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ホログラフィー材料・応用便覧

[コードNo.07NTS179]

■体裁/ B5判・480頁
■発行/ 2007年 6月11日
(株)エヌ・ティー・エス
■定価/ 46,420円(税込価格)


本書は、ホログラフィー応用技術と材料とを簡潔に整理し、技術者および研究者そして一般の学生が両者のつながりを理解でき、ホログラフィーに興味を深め身近に考えられる契機となること、 ホログラフィー技術を応用して新しい分野を切り開こうとする研究開発者・技術者、ホログラフィーを実現するための材料の研究開発者・技術者両者ををつなぐことにより、技術発展に寄与すること、そして、ホログラフィー技術とその材料を関連づけ、本書を通じてホログラフィーの幅広い可能性を広く知らしめることを主な目的として刊行された書である。

序論

銀を主体とした写真記録材料が最も感度が高く、性能が安定しているという理由で最もよく使われていたと思われる。しかし、その特性は、通常の写真記録材料より1〜2桁高い分解能が要求され、漂白して使うことが多いなどホログラム以外にはあまり使われていない特殊性があったため、その需要は期待したほどのことはなく、ビジネスが成り立たないという理由で生産から撤退する大手メーカーが相継ぎ、遂に約10年ほど前、すべての大手メーカーが生産を中止した。最近になり、一部の写真材料の大手メーカーで再びホログラフィー用の感光材料の生産が始まったというニュースもあり、関係者を喜ばせているが、まだその規模は小さく、今後の見通しは明らかではない。 この様な状況に対応して、ホログラフィーの研究者・技術者は東欧を中心とした中小メーカーが生産するホログラフィー用銀塩写真材料を使ったり、銀塩以外の記録材料を見直すという傾向が盛んとなり、ホログラム記録材料に対する関心が却って高まるといった潮流が生まれた。事実、ホログラムの記録材料には非常に多くの種類があり、それぞれ特徴を持っているため、このような事態になる前から分野によってはよく使われていたが、それがさらに顕著となり各種の記録材料を検討したいという要望が増えてきた。しかし、ホログラムそのものが他の画像と大きく異なるため、その感光材料を網羅して解説した文献が少なく、充分な情報を得るために多数の文献を漁らなければならないという不便さを感じていた。このような傾向を改善するため、現在各分野で使われているホログラムの記録材料をできるだけ広く集めて、その特性、処理方法を明らかにし、併せてその実用分野を簡単に紹介するという方針が固まり、本書が出来上がったわけある。 執筆者は各分野でホログラフィーの研究、技術開発を行っている第一人者を選び、それぞれの得意とする分野でホログラムの記録材料を主眼として執筆を依頼した。たぶんこのような目的で書かれた1冊の専門書は、国内はもちろん外国にも例が無いものと思われる。本書によって、ホログラムの記録材料についての豊富な知識を吸収していただき、この分野の発展のお役に立てていただければ幸いである。
2007年5月 辻内 順平
* Sean F. Johnston: Holographic Vision,(Oxford University Press, 2006) pp.489-490


監修

辻内順平元 東京工業大学

編集委員長

久保田敏弘元 京都工芸繊維大学

編集委員(執筆順)

岩田藤郎元 凸版印刷(株)
佐藤甲癸湘南工科大学電気電子工学科
橋本信幸シチズンテクノロジーセンター(株)NXGセンター
吉川浩 日本大学理工学部電子情報工学科
植田健治大日本印刷(株)研究開発センターオプティカルデバイス研究所
羽倉弘之東京大学大学院情報学環

執筆者(執筆順)

岩崎仁 京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科
大江靖 凸版印刷(株)モノつくりセンターコーティング研究所
小関健一 千葉大学大学院融合科学研究科
小野浩司 長岡技術科学大学電気系
志村努 東京大学生産技術研究所
石井行弘 東京理科大学理学部第一部応用物理学科
堀越力 (株)NTTドコモ総合研究所
久田重善 関西大学システム理工学部機械工学科
藤田晃司 京都大学大学院工学研究科
佐々木浩子オリンパス(株)光通信モジュールプロジェクト市場開発グループ
関口金孝 シチズンミヨタ(株)
高野邦彦 東京都立産業技術高等専門学校ものづくり工学科(兼任:東京都立航空工業高等専門学校電子工学科)
谷田貝豊彦宇都宮大学オプティクス教育研究センター
石井勢津子東京工業大学世界文明センター芸術学院
石川和枝 元上智大学
鎌田康昌 凸版印刷(株)情報コミュニケーション事業本部セキュアソリューションセンター
的場修 神戸大学大学院工学研究科情報知能学専攻
三浦雅人 神戸大学大学院自然科学研究科
中曽根聡 大日本印刷(株)CBS開発本部
山口一郎 元(独)理化学研究所
松田浄史 光産業創成大学院大学光情報・システム分野
山内真 (独)産業技術総合研究所デジタルものづくり研究センター
小宮一三 神奈川工科大学情報学部情報ネットワーク工学科
高木康博 東京農工大学大学院共生科学術研究院
小舘香椎子日本女子大学理学部数物科学科
渡邉恵理子日本女子大学理学部数物科学科
松島恭治 関西大学システム理工学部電気電子情報工学科
金馬慶明 松下電器産業(株)BD事業開発タスクフォース
長野哲也 (株)島津製作所民生品部
笹井浩行 (株)島津製作所民生品部
高橋進 凸版印刷(株)総合研究所光学部材研究所
岡田真 ナルックス(株)新事業開発G 新事業開発部
森川雅弘 コニカミノルタテクノロジーセンター(株)デバイス技術研究所
駒井友紀 日本女子大学理学部数物科学科
森伸芳 コニカミノルタオプト(株)事業開発センター
中井武彦 キヤノン(株)光学技術研究所光学技術統括開発センター
神谷直浩 (株)島津製作所航空機器事業部技術部
笠井一郎 コニカミノルタテクノロジーセンター(株)デバイス技術研究所

詳細目次

序論

総論

1はじめに
2 ホログラフィーの原理と特長
3 ホログラフィー材料に求められる性能
4 ホログラムの種類と使用材料
5 各種ホログラフィー材料概観
5.1銀塩写真乳剤
5.2重クロム酸ゼラチン
5.3フォトレジスト
5.4フォトポリマー
5.5フォトリフラクティブ材料
5.6電子ホログラフィー用材料
6 まとめ
第1部 材料編

第1章銀塩写真乳剤
1.1 はじめに
1.2 感光機構とホログラム形成の機構
1.2.1ハロゲン化銀結晶とその光吸収
1.2.2潜像形成
1.2.3現像定着処理
1.2.4漂白処理(振幅ホログラムから位相ホログラムへ)
1.3 市販銀塩写真材料の種類と諸特性
1.3.1P-5600とP-7000
1.3.2PFGシリーズ
1.3.3BBシリーズ、Ultimateシリーズ、その他
1.4 現像漂白処理法
1.4.1現像処方
1.4.2漂白処方
1.4.3停止定着処理、硬膜処理
1.4.4水洗乾燥
1.5 応用例と用途
1.6 おわりに
第2章重クロム酸ゼラチン
2.1 はじめに
2.2 感光機構
2.3 ホログラム形成の機構
2.4 分光感度および解像力
2.5 回折効率および感度−最大回折効率と露光量、感度向上の方法
2.6 DCG乾板の作製
2.6.1ゼラチン膜の作製
2.6.2感光化
2.7 ホログラムの作製
2.7.1現像処理
2.7.2ホログラム作製の具体例
2.7.3MBDCG乾板の作製
2.7.4銀塩増感ゼラチン(SHSG)ホログラム
2.7.5保存処理
2.7.6環境汚染防止対策
2.8 応用例
2.9 おわりに
第3章フォトレジスト
3.1 はじめに
3.2 フォトレジストの種類
3.3 ホログラムの作製
3.4 表面レリーフホログラム用材料に必要な条件
3.4.1解像度
3.4.2回折効率
3.4.3ダイナミックレンジ
3.4.4感度
3.5 ホログラムの評価
3.6 ポジ型フォトレジスト
3.6.1ノボラック−DNQ系
3.6.2化学増幅型フォトレジスト
3.7 ネガ型フォトレジスト
3.7.1光架橋型フォトレジスト
3.7.2光重合型フォトレジスト
3.8 応用例
3.9 おわりに
第4章高分子材料
4.1 はじめに
4.2 フォトポリマーの種類
4.2.1架橋型フォトポリマー
4.2.2ラジカル重合型フォトポリマー
4.2.3カチオン重合型フォトポリマー
4.2.4化学増幅型フォトポリマー
4.2.5その他
4.3 光重合型フォトポリマーによるホログラム記録
4.3.1ホログラム形成原理
4.3.2ラジカル重合型フォトポリマーによるレリーフホログラム記録
4.3.3ラジカル重合型フォトポリマーによる体積ホログラム記録(湿式現像タイプ)
4.3.4ラジカル重合型フォトポリマーによる体積ホログラム記録(乾式現像タイプ)
4.3.5ラジカルカチオン重合ハイブリッド型フォトポリマーによる体積ホログラム記録
4.3.6カチオン重合型フォトポリマーによる体積ホログラム記録
4.3.7ナノ粒子分散系フォトポリマーによるホログラム記録
4.4 非重合型ポリマー材料によるホログラム記録
4.5 おわりに
第5章光反応性液晶
5.1 概論
5.2 光異性化反応
5.2.1アゾベンゼン分子の光異性化反応と光配向
5.2.2光誘起異方性材料への偏光ホログラム記録とアゾベンゼン含有液晶
5.3 分子再配列型フォトリフラクティブ液晶
5.3.1液晶フォトリフラクティブ効果の概要と特徴
5.3.2高分子低分子複合体液晶のフォトリフラクティブ効果
5.3.3ホログラム記録特性と光情報処理応用
5.4 光架橋性高分子液晶
5.4.1光配向の原理と特徴
5.4.2ホログラム形成と光学特性
第6章無機材料とフォトリフラクティブ効果
6.1 フォトリフラクティブ効果のメカニズム
6.1.1バンド構造と不純物準位
6.1.2キャリアの発生、移動、再結合
6.1.3空間電場の発生
6.1.4電場による屈折率の変化
6.1.5干渉縞と屈折率分布の位相差
6.1.6熱励起との関係
6.2 ニオブ酸リチウムを用いたホログラム記録
6.2.1はじめに
6.2.2ニオブ酸リチウムにおけるホログラム記録の原理
6.3 SBNを用いたホログラム記録
6.3.1SBNの組成記録の原理
6.3.2SBNによるホログラム記録再生
6.4 BSOを用いたホログラム記録
6.4.1Bi12SiO20(BSO)単結晶
6.4.2BSO単結晶のホログラム記録機構
6.4.3BSO単結晶のホログラム記録特性
6.4.4BSO単結晶を用いたホログラムの応用
6.4.5BSO単結晶にホログラムを記録するには
6.5 ホールバーニングを用いたホログラム記録
6.5.1スペクトルホールバーニングと波長多重光記録
6.5.2Eu3+:Y2SiO5 結晶
6.5.3ホールバーニングホログラフィー
6.5.4今後の展望
6.6まとめ
第7章電子ホログラフィー書き込み材料およびその応用
7.1 研究の現状と将来
7.1.1はじめに
7.1.2電子ホログラフィーの概念
7.1.3電子ホログラフィー研究の現状と発展
7.2 電子ホログラフィー書き込み材料の種類、特徴
7.2.1超音波光変調器(AOM:Acoustic Optical Modulator)
7.2.2電子書き込み用表示パネル
7.2.3光書き込み材料(PAL-SLM)
7.3 電子書き込み型各論
7.3.1液晶空間光変調素子
7.3.2DMD空間光変調記録材料
7.3.3電子ホログラフィー書き込み材料液晶空間光変調素子
7.4 光書き込み型各論
7.4.1液晶空間光変調記録材料
7.5 応用例
7.5.1立体テレビ
7.5.2光干渉計測
第2部 応用編

第1章ディスプレイ
1.1 アートインテリア装飾
1.1.1表現メディアとしての特長
1.1.2建築空間への展開
1.1.3野外及び実験的空間への展開
1.1.4建材としての問題点と今後の課題
1.2 文化財美術品の記録
1.2.1はじめに
1.2.2記録例
1.2.3カラーホログラフィーによる記録
1.2.4課題
1.2.5おわりに
1.3 教育研究
1.3.1ホログラフィー教育について
1.3.2ホログラムの作り方−ホログラムの原理と応用を実験を通じて学ぶ−
1.4 広告宣伝印刷
1.4.1エンボス応用
1.4.2ポリマー応用
第2章ホログラフィック光メモリ
2.1 はじめに
2.2 ホログラフィックメモリの原理
2.2.1光メモリ
2.2.2ホログラフィックメモリ
2.2.3ホログラフィックメモリにおける多重記録法
2.3 ホログラフィックメモリシステム
2.3.1実験システム例
2.3.2メモリの評価
2.3.3データコード化
2.4 ホログラフィックメモリの解析方法
2.4.1スカラー回折理論による解析
2.4.2拡張結合波理論に基づく解析
2.5 応用
2.5.1画像ベースデータ検索
2.5.2ホログラフィックメモリにおける光暗号化法
2.6 まとめ
第3章セキュリティー
3.1 大日本印刷でのセキュリティーの現状
3.1.1セキュリティー市場の現状
3.1.2当社の偽造防止に対する考え方
3.1.3最新型ホログラムのご紹介
3.1.4ホログラムを利用した事例紹介
3.1.5今後のホログラムの応用可能性
3.2 凸版印刷でのセキュリティーの現状
3.2.1ホログラムからDOVDへの進化
3.2.2クリスタグラム(Crystagram)
3.2.3高精細化
3.2.4コバート機能
3.2.5ディメタライズ加工
3.2.6紙との組み合わせ
第4章計測
4.1 ホログラフィーによる計測
4.1.1はじめに
4.1.2粒子の形状と分布の測定
4.1.3ホログラフィー干渉法による表面形状と変形の測定
4.2 計測におけるホログラム記録材料とデジタルホログラフィー
4.2.1はじめに
4.2.2実時間ホログラム記録材料
4.2.3デジタルホログラフィー
4.2.4おわりに
4.3 スペックルの基本的性質とスペックル干渉法
4.3.1基本原理
4.3.2スペックル干渉法
4.3.3おわりに
4.4 スペックル移動を利用した計測
4.4.1はじめに
4.4.2スペックル写真法
4.4.3電子式スペックル相関法
4.4.4速度測定
4.4.5おわりに
4.5 HOEを用いる計測
4.5.1シアリング干渉計
4.5.2スキャッタプレート干渉計
4.5.3ホログラム原器
第5章光情報処理
5.1 画像処理計算機ホログラム(CGH)、ビーム成形
5.1.1計算機ホログラム
5.1.2計算機ホログラムの原理と製作法
5.1.3ビーム成形とビーム走査
5.2 CCD撮像デバイス
5.2.1固体撮像技術の基礎
5.2.2CCDイメージセンサ
5.2.3イメージセンサの動向
5.2.4各種イメージセンサ
5.3 光コンピューティング
5.3.1ホログラムを用いた光論理演算
5.3.2局所可変光論理演算
5.3.3ホログラムを用いた光デジタル回路の構成
5.3.4まとめ
5.4 ホログラフィックマッチトフィルタによる光相関
5.4.1はじめに
5.4.2位相情報に基づく光相関演算
5.4.3光相関演算に基づく顔認証システム
5.4.4その他応用システム
5.4.5まとめ
第6章回折光学素子
6.1 回折基礎論
6.1.1スカラー回折理論
6.1.2ベクトル回折理論
6.2 回折格子
6.2.1光分岐素子(光ピックアップ)
6.2.2偏光性(複屈折材料)回折素子(光ピックアップ)
6.2.3分光用素子
6.2.4グレーディング光学素子
6.2.5ホログラフィックスクリーン
6.2.6偏光性光分岐素子
6.2.7広帯域波長板(0次回折)
6.2.8ホログラフィック反射板
6.3 回折レンズ
6.3.1フレネルレンズ
6.3.2CD-DVD互換レンズ
6.3.3マルチレベルバイナリFZP
6.3.4DVD-CD互換レンズ(バイナリ型)
6.3.5色消し回折型レンズ
6.3.6ホログラフィックコンバイナ
6.3.7ホログラフィックシースルーブラウザ
6.4 アクティブ型回折光学素子
6.4.1概論
6.4.2ホモジェニアス型液晶を用いた液晶回折格子
6.4.3ホモジェニアス型液晶を用いた液晶フレネルレンズ
6.4.490°TN型液晶を用いたアクティブ回折格子
6.4.5その他のアクティブ回折格子
第3部 資料編

第1章メーカー取り扱い企業
第2章ホログラフィー学術研究開発機関
第3章参考資料
索引



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