電池を初めとする蓄エネルギー技術の活用なくしては、再生可能エネルギー利用の拡充、あるいは大規模災害や個別のエネルギー供給ストップへの対策がとれないため、蓄エネルギーデバイスとそれを有効活用するためのシステム技術の研究開発・実証が活発に行われています。
本書籍は、1章2章では蓄エネルギーデバイス、システムの特徴と実証効果について横串で解説し、3章以降では個別技術と共に実証動向、今後の想定、そこから導き出される課題が研究・実証担当者本人の言葉で述べられており、どのような用途・フィールドでどの技術が活用できるか、ターゲットとなるかがわかりやすい構成にまとめました。
蓄電、蓄エネルギーデバイス・システム開発・ユーザーの研究・技術ご担当者だけでなく、事業企画を行う方々にもお勧めいたします。
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第1章 | 国内外における定置型電力貯蔵システム技術と導入状況 |
1 | 電力貯蔵技術の概要 |
2 | 電力貯蔵の種類 |
2.1 | 揚水発電 |
2.2 | 蓄電池 |
2.2.1 | 鉛蓄電池 |
2.2.2 | ナトリウム硫黄電池 |
2.2.3 | レドックス・フロー電池 |
2.2.4 | 亜鉛臭素電池 |
2.2.5 | ニッケル水素電池 |
2.2.6 | リチウム二次電池 |
2.3 | 圧縮空気貯蔵 |
2.4 | フライホイール |
2.5 | 電気二重層キャパシタ |
2.6 | 超電導エネルギー貯蔵 |
3 | 電力貯蔵設備の用途 |
3.1 | 負荷平準化 |
3.2 | 夜間の調整力 |
3.3 | 需要家設置の電力貯蔵 |
3.4 | 再生可能エネルギー導入対策 |
3.4.1 | 変動補償 |
3.4.2 | 計画送電 |
3.4.3 | マイクログリッド型運用 |
4 | まとめ-電力貯蔵を取り巻く事業環境 |
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第2章 | 定置型電力貯蔵システムに求められる特性 |
1 | 電力貯蔵システムに求められる要件 |
1.1 | 系統運用側の要件 |
1.1.1 | 短周期変動 |
1.1.2 | 長周期変動・余剰 |
1.1.3 | 電圧変動 |
1.2 | 電力需要家側の要件 |
2 | 電力貯蔵システムの分類と導入形態 |
2.1 | 電力貯蔵システムの分類 |
2.1.1 | 力学的エネルギーによる電力貯蔵 |
2.1.2 | 二次電池によるエネルギー貯蔵 |
2.1.3 | 電磁気的エネルギーによる電力貯蔵 |
2.2 | 電力貯蔵システムの導入形態 |
2.2.1 | 集中設置形態 |
2.2.2 | 分散設置形態 |
3 | 適切な電力貯蔵システムの構成 |
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第3章 | V2Xシステムの導入効果 |
はじめに |
1 | 高性能環境車両と二次電池の役割 |
1.1 | EV 用電池容量の概算 |
1.2 | PHEV 用電池容量の概算 |
2 | 二次電池の役割 |
2.1 | 出力の供給 |
2.2 | エネルギーの供給 |
3 | V2X |
4 | EVの課題と将来 |
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第4章 | 多数の蓄電池の充放電遠隔制御システムとその効果 |
はじめに |
1 | 蓄電池制御システムのトレンド |
2 | 分散する蓄電池を制御する上でのアグリゲータの必要性と制御の課題 |
3 | 蓄電池のさまざまな制御システムと階層協調システム |
4 | 仮想統合制御技術/階層協調システムを用いた分散蓄電池制御の特徴 |
まとめ |
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第5章 | 家庭用燃料電池の災害対応ポテンシャル評価 |
はじめに |
1 | 研究の範囲、手順 |
2 | 家庭用燃料電池 |
3 | 災害時の家庭用燃料電池のリスク分析 |
4 | 燃料電池の災害対応機能 |
5 | 評価 |
6 | まとめ |
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第6章 | 家庭用燃料電池システムの導入効果と標準化動向 |
はじめに |
1 | 家庭用燃料電池システムの構成と今後の展望 |
2 | 家庭用燃料電池システムの導入実績と市場展望及び経済性評価 |
3 | 定置用小形燃料電池システムの規制見直し |
3.1 | 規制見直し |
3.2 | 共通認証基準 |
3.3 | 実証試験事業 |
4 | 国内および国際標準化動向 |
4.1 | 国内標準化(JIS) |
4.2 | 国際標準化(IEC およびISO) |
4.2.1 | IEC規格:IEC62282シリーズ |
4.2.2 | ISO規格:ISO14687-3 |
おわりに |
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第7章 | ナトリウム硫黄電池を用いた電力貯蔵システム技術と導入効果 |
はじめに |
1 | NaS 電池の原理・構造・特徴 |
2 | 導入事例と効果 |
2.1 | 電力会社における導入量と効果 |
2.2 | 顧客への導入事例と導入効果 |
2.2.1 | 非常用電源兼用NAS 電池システム |
2.2.2 | 瞬低対策機能付きNAS 電池システム(常時商用給電方式) |
2.2.3 | 顧客(需要)設置の導入効果 |
3 | 経済性・市場競争力の評価 |
4 | 各種規制・標準化 |
5 | 今後について |
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第8章 | レドックスフロー電池を用いた電力貯蔵技術と導入効果 |
はじめに |
1 | レドックスフロー電池の原理と特長 |
2 | レドックスフロー電池を用いた電力貯蔵技術と要素技術の役割 |
2.1 | レドックスフロー電池の電解液(レドックス系の選択) |
2.2 | レドックスフロー電池のセル設計と構成材料 |
3 | レドックスフロー電池の導入効果とコスト |
おわりに |
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第9章 | 鉛蓄電池を用いた電力貯蔵システムの技術動向 |
はじめに |
1 | 制御弁式鉛蓄電池の原理と特長 |
1.1 | 制御弁式鉛蓄電池の原理 |
1.2 | 制御弁式鉛蓄電池の特長 |
1.3 | 蓄電システムへの市場要求 |
2 | サイクル用制御弁式鉛蓄電池の技術動向 |
2.1 | 電力貯蔵用サイクル長寿命鉛蓄電池 |
2.2 | 風力出力変動緩和用サイクル長寿命鉛蓄電池 |
2.3 | 高入出力型サイクル長寿命鉛蓄電池 |
3 | 今後の展望 |
おわりに |
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第10章 | ニッケル水素電池を用いた電力貯蔵システムの実証 |
はじめに |
1 | 研究の背景 |
2 | 太陽光発電大量導入における需給制御上の課題 |
3 | 蓄電池を用いた需給制御システムの開発 |
3.1 | 実証設備の構築 |
3.1.1 | ハード面 |
3.1.2 | ソフト面 |
4 | 実証試験 |
5 | 実証結果 |
5.1 | システムの動作検証 |
5.2 | 実証データの活用 |
5.2.1 | 蓄電池システム効率 |
5.2.2 | SOC 変化特性 |
5.3 | 蓄電池の寿命評価 |
まとめ |
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第11章 | 定置用リチウムイオン蓄電池システム技術と適用事例 |
はじめに |
1 | リチウムイオン電池 |
1.1 | 定置用蓄電池の分類 |
1.2 | リチウムイオン電池の原理 |
1.3 | リチウムイオン電池の種類 |
1.4 | 東芝のリチウムイオン電池 |
1.4.1 | 安全性能 |
1.4.2 | 長寿命性能 |
1.4.3 | 急速充電性能 |
1.4.4 | 低温動作性能 |
2 | リチウムイオン電池を用いた定置用蓄電池システム |
2.1 | 定置用蓄電池システムへの適用 |
2.2 | 定置用蓄電池システムの基本構成 |
2.3 | 定置用蓄電池システムの基本性能 |
2.3.1 | 長期連続稼働性能 |
2.3.2 | 長寿命性能 |
2.3.3 | 充放電効率 |
2.3.4 | 可搬型システム |
3 | 大規模蓄電池システムへの取り組み状況 |
3.1 | 国内における取り組み |
3.2 | 海外における取り組み |
おわりに |
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第12章 | 高効率燃料電池を用いた新しい形の分散型電源 |
はじめに |
1 | 革新的固体酸化物型燃料電池について |
2 | 燃料電池による安定した電力供給 |
3 | 非常用電源としての利用 |
4 | 燃料電池の発電プロセス |
5 | 燃料電池における遠隔監視 |
6 | 導入事例のご紹介 |
6.1 | 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス様の事例 |
6.2 | 大阪府中央卸売市場様の事例 |
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第13章 | 再生可能エネルギーを活用する水素製造・電力貯蔵システム |
はじめに |
1 | 東芝における水素への取組み |
2 | 再生可能エネルギーと電力貯蔵 |
3 | SOEC/SOFC 水素製造・電力貯蔵システム |
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第14章 | PEM型水電解システム技術と導入効果 |
はじめに |
1 | 技術の特徴と他技術との比較 |
1.1 | PEM 型水電解の原理 |
1.2 | PEM 型水電解の特長と適用分野 |
2 | 電力貯蔵システムとして期待される適用用途 |
2.1 | 欧州での事例 |
2.2 | 国内で期待される適用用途 |
2.2.1 | 電力系統安定化 |
2.2.2 | 再生可能エネルギー活用の促進 |
2.2.3 | 地域エネルギー管理システムとの融合 |
3 | 実証試験の紹介-山梨県甲府市 |
4 | PEM 型水電解システム適用に向けた課題 |
4.1 | 装置の大型化 |
4.2 | 水素単価の低減 |
4.3 | 製造・輸送・貯蔵の水素サプライチェーン |
おわりに |
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第15章 | アルカリ水電解システム技術と導入効果 |
はじめに |
1 | 水電解の技術と種類 |
2 | 再生可能エネルギーからの水素製造技術としての水電解システム |
3 | 実証検討の状況と商用機の計画 |
4 | 外部環境における課題 |
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第16章 | 固体の水素MgH2と燃料電池を用いた発電機の開発 |
1 | 発電機の概要 |
2 | はじめに |
3 | 固体の水素= MgH2 |
3.1 | 水素吸蔵合金や水素化金属との比較 |
3.2 | MgH2からの水素の取り出し |
4 | MgH2 から水素を取り出すための反応容器 |
5 | MgH2 を燃料とした携帯型発電機(マグポポ) |
6 | 1kW FC、3kW FCを用いた発電機 |
6.1 | 1kW FCを用いた発電機 |
6.2 | 3kW FCを用いた発電機 |
7 | 今後の課題 |
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第17章 | ハンディSOFC技術と導入効果 |
概要 |
はじめに |
1 | マイクロチューブ型SOFC スタック製造技術の開発 |
2 | 開発マイクロSOFC 技術のポータブル電源用モジュールとしての展開 |
おわりに |
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第18章 | 圧縮空気エネルギー貯蔵の技術動向と導入効果 |
はじめに |
1 | CAESの概要 |
1.1 | 空気貯蔵方式 |
1.1.1 | 定圧式と変圧式 |
1.1.2 | 地下貯槽建設方式 |
1.2 | CAESの原理と種類 |
2 | CAES-GT発電 |
2.1 | 概要 |
2.2 | 海外におけるCAES-GT発電の技術開発動向 |
2.3 | 国内における研究開発 |
3 | 燃料を利用しないCAES システム |
4 | CAESの導入効果 |
おわりに |
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第19章 | 風力熱発電の開発動向と導入効果 |
1 | 技術の特徴 |
1.1 | 全体構成 |
1.2 | 風力熱発電を特徴付ける発熱機 |
1.3 | 高温蓄熱の採用 |
1.4 | 多様な熱システム |
2 | 想定用途と導入効果 |
2.1 | 想定用途 |
2.2 | 導入効果 |
3 | 実証実験計画 |
4 | 経済性評価 |
4.1 | 効率だけでは判断できない経済性 |
4.2 | 経済性計算の仮定 |
5 | 国際動向 |
5.1 | 再エネ導入を巡る基礎概念の変化 |
5.2 | 太陽熱開発における動向 |
5.3 | 風力に蓄熱応用の動き |
5.4 | 法規制 |