希少金属(レアメタル)は、「地球上にその存在が希であるか、またはその抽出が経済的・物理的に非常に困難な金属」を総称するものです。そのレアメタルは、それぞれの金属の持つ特性が活用され幅広く産業全般で使用されてきています。近年、特に電子情報技術産業、光産業、環境産業などの日本経済を支えるハイテクノロジー産業に使用され、レアメタルの安定供給がより重要となってきています。
経済産業省は、価格高騰や産出国による資源囲い込みの動きなど、総合的な安定供給対策を検討しています。また、2030年度までを見通した長期政策「新・国家エネルギー戦略」にもレアメタルなど鉱物資源のリサイクルと代替材料開発の促進に取り組むことなどが盛り込まれており、このようにレアメタルを取り巻く現状は国の先導の元でリサイクル代替材料開発に拍車がかることから、大学や企業への情報供給の時期として好機であると考えられます。
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浦辺徹郎 | 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻 教授 |
岡部徹 | 東京大学生産技術研究所循環資源・材料プロセス工学研究室 准教授 |
芝田隼次 | 関西大学環境都市工学部 教授 |
松本茂野 | ザビ・テクノサポート 代表 |
竹本正 | 大阪大学接合科学研究所 教授 |
中野加都子 | 関西大学先端科学技術推進機構 研究員/神戸山手大学人文学部 教授 |
中島謙一 | 東北大学大学院環境科学研究所 助教 |
堀家千代子 | 東京大学大学院 |
成田弘一 | (独)産業技術総合研究所環境管理技術研究部門 研究員 |
小畑元 | 東京大学海洋研究所海洋無機化学分野 講師 |
大澤晃 | サニー・トレーディング(株) 社長付 技術顧問 |
古賀道生 | 九州産業大学工学部物質生命化学科 准教授 |
中村英嗣 | 九州工業大学大学院 助教授(07.3.31付にて退職) |
津留壽昭 | 九州産業大学工学部物質生命化学科 教授 |
張亮 | (株)前澤工業 |
高橋國彦 | 横浜金属(株) 常務取締役 |
藤田豊久 | 東京大学大学院工学系研究科 教授 |
中村崇 | 東北大学多元物質科学研究所資源変換・再生研究センター センター長/教授 |
馬場洋三 | (独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構希少金属備蓄グループ 審議役 |
大山正紀 | 住友金属鉱山(株)金属事業本部 |
田中幹也 | (独)産業技術総合研究所環境管理技術研究部門金属リサイクル研究グループ グループ長 |
福田正 | (株)三進製作所 相談役 |
松田仁樹 | 名古屋大学大学院工学研究科エネルギー理工学専攻(分子化学工学専攻併担) 教授 |
南博志 | (独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構希少金属備蓄グループ サブリーダー |
和田洋六 | 日本ワコン(株) 常務取締役 |
馬場由成 | 宮崎大学工学部 教授 |
小林慶三 | (独)産業技術総合研究所サステナブルマテリアル研究部門相制御材料研究グループ 研究グループ長 |
佐藤修彰 | 東北大学多元物質科学研究所資源変換・再生センター 准教授 |
島田剛志 | 三井物産(株)ステンレス原料・新金属部 マネージャー |
田中一誠 | ティーエムシー(株) 代表取締役社長 |
黒田浩一 | 京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻 助教 |
植田充美 | 京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻 教授 |
峯田邦生 | 東京大学大学院 |
鮎田文夫 | 野村興産(株)ヤマト環境センター 所長 |
宮田直幸 | 静岡県立大学環境科学研究所 助教 |
岩堀恵祐 | 静岡県立大学環境科学研究所 教授/所長 |
堀江皓 | 岩手大学工学部 教授 |
上江洲一也 | 北九州市立大学国際環境工学部 教授 |
川喜田英孝 | 佐賀大学理工学部 助教 |
和田芳明 | 太陽鉱工(株) 取締役 営業部 部長 東京支店 |
上木隆司 | (社)日本メタル経済研究所 主任研究員 |
細井明 | (社)日本メタル経済研究所 主任研究員 |
前背戸智晴 | (株)神鋼環境ソリューション技術開発本部 課長 |
知福博行 | (株)神鋼ソリューション液晶水処理事業部技術室 技術室長 |
住母家岩夫 | (株)電硝エンジニアリング 代表取締役社長/NPO法人持続型環境実践研究会 会長/NPO法人地球資源研究所 副所長 |
竹下健二 | 東京工業大学資源化学研究所 准教授 |
尾形剛志 | 東京工業大学資源化学研究所 |
松本勝時 | 深海資源開発(株) 資源調査部長 |
村山信行 | 深海資源開発(株)資源調査部 主席技師長 |
松井一徳 | 深海資源開発(株)資源調査部 嘱託員 |
白鳥寿一 | 東北大学大学院環境科学研究科 教授 |
岩野宏 | 経済産業省製造産業局 非鉄金属課長 |
穂積篤 | (独)産業技術総合研究所サステナブルマテリアル研究部門 主任研究員 |
石原顕光 | 横浜国立大学大学院工学研究院 産業連携研究員 |
太田健一郎 | 横浜国立大学大学院工学研究院 教授 |
醍醐市朗 | 東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻 助教 |
原田幸明 | (独)物質・材料研究機構エコマテリアル研究センター |
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総論 希少金属材料の資源問題とわが国の戦略 |
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第1編 貴金属 |
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第1章 | 貴金属をとりまく環境 |
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第2章 | 各種貴金属のリサイクル技術 |
第1節 | 金 |
1 | 金の特性と需給およびリサイクル技術 |
2 | リサイクル技術事例 |
2.1 | 廃電気・電子機器からの環境低負荷型貴金属回収技術 |
2.2 | 使用済み携帯電話からの貴金属・レアメタルの再資源化 |
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第2節 | 白金族 |
1 | 白金の特性と需給 |
2 | 白金族金属の精錬法とリサイクル技術 |
3 | リサイクル技術事例 |
3.1 | 気相処理を利用した廃棄物からの白金族金属の湿式回収法 |
3.2 | 溶媒抽出法による廃棄物からの白金族金属の分離回収技術 |
3.3 | 水圏環境における白金の分析化学 |
3.4 | クラウンエーテル誘導体を活用したパラジウム類の分離回収システム |
3.5 | キレート剤によるパラジウムを中心とした分離回収技術 |
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第3節 | 銀 |
1 | 銀の特性と需給およびリサイクル動向 |
2 | リサイクル技術事例 スクラップなどからの銀のリサイクル方法 |
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第2編 レアメタル |
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第1章 | レアメタルリサイクルの基本的考え方 |
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第2章 | レアメタルをとりまく環境 |
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第3章 | 各種レアメタルのリサイクル技術 |
第1節 | ニッケル |
1 | ニッケルの特性と需給 |
2 | リサイクル技術事例 |
2.1 | 無電解ニッケルめっきにおける使用済み液からのニッケル回収とめっき液の長寿命化 |
2.2 | めっき廃液中の銅、亜鉛およびニッケルの選択的分離回収技術 |
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第2節 | クロム |
1 | クロムの特性と需給およびリサイクル動向 |
2 | リサイクル技術事例 |
2.1 | UV照射併用オゾン酸化とイオン交換法による廃水からのクロムリサイクル技術 |
2.2 | バイオマス由来吸着剤による廃棄物からのクロム抽出技術 |
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第3節 | タングステン |
1 | タングステンの特性と利用分野 |
2 | タングステンのリサイクル動向 |
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第4節 | コバルト |
1 | コバルトの特性と需給 |
2 | コバルトのリサイクル動向 |
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第5節 | モリブテン |
1 | モリブデンの特性と需給およびリサイクル動向 |
2 | リサイクル技術事例 細胞表層工学による新しいモリブデン回収バイオ技術とその展開 |
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第6節 | タンタル |
1 | タンタルの特性と需給およびリサイクル動向 |
2 | リサイクル技術事例 コンデンサスクラップからのタンタルの分離回収法 |
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第7節 | ニオブ ニオブの特性と需給およびリサイクル動向 |
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第8節 | マンガン |
1 | マンガンの特性と需給およびリサイクル動向 |
2 | リサイクル技術事例 |
2.1 | 微生物Mn(U)酸化菌によるマンガン回収技術 |
2.2 | ナトリウム硫化物による鋳鉄溶湯中のマンガン分離技術 |
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第9節 | アンチモン |
1 | アンチモンの特性と需給およびリサイクル動向 |
2 | リサイクル技術事例 水酸基を大量に持つ多糖類のアンチモン吸着能 |
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第10節 | バナジウム |
1 | バナジウムの特性と需給およびリサイクル動向 |
2 | リサイクル技術事例 石油精製用使用済み触媒のリサイクリング |
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第11節 | インジウム |
1 | インジウムの特性と需給およびリサイクル動向 |
2 | リサイクル技術事例 |
2.1 | 廃液中からのインジウムの高回収技術 |
2.2 | LCD装備製品からのインジウム回収技術 |
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第12節 | 希土類 希土類元素の特性と需給およびリサイクル動向 |
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第3編 持続型社会へ向けた対応策 |
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第1章 | 探索 深海底鉱物資源の探査・開発に向けた取り組み |
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第2章 | 備蓄 |
1 | 金属資源の新しいリサイクルシステム 人工鉱床構想 |
2 | レアメタルの国家備蓄 |
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第3章 | 代替材料開発 |
1 | 希少金属の代替材料開発 ロードマップの作成 |
2 | タンタル化合物による白金を用いない燃料電池用電極触媒の開発 |
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第4章 | マテリアルフロー分析 鐵鋼材のマテリアルフローをもとにした各種製品における回収率の導出手法の開発 |
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第4編 循環型社会を考えたマテリアルリサイクル |