茂 | 北海道立食品加工研究センター食品開発部研究職員 |
宮武和孝 | 大阪府立大学生命環境科学研究所教授 |
吉田弘之 | 大阪府立大学大学院工学研究科物質・化学系専攻 化学工学分野教授 |
師岡淳郎 | 京都大学生存圏研究所開発創生研究系生物機能材料分野助教授 |
程万里 | 東北林業大学材料科学与工程学院助教授(中華人民共和国) |
小林功 | (独)森林総合研究所加工技術領域木材乾燥研究室主任研究官 |
西谷隆司 | 大阪市立環境科学研究所環境資源課研究副主幹 |
佐藤正大 | (財)かがわ産業支援財団高温高圧流体技術研究所主任研究員(現所属、(独)産業技術総合研究所コンパクト化学プロセス研究センター) |
中村宏 | 東京海洋大学社会連携推進共同研究センター助教授 |
河口真紀 | 東京海洋大学社会連携推進共同研究センター産学連携研究員 |
佐藤道祐 | 東洋建設(株)技術本部環境・エンジニアリング部課長 |
星田真一 | (株)エコノス・ジャパン代表取締役社長 |
小林良治 | 第一高周波工業(株)技術統括部IH事業推進部担当部長 |
坂井正康 | 長崎総合科学大学人間環境学部教授 |
尾崎博明 | 大阪産業大学工学部都市創造工学科教授 |
鈴木寛一 | 広島大学大学院生物圏科学研究科生物資源開発学専攻食資源科学講座(食品工学研究室)教授 |
山田修 | 大阪産業大学工学部交通機械工学科教授/(株)オーエスユー代表取締役 |
立元雄治 | 静岡大学工学部物質工学科教務員 |
野田勝嗣 | 静岡大学工学部物質工学科教授 |
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A. | 過熱水蒸気の特性―メカニズムと未解明の課題― |
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1 | はじめに |
2 | 過熱水蒸気とは |
3 | 過熱水蒸気の物性と熱的特性 |
4 | 伝熱特性 |
4.1 | 高温ガスのエンタルピー |
4.2 | 凝縮伝熱 |
4.3 | 対流伝熱 |
4.4 | 放射伝熱 |
4.5 | 全伝熱速度 |
5 | 過熱水蒸気処理の特徴とその応用 |
6 | 実用上の問題点 |
7 | おわりに |
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B. | 過熱水蒸気の利用技術―特性を活かした拡がる利用分野事例― |
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1 | 食品利用技術 |
1.1 | 過熱水蒸気によるホタテガイ干貝柱(白干し)の製造 |
1. | はじめに |
2. | 生鮮貝を使った白干し製造 |
3. | 冷凍貝を使った白干し製造 |
4. | 冷凍原貝の開殻・脱殻 |
5. | 食味を活かした白干し製造 |
6. | おわりに |
1.2 | 過熱水蒸気による健康調理技術の開発 |
1. | はじめに |
2. | 過熱水蒸気技術の特長 |
2.1 | 概要 |
2.2 | 熱伝達特性 |
2.3 | 凝縮〜乾燥特性 |
2.4 | 酸素濃度 |
3. | 実験装置および方法 |
3.1 | 過熱水蒸気実験装置 |
3.2 | 酸素濃度測定 |
3.3 | 脱油効果検証実験 |
3.4 | 減塩効果検証実験 |
3.5 | ビタミンC破壊抑制効果検証実験 |
3.6 | 油脂酸化抑制効果検証実験 |
4. | 実験結果 |
4.1 | 酸素濃度測定結果 |
4.2 | 脱油効果検証実験結果 |
4.3 | 減塩効果検証実験結果 |
4.4 | ビタミンC破壊抑制検証実験結果 |
4.5 | 油脂の酸化抑制検証実験結果 |
5. | おわりに |
1.3 | IHを利用した過熱水蒸気技術 |
1. | なぜIH加熱なのか |
2. | 過熱水蒸気に期待される機能 |
3. | いくつかの食材に対する過熱水蒸気の調理適性について |
3.1 | 冷凍米飯類の過熱水蒸気調理における調理時間と水分の変化 |
3.2 | 凝縮伝熱から対流伝熱へ連続的に移行する加熱特性 |
3.3 | 魚や鶏肉の焼き上がりの色 |
3.4 | 焼き上がり色の違いの推定理由 |
4. | 設備設計の上で把握しておくべき過熱水蒸気の特性 |
4.1 | 設備の断熱の重要性 |
4.2 | ワンパスでの利用では熱効率が低い |
5. | 理想的な過熱水蒸気利用設備 |
1.4 | 過熱水蒸気を用いた高温短時間処理による表面殺菌技術 |
1. | はじめに |
2. | 農産物および水産珍味の表面より検出された微生物 |
3. | 過熱水蒸気雰囲気条件における水産珍味の菌数低下 |
3.1 | 過熱水蒸気雰囲気下におけるサケ乾燥品の一般生菌数の変化 |
3.2 | 過熱水蒸気処理による歩留まりおよび色調への影響 |
4. | スリットより噴射した過熱水蒸気の殺菌効果 |
4.1 | スリットより噴射した過熱水蒸気による殺菌効果 |
4.1.1 | スリットより噴射した過熱水蒸気によるスルメの硬さの変化 |
4.1.2 | スリットより噴射した過熱水蒸気によるスルメの色調の変化 |
4.2 | スリットより噴射した過熱水蒸気によるソバの殺菌効果 |
4.2.1 | スリットより噴射した過熱水蒸気によるソバの一般生菌数の変化 |
4.2.2 | 常圧過熱水蒸気処理を行ったソバの破断強度、および臭い成分の変化 |
5. | 過熱水蒸気による短時間殺菌における留意点 |
6. | まとめ |
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2. | バイオマス資源利用技術 |
2.1 | 過熱水蒸気を利用した未利用資源の資源化について |
1. | はじめに |
2. | 基本装置と利用技術目標について |
3. | 実例 |
3.1 | 青果物ロジスティックスへの応用 |
3.2 | 米糠殺菌によるファクター10化 |
3.3 | 剪定枝きのこ栽培によるファクター10化 |
4. | おわりに |
2.2 | 過熱水蒸気による廃木材の炭化・資源化 |
1. | はじめに |
2. | 過熱水蒸気炭化 |
3. | 有機性廃棄物の過熱水蒸気炭化物の吸着特性 |
4. | おわりに |
2.3 | 過熱水蒸気下で木材に発生する乾燥応力 |
1. | はじめに |
2. | 高温での木材横方向応力緩和 |
3. | 乾燥速度 |
4. | 収縮応力 |
5. | 高温水蒸気下で生じる化学構造の変化 |
2.4 | 過熱水蒸気を利用したスギ柱材の熱処理技術の検討 |
1. | スギ心持ち無背割り柱材乾燥の問題点と背景 |
2. | 木材乾燥分野における高温水蒸気を用いた既往の研究 |
3. | 過熱水蒸気式木材熱処理装置の概要 |
4. | 過熱水蒸気による乾燥前処理試験 |
4.1 | 前処理条件の決定 |
4.2 | 蒸気式乾燥の前処理試験 |
4.2.1 | 試験材 |
4.2.2 | 試験方法 |
4.2.3 | 結果と考察 |
4.3 | 天然乾燥の前処理試験 |
4.3.1 | 試験材 |
4.3.2 | 試験方法 |
4.3.3 | 結果と考察 |
4.4 | 表面割れの抑制機構について |
5. | まとめ |
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3 | 拡がる過熱水蒸気利用分野 |
3.1 | ダイオキシン類の処理―有機塩素化合物の脱塩素化― |
1. | ごみ焼却飛灰中のダイオキシン類について |
2. | 過熱水蒸気による飛灰中ダイオキシン類処理の特長 |
3. | 過熱水蒸気による脱塩素化処理実験 |
3.1 | 過熱水蒸気によるペンタクロロベンゼンの処理効果 |
3.2 | 過熱水蒸気によるダイオキシン類の処理効果 |
3.2.1 | ダイオキシン処理効率の温度依存性 |
3.2.2 | ダイオキシン処理効率の時間依存性 |
3.2.3 | 飛灰への薬剤添加によるダイオキシン処理効率の向上 |
4. | 過熱水蒸気処理法の展望 |
3.2 | 有機性廃棄物処理 |
1. | はじめに |
2. | 有機廃棄物処理の現状 |
3. | 過熱水蒸気の性質 |
3.1 | 過熱水蒸気と他の水流体との物性の比較 |
3.2 | 水撃現象 |
4. | 装置および実験 |
5. | 過熱水蒸気を利用する高速酸化分解 |
5.1 | 有機化合物 |
5.1.1 | 酢酸分解の最適温度・空気量 |
5.1.2 | フェノール分解の最適温度・空気 |
5.2 | 各種有機化合物の分解 |
5.3 | 有機性廃棄物の分解 |
5.3.1 | 多糖類 |
5.3.2 | 糞尿 |
5.3.3 | 木材・汚泥関連 |
6. | 展望 |
3.3 | 過熱水蒸気を利用した閉鎖性水域の汚染底泥の浄化技術の開発 |
1. | 背景 |
2. | 従来の対策 |
3. | 過熱水蒸気を用いた汚染底泥浄化技術について |
3.1 | 基本的な処理プロセス |
3.2 | 試験結果 |
3.3 | 想定されるシステム |
4. | まとめ |
3.4 | 過熱水蒸気による鶏糞の無害化処理 |
1. | はじめに |
2. | 開発経緯 |
3. | 過熱水蒸気とは |
4. | 過熱水蒸気の3大特徴 |
5. | 過熱水蒸気の温度帯とその応用分野 |
6. | 過熱水蒸気の鶏糞無害化処理=過熱蒸気式熱分解(炭化)装置への応用 |
7. | ファイアスチーマが求められる理由(メリット) |
8. | 鶏糞などの有機性残渣処理に対する法的規制の強化(社会環境の変化) |
8.1 | 畜糞の排出量とその処理方法 |
8.2 | それぞれの処理方法での問題点 |
8.2.1 | 生糞の農地還元 |
8.2.2 | 堆肥化 |
8.2.3 | 乾燥による肥料利用 |
8.2.4 | メタン発酵によるエネルギー回収 |
8.2.5 | 焼却による灰の有効利用 |
8.2.6 | 炭化による有効利用 |
9. | ファイアスチーマへの期待 |
9.1 | 装置へのニーズ |
9.2 | 装置の構成とものの流れ |
9.3 | 実際のレイアウトと内部の装置 |
10. | 開発上遭遇した問題点 |
11. | ファイアスチーマから得られる炭化物の優位性 |
11.1 | 活性炭とは |
11.2 | 活性炭製造の目的 |
11.3 | 活性炭の利用方法(鶏糞炭の一例) |
12. | 私たちの目指すもの |
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C. | 過熱水蒸気装置の開発現状―高速化・小型化・システム化― |
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1 | 過熱水蒸気発生装置「DHF Super―Hi(スーパーハイ)」 |
| ―高効率金属発熱体の誘導加熱による流体加熱システム― |
1. | はじめに |
2. | 過熱水蒸気の特長 |
3. | 誘導加熱の原理と特徴 |
4. | 流体加熱ユニットの特徴 |
5. | 「DHF Super―Hi」の特徴 |
6. | 「DHF Super―Hi」の仕様 |
6.1 | 「DHF Super―Hi」のラインナップ |
6.2 | 「DHF Super―Hi」の装置構成例 |
6.3 | 高周波電源4020(Super―Hi標準)の仕様 |
7. | 過熱水蒸気の用途例 |
8. | おわりに |
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2 | 小型可搬式・低コスト高効率の植物系バイオマスの新しい熱・電エネルギー供給システム |
1. | はじめに |
2. | バイオマスの水蒸気改質反応温度 |
3. | 浮遊外熱式高カロリーガス化法の基本現象 |
4. | 新しい熱・電エネルギー供給システムの開発 |
5. | おわりに |
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3 | 汚染土壌等中有害有機物の新分解装置の開発 |
1. | 汚染土壌修復への高温過熱水蒸気の導入 |
2. | 間接熱脱着法と高温過熱水蒸気法の組み合わせ |
2.1 | 概要 |
2.2 | 「間接熱脱着装置―高温過熱水蒸気分解装置」の組み合わせシステム |
3. | まとめ |
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4 | 過熱水蒸気・遠赤外線併用による無酸素熱処理の高エネルギー効率化 |
1. | はじめに |
2. | 過熱水蒸気処理のエネルギー問題点と省エネルギー化 |
3. | 過熱水蒸気・遠赤外線併用加熱処理の効果 |
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5 | セラミック多孔質ヒータを用いた高周波誘導加熱による超高温過熱水蒸気発生システム |
1. | はじめに |
2. | 燃焼合成とは |
2.1 | 燃焼について |
2.2 | 非酸化燃焼 |
2.3 | 燃焼合成 |
2.4 | 断熱燃焼温度 |
2.5 | 燃焼合成の種類 |
2.6 | ノーマル型燃焼合成で得られた新素材の特徴 |
3. | ヒータ材料としての金属間化合物 |
4. | 高温過熱水蒸気発生システム |
4.1 | 1,000℃超高温過熱水蒸気発生技術 |
4.2 | 小型高温過熱水蒸気発生装置 |
4.3 | ボイラ不要の一段方式 |
5. | おわりに |
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6 | 減圧過熱水蒸気流動層を用いた低温・低エネルギー乾燥装置 |
1. | はじめに |
2. | 減圧過熱水蒸気流動層乾燥器の概要 |
2.1 | 流動層乾燥 |
2.2 | 過熱水蒸気乾燥 |
2.3 | 真空(減圧)乾燥 |
3. | 減圧過熱水蒸気流動層乾燥の乾燥特性 |
4. | おわりに |