マイクロリアクターという言葉が一般的に使われ始めて10年あまりが過ぎ、「目的物を高収率で高選択的に生成する」「連続プロセスによる大量生産」「コストダウンの可能性」という点からマイクロリアクターを利用した有機合成反応の開発、工業生産に向けた技術が国内外で急速に進んでいます。
本書籍は、研究開発・製造導入にむけたメリット、デメリットの解決手段やマイクロリアクターで適している反応、マイクロチャネルの選び方、スケールアップの迅速化など実例を交えながら解説しています。
マイクロリアクターを利用されている方から、これからマイクロリアクター導入を考えている方にお役立ていただける1冊です。
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1章 | マイクロリアクターの原理 |
1 | はじめに |
2 | マイクロオーダーへスケールダウンすると |
3 | 瞬間的に混合する |
3.1 | マイクロミキサー |
3.2 | ナノ粒子設計への応用 |
4 | 急速に加熱、冷却する |
5 | 反応を厳密制御する |
5.1 | マイクロ反応器システムの考え方 |
5.2 | 反応機構に従ったプロセスエンジニアリング |
5.3 | 過酷な条件で安全操作 |
6 | 束縛された空間での精緻な流動を利用する |
6.1 | マイクロ空間での流動の特徴 |
6.2 | 液滴の制御 |
6.3 | マイクロスラグ流 |
7 | 精緻な流れを積極的に利用したマイクロ反応操作 |
7.1 | 供給原料の配置による選択率制御 |
7.2 | 触媒とマイクロ空間を組み合わせ |
8 | 生産プロセスとするには |
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2章 | 各材料のマイクロチャネルの選択方法と洗浄方法 |
1 | マイクロチャンネルの材料と加工方法 ・物質生産用マイクロチャンネル材料の物性値 ・流体関連MEMSデバイスの製作に用いられる微細加工技術 |
2 | 金属 |
3 | ガラス |
4 | 単結晶Si |
5 | 樹脂 |
6 | その他(セラミック) |
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3章 | マイクロリアクターの多相構造シミュレーション技術 |
1 | 相構造形成の基礎理論 |
1.1 | 輸送の基礎方程式 |
1.1.1 | 体積分率に対する方程式 |
1.1.2 | 流体に対する方程式 |
1.2 | 自由エネルギーと化学ポテンシャル |
1.2.1 | 多成分混合系の自由エネルギーと化学ポテンシャル |
1.2.2 | 電場下での多成分混合系の自由エネルギーと化学ポテンシャル |
1.3 | 様々な系を記述する方程式とその類似性 |
1.4 | 運動を特徴付ける時間・空間のスケールと無次元化 |
1.4.1 | 時間及び空間単位の考え方 |
1.4.2 | 方程式の無次元化 |
1.4.3 | 実パラメータと無次元化パラメータのまとめ |
2 | 相構造形成のシミュレーション |
2.1 | 拡散による相分離過程 |
2.2 | 誘電率の異なる液滴の電場による変形過程 |
2.3 | 拡散と表面張力流動による2つの液滴の合一 |
2.4 | 拡散と表面張力流動による液滴のせん断変形と緩和 |
2.5 | せん断流動の中での拡散と表面張力流動による2相の相分離過程 |
2.6 | ジ・ブロック共重合体のミクロ相分離構造 |
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4章 | マイクロ化学プロセス適用装置の考え方:生産プラント化へ向けて |
1 | マイクロ化学プロセスに適用する装置 |
1.1 | マイクロ化学プロセスで使用するポンプ |
1.2 | マイクロミキサー |
1.3 | マイクロリアクター |
2 | マイクロ化学プロセス構築準備 |
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5章 | マイクロリアクターの閉塞チャネル検出方法 |
1 | マイクロリアクターの圧力バランスモデル |
2 | 閉塞チャネル検出アルゴリズム |
3 | チャネル閉塞率推定法 |
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6章 | マイクロリアクターシステム用微小流量センサー |
1 | 流体の基礎 |
1.1 | 流れと圧力 |
1.2 | 流速と流量 |
1.3 | 層流と乱流 |
2 | 流量の測定原理 |
2.1 | 流量センサーの分類 |
2.2 | 体積流量センサー |
2.2.1 | 差圧式流量センサー |
2.2.2 | 渦流量センサー |
2.2.3 | 電磁流量センサー |
2.2.4 | その他の体積流量センサー |
2.3 | 質量流量センサー |
2.3.1 | コリオリ式流量センサー |
2.3.2 | 熱式流量センサー |
2.4 | 理想のマイクロリアクターシステム用流量センサー |
3 | 事例紹介:ガラスチップ微小流量センサ |
3.1 | 微小流量センサの特徴と仕様 |
3.2 | 測定原理 |
3.3 | 実流評価結果 |
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7章 | 高温高圧反応におけるマイクロリアクターデバイスの利用技術 |
1 | 超臨界水とマイクロリアクター |
2 | 高温高圧マイクロデバイス及びそれらを用いたマイクロエンジニアリング |
2.1 | マイクロ混合器 |
2.2 | 直接通電型加熱 |
3 | 反応アプリケーション |
3.1 | 超臨界水有機合成反応 |
3.2 | 超臨界水熱合成反応 |
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8章 | マイクロリアクターの液相反応と乳化プロセスへの適用 |
1 | マイクロリアクターの特徴 |
2 | マイクロリアクターが適用可能なプロセス |
3 | マイクロリアクターのラボ用実験システム |
4 | マイクロリアクターの液相反応プロセスへの適用 |
5 | マイクロリアクターの乳化プロセスへの適用 |
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9章 | マイクロリアクター利用に向いた有機合成反応 |
1 | 多層系反応 |
1.1 | 気‐液界面反応 |
1.1.1 | フッ素ガスによるフッ素化反応 |
1.1.2 | 一酸化炭素ガスによるカルボニル化反応 |
1.2 | 液‐液界面反応 |
1.2.1 | ニトロ化反応(有機相/水相) |
1.2.2 | 水溶性触媒を用いたアリルアルコール誘導体の異性化反応(有機相/水相) |
1.2.3 | 薗頭カップリング反応(有機相/イオン液体相) |
1.2.4 | 相関移動型ジアゾカップリング |
1.3 | 固‐液界面反応 |
1.3.1 | 固体担持触媒を利用した反応 |
1.3.2 | マイクロチャネル内で調製した触媒担持膜を利用した反応 |
1.4 | 気‐液‐固界面反応 |
1.4.1 | 水素化反応 |
2 | 有機電解反応 |
3 | 有機光反応 |
4 | 均一系反応 |
4.1 | 高速反応 |
4.1.1 | Friedel-Crafts 型反応(カチオンプール法を用いた場合) |
4.1.2 | カルボニル化合物と有機金属反応剤の反応 |
4.2 | 中間体や活性種が不安定な反応 |
4.2.1 | Swern 酸化反応 |
4.2.2 | ハロゲン‐金属交換反応を利用した分子変換 |
4.3 | 重合反応 |
5 | 多段階反応‐反応の集積化‐ |
6 | 今後の展望 |
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10章 | マイクロリアクターの応用技術と可能性 |
1節 | マイクロリアクターの事業化へ向けた実用的効果と装置 |
1 | 事業化に向けたマイクロリアクター装置 |
1.1 | 反応溶液の安定送液 |
1.2 | 正確な温度制御 |
1.3 | 反応条件の検討を容易にするソフト |
1.4 | マイクロミキサーの閉塞リスクの低減と混合効率の向上 |
2 | システム化されたマイクロリアクター |
3 | 種々のリアクターについて |
4 | 海外での事例 |
2節 | マイクロリアクターを用いたニトロ化合物の生成 |
1 | 工業的なニトロ化合物生産方法の概要 |
2 | ニトロ化合物の合成にマイクロリアクターを用いる優位性と注意点 |
3 | マイクロリアクターを用いたニトロ化の実例 |
3.1 | マイクロリアクターを用いたニトロニュウムイオン生成挙動の追跡 |
3.2 | 攪拌回転型マイクロリアクターによるニトロ化反応 |
3節 | マイクロリアクターを用いたフッ素系ファインケミカル製品の合成 |
1 | フッ素化合物とフッ素ファインケミカル製品 |
2 | フッ素化合物の合成方法 |
3 | フッ素系ケミカル製品のマイクロリアクターを用いた事例 |
3.1 | マイクロリアクターを用いた直接フッ素化反応 |
3.2 | マイクロリアクターを用いたエポキシ化反応 |
3.3 | マイクロリアクターを用いたハロゲン−リチウム交換反応 |
4節 | マイクロリアクターを用いたアニオン付加重合 |
1 | スチレン類のアニオン重合反応 |
1.1 | 単独重合の制御 |
1.2 | アニオンリビング生長末端の利用反応 |
1.3 | 複数の反応点を有する求電子剤との選択的反応による精密構造ポリマー合成 |
2 | アルキルメタクリレート類のブロック重合反応 |
2.1 | 単独重合 |
2.2 | アニオンリビング生長末端の利用反応 |
3 | 未来に向けて |
5節 | マイクロリアクターを用いたラジカル重合、カチオン重合の制御 |
1 | マイクロリアクターを用いたラジカル重合 |
1.1 | 装置・実験方法 |
1.2 | マイクロリアクターの熱交換特性の評価 |
1.3 | 重合評価の結果 |
2 | ナンバリングアップリアクターと連続運転 |
2.1 | ナンバリングアップリアクターの設計 |
2.2 | パイロット装置による連続運転 |
3 | マイクロリアクターを用いたカチオン重合 |
3.1 | 装置・実験方法 |
3.2 | ビニルエーテルの重合結果 |
6節 | マイクロリアクターを用いた微粒子合成技術 |
1 | 3次元リアクターを用いた微粒子合成 |
1.1 | 概要 |
1.2 | 光重合法によるアクリル系微粒子の合成 |
1.3 | ゾル-ゲル法によるシリカ粒子の合成 |
2 | 液滴衝突型3次元リアクターを用いた微粒子合成 |
2.1 | 概要 |
2.2 | 高分子電解質反応によるマイクロカプセル合成 |
2.3 | 熱重合法2色ボールの合成 |
3 | マイクロリアクターの実用化に向けての考察 |
7節 | マイクロリアクターを用いたバイオディーゼル合成 |
1 | 触媒法によるバイオディーゼル合成 |
2 | マイクロリアクターを用いたバイオディーゼル合成 |
3 | 共溶媒を用いた均相バイオディーゼル合成 |
4 | 電解法によるバイオディーゼル合成 |
8節 | マイクロリアクターによる糖鎖合成技術:多様性へのチャレンジ |
1 | 糖鎖の構造多様性と創薬への期待 |
2 | 糖鎖医薬の潜在的問題 |
3 | 糖鎖の化学合成 |
3.1 | 化学合成の利点 |
3.2 | 効率合成への取り組み |
3.3 | マイクロチップで化学合成 |
4 | 天然糖鎖の合成 |
4.1 | 天然構造には酵素合成 |
4.2 | マイクロチップで酵素合成 |
5 | 微量合成を可能とする構造解析プラットフォーム |
9節 | 不均一触媒担持(触媒充填型)マイクロフローリアクターの開発 |
1 | 流路への不均一触媒の固定化方法と反応の特徴 |
1.1 | 流路壁への固定 |
1.2 | 流路内への充填 |
2 | 今後の展望 |
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11章 | マイクロリアクターのスケールアップ迅速化 |
1節 | ナンバリングアップによるスケールアップ |
1 | 外部ナンバリングアップ |
2 | 内部ナンバリングアップ |
2節 | 深溝型マイクロリアクタによる大量処理技術 |
1 | 深溝型マイクロリアクタの概念 |
2 | 流動特性 |
3 | 伝熱特性 |
4 | 反応事例 |
5 | マイクロ化学プラント |
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12章 | マイクロリアクターの今後の展望 |
1 | マイクロリアクターに有効な反応 ・マイクロ反応技術は、どのような化学反応に有効であるか? また有効でない反応は何か? |
2 | マイクロリアクターによるファインケミカルの生産方式 ・工業的なファインケミカル生産方式のひとつとして、 本当に将来有望な技術であろうか? |
3 | マイクロリアクターのデバイス(装置)の生産 ・どのようなリアクターを研究開発をすれば、自分たちのデバイスが 活きてくるのか? |
4 | マイクロリアクター製品の市場規模 ・マイクロリアクターに関連した製品の市場規模はどの程度になろうか? |