本書は植物を一つの複雑システムと捉え、理工農を越えて学際的に様々な階層レベルに存在する様々な研究ニーズ・技術ニーズの基礎と応用、さらには初学者の知的好奇心までも満足させることを目標に編集された。
植物特有の形、自己組織化機能、自己増殖修復機能、学習などのダイナミクスや形成機構の解明、植物間の種々の相互作用から想定される植物の生存・成長・分化機能の解明など純学問的探求を通して、植物が呈す全ての性質を可能な限り人工的に模倣・応用し、最終目標として、遺伝子の発現を介した植物の機能や形態の発現プロセスそのものがどのように人工物として応用できるかに対するヒントや回答を示すことができればと期待している。
生物のもつ機能には、人工的につくったものに比べ格段に機能的であり有用であるものが多い。それにもかかわらず、現在の科学技術ではまだ実現できないほど複雑で巧妙なものがほとんどである。このような巧妙な仕組みを如何に実現するか、どのように人工的に作り上げるかあるいは模倣するかが、21世紀の科学技術の重要な課題としてもち上がっている。この生物の機能や有用な構造を人工的に模倣することを“バイオミメティックス”と呼ぶ。その“ミメティクス”の概念を最初に拡張して世に問うたものが、“バイオミメティックス・ハンドブック”(エヌ・ティー・エス)であり、その続編の一つとして、本書は植物の構造や機能を“ミメティック”しようと企画された。
植物に限らず生物の研究には、遺伝子レベルから個体・生態レベルまでの様々な階層の研究がある。これは私の専門分野(物理学)で言えば、素粒子研究からマクロ物性研究(例えば、電気伝導度、粘性、弾性など物質の特性の起源の研究)までに相当する。これまでの物理学の「素粒子が分かれば全ての物質が分かる」という要素還元論的発想は、ある意味で現代生物学の「遺伝子が分かれば生物が分かる」という発想と繋がる。生物が要素還元論的でないことは自明であるが、確かに本質を遺伝子に求め帰着させることは、素粒子論同様に純学問的で大変に重要である。しかし、それだけではただちに様々な階層レベルに存在する様々な研究ニーズや他分野までを包含するニーズを満足できないうえに、生物を理解してそれを利用する方向には進まない。例えば、工学者(技術者)にとって、素粒子の理解がいくら進展しようがその本質論にはあまり興味がなく、物質のマクロ物性を解明し、それを応用できれば十分である。さらに言えば、実用的応用まで到達するには、様々な階層・分野の研究・開発と種々の技術が必要である。例えば、物性研究者が半導体の機構を解明し、それを基に新規な半導体を考案し、電子工学の研究者・技術者がその性質を利用して素子をつくり回路を設計し、各分野の技術者集団が総合してコンピューターや携帯電話を生み出す。このように実用レベルに進むにつれて関与する学問・研究の裾野は次第に広くなってくる。これと同様に、将来、生物を工学的・人工的に応用しようとすると、必然的に多くの分野の研究者・技術者の関与が必要となってくることは明白である。そこで、そのための準備として、まず遠くはなれた各分野で個別に連携なく行われていた多くの生物研究の系統的な整理と体系的な位置づけがなされることが必要と思われる。
20世紀末から遺伝子解明の進展に伴って、ゲノムサイエンスからポストゲノムサイエンスへと関心が移ってきている。その代表例が、ゲノムからトランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームそしてこれらを網羅的に解明しようとするオミックスであろう。それは、例えば、遺伝子の解明から生物の部品を探り、そこから生命の機能や形態を組み立てようとする科学である。しかしながら、単に要素還元して部品(遺伝子の塩基配列やタンパク質の機能)を解明し、それを組み立てても目的とする生命機能は生まれないことが、複雑システムの特徴である。すなわち部品の間の静的・動的相互作用いわゆる関係学が理解されなければ、生命を理解したことにはならない。このように時間的な要素も導入した上で、生物の機能を考える必要があり、これらを総称してシステムバイオロジーと呼ぶ。これは物理の要素還元論とは異なり、生物を複雑なシステムとして理解しようという立場にたって、生物機能をデザインしようと試みるもので、ダイナミクスの模倣まで含んだある種のバイオミメティックスである。ここでも、現在、非常に広い分野に裾野を広げつつある。
本書は、上述のような背景に沿って、植物を対象にした先進的なバイオミメティックスすなわち「プラントミメティックス」という新しい切り口で編集されている。したがって、ここでは、古典的なバイオミメティックス(静的な生物模倣)の概念に加えて、新しい概念(動的な生物模倣)を導入した。古典的な植物バイオミメティックスの一例は、ボタン代わりにしばしば使われるマジックテープに代表される。これはオオオナモミに代表されるような草むらに入るとセーターなどにくっつく植物の仕掛けを模倣したものである。あるいはエノコログサ(ネコじゃらし)や食虫植物のもつ構造や機能をアクチュエーターや輸送手段として応用した例などがある。しかし本書では、ミメティックスの概念をさらに拡大させ、植物のもつ関係学まで模倣しようという立場である。例えば、師管や道管が切断された場合に周囲の細胞が分化しそれを補う、いわゆるフェイルフリーを生み出すダイナミクスまでも真似ようというものである。つまり、植物特有の形、自己組織化機能、自己増殖修復機能、学習などのダイナミクスや形成機構の解明、植物間の種々の相互作用から想定される植物の生存・成長・分化機能の解明など純学問的探求を通して、植物が呈す全ての性質を可能な限り人工的に模倣・応用しようという提案である。その観点から本書の最終目標として、遺伝子の発現を介した植物の機能や形態の発現プロセスそのものがどのように人工物として応用できるかに対するヒントや回答を与えることができればと期待している。
このように、本書は、単に植物の工学利用を目的としたものでも、一部の関連分野の専門家(例えば、植物学、生物工学など)のみを対象にして企画・編集されたものでもない。むしろ、システムバイオロジーの基本的な考え方と同様、植物を一つの複雑システムと捉え、理工農を越えて学際的に様々な階層レベルに存在する様々な研究ニーズ・技術ニーズの基礎と応用、さらには初学者の知的好奇心までも満足させることを目標に編集された。したがって、多種多様な分野・階層の読者に、できれば裾野を広げて一般の読者も含めて、興味をもって読んでもらえるように、様々な分野の相互関係を編集会議で十分議論し、編・章・項目設定を工夫して構成したつもりである。その結果、まず、これまで各分野で行われていた植物関連の研究をまとめて整理し、分野に横断的な基礎に相当する部分は、各分野でどのように進められていたかを概観できるように基礎編に配置し、いくぶん専門的・個別的な話題を応用編として項目ごとにまとめた。また、一般読者にも十分興味を持って頂くために、ところどころに意外性のある話題をコラムとして挿入している。ただ、現時点では欠けている項目や話題もあり、また必ずしも本書の全てが、いわゆる“ミメティック”と呼ばれる範疇に入るものではない点、不満な読者もおられることと推察する。しかし、むしろそれ故、最初に述べたように本書での新しい考え方やアプローチの仕方を発展させて、実際に“ミメティック”を開花させていくには、読者諸兄姉の力によるところが大きいと考えている。この点監修者・編集者の心意気をくみ取って頂き、願わくは、このハンドブックを契機に、「プラントミメティックス」という概念が芽吹いて定着し、新しい学術研究分野・応用分野として認知・開拓されることを、監修者ならびに編集者一同おおいに切望するところである。
最後に、本書は、監修者の何気ない一言をエヌ・ティー・エス編集企画部の松風まさみ氏が真摯に捉えて下さり実現しようと努力されたもので、同氏の絶え間ないはげましと尽力そして迅速な活動に支えられて陽の目をみたものである。同氏をはじめとして無理難題を聞き快く応じて下さった執筆者の各位ならびに本書の出版企画に理解を示し推進して下さったエヌ・ティー・エスの吉田隆社長にあわせて深甚なる謝意を表する。
監修者・編集者を代表して 平成18年6月 甲斐昌一
| |
柘植知彦 | 京都大学化学研究所助手 |
塚谷裕一 | 東京大学大学院理学系研究科教授・自然科学研究機構基礎生物学研究所客員教授 |
後藤弘爾 | 岡山県生物科学総合研究所 |
山越憲一 | 金沢大学大学院自然科学研究科教授 |
本多久夫 | 兵庫大学健康科学部教授 |
甲斐昌一 | 九州大学大学院工学研究院エネルギー量子工学部門応用物理学講座教授 |
横沢正幸 | (独)農業環境技術研究所大気環境研究領域主任研究員 |
西浦廉政 | 北海道大学電子科学研究所情報数理研究分野教授 |
大椙弘順 | 静岡理工科大学理工学部情報システム学科助教授 |
上田哲男 | 北海道大学電子科学研究所教授 |
木清二 | 北海道大学電子科学研究所助手 |
田中基八郎 | 埼玉大学工学部機械工学科教授 |
野島武敏 | 京都大学大学院工学研究科物理工学科マイクロエンジニアリング専攻助手 |
小林秀敏 | 大阪大学大学院基礎工学研究科機能創成専攻教授 |
福田裕穂 | 東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻植物科学大講座教授 |
大野克嗣 | Department of Physics and Institute for Genomic Biology University of Illinois at Urbana- Champaign |
関山哲雄 | 東京農業大学客員教授 |
渡辺雄一郎 | 東京大学大学院総合文化研究科助教授 |
福田弘和 | 大阪府立大学大学院生命環境科学研究科助手 |
村瀬治比古 | 大阪府立大学大学院生命環境科学研究科教綬 |
唐原一郎 | 富山大学大学院理工学研究科生物学専攻助教授 |
酒井英男 | 富山大学大学院理工学研究科地球科学専攻教授 |
神阪盛一郎 | 富山大学大学院理工学研究科生物学専攻客員教授 |
深城英弘 | 神戸大学理学部生物学科助教授 |
武井兼太郎 | (独)理化学研究所植物科学研究センター生産制御研究チーム研究員 |
榊原均 | (独)理化学研究所植物科学研究センター生産制御研究チームチームリーダー |
仲下英雄 | (独)理化学研究所中央研究所先任研究員 |
松林嘉克 | 名古屋大学大学院生命農学研究科助教授 |
森川弘道 | 広島大学大学院理学研究科数理分子生命理学専攻教授・(独)科学技術振興機構(CREST) |
高橋美佐 | 広島大学大学院理学研究科数理分子生命理学専攻・(独)科学技術振興機構(CREST) |
松原俊之 | (独)科学技術振興機構(CREST) |
坂本敦 | 広島大学大学院理学研究科数理分子生命理学専攻・(独)科学技術振興機構(CREST) |
柳澤修一 | 東京大学大学院農学生命科学研究科助教授 |
田茂井政宏 | 近畿大学農学部バイオサイエンス学科講師 |
重岡成 | 近畿大学農学部バイオサイエンス学科教授 |
蘆田弘樹 | 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科助手 |
横田明穗 | 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科教授 |
井上和仁 | 神奈川大学理学部教授・東京大学大学院理学系研究科客員教授 |
久堀徹 | 東京工業大学資源化学研究所助教授 |
田副雄士 | 大阪大学大学院理学研究科生物科学専攻 |
寺島一郎 | 東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻教授 |
水谷正治 | 京都大学化学研究所生体機能化学系生体触媒化学 |
倉澤香澄 | 東北大学大学院生命科学研究科 |
横山隆亮 | 東北大学大学院生命科学研究科講師 |
西谷和彦 | 東北大学大学院生命科学研究科教授 |
酒井敦 | 奈良女子大学理学部助教授 |
黒柳美和 | 京都大学大学院理学研究科生物科学専攻 |
西村いくこ | 京都大学大学院理学研究科生物科学専攻教授 |
松島良 | 岡山大学資源生物科学研究所 |
嶋田知生 | 京都大学大学院理学研究科 |
舩岡正光 | 三重大学大学院生物資源学研究科教授 |
部圭司 | 京都大学大学院農学研究科森林科学専攻助教授 |
岡本秀穗 | 鳥取大学地域共同研究センター客員教授・社団法人近畿化学協会化学技術アドバイザー・マイクロ・テクノ・リサーチ(Mtr)代表 |
矢尾真樹 | 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科 |
橋本隆 | 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科教授 |
湯本貴和 | 総合地球環境学研究所研究部教授 |
森田(寺尾)美代 | 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科助教授 |
山下博史 | 京都府立大学人間環境学部環境情報学科応用生物学研究室助手 |
椎名隆 | 京都府立大学人間環境学部環境情報学科応用生物学研究室教授 |
徳富哲 | 大阪府立大学大学院理学系研究科生物科学専攻教授 |
吉原静恵 | 大阪府立大学大学院理学系研究科生物科学専攻助手 |
岩坂正和 | 千葉大学工学部メディカルシステム工学科助教授 |
大橋祐子 | (独)農業生物資源研究所植物・微生物間相互作用研究ユニット特待研究員 |
戸高大輔 | (独)国際農林水産業研究センター生物資源領域特別研究員 |
篠崎和子 | 東京大学大学院農学生命科学研究科教授・(独)国際農林水産業研究センター生物資源領域特定研究主査 |
橋本博文 | 筑波大学大学院システム情報工学研究科講師 |
荒木崇 | 京都大学大学院生命科学研究科統合生命科学専攻教授 |
高倍鉄子 | 名古屋大学大学院生命農学研究科 |
高倍知子 | 名古屋大学大学院環境学研究科 |
渡辺正夫 | 東北大学大学院生命科学研究科植物生殖遺伝分野教授 |
高山誠司 | 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科細胞間情報学講座教授 |
東山哲也 | 東京大学大学院理学系研究科助手 |
松川哲也 | 近畿大学生物理工学部生物工学科講師 |
石原亨 | 京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻助手 |
岩村俶 | 近畿大学生物理工学部生物工学科教授 |
道家紀志 | 名古屋大学名誉教授 |
光原一朗 | (独)農業生物資源研究所植物科学研究領域植物・微生物間相互研究ユニット主任研究員 |
松井健二 | 山口大学大学院医学系研究科(農学部)教授 |
佐野孝太 | 曽田香料(株)フレグランス事業部フレグランス研究室長 |
今野浩太郎 | (独)農業生物資源研究所昆虫科学研究領域昆虫─昆虫・植物間相互作用研究ユニット主任研究員 |
片山昇 | 京都大学生態学研究センター研究員 |
林純示 | 京都大学生態学研究センター教授 |
三村徹郎 | 神戸大学理学部生物学科教授 |
長谷川剛 | 筑波大学大学院生命環境科学研究科研究員 |
山田小須弥 | 筑波大学大学院生命環境科学研究科助手 |
繁森英幸 | 筑波大学大学院生命環境科学研究科助教授 |
長谷川宏司 | 筑波大学大学院生命環境科学研究科教授 |
大串隆之 | 京都大学生態学研究センター教授 |
谷田貝光克 | 秋田県立大学木材高度加工研究所教授 |
塩尻かおり | 京都大学生態学研究センター特別研究員 |
西田律夫 | 京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻教授 |
藤井義晴 | (独)農業環境技術研究所上席研究員 |
斎藤勝晴 | 信州大学農学部助教授 |
川口正代司 | 東京大学大学院理学系研究科助教授 |
幸島司郎 | 東京工業大学大学院生命理工学研究科生体システム専攻助教授 |
小林左和 | 東京工業大学大学院生命理工学研究科生体システム専攻 |
岡部弘高 | 九州大学大学院工学研究院エネルギー量子工学部門助教授 |
川畑龍三 | (株)日立製作所中央研究所研究員 |
河野昭一 | 京都大学名誉教授・国際自然保護連合(IUCN)委員 |
田中憲蔵 | (独)森林総合研究所国際連携推進拠点研究員 |
市栄智明 | 高知大学農学部森林科学科助教授 |
八田洋章 | 国立科学博物館筑波実験植物園主任研究官 |
時田恵一郎 | 大阪大学サイバーメディアセンター助教授 |
丑丸敦史 | 神戸大学発達科学部助教授 |
岡本素治 | 元大阪自然史博物館 |
高槻成紀 | 東京大学総合研究博物館助教授 |
片井修 | 京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻教授 |
Shigueo Nomura | 京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻外国人特別研究員 |
横森貴 | 早稲田大学教育・総合科学学術院教授 |
土居洋文 | セレスター・レキシコ・サイエンシズ(株)代表取締役 |
辻正基 | 東海大学開発工学部教授 |
原敏夫 | 九州大学大学院農学研究院遺伝子資源工学部門助教授 |
若山樹 | (独)産業技術総合研究所セルエンジニアリング研究部門客員研究員 |
銭東金 | 中国復旦大学化工系生物工学研究所教授 |
中村史 | (独)産業技術総合研究所セルエンジニアリング研究部門主任研究員 |
三宅淳 | (独)産業技術総合研究所セルエンジニアリング研究部門総括研究員 |
田中重雄 | 東京農業大学応用生物科学部バイオサイエンス学科教授 |
坂田洋一 | 東京農業大学応用生物科学部バイオサイエンス学科講師 |
太治輝昭 | 東京農業大学応用生物科学部バイオサイエンス学科助手 |
山本千草 | 東京農業大学応用生物科学部バイオサイエンス学科 |
西村実 | (株)日本総合研究所創発戦略センター上席主任研究員 |
| |
第1編 総論基礎編 |
|
|
第1章 形と構造 |
|
第1節 | 植物のモジュールと配置─シュート |
1 | はじめに |
2 | シュート構造をモジュール化する:パイプモデル |
3 | シュートを構成する基本モジュール:ファイトマー(phytomer) |
4 | 葉を構成するモジュール:細胞 |
5 | さいごに |
|
第2節 | 花の発生と形態形成 |
1 | はじめに |
2 | 花の発生を説明する二つの統一原理 |
3 | 花の発生過程 |
4 | メリステムアイデンティティ遺伝子 |
5 | 花器官のアイデンティティ遺伝子 |
6 | 花のメリステムアイデンティティ遺伝子による花器官のアイデンティティ遺伝子の発現誘導 |
7 | ABC遺伝子間の相互作用 |
8 | おわりに |
|
第3節 | 樹木の枝の形態と力学的適応性 |
1 | はじめに:生物理解のアプローチ |
2 | 生物の形と機能について |
3 | 樹木の枝の形態と規則性 |
4 | 環境に適応して変化する樹木の枝の形態 |
5 | 樹木の枝の最適構造 |
6 | 成長過程における枝の形態適応 |
7 | 応力感知機構と適応成長 |
8 | おわりに |
|
第4節 | 樹木の形 |
1 | 樹木は形を付加しながら成長する |
2 | 樹形のコンピュータシミュレーション |
3 | 樹木の形態を内因的に決めている要因─葉序 |
4 | 内的要因を変更する要因─重力 |
5 | 重力がある時の樹木の形 |
6 | おわりに |
|
第5節 | 植物のパターン形成と自己組織化 |
1 | 高等植物の生活環 |
2 | 植物ホルモンと発芽 |
3 | 栄養生長とマクロモデル |
4 | 植生パターンとそのホルモン律速モデル |
5 | 水ストレスに依存した自己組織化パターン形成 |
6 | おわりに |
|
第6節 | 植物群集における空間分布パターン |
1 | はじめに |
2 | 植物個体群の競合と垂直分布 |
3 | 植物個体群の競合と水平分布 |
4 | おわりに |
|
第7節 | 生まれるパターン・広がるパターン・ぶつかるパターン |
1 | 生物におけるダイナミックな不安定性 |
2 | 対称性破壊と分枝 |
3 | 生まれるパターン |
4 | 広がるパターン |
5 | 不安定解からみる複雑ダイナミクス |
|
第8節 | 全能性細胞導入による自己修復工学システム |
1 | はじめに |
2 | 単純化した細胞間相互作用ルールを用いた自己組織化と再生を行う数理モデルのシミュレーション |
3 | ネットワークを利用した自己修復する工学システムの構築 |
|
第9節 | 粘菌の行動と形態形成:パターンダイナミクスと情報創発 |
1 | 粘菌 |
2 | 細胞運動 |
3 | 行動 |
4 | 情報統合・判断の化学モデル |
5 | 細胞行動の選択に伴う化学パターンの遷移 |
6 | ダイナミックパターン |
7 | 回転ラセン波と位相波の生理機能 |
8 | 細胞形状変化に基づく“計算” |
9 | 大規模輸送ネットワーク形成 |
|
第10節 | 植物構造のかたちと力学ー植物のデザインー |
1 | はじめに |
2 | 環境条件・荷重条件 |
3 | 運動 |
4 | 基本的な構造設計 |
5 | おわりに |
|
第11節 | 植物に見るらせん模様の解析とその工学への応用 |
1 | 緒言 |
2 | 黄金角、黄金比、フィボナチ数と植物に見られるらせん模様 |
3 | 葉序に学ぶ軸方向に折りたたみ可能な円筒の設計 |
4 | 円形域での非対称らせん模様による種子の配列の幾何学と折りたたみ構造 |
5 | 朝顔の蕾の巻き取り法のモデル化とその一般化 |
6 | まとめ |
|
第12節 | 植物の葉の形と力学特性 |
1 | はじめに |
2 | 葉の形状と相似性 |
3 | 葉身と葉脈の力学的特性と葉脈分布 |
4 | 羽状脈系の葉の断面に見られるV字構造と葉のアスペクト比 |
5 | おわりに |
|
コラム1細胞は自分の形を知ってパターンを作る |
コラム2カラオケと自己組織化 |
コラム3不思議な沈殿模様と太陽系 |
コラム4複雑系研究から見た植物 |
|
第2章 情報と輸送 |
|
第1節 | 環境ストレス下の植物生理情報の計測 |
1 | はじめに |
2 | 葉温の変動現象 |
3 | 茎の膨縮現象 |
4 | 光電反応 |
5 | むすび |
|
第2節 | 維管束ネットワークと長距離輸送 |
1 | はじめに |
2 | 維管束 |
3 | 篩管における物質輸送 |
4 | 道管・仮道管における物質輸送 |
5 | 篩管内を流れる物質 |
6 | 原生木部・後生木部 |
7 | 維管束ネットワーク |
8 | 道管・仮道管の連続的な形成を支配する分子 |
9 | おわりに |
|
第3節 | 原形質連絡─植物細胞間のユニークなコミュニケーション |
1 | 組織間連絡の例─組織間を高分子が移動する |
2 | アポプラスト系/シンプラスト系と原形質連絡 |
3 | 原形質連絡を移行するタンパク質、核酸 |
4 | 植物ウイルスも原形質連絡を通って移行する |
5 | 原形質連絡を構成する植物因子の探索 |
|
第4節 | 植物のサーカディアンリズム形成 |
1 | はじめに |
2 | サーカディアンリズムの特徴 |
3 | 細胞レベルのサーカディアンリズム形成 |
4 | 個体レベルのサーカディアンリズム形成 |
5 | 植物サーカディアンリズムの制御 |
6 | おわりに |
|
第5節 | 生体と磁場 ─その基礎編─ |
1 | 導入 |
2 | 磁場とは |
3 | 研究の背景 |
4 | 植物に対する磁場の影響と方法論 |
5 | 植物における磁気受容のメカニズムについて |
6 | 今後の課題 |
|
第2編 植物の制御と代謝 |
|
|
第1章 制御とホルモン |
|
第1節 | 植物ホルモン―物理化学的性質とシグナル伝達 |
1 | はじめに |
2 | 植物ホルモンの種類 |
3 | 植物ホルモンの合成 |
4 | 植物ホルモンの受容体 |
5 | 否定の否定は肯定─植物ホルモンのシグナル伝達 |
6 | 植物ホルモンの機能の多様性 |
7 | さいごに |
|
第2節 | オーキシン極性輸送と植物の形づくり |
1 | はじめに |
2 | オーキシンの輸送 |
3 | オーキシン取り込み輸送に必要なAUX1タンパク質 |
4 | オーキシン排出輸送を促進するPINタンパク質ファミリー |
5 | 植物の形態形成におけるオーキシン輸送ルート |
6 | PINタンパク質の細胞内局在の調節機構 |
7 | オーキシン極性輸送を触媒するMDR/PGPタンパク質 |
8 | おわりに:オーキシンはモルフォゲンか? |
|
第3節 | 植物ホルモンを介して窒素情報を伝える |
1 | はじめに |
2 | 窒素シグナルとしての硝酸イオン |
3 | 窒素栄養とサイトカイニン |
|
第4節 | 植物のプロスタグランジンとアスピリン─ジャスモン酸とサリチル酸 |
1 | はじめに |
2 | ジャスモン酸の化学と生合成 |
3 | ジャスモン酸の作用 |
4 | サリチル酸の化学と生合成 |
5 | サリチル酸の作用 |
6 | ジャスモン酸とサリチル酸の相互作用 |
7 | おわりに |
|
第5節 | 植物における分泌型生理活性ペプチド |
1 | はじめに |
2 | ファイトスルフォカイン |
3 | システミン |
4 | SCR/SP11 |
5 | Rapid alkalinization factor(RALF) |
6 | 分泌型ペプチドをコードする遺伝子群 |
7 | プロセシングと翻訳後修飾 |
|
コラム5 雑音が助ける生体情報の伝達 |
|
第2章 エネルギーと代謝 |
|
第1節 | UNを作る新しい窒素代謝系 |
1 | 問題の発端:合わない足し算 |
2 | 二酸化窒素の作るUN |
3 | 硝酸の作るUN |
4 | UN化合物とはどのようなものか |
5 | UN化合物の構造と新しい窒素代謝経路 |
6 | 「NO作用の実体を担う物質」とUN化合物との合流 |
|
第2節 | 転写因子による代謝の一括制御 |
1 | はじめに |
2 | Dof転写因子と窒素同化経路 |
3 | Dof1遺伝子導入植物 |
4 | おわりに |
|
第3節 | カルビンサイクルの制御 |
1 | はじめに |
2 | カルビンサイクルの律速因子 |
3 | FBPaseおよびSBPase導入(過剰発現)植物による炭素代謝の評価 |
4 | レドックス制御の重要性 |
5 | 種々の調節因子による制御 |
6 | カルビンサイクルに関連する炭素代謝系の制御 |
7 | 将来展望 |
|
第4節 | 光合成CO2固定酵素RuBisCO |
1 | RuBisCOの構造と生合成 |
2 | RuBisCOの活性化とRuBisCOアクチベース |
3 | RuBisCOの触媒反応とそのメカニズム |
4 | RuBisCOの酵素学的性質 |
5 | RuBisCO研究の最前線 |
|
第5節 | 光エネルギーの化学エネルギーへの変換 |
1 | 光化学系 |
2 | 光リン酸化 |
|
第6節 | CO2濃縮 |
1 | はじめに |
2 | C4植物のCO2濃縮機構 |
3 | CO2の漏れ |
4 | 様々なCO2濃縮機構 |
|
第7節 | 二次代謝の多様性とP450 |
1 | はじめに |
2 | 植物のシトクロムP450 |
3 | フェニルプロパノイド |
4 | 青酸配糖体とグルコシノレート |
5 | テルペノイド |
6 | アルカロイド |
7 | 二次代謝の多様化とP450 |
|
第3編 機能応用編 |
|
|
第1章 細胞壁と細胞 |
|
第1節 | 植物細胞壁構造の多様性と動態─ゲノム情報からのアプローチ |
1 | はじめに |
2 | 超分子としての細胞壁構造 |
3 | 細胞壁構造の多様性を生み出す機構 |
4 | 細胞壁構築における自己組織化と自己修復 |
5 | おわりに |
|
第2節 | 葉緑体と色素体(色素体七変化) |
1 | 色素体とは |
2 | 色素体の起源 |
3 | 色素体の「半自律性」 |
4 | 色素体の多様性 |
5 | 色素体の機能制御 |
6 | 色素体はなぜ独自のDNAを保持しているのか? |
|
第3節 | 高等植物における液胞の多機能性 |
1 | はじめに |
2 | 液胞の機能変換 |
3 | 液胞の機能分化を支える小胞輸送機構 |
4 | 液胞の機能変換を制御する液胞プロセシング酵素 |
5 | 液胞が関与する植物の細胞死機構 |
6 | おわりに |
|
第4節 | 植物の小胞体由来の構造体 |
1 | 小胞体 |
2 | 植物における小胞体に由来する構造体 |
3 | ER body |
4 | おわりに |
|
第2章 組織と器官(木、竹、つる、草) |
|
第1節 | 樹木の循環設計とその応用 |
1 | 生態系における炭素の流れ |
2 | 樹木の環境応答性と持続性 |
3 | リグニンの機能とその長期循環設計 |
4 | 樹木を精密に分子にほぐす〜新しい変換システムの誕生〜 |
5 | リグニンを次世代に渡す〜分子スイッチの設計〜 |
6 | 森林資源の新しい展開 |
7 | 森林と持続的社会 |
|
コラム6新月の木“樹木の生理を利用した木材生産” |
|
第2節 | 竹の構造とバイオミメティックスへの展開 |
1 | はじめに |
2 | 竹の力学的な構造形態 |
3 | 複合材料の繊維分布の最適設計 |
4 | バイオミメティック・デザインへの展開 |
5 | おわりに |
|
第3節 | つる性植物の特性 |
1 | つる性植物の戦略 |
2 | つる性植物の研究と利用 |
3 | つるの巻きつき方 |
4 | 植物に見られるねじれ構造 |
5 | シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のねじれ変異株 |
6 | 微小管動態の観察法 |
7 | ねじれと微小管動態 |
8 | 微小管関連以外が原因でねじれるシロイヌナズナの変異株 |
9 | 微小管が制御するねじれの方向性モデル |
|
第4節 | 高木・つる・着生・寄生─熱帯雨林でのさまざまな植物の生き方─ |
1 | 森林の垂直構造 |
2 | 熱帯雨林の動態と維持 |
3 | 環境の異なる林床と林冠 |
4 | つると着生という生き方 |
5 | 絞め殺し植物 |
6 | 高木間の競争 |
7 | 光合成しない植物たち |
|
第3章 刺激と応答 |
|
第1節 | 重力屈性における重力感受 |
1 | はじめに |
2 | 重力感受細胞 |
3 | 重力方向の感知 |
4 | 平衡石の移動と器官の応答 |
5 | 重力感受における細胞内膜系の関与 |
6 | 平衡石以外による重力感受の可能性 |
7 | 重力刺激の細胞内シグナルへの変換 |
8 | 感受細胞におけるオーキシン極性輸送 |
9 | おわりに |
|
第2節 | 接触傾性運動─食虫植物の捕虫メカニズム─ |
1 | はじめに |
2 | ハエジゴクの虫捕り罠 |
3 | 刺激の受容と伝達 |
4 | 感覚毛と受容器電位 |
5 | 植物細胞の活動電位 |
6 | 速い運動の分子機構 |
7 | おわりに |
|
第3節 | 植物光センサータンパク質 |
1 | 植物の眼 |
2 | 植物フィトクロム |
3 | バクテリオフィトクロム |
4 | ネオクロム |
5 | LOV光センサー |
6 | クリプトクロム |
7 | おわりに |
|
第4節 | 磁場応答〜植物における磁場応答の物理化学的メカニズム〜 |
1 | 植物への磁場効果メカニズム研究の背景 |
2 | 直流磁場の作用メカニズムと植物応答 |
3 | 反磁性磁気トルク |
4 | 植物における化学反応に対する磁場効果 |
5 | 時間変動磁場の作用メカニズムと植物応答 |
6 | 磁気物理化学的メカニズム研究の今後 |
|
第5節 | 傷害、病害ストレス応答 |
1 | はじめに |
2 | 傷害ストレス応答 |
3 | 病害ストレス応答 |
4 | LARにおけるSARとWSRの共存 |
|
第6節 | 乾燥ストレスと低温ストレス応答 |
1 | はじめに |
2 | 乾燥、低温ストレスに対する応答機構の解明 |
3 | 乾燥・塩ストレス耐性植物の開発 |
4 | おわりに |
|
第7節 | 大気中のNOXは植物を“元気付ける”シグナルである |
1 | 動物におけるNOシグナリング |
2 | 植物におけるNOシグナリング |
3 | 外因性と内因性 |
4 | バイタリゼーション・シグナル効果 |
|
第8節 | 宇宙に挑む植物種子 |
1 | はじめに |
2 | 種子の真空曝露耐性 |
3 | 低圧環境下での発芽 |
|
第9節 | 花成誘導と花成シグナル |
1 | 植物の生活環における花成 |
2 | 花成の時期を調節することの適応的意義 |
3 | 花成の時期を調節する様々な要因 |
4 | 花成の時期を調節する制御経路 |
5 | 長距離作用性花成シグナルとその実体 |
|
コラム7植物は少しストレスを与えたほうがより強くなる |
コラム8深刻な環境変化にどう対応するか?植物 |
|
第4章 自己認識と他者認識 |
|
第1節 | 自家不和合性と自他識別機構 |
1 | はじめに |
2 | 自家不和合性の分類 |
3 | 配偶体型自家不和合性とその分子認識機構 |
4 | 胞子体型自家不和合性とその分子認識機構 |
5 | 異形花型自家不和合性 |
6 | さいごに |
|
第2節 | 受精のメカニズム |
1 | はじめに |
2 | 花粉管ガイダンスの多段階制御 |
3 | 水の濃度勾配と柱頭 |
4 | メカニカルガイダンスと花柱 |
5 | ケモアトラクションと子房 |
6 | 多精拒否・リパルション |
7 | 電気的ガイダンス |
8 | 生殖隔離障壁と自他認識 |
9 | おわりに |
|
第3節 | 体外受精 |
1 | はじめに |
2 | 体外受精と母体 |
3 | in vitro受精 |
4 | 重複受精の解析における体外受精系 |
5 | おわりに |
|
第4節 | ファイトアレキシンとファイトアンティシピン |
1 | はじめに |
2 | ファイトアレキシン |
3 | ファイトアンティシピン |
4 | ファイトアレキシンとファイトアンティシピンの応用的展望 |
5 | おわりに |
|
第5節 | 異物認識と植物免疫へのシグナル伝達 |
1 | はじめに |
2 | 植物の病害抵抗性の概念 |
3 | 特異的抵抗性とHR |
4 | R遺伝子産物の構造 |
5 | R遺伝子産物による認識 |
6 | シグナルの受容・認識とオキシダティブバースト(OXB) |
7 | OXBと免疫誘導への全身的シグナル伝達 |
8 | おわりにかえて |
|
第6節 | プログラム細胞死 |
1 | プログラム細胞死とは |
2 | 植物のプログラム細胞死の種類と実行形態 |
3 | 過敏感細胞死のメカニズム |
4 | 過敏感細胞死の意義 |
5 | ウイルス感染細胞の生と死の選択 |
|
第5章 分泌と運動 |
|
第1節 | 揮発性オキシリピン類(みどりの香り) |
1 | 序論:揮発性オキシリピン類(みどりの香り)とは |
2 | 揮発性オキシリピン類(GLV)の生合成 |
3 | GLVの生物活性 |
4 | 結語 |
|
第2節 | 植物の乳液 |
1 | はじめに |
2 | 乳液を分泌する植物 |
3 | 乳液を分泌する組織 |
4 | 乳液の成分 |
5 | 乳液の機能とくに植物の昆虫の食害に対する防御的機能について |
6 | 乳液の昆虫に対する防御機構としての特質─その工学システムとしての長所と弱点 |
|
第3節 | 花外蜜腺─その生態的機能について─ |
1 | 花外蜜腺とは? |
2 | 花外蜜腺の機能 |
3 | 花外蜜分泌の誘導反応 |
4 | 花外蜜分泌のコスト |
5 | 他の防衛形質とのトレードオフ |
6 | アリを誘引する同翅目昆虫と花外蜜腺を持つ植物の相互作用 |
7 | さいごに |
|
コラム9植物由来の情報化学物質とその機能 |
|
第4節 | 食虫植物の運動 |
1 | 食虫植物とは |
2 | 食虫植物の運動機構 |
3 | 食虫植物の消化、栄養摂取機構 |
|
第5節 | 植物の運動─光屈性の分子機構 |
1 | はじめに |
2 | 光屈性の研究史 |
3 | 光屈性鍵化学物質としての光誘導性成長制御物質 |
4 | まとめ |
|
第6章 相互作用 |
|
第1節 | 植物と昆虫の相互作用 |
1 | はじめに |
2 | 生物間の相互作用 |
3 | 植物と昆虫の食う食われる関係 |
4 | 昆虫に対する植物の防衛 |
5 | 被食に対する植物の反応 |
6 | 生物群集の中での相互作用 |
7 | 生物多様性を生み出す植物と昆虫の相互作用 |
|
第2節 | 植物の揮発性成分による自己防衛 |
1 | はじめに |
2 | 植物の自己防衛の武器─フィトンチッド |
3 | 自己防衛の種類 |
4 | おわりに |
|
第3節 | 植物のかおりの生態学(化学生態系と多者生態系 |
1 | はじめに |
2 | 植物と捕食者(植食者の天敵)の相互作用を媒介する植物のかおり |
3 | 植食者間の相互作用 |
4 | 植物間の相互作用 |
5 | おわりに |
|
第4節 | 植物の化学防衛 |
1 | はじめに |
2 | 防御物質のバラエティー |
3 | 植物二次代謝物質の植食者に対する防御機能 |
4 | 植物二次代謝物質に対する植食者の適応 |
5 | 植物二次代謝物質の進化過程 |
|
第5節 | 他感作用:アレロパシー |
1 | はじめに |
2 | ムクナに含まれるl─ドーパ |
3 | ヘアリーベッチに含まれるシアナミド |
4 | ナタマメに含まれるカナバニン |
5 | ソバのカテコール化合物とアルカロイド |
6 | インカの遺留作物ヒカマのロテノン |
7 | ヒガンバナに含まれるリコリン |
8 | マリーゴールドに含まれる-テルチエニル |
9 | タデ科植物に含まれるアントラキノン系色素 |
10 | 他感作用の進化上の意義 |
11 | 他感物質を新たな除草剤・植物調節剤に利用する |
12 | 新たな他感物質と新たな作用機構の発見 |
|
第6節 | 菌根菌、根粒菌、線虫との相互作用 |
1 | はじめに |
2 | アーバスキュラー菌根の構造と菌根菌の特性 |
3 | アーバスキュラー菌根菌の感染様式 |
4 | 植物とアーバスキュラー菌根菌の相互認識 |
5 | マメ科植物と根粒菌の共生 |
6 | 共生のコモンSYMパスウェイ |
7 | ネコブセンチュウとの相互作用 |
8 | 共生系と寄生系の進化 |
|
第7節 | 植物表面の微細構造と植食者との相互作用 |
1 | はじめに |
2 | 様々な微細構造 |
3 | トリコーム(trichome) |
4 | 花外蜜腺(extrafloral nectary) |
5 | フードボディ(food body) |
6 | ドマティア(domatia) |
|
第8節 | 植物間コミュニケーションと先端計測 |
1 | はじめに |
2 | 植物の害虫防衛応答 |
3 | バイオフォトンによる先端生体計測 |
4 | 食害と防衛応答によるバイオフォトン放出 |
|
第7章 生存戦略 |
|
第1節 | 植物の繁殖戦略 |
1 | はじめに |
2 | 有性繁殖にみられる多様性 |
3 | 植物の性発現様式と繁殖効率の評価 |
4 | 植物の繁殖活動を集団レベルで把握することの重要性 |
5 | 植物体の大きさ、一世代の長さと繁殖回数の関係 |
6 | 特異な栄養繁殖様式に依存している種集団 |
7 | 前繁殖期間の長さ |
8 | 生活史過程で起こる出来事 |
9 | 植物の繁殖体分散の仕組み |
10 | 散布された種子や果実の運命 |
11 | 密度効果と発育相の変化 |
12 | 集団の維持機構としての無性繁殖の役割 |
13 | 植物の種と生活史研究のポイント |
|
コラム10葉を透かせば分かる違い─等圧葉と異圧葉─ |
|
第2節 | 木の形、森の形 |
1 | 木の形 |
2 | 森の形 |
|
第3節 | 水平構造の成立メカニズム |
1 | 水平構造とは |
2 | 種はどのように分布しているか |
3 | 構造を特徴づける統計量 |
4 | 個体数分布 |
5 | 種数─面積関係と島の生物地理学 |
6 | まとめ |
|
第4節 | 花標に学ぶ送粉共生系 |
1 | 花と昆虫の共生の証し:花標(はなしるべ)とは |
2 | 花標の種類 |
3 | 花標の進化 |
4 | 花標の適応的意義 |
5 | 花標によるだまし |
6 | 花標から学ぶこと |
|
第5節 | 種子の誕生にみるシステム革新 |
1 | はじめに |
2 | 胞子植物から種子植物へ |
3 | 種子の起源 |
4 | 裸子植物の胚選択 |
5 | 被子植物の胚選択 |
|
第6節 | 植物による草食獣の採食に対する生存戦略 |
1 | はじめに |
2 | 栄養段階における草食動物の位置づけに関する議論 |
3 | 採食に対する防衛 |
4 | 物理防衛 |
5 | 防衛のコスト |
6 | 被食補完 |
7 | 群落レベル |
|
第8章 プラントミメティックスと工学応用 |
|
第1節 | 統合的デザインとしての自然農法 |
1 | はじめに |
2 | 福岡正信の自然農法 |
3 | パーマカルチャー─オーストラリアの自然農法─ |
4 | 設計原理と環境思想の視点から |
5 | むすび |
|
第2節 | 植物の形態モデル─Lシステムの計算論─ |
1 | はじめに |
2 | Lシステム理論の基礎 |
3 | 極性と再生の機能モデル |
4 | おわりに |
|
第3節 | L Systemをゲノム生物学で |
1 | はじめに |
2 | Lシステムの原形 |
3 | Lシステムの拡張(動物初期発生) |
4 | Lシステムの拡張(植物発生・成長) |
5 | Lシステムとゲノム生物学、分子生物学 |
6 | おわりに |
|
第4節 | 植物工場 |
1 | 植物工場の意義 |
2 | 栽培光源 |
3 | LED植物工場 |
4 | 光合成反応とパルス照射 |
5 | 植物工場の課題 |
6 | 植物工場は「士農工商」 |
|
第5節 | 植物由来プラスチック |
1 | はじめに |
2 | セルロース系 |
3 | デンプン系 |
4 | リグニン系 |
5 | タンパク質系 |
6 | ポリ乳酸 |
7 | コハク酸系 |
8 | 脂肪酸系 |
9 | ポリアミノ酸 |
10 | おわりに |
|
第6節 | 壁面緑化 |
1 | はじめに |
2 | 壁面緑化 |
3 | コケを用いた壁面緑化 |
4 | コケ緑化新技術 |
5 | コケの二酸化炭素固定能力 |
|
第7節 | 光合成回路のエネルギー変換デバイスへの応用 |
1 | 緒言 |
2 | 実験操作 |
3 | 実験結果 |
4 | 結言 |
|
第8節 | 植物センサー |
1 | はじめに |
2 | 植物センサーの多様性と構造特性 |
3 | 植物センサーの応用と展開 |
|
第9節 | ファイトレメディエーション |
1 | ファイトレメディエーションとは |
2 | ファイトレメディエーションのメカニズム |
3 | カドミウム汚染土壌への適用検討 |
4 | 今後の展望 |
|
コラム11ファイトレメディエーション |