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高分子材料の劣化解析と信頼設計
[コードNo.08NTS194]
| ■体裁/ |
B5判・228頁 |
| ■発行/ |
2008年 1月13日 (株)エヌ・ティー・エス |
| ■定価/ |
30,360円(税込価格) |
■豊富なデータ(図表、写真)に基づいた納得の解説!
■至る所に武田先生の一味違う信頼性設計へのヒントが!
本書は、高分子材料としての本質を意識して執筆構成。
現在、あるいは近未来に特に注目される高分子の性能に焦点が置かれている。
現場で日夜新しい性能を有する高分子材料の研究開発や製品の信頼設計に取り組む技術者を対象としているため、学問的に確定した内容のほかに研究途上の情報も多く盛り込んでいる。
執筆者
序文
高度に発達した学問領域でも、基礎的なことは意外なほど判っていない。10 年ほど前だったと記憶しているが、高名な金属材料の先生から「プラスチックのヤング率は架橋度で決まっているのですね」と聞かれて絶句した。プラスチックのヤング率が架橋の程度によって決まることは稀で、多くは高分子鎖自身の剛直性が支配する。
なぜ、高分子材料は柔らかいのか、半透明なのか、結晶化していなくても固体なのか等の質問に直ちに答えることが出来る人はそれほど多くない。それでも研究開発を担当している技術者が日常的に相対するテーマはいずれも本質を聞いてくる。それは「現在の性能とは違うものを作る」という任務自体が研究対象の本質と密接に関係しているからである。
1907 年にBaekeland によって発見された合成高分子はまだ100 年の歴史しか持っていない。青銅器時代、ヒッタイトの鉄器の発明からすでに3000 年以上を経る金属材料とはその歴史の長さが違うが、それだけ高分子材料は新鮮で未知の材料とも言える。そしてこれまで「使い捨て」が普通であったこの材料もようやく基幹的な材料として使われるように、材料としての信頼性が期待されるようになってきた。まずは、力学的疲労と燃焼性が焦点になる。例えば、プラスチックでエレベーターの箱を作っても、何時壊れるか判らず、さらに火災になる可能性がある間はとても使えないからだ。
この本では、高分子の材料としての本質を意識して執筆し、現在、あるいは近未来に特に注目される高分子の性能に焦点を合わせた。もちろん研究途上の情報が多く、学問的に確定した内容ばかりではない。それはこの書籍が主として現場で日夜、新しい性能を有する高分子材料の研究開発や製品の信頼設計に悩んでいる技術者を対象としているからである。本著の中に少しでも現在の研究の行き詰まりを解決する糸口を見いだすことができれば望外の喜びである。
平成19年11月11日 著者記す
詳細目次
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| 第1部 | 各種材料の劣化について |
| 1 | 自然に学ぶ劣化と信頼性 |
| 1.1 | はじめに |
| 1.2 | 金属材料の劣化 |
| 1.3 | 有機材料の劣化 |
| 2 | プラスチックの劣化の基礎 |
| 2.1 | プラスチックの構造変化 |
| 2.2 | 金属材料の劣化との関係 |
| 2.3 | プラスチックの劣化の種類と劣化による変化 |
| 3 | 劣化解析の問題点 |
| 3.1 | 劣化の概念の整理 |
| 3.2 | モデル化合物による分析 |
| 4 | ポリオレフィン、ポリエステルの熱分解と解析 |
| 4.1 | はじめに |
| 4.2 | ポリオレフィンの熱分解 |
| 4.2.1 | 熱分解生成物 |
| 4.2.2 | ポリオレフィンの熱分解挙動 |
| 4.2.3 | 6 員環形成と立体規則性 |
| 4.3 | ポリエステルの熱分解 |
| 4.4 | オレフィン、ポリエステルの分解と6員環形成のまとめ |
| 5 | 複雑な解析をどうするか-Molic mouse 法 |
| 5.1 | はじめに |
| 5.2 | 従来のシミュレーションとの違い |
| 5.3 | PBT の熱分解解析 |
| 5.4 | ポリフェニレンエーテルの熱分解 |
| 6 | 高分子の光分解 |
| 6.1 | はじめに |
| 6.2 | 光劣化と熱劣化 |
| 6.3 | ポリカーボネートの光劣化、熱劣化 |
| 7 | エポキシ樹脂の熱分解 |
| 7.1 | 架橋構造が劣化に及ぼす影響 |
| 7.2 | 架橋による分解生成物の変化 |
| 7.3 | ポリカーボネートとの劣化比較 |
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| 第2部 | 高分子の分解と燃焼 |
| 1 | はじめに |
| 2 | 高分子の燃焼 |
| 2.1 | ハロゲン系難燃剤は使えない |
| 2.2 | 難燃材料研究の歴史 |
| 2.3 | 炭素は燃えない |
| 2.4 | 可燃性のものに難燃性のものを入れるとどうなるか |
| 3 | 燃えない材料 高分子の不燃化 |
| 4 | 高分子の燃焼 その実際 |
| 5 | アロイの熱分解と燃焼 |
| 5.1 | ポリマーアロイの構造と熱分解 |
| 5.2 | アロイの分解性生成物と燃焼 |
| 5.3 | ポリマーアロイの分解と燃焼の整理 |
| 5.4 | コーンカロリメーターによる評価 |
| 5.5 | UL 燃焼試験 |
| 5.6 | マルチカロリメーターを使った燃焼バランスの評価 |
| 6 | 着火と延焼 |
| 7 | 実装材料の信頼性 |
| 8 | 劣化の予測は難しい |
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| 第3部 | 機械的劣化と解析 |
| 1 | 序論 |
| 2 | 高分子の力学的破壊モデル |
| 2.1 | 力学的破壊の基礎 |
| 2.2 | 実際に使われる高分子材料の力学的破壊 |
| 2.3 | 力学的破壊のプロセス |
| 2.4 | 時間の影響 |
| 3 | 疲労 |
| 3.1 | 金属材料の疲労 |
| 3.2 | 高分子材料の疲労 |
| 3.3 | 高分子の疲労と形態変化 |
| 3.4 | 超音波負荷 |
| 3.5 | 高分子疲労破壊のまとめ |
| 4 | フィラーと劣化、信頼性 |
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| 第4部 | 信頼性設計へのヒント〜劣化についてどこから学ぶか〜 |
| 1 | 自然に学ぶ劣化と信頼性 |
| 1.1 | 天然材料の寿命と人工物 |
| 1.2 | 防御と修復 |
| 1.3 | 生物の防御機構-能動防御と受動防御 |
| 1.4 | 能動防御の機構 |
| 1.5 | 人工物の紫外線防御 |
| 1.6 | 生物における馴化 |
| 1.7 | 自然に学ぶ防御系の難しさ |
| 2 | 伝統に学ぶ |
| 2.1 | 伝統に学ぶ必要性 |
| 2.2 | 油団に学ぶ |
| ・ | 使っているうちに価値が上がる油団とは |
| ・ | 油団の涼しさ |
| 2.3 | 伝統材料から学ぶ 人間的な評価法 |
| ・ | アイヌに学ぶ |
| 3 | 人工的自己修復材料 |
| 3.1 | PPE の自己修復反応 |
| 3.2 | PC の自己修復反応 |
| 3.3 | 劣化と自己修復 |
| 3.4 | 有機材料と自己修復 |
| 4 | 材料・信頼性設計の基本概念 |
| 4.1 | 物理的安全とその技術 |
| 4.1.1 | 自動車 |
| 4.1.2 | 火災 |
| 4.1.3 | 地震などと都市設計 |
| 4.2 | 心理的安心と技術 |
| 4.3 | ハザードと技術 |
| 4.4 | 社会的に創造される危険性と技術 |
| 4.5 | 信頼性設計と社会の受忍性 |
| 5 | プラスチックの信頼性設計指針 |
| 5.1 | 従来型の大災害を防ぐ信頼性設計 |
| 5.2 | 高度に発達した工業製品の信頼性設計 |
| 5.3 | 製品寿命と社会科学的因子 |
| 5.4 | 生物と人工物の信頼性 |
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| 用語解説 |
| 索引 |
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