音の魅力で"感性にアピールする""付加価値の高い"ものづくり!快音化の考え方、設計、アプローチ方法を製品事例(実際の音データ149点収録 CD付)を使って解説。
私たちの回りには、様々な製品があふれている。各種の製品のおかげで、我々の生活を便利になり、快適に暮らすことができる。製品から発する音は、生活音の一部となり、ときには騒音として、生活環境を不快にする要因になっている。そのため、各種の製品において、騒音軽減の取り組みの対策がとられている。
ただし、製品の音を皆無にしてしまった方がいいかというと、そうとも言い切れない。製品の音は、多くの場合、製品の動作が正常に行われているかどうかの判断材料にも用いられている。無音になってしまうと、製品の異常がわかりにくくなってしまう。
そのような状況を受けて、製品の音を、その特徴を残しつつも、快適な音質に改善することが求められるようになってきた。さらに、自動車やオートバイなどでは、エンジンの排気音に愛着を覚えるユーザも多い。こういった製品では、より積極的に、製品のセールスポイントとしての「音づくり」が行われている。
ただし、騒音軽減と異なり、製品音の快音化には、明確な目標を設定しにくい。製品の快音化には製品の音質評価が欠かせないが、音質という聴覚的側面は、大きさやうるささとは比較にならないほど、多様な音響特性と複雑な対応関係がある。そのため、製品音の快適化を目指した対策も、簡単ではない。
本書は、音質評価や快音化技術の基礎となる音響や聴覚に関する体系的知識、並びにその評価方法を概説するとともに、製品音の快音化に対する様々な動向を総括した専門書である。本書の著者陣は、製品の快音化の研究に取り組む、第一線の研究者や技術者であり、製品の快音化を論ずるための最高の人選を行った、ドリーム・チームである。本書により、製品の快音化に関する考え方、アプローチの方法論などについて、多様で最高級の知見を提供する。本書を、製品の快音化技術に関するバイブルとして、活用いただきたい。
評価の高い日本のモノづくりは、音の魅力も加えることによって、付加価値の高い製品を提供できるようになるであろう。今日、製品の機能で差別化を図ることが難しくなっている。音の魅力で感性にアピールする製品を作り出すことは、日本製品の生き残りをかけた戦略でもある。
「製品音の快音化」は、非常に大きな可能性を秘めたデザイン分野である。各種のデザイン分野も「快音化」とのコラボレーションで、より大きな効果を期待できる。本書により、「製品音の快音化」がもたらす効果や付加価値を、もっとプロモートできればと思う。
(「はじめに」より)
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第1章 | 製品音の快音化の時代-その意義と現状と可能性- |
1 | 快音化の時代がきた |
2 | 家電製品に対する不快感 |
3 | 快音がセールスポイントに |
4 | 騒音制御から快音化へ-ネガティブからポジティブな取り組みへ- |
5 | 快音化の必然性-快適な音づくりは、音楽だけの問題ではない- |
6 | 快音に対するユーザの意識-オートバイの音を例にとって- |
7 | 実態のない音のデザインがもたらす快適化 |
8 | サイン音の快音化 |
9 | 音環境の快適化 |
10 | 快音を所有する喜び |
11 | 感性にアピールする製品の快音づくり |
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第2章 | 聴覚を音に繋ぐための基礎 |
1節 | 音の物理・生理・心理学の基礎 |
1 | 音の物理学 |
1.1 | 物理的に見た音の正体 |
1.2 | 音の物理量 |
1.3 | 音波の反射と透過 |
1.4 | 音波の共鳴 |
1.5 | 室内の音波 |
2 | 音の生理学 |
2.1 | 聴覚末梢系 |
2.2 | 聴覚中枢系 |
2.3 | 聴覚高次系 -音情報を再構成するシステム- |
3 | 音の心理学 |
3.1 | 音の聴こえと聴きわけの限界 |
3.2 | 音の大きさ |
3.3 | 音の高さ |
3.4 | 音色 |
3.5 | 音像 |
3.6 | 臨場感 |
3.7 | 音の質 |
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2節 | 騒音の評価 |
1 | 騒音評価の視点 |
1.1 | 評価指標が対象とするもの |
1.2 | 数量化困難な不快感 〜意味的属性 |
2 | 騒音評価の指標 |
2.1 | 周波数特性の扱い |
2.2 | 時間変動の扱い |
2.3 | 音圧レベルとパワーレベル |
3 | 受音側の騒音評価 |
3.1 | 地域環境の保全 |
3.2 | 室内空間の評価 |
3.3 | 労働環境での健康障害防止 |
4 | 音源の騒音評価 |
4.1 | 屋外の交通、工事等に関する音源出力 |
4.2 | 室内空間で使用される機器の音源出力 |
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3節 | 音の主観評価法 |
1 | 各種の評価尺度 |
1.1 | 名義尺度 |
1.2 | 順序尺度 |
1.3 | 間隔尺度 |
1.4 | 比率尺度 |
2 | マグニチュード推定法 |
3 | 一対比較法 |
3.1 | サーストンの方法 |
3.2 | シェッフェの方法 |
4 | セマンティック・ディファレンシャル(Semantic Differential)法 |
5 | 音の類似性判断と多次元尺度構成法 |
6 | 心理物理学的測定法 |
6.1 | 恒常法 |
6.2 | 極限法 |
6.3 | 調整法 |
7 | 擬音語を利用した音の主観評価の可能性 |
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4節 | 音質評価の指標 |
1 | 音の計測 |
2 | 音の物理分析 |
3 | 基本メトリクス(評価技法) |
4 | ラウドネス |
5 | シャープネス |
6 | 変調メトリクス |
7 | 離散周波数音および環境騒音におけるトナリティ |
8 | 最近の傾向 |
8.1 | 結合メトリクス |
8.2 | バイノーラルラウドネス |
8.3 | メトリクスマッピング |
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第3章 | 快音と知覚情報の関係 |
1節 | 視覚情報が音の印象に及ぼす影響 |
1 | SD法による音の印象の評価 |
2 | 音環境における視覚と聴覚の相互作用 |
2.1 | 自然の水に関わる音環境 |
2.2 | 道路沿道の音環境 |
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2節 | 室内環境の快適性評価における音の影響 |
1 | 環境音、温度、色彩の複合環境が温熱的感覚に与える影響 |
2 | 温度と寒暑の感覚の関係に環境音が与える影響 |
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第4章 | 音の評価技術 |
1節 | 感性の多様性を考慮した製品音の定量指標化 |
1 | 感性の個人差:多様性とバラツキの違い |
2 | 感性の多様性に対応した感性品質の定量化手法 |
3 | ステップ1:官能評価実験 |
4 | ステップ2:クラスタ分析を用いた感性の多様性分析 |
5 | ステップ3:感性クラスタ尺度の定量化 |
6 | ステップ4:感性クラスタ尺度の文脈分析 |
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2節 | 脳磁界計測を用いた最適音の設計 |
1 | 脳磁界の計測と解析 |
1.1 | 脳磁界計測の特徴 |
1.2 | 相関解析を用いた脳磁界活動解析法 |
2 | 好ましい音声と脳磁界活動 |
2.1 | 音場設計指標 |
2.2 | 好ましい初期反射音の遅れ時間と脳磁界活動 |
2.3 | 両耳間相互相関度と脳磁界活動 |
3 | 不快な音と脳磁界活動 |
4 | 好ましい自動車加速音と脳磁界活動 |
5 | 脳磁界計測を用いた最適サイン音の解明 |
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3節 | サウンドシミュレータを活用した音質評価 |
1 | サウンドシミュレータとは |
2 | サウンドシミュレータの利点 |
3 | 自動車業界での活用状況 |
4 | サウンドシミュレータの構成 |
5 | 音の合成方法 |
6 | 音質評価の例 |
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第5章 | サウンドデザイン設計技術 |
1節 | 製品音デザインの設計と考え方 |
1 | 製品音とその分類 |
1.1 | 音の特性による分類 |
1.2 | 音の性質による分類 |
2 | 製品音のデザインの目指すところ |
3 | 製品音のデザインの方法 |
4 | 製品音のデザインの事例 |
4.1 | クリーナ音のデザイン |
4.2 | コピー機音のデザイン |
5 | 製品音のデザインの課題 |
5.1 | 評価手法の画一化による製品音の限界 |
5.2 | 音の測定環境、使用環境による違い |
6 | 製品音のデザインの今後 |
6.1 | 評価環境の標準化 |
6.2 | 運転条件の標準化 |
6.3 | 音質表現の標準化 |
6.4 | サウンドデザイナの育成 |
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2節 | サイン音デザインの設計と考え方 |
1 | サイン音利用の枠組み -ユーザインタフェースとしてのサイン音 |
1.1 | 聴覚情報の利用様式 -視覚情報との使い分け |
1.2 | 表示情報の種類と音 |
2 | サイン音設計の観点 |
2.1 | 設計の3要素 |
2.2 | 音の種類 |
3 | 符号音の設計手法 |
3.1 | 規格およびガイドライン |
3.2 | 情報の木構造を用いたイアコン設計 |
3.3 | 情報マトリクスを用いた報知音多次元設計手法 |
3.4 | 音響パラメータの特徴に関する認知心理研究 |
4 | サイン音のデザイン -機能的側面に対する意匠的側面 |
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3節 | 聴覚マスキングに基づく実環境騒音の不快感低減手法 |
1 | はじめに |
2 | 聴覚マスキング |
2.1 | 聴覚マスキングの概要 |
2.1.1 | 純音同士の聴覚マスキング |
2.1.2 | ホワイトノイズによる聴覚マスキング |
2.2 | 臨界帯域と聴覚フィルタ |
3 | 快音化に関する従来研究 |
3.1 | スペクトル特徴と快音不快音の関係性 |
3.2 | 聴覚マスキング効果による快適化の有効性 |
4 | 聴覚マスキングに基づく制御音の生成方法の提案 |
4.1 | 実環境騒音の不快帯域の推定 |
4.1.1 | 不快帯域仮定のための予備実験 |
4.1.2 | 予備実験結果 |
4.2 | 制御音生成におけるピーク周波数の検出 |
4.3 | 制御音生成における周波数帯域幅の算出 |
4.4 | 制御音の音源と生成手順 |
5 | 主観評価実験 |
5.1 | 主観評価実験条件 |
5.2 | 主観評価実験結果 |
5.3 | 主観評価実験結果の分析 |
5.3.1 | 周波数帯域の拡大幅別分析 |
5.3.2 | 制御音の音源別分析 |
5.4 | 主観評価実験結果と分析における考察 |
6 | おわりに |
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4節 | 自動車の音のタイプ化とコンセプトサウンドデザイン-他の製品音への発展可能性 |
1 | 自動車とブランドイメージ .コンセプトサウンドデザイン |
1.1 | どこまで音で伝えられるか?「イメージを想起させる」 |
1.2 | 様々な自動車音とイメージに直結しやすい音 |
1.3 | 自動車の時間周波数解析とタイプ化 |
2 | 自動車の音のタイプ化とサウンドデザイン |
2.1 | タイプ |
2.2 | タイプ2 |
2.3 | タイプ3 |
2.4 | 倍音成分とサウンドデザイン |
2.5 | 他工業製品 |
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5節 | 製品音の感性設計における和音性特徴量の効果 |
1 | 感性品質としてのクリーナ音 |
2 | 製品音の感性指標としての和音の可能性 |
3 | 和音の特徴量 |
4 | 製品音の快音性に対する和音性の評価実験 |
4.1 | 製品音に含まれる和音性の感性評価実験 |
4.2 | 評価サンプルの作成 |
4.3 | 評価方法および評価語 |
4.4 | 被験者 |
4.5 | 評価結果の分析方法 |
5 | 各評価語に対する和音性特徴の効果 |
5.1 | 「協和した」、「悲しい」に対する効果 |
5.2 | 「騒々しい」、「甲高い」に対する効果 |
5.3 | 「不快でない」に対する効果 |
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6節 | 自然音を規範とした機械騒音の快音化能動制御技術 |
1 | 秋の虫の鳴き音の発生メカニズムと特徴 |
2 | 音響心理実験による快音パラメータの抽出 |
3 | 秋の虫の鳴き音を規範とした快音化能動騒音制御 |
4 | 快音化能動騒音制御シミュレーションと実験 |
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第6章 | サウンドデザイン事例 |
1節 | 音の予測を用いたサウンドデザイン |
1 | 音質を考慮したサウンドデザインの進め方 |
1.1 | 音質設計の必要性 |
1.2 | サウンドデザインの設計の流れ |
1.3 | 音質の総合的評価 |
2 | 設計段階における音の予測と提示 |
2.1 | 制振鋼板成型品の予測音提示 |
2.2 | 鉄道車両車内音の設計段階予測音の提示 |
2.2.1 | 音響予測の流れと予測精度 |
2.2.2 | 音響励振成分と固体振動励振成分の分離 |
2.2.3 | 設計段階での可聴化 |
2.2.4 | 乗用車の車内音の予測と音響提示 |
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2節 | 自動車エンジン音の要求とサウンドデザイン |
1 | 自動車エンジン音の要求 |
1.1 | エンジン音の評価因子抽出 |
1.1.1 | 官能評価実験 |
1.1.2 | 実験結果 |
1.2 | 評価因子の指標化 |
1.2.1 | 指標化の考え方 |
1.2.2 | 重厚・軽快因子の指標化 |
1.2.3 | 滑らか因子の指標化 |
1.2.4 | 美しさ因子の指標化 |
1.3 | 心地よいエンジン音質創出の考え方 |
1.4 | エンジン2、 4次成分による加速音の特徴づけ |
2 | サウンドデザイン |
2.1 | エンジンマウント |
2.2 | ボディー系 |
2.3 | 吸気系 |
2.4 | Active Noise Cancel System(以下ANC) |
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3節 | 自動車加速音の要求とサウンドデザイン〜自動車加速音に対する心理的好ましさと脳活動の関係から探る〜 |
1 | 加速音の自発性脳磁界評価の検討 |
1.1 | 刺激音 |
1.2 | 実験方法 |
1.3 | 解析方法 |
1.4 | 結果及び考察 |
2 | 誘発脳磁界による検討 |
2.1 | 刺激音 |
2.2 | 実験方法 |
2.2.1 | SD法による心理実験 |
2.2.2 | 脳磁界計測 |
2.3 | 結果および考察 |
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4節 | 自動車コンポーネントに求められる音とサウンドデザイン |
1 | 直噴エンジンの燃料供給システム |
2 | 直噴エンジンの燃料供給システムの騒音の発生及び伝搬メカニズム |
3 | 直噴エンジンの燃料供給システムの騒音の改善 |
3.1 | 高圧燃料ポンプ騒音の改善 |
3.1.1 | 脈動音の改善 |
3.1.2 | 電磁弁音の改善 |
3.2 | インジェクタ音の改善 |
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5節 | スポーツカーの統合運動知覚と動的音響 |
1 | 基本概念 |
1.1 | ゲシュタルト・カテゴリー |
1.2 | 情報としての音 アフォーダンス |
2 | 聴覚刺激作用の「量」「方向」「形」 |
2.1 | 加速・減速の音 |
2.2 | 音楽的旋律への接近 |
2.3 | クルマの力学的結果とテンポ |
2.4 | 単純性、連続性、対称性による自発的体制化 |
3 | 情動の領域 |
4 | 動的音響(Dynastics)の考え方 |
4.1 | スペクトラル ハーモニー |
4.2 | 不協和による流動・脈動感 |
4.3 | 周波数上昇率とクルマの運動 |
4.4 | 変速と旋律 |
4.5 | 音色の構造と音響空間 |
4.6 | 地となる音響の協和 |
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6節 | ディーゼル車に求められる音とサウンドデザイン |
1 | 自動車用ディーセルエンジンの現状・特徴 |
2 | ディーゼルエンジンの音質評価 |
3 | ディーゼルエンジンの音質解析・改良事例 |
3.1 | アイドル時の燃焼音に対する解析例 |
3.2 | 低中速時の部分負荷時の燃焼音に対する解析例 |
3.3 | 聴覚機構を考慮した音質解析例 |
3.4 | ディーゼルエンジンの音質改良事例 |
3.5 | ディーゼルエンジン音質の改良方法 |
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7節 | HV/EV車両用疑似エンジン音のサウンドデザイン |
1 | ハイブリット・電気自動車の接近音に対する要求 |
1.1 | 国土交通省「ハイブリッド車等の静音性に関する対策のガイドライン」 |
1.2 | 独自アンケート調査によるハイブリット・電気自動車の接近音に対する好み・要望 |
2 | HV/EV車両のサウンドデザインのための信号処理 |
2.1 | ガイドラインおよびアンケート結果からの考察 |
2.2 | 信号処理法 |
2.2.1 | サイン波合成 |
2.2.2 | 時間波形圧縮ストレッチ法 |
2.2.3 | 間欠時間調整法 |
2.2.4 | イベント駆動(プラスアルファ) |
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8節 | タイヤが関わる騒音とその低減技術 |
1 | タイヤの機能と構造 |
2 | タイヤが関わる騒音 |
3 | ロードノイズとタイヤの振動特性 |
4 | パターンノイズとトレッドパターン |
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9節 | 自動車の風切音制御とデザイン |
1 | 風切音の分類 |
2 | 広帯域風切音 |
2.1 | 風漏れ音 |
2.2 | 空力騒音 |
2.2.1 | 空力騒音音源の全体像 |
2.2.2 | フロントピラーにおける空力騒音 |
2.2.3 | ドアミラーにおける空力騒音 |
2.2.4 | 床下における空力騒音 |
3 | 狭帯域風切音 |
3.1 | ウィンドスロッブ |
3.2 | エオリアントーン |
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10節 | 自動車のドア閉まり音の快音化設計 |
1 | 閉まり音評価指標 |
1.1 | 提示音 |
1.2 | 被験者と評価尺度 |
1.3 | 官能評価実験 |
2 | 音質評価尺度の検討 |
3 | 音色の評価指標 |
4 | 海外嗜好調査 |
4.1 | 評価方法と条件 |
4.2 | 各国の嗜好 |
5 | 閉まり音メカニズム |
5.1 | 過渡状態における振動挙動の解析 |
5.2 | 実稼動モード解析(OMA) |
5.3 | 時刻歴振動挙動(ODS) |
5.4 | 時刻歴ODSとOMAの関連 |
5.5 | 音響放射現象の検証 |
5.6 | 統計的最適化近距離音響ホログラフィ(SONAH) |
5.7 | 音響放射現象の検証結果 |
6 | 構造変更による低周波成分コントロール |
6.1 | 構造の検討 |
6.2 | 構造変更ドアの効果確認結果 |
6.3 | 構造変更ドアの音検証 |
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11節 | 自動車用サイン音の要求とサウンドデザイン |
1 | 自動車用サイン音の種別と要求 |
1.1 | 機能性 |
1.1.1 | 警報音の要求は意識への強制介入 |
1.1.2 | 報知音は確実にかつ注意を引きすぎない |
1.1.3 | 情報音は不要な場合に無視できる? |
1.2 | 報知対象 |
1.3 | 音種 |
1.4 | 受聴場所と提示場所 |
1.5 | EV、HEV特有の音 |
1.6 | ナビゲーション/ICT |
2 | サイン音の設計手順と評価 |
2.1 | サイン音の設計手順 |
2.1.1 | ターゲット決定:車のイメージからサウンドデザインの方向性を決める |
2.1.2 | サウンドデザイン:ベースの音源にエフェクトを掛ける |
2.1.3 | 機能性、質感を評価 |
2.2 | サイン音の評価 |
3 | 自動車用サイン音の発展 |
3.1 | 3次元位置情報を有するサイン音(3Dサイン音) |
3.2 | 無視できる音:アンビエントサウンド |
3.3 | サウンドアイコン:Spearcon, Ambient speech |
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12節 | モータサイクルのサウンドデザイン |
1 | モータサイクルに求められるサウンドの特徴 |
1.1 | 人馬一体(人機一体) |
1.2 | 視覚デザインとの両立 |
1.3 | 環境への適応 |
1.4 | ヘルメットによる聞こえの変化 |
1.5 | 風切音 |
2 | モデル別の取り組み例 |
2.1 | 単気筒スポーツモデル |
2.2 | V型2気筒クルーザーモデル |
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13節 | スイッチ音デザイン |
1 | 信号解析 |
1.1 | WT解析 |
1.2 | ボタン音収録条件 |
1.3 | 解析条件および結果 |
2 | 聴感評価 |
2.1 | 心理量解析 |
2.2 | 聴感実験方法 |
2.3 | 因子分析 |
3 | 音の物理量と感覚量の関連 |
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14節 | デジタルカメラに求められる音とサウンドデザイン |
1 | デジタルカメラにおけるサウンドデザイン |
2 | サウンドデザインの基本的な考え方 |
2.1 | サウンドデザイン導入の目的 |
2.2 | 想定搭載機種、およびデバイス仕様 |
2.3 | 基本コンセプトの設定 |
2.4 | デジタルカメラへの搭載 |
3 | 試作サイン音の事例 |
4 | 試作サイン音の評価 |
4.1 | 第1レベル試聴(パソコン上での再生評価) |
4.2 | 第2レベル試聴評価(実機搭載再生評価) |
4.3 | 第3レベル試聴評価(ユーザー評価・印象評価) |
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15節 | 電子ポスターのサウンドデザイン |
1 | 提案手法 |
1.1 | 提案手法の概要 |
1.2 | フィルタ加工信号処理の概要 |
2 | 信号処理アルゴリズム |
2.1 | 音声信号の周波数解析 |
2.2 | 音楽信号の周波数解析 |
2.3 | 音声スペクトルおよび音楽スペクトルの臨界帯域幅補正 |
2.4 | フィルタ関数の算出と聴感補正 |
2.5 | 音楽信号の周波数次元変換 |
2.6 | フィルタ演算と圧縮処理 |
2.7 | 音楽信号の時間軸次元逆変換 |
3 | 評価実験結果 |
3.1 | 既開発MIDI符号化ツールを用いた客観評価 |
3.2 | ランダム音節信号を用いた主観評価結果 |
3.3 | 調剤薬局の店頭設置での実験結果 |
4 | 実験結果に対する考察 |
4.1 | 既開発MIDI符号化ツールを用いた客観評価結果について |
4.2 | ランダム音節信号を用いた主観評価結果について |
4.3 | 調剤薬局の店頭設置での実験結果について |
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16節 | 家電製品報知音のサウンドデザイン |
1 | 報知音デザインの観点 |
2 | 聞き取りやすい報知音 |
2.1 | 報知音の周波数と音圧レベル |
2.2 | 妨害音の影響を考慮した音圧レベルの設定 |
2.3 | 報知音の種類に応じた音圧レベルの調整 |
3 | わかりやすい報知音 |
3.1 | 報知音の時間パターン |
3.2 | 操作確認音の時間パターン |
3.3 | 終了音の時間パターン |
3.4 | 注意音の時間パターン |
4 | 多様な報知音デザインの試み |
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17節 | 掃除機に求められる音とサウンドデザイン |
1 | 掃除機の周波数特性 |
2 | 心理評価 |
2.1 | 試験音の周波数特性の一例 |
2.2 | SD法による音質評価 |
2.3 | 調整法による音質評価 |
3 | 快音化のための実施例 |
3.1 | ピーク周波数成分の低減例(ヘルムホルツ共鳴を利用した消音用ユニットによる低減) |
3.2 | 音響迷路フィルタと2段吸音型音響フィルタ |
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18節 | MFPに求められる音とサウンドデザイン |
1 | MFP動作音の特徴 |
2 | 音質に寄与が高い音部分の特定手法 |
2.1 | 動作音の測定 |
2.2 | 音質評価のための評価音作成 |
2.3 | SD法による音質評価 |
3 | MFP動作音の快音化手法 |
3.1 | 経時変化を考慮した快音化手法 |
3.2 | 聴覚のマスキングを利用した快音化手法 |
4 | 音質評価をする際の留意点 |
5 | MFP動作音の今後 |
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19節 | 空調機の静音化とサウンドデザイン |
1 | “ソフトダクト”消音の原理 |
2 | コンパクト型空調機への組込み検討 |
3 | 音響管の設計と効果測定 |
4 | 音響管の特徴 |
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20節 | 化粧品ケースに求められる開け閉め音とサウンドデザイン |
1 | 製品から発せられる音 |
2 | 音評価の流れ |
3 | ファンデーション容器(コンパクト)の閉音に関する検討 |
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21節 | 医療機器における不快音低減とサウンドデザイン |
1 | MRI騒音に対するこれまでの取り組み |
2 | MRI騒音 |
3 | フィードバック型ANCシステム |
4 | ヘッドマウント型ANCシステム |
5 | MRI室における消音実験結果 |
6 | 主観評価実験による有効性の検討 |
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22節 | 歯科診療室における歯科ドリル音の音質とそのデザイン |
1 | 歯科用切削ドリル |
2 | 心理評価実験を用いたドリル音の音質評価 |
2.1 | 音質評価の重要性 |
2.2 | 実験方法 |
2.3 | 作動条件によるタービン音の変化 |
2.4 | タービン音の構成因子 |
2.5 | 音響パラメータと印象の関係 |
2.6 | タービン構造における対策 |
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23節 | ゴルフクラブの打撃音とサウンドデザイン |
1 | ゴルフクラブとボール |
2 | クラブヘッドの振動と音 |
3 | ゴルフ打撃音 |
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第7章 | 製品において音質がもたらす経済的付加価値 |
1 | 仮想評価法による音質の経済評価 |
1.1 | 仮想評価法(CVM)とは |
1.2 | 評価の実際 |
1.3 | 各種要因が製品選択に及ぼす影響 |
1.4 | 音質の経済評価 |
2 | コンジョイント分析による音質の経済評価 |
2.1 | コンジョイント分析とは |
2.2 | 評価の実際 |
2.3 | 製品を特徴づける各属性の重要度 |
2.4 | 音質の経済評価 |
3 | 稼動音を呈示しない経済評価実験 |
3.1 | 評価の実際 |
3.2 | 音質の経済評価 |
4 | 実験間の経済評価値の比較 |
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第8章 | 音の付加価値に関する日欧の考え方の違い |
1 | 公共施設でのサイン音 |
1.1 | 道徳性の差違 |
1.2 | サイン音の必要性 |
1.3 | サイン音のデザイン |
1.4 | デザインの考え方 |
2 | フランス国立音楽音響研究所における音のデザインの例 |
2.1 | 研究スタイル |
2.2 | 研究対象 |
2.3 | デザイン対象の周辺 |
2.3.1 | CLOSED |
2.3.2 | SID |
2.3.3 | Renault |
2.3.4 | SNCF |
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第9章 | 音の商標に関する動向 |
1 | 音の商標とは |
2 | 音の商標の登録制度(商標法)の検討状況 |
2.1 | 音の商標の特定方法 |
2.2 | 音の商標の登録要件 |
2.2.1 | 識別性及び独占適応性 |
2.2.2 | 類似 |
2.2.3 | 公序良俗違反 |
2.2.4 | 機能的音 |
2.2.5 | 著作権との関係 |
2.3 | 商標権侵害 |
2.4 | 商標権の効力の制限 |
3 | 外国における音の商標の登録例 |
3.1 | 米国 |
3.2 | 欧州 |
4 | 外国における音の商標の侵害事例 |