デンドリマーとハイパーブランチポリマーに大別されるデンドリティック高分子は、その多分岐構造が様々な機能の発現を促し、幅広い応用展開を可能にする興味深い材料である。
本書は、第1編で基礎理論としてデンドリティック高分子を特徴づける物理化学的な性質と分子構造について解説。第2編はデンドリマーとハイパーブランチポリマーの合成について、数多くの基本的な事例を紹介。第3編では光機能、バイオメディカル応用、複合材料などへの応用の現状を中心として詳細に解説。また、現在どのようなデンドリティック高分子が研究開発、応用されているかを捉えておくために、参考資料として1000件を超える最新の特許取得状況についても紹介してある。我が国で初めて総合的にデンドリティック高分子を解説した書籍である。
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柿本雅明 | 東京工業大学大学院理工学研究科有機・高分子物質専攻教授 |
古川泰一 | JSR(株)研究員 |
石津浩二 | 東京工業大学大学院理工学研究科有機・高分子物質専攻教授 |
栗田典之 | 豊橋技術科学大学知識情報工学系助教授 |
田中成典 | 神戸大学大学院自然科学研究科地球惑星システム科学専攻教授 |
岸亮平 | 大阪大学大学院基礎工学研究科物質創成専攻化学工学領域 |
太田克 | 大阪大学大学院基礎工学研究科物質創成専攻化学工学領域 |
中野雅由 | 大阪大学大学院基礎工学研究科物質創成専攻化学工学領域教授 |
青井啓悟 | 名古屋大学大学院生命農学研究科応用分子生命科学専攻教授 |
岡田鉦彦 | 中部大学応用生物学部教授・名古屋大学名誉教授 |
寺境光俊 | 秋田大学工学資源学部助教授 |
山本喜一 | ディー・エス・エムジャパン(株)新規事業本部長 |
加和学 | (株)三菱化学科学技術研究センターR&td事業部門ポリマー合成研究所プロジェクトリーダー |
江東林 | 自然科学研究機構分子科学研究所助教授 |
横山士吉 | (独)情報通信研究機構主任研究員 |
中浜龍夫 | (独)情報通信研究機構専攻研究員 |
大友明 | (独)情報通信研究機構主任研究員 |
益子信郎 | (独)情報通信研究機構・関西先端研究センター長 |
富田康生 | 電気通信大学電気通信学部電子工学科教授 |
河野健司 | 大阪府立大学大学院工学研究科物質・化学系専攻応用化学分野教授 |
児島千恵 | 大阪府立大学大学院工学研究科物質・化学系専攻応用化学分野 |
中建介 | 京都大学大学院工学研究科高分子化学専攻助教授 |
山元公寿 | 慶應義塾大学理工学部化学科教授 |
鬼塚清孝 | 大阪大学産業科学研究所助教授 |
辻康之 | 北海道大学触媒化学研究センター教授 |
大洞康嗣 | 北海道大学触媒化学研究センター助手 |
徳永信 | 北海道大学触媒化学研究センター助教授 |
田中敬二 | 九州大学大学院工学研究院応用化学部門助教授 |
長村利彦 | 九州大学大学院工学研究院応用化学部門教授 |
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序論 |
デンドリティック高分子概説 |
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第1編 | 基礎理論 |
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第1章 | 物理化学的性質 |
1 | はじめに |
2 | 従来型の分岐高分子 |
2.1 | スターポリマー |
2.2 | グラフトポリマー |
3 | デンドリマー |
3.1 | デンドリマーの合成 |
3.2 | デンドリマーの構造特性 |
3.3 | デンドリマーの高次構造形成 |
4 | ハイパーブランチポリマー |
4.1 | ハイパーブランチポリマーの合成 |
4.2 | ハイパーブランチポリマーの希薄溶液特性 |
5 | おわりに |
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第2章 | 分子構造(コンピュータシミュレーションを含む) |
1 | はじめに |
2 | デンドリティック高分子の量子化学的分子シミュレーション |
2.1 | はじめに:デンドリマーの計算機シミュレーション |
2.2 | 構造と振動状態の解析 |
2.3 | 電子状態と分極率の解析 |
2.4 | おわりに |
3 | デンドリティック高分子の光エネルギー移動と非線形光学特性のモデル計算 |
3.1 | 背景 |
3.2 | エキシトン移動に対する理論的アプローチ |
3.3 | 動的非線形光学効果の計算 |
3.4 | 超分子系におけるシミュレーション |
3.5 | 今後の課題と展望 |
4 | おわりに |
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第2編 | 合成 |
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第1章 | デンドリマーの合成 |
1 | はじめに |
2 | 多分岐高分子 |
3 | 単一分子としてのデンドリマー |
4 | デンドリマーの形態とサイズ |
5 | Divergent法とConvergent法 |
6 | デンドリマーの合成 |
7 | 球状デンドリマー |
8 | ハイブリッドデンドリマー |
9 | 高機能・高性能化への分子設計 |
9.1 | 方法(A):デンドリマーの形態・ナノサイズなどに起因する特性を利用する方法 |
9.2 | 方法(B):デンドリマーの特定部位に機能素子を導入する方法 |
9.3 | 方法(C):デンドリマーの分子内あるいは分子間に他の分子を捕捉あるいは複合化する方法 |
10 | ブロックデンドリマー |
10.1 | 表面、セグメント、層ブロックデンドリマー |
10.2 | デンドリマーと線状ポリマーとのブロック共重合体 |
11 | おわりに |
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第2章 | ハイパーブランチポリマーの合成 |
1 | ハイパーブランチポリマーとは |
1.1 | 多官能性モノマーの重合反応 |
1.2 | ハイパーブランチポリマーの特徴 |
1.3 | 分岐度の制御 |
1.4 | 合成法の分類 |
2 | 逐次重合によるハイパーブランチポリマーの合成 |
2.1 | ポリフェニレン |
2.2 | ポリエステル、ポリカーボネート |
2.3 | ポリエーテル類 |
2.4 | ポリアミド、ポリアミドアミン |
2.5 | ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール |
2.6 | ポリウレタン、ウレア |
2.7 | ポリシロキシシラン、ポリカルボシラン |
2.8 | その他 |
3 | 連鎖重合によるハイパーブランチポリマーの合成 |
3.1 | 重合法の特徴 |
3.2 | ポリスチレン |
3.3 | ポリアクリレート、メチルメタクリレート |
3.4 | その他 |
4 | 開環重合によるハイパーブランチポリマーの合成 |
4.1 | 重合法の特徴 |
4.2 | ポリアミン、ポリエーテルアミド |
4.3 | ポリエステル |
4.4 | ポリエーテル |
4.5 | 糖鎖高分子 |
5 | A2+B3型重合によるハイパーブランチポリマーの合成 |
5.1 | 重合法の特徴 |
5.2 | A2+B3型モノマーの重合 |
5.3 | A2+BB´2型モノマーの重合 |
6 | その他のハイパーブランチポリマー合成法 |
6.1 | 分岐ポリエチレンの合成 |
6.2 | 連鎖移動剤を用いた分岐ポリマーの合成 |
7 | おわりに |
8 | ハイパーブランチポリマーの応用事例―多分岐ポリエステルアミド“Hybrane®”の工業化― |
8.1 | はじめに |
8.2 | DSMにおける開発の経緯 |
8.3 | 化学構造と多様な特性 |
8.4 | 市場開発と用途例 |
8.5 | 工業生産性 |
8.6 | おわりに |
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第3編 | 機能と応用 |
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第1章 | 光機能と応用技術 |
1 | はじめに |
2 | アンテナ効果 |
2.1 | 紫外線アンテナ |
2.2 | 可視光アンテナ |
2.3 | 赤外線アンテナ |
2.4 | 2光子アンテナ |
3 | エレクトロルミネッセンス(EL)および有機発光ダイオード(OLED) |
3.1 | π電子共役デンドリマーの合成とOLEDの試み |
3.2 | スチルベンデンドリマーによるOLED開発と関連技術 |
3.3 | ELを示す遷移金属デンドリマー錯体 |
3.4 | 長いπ電子共役系を持たないデンドリマーを利用したEL研究 |
3.5 | 最近の実用化の動き |
4 | 遷移金属錯体単位を含有するデンドリティック分子とその光機能 |
4.1 | 非ランタノイド元素のデンドリティック錯体 |
4.2 | ランタノイド元素のデンドリティック錯体 |
5 | ナノ粒子とデンドリマーのナノコンポジット |
6 | 非線形光学(NLO)特性 |
7 | レーザー発振 |
7.1 | はじめに |
7.2 | 光機能性デンドリマーの合成 |
7.3 | デンドリマーを使ったレーザー媒体 |
7.4 | 固体レーザー |
7.5 | マイクロ・レーザー |
7.6 | 2光子吸収と光重合反応 |
7.7 | 高分子造形によるレーザー素子の作製 |
7.8 | おわりに |
8 | ホログラフィック光記録 |
8.1 | はじめに |
8.2 | ホログラム形成のメカニズム |
8.3 | ホログラフィック光記録の実験例 |
8.4 | おわりに |
9 | 光物性に関するその他の研究 |
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第2章 | バイオメディカル機能と応用技術 |
1 | はじめに |
2 | 生体適合性デンドリマー |
2.1 | 生分解性デンドリマー |
2.2 | ポリエチレングリコールと関連した構造を持つデンドリマー |
2.3 | デンドリマーの毒性 |
3 | デンドリマーのドラッグデリバリーシステムへの応用 |
3.1 | 薬物を結合したデンドリマー |
3.2 | デンドリマーの中性子捕捉療法への応用 |
4 | デンドリマーのナノカプセルとしての機能 |
4.1 | デンドリマーによる薬物のカプセル化 |
4.2 | シェル構造を持つナノカプセル型デンドリマー |
4.3 | 刺激応答性デンドリマー |
5 | デンドリマーの体内挙動の制御 |
5.1 | デンドリマーの体内動態 |
5.2 | デンドリマーの標的指向化 |
5.3 | デンドリマーの経口投与 |
6 | デンドリマーの光力学療法への応用 |
7 | デンドリマーの免疫への応用(多価抗原ワクチン) |
8 | デンドリマーの遺伝子デリバリーへの応用 |
8.1 | デンドリマーを用いた遺伝子ベクターの設計 |
8.2 | デンドリマーの遺伝子導入活性 |
8.3 | デンドリマーの遺伝子導入メカニズム |
8.4 | 遺伝子デリバリーのための機能性デンドリマー |
8.5 | デンドリマー脂質 |
9 | デンドリマー医薬 |
9.1 | デンドリマー抗ウイルス剤 |
9.2 | デンドリマー抗菌剤 |
9.3 | その他のデンドリマー医薬 |
10 | おわりに |
11 | MRI造影剤へのデンドリマーの利用 |
11.1 | MRI造影剤の要件 |
11.2 | Gd3+錯体の高分子量化とデンドリマー骨格の利用 |
11.3 | デンドリマーGd3+錯体の研究例 |
11.4 | その他のデンドリマーMRI造影剤と生物学的試験 |
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第3章 | 有機・無機ハイブリッド |
1 | はじめに |
2 | デンドリマー金属錯体:精密金属集積を利用した次世代有機−金属 ハイブリッドナノ材料 |
2.1 | はじめに |
2.2 | デンドリマー金属錯体 |
2.3 | 精密金属集積高分子 |
2.4 | おわりに |
3 | 有機遷移金属デンドリマー |
3.1 | はじめに |
3.2 | フェロセンを含むデンドリマー |
3.3 | 有機遷移金属錯体に特徴的な反応を利用したデンドリマー合成と機能 |
3.4 | おわりに |
4 | 金属ナノ粒子 |
4.1 | はじめに |
4.2 | 金属ナノ粒子内包デンドリマー |
4.3 | デンドリマー金属ナノ粒子ナノコンポジット |
4.4 | デンドリマーと金属ナノ粒子との3次元組織体 |
4.5 | 金属ナノ粒子コアデンドリマー |
4.6 | おわりに |
5 | デンドリティック触媒 |
5.1 | はじめに |
5.2 | デンドリマーナノ粒子の触媒作用 |
5.3 | 均一系デンドリマー触媒 |
5.4 | おわりに |
6 | 有機・無機複合体 |
6.1 | はじめに |
6.2 | デンドリマーを鋳型とした多孔質シリカの合成 |
6.3 | テンプレートミネラリゼーション |
6.4 | カルボキシレート末端デンドリマーによる炭酸カルシウム結晶化制御 |
6.5 | デンドリマー会合体を用いた炭酸カルシウム形成 |
6.6 | シリカミネラリゼーション |
6.7 | デンドロン被覆無機物 |
6.8 | フラロデンドリマー |
6.9 | フラーレンをコアに有するフラロデンドリマー |
6.10 | 組織化 |
6.11 | 光化学的性質 |
6.12 | 表面部位または分岐鎖にフラーレンを有するフラロデンドリマー |
6.13 | 可逆的なフラロデンドリマー |
6.14 | カーボンナノチューブ |
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第4章 | 表面 |
1 | はじめに |
2 | 超薄膜の調製と構造・物性解析 |
2.1 | 試料 |
2.2 | 水面上での両親媒性PAMAMの単分子膜挙動 |
2.3 | 固体基板上に調製した両親媒性PAMAM超薄膜の凝集状態 |
2.4 | 固体基板上に調製した両親媒性PAMAM超薄膜の分子運動性 |
3 | 表面・界面改質剤としての応用 |
3.1 | 試料 |
3.2 | ブレンド膜表面の形態と組成 |
3.3 | ブレンド膜中における多分岐高分子の組成 |
3.4 | シミュレーションによる混合膜中での多分岐高分子の組成 |
4 | おわりに |
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