紫外線や近赤外線を可視光などを利用できる光に変換する技術、あるいは入射光を増大させる技術は、太陽光発電を初めディスプレイ、LEDなどの照明、セキュリティ、温度利用用途での研究、応用が活発に行われています。
本書籍はその波長変換、光吸収増大技術について、基本的または新たに解明されつつあるメカニズムや、実応用に必要なポイントを第一線の研究者が解説した一冊です。
太陽光発電への応用を研究されている方々だけでなく、光の有効利用を研究されている方々にもご購読をお勧めいたします。
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第1章 | 紫外線─可視光・近赤外変換による太陽電池の発電効率向上 |
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第1節 | ナノ蛍光体による近紫外線→可視光・近赤外線変換と結晶シリコン太陽電池への応用 |
1 | 結晶シリコン太陽電池に波長変換膜が求められる理由 |
2 | 波長変換層に適した蛍光材料 |
3 | 近紫外線を可視光へ変換する蛍光体およびナノサイズ化に適した材料系の選定 |
4 | 近紫外線→可視光変換ナノ蛍光体波長変換膜の結晶シリコン太陽電池への応用と課題 |
5 | 近紫外線を近赤外線に変換する蛍光体とナノサイズ化への課題 |
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第2節 | 有機無機複合紫外可視光変換材料の開発と太陽電池への応用 |
はじめに |
1 | 紫外線の有効利用に向けた課題 |
1.1 | 紫外線 |
1.2 | 今日の人間活動の必要とする光エネルギーや電気エネルギー |
1.3 | 紫外可視光変換の革新性 |
1.4 | 二段階波長変換の方法 |
2 | 蛍光色素とアルミニウムによる有機無機複合材料 |
2.1 | L-アルギニンと4-ヒドロキシクマリンを用いた化学反応の試み |
2.2 | 化学反応後の試料の光吸収スペクトル |
2.3 | 反応後の水溶液の発光スペクトル |
2.4 | 発光スペクトルが短波長側にシフトする物質 |
2.5 | 様々な元素の添加実験の試み |
2.6 | 塩化アルミニウムを添加した場合の効果 |
3 | 有機無機複合材料(Arg-C+AlCl3)による紫外可視光変換 |
3.1 | (Arg-C+AlCl3)の紫外可視光変換の可視化の試み |
3.2 | 塩化アルミニウムの添加のpH変化がもたらした偶然の一致 |
3.3 | 太陽電池への応用に向けた1つの予備的試験 |
3.4 | (Arg-C+AlCl3)の濃度と紫外線遮蔽率 |
3.5 | 紫外可視光変換材料を含み被覆材料が太陽電池発電量を増大させる効果 |
おわりに |
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第3節 | 発光性超分子ゲル:ポリマー化と波長コンバータとしての応用 |
はじめに |
1 | 超分子ゲルについて |
1.1 | ポリマーゲルと超分子ゲルの相違 |
1.2 | 超分子ゲルを形成する物質と機能 |
2 | 超分子ゲルの光学特性 |
2.1 | 超分子ゲルの透過性 |
2.2 | ストークスシフトの制御 |
2.3 | 蛍光強度の制御 |
2.4 | 光学活性(キラリティ)の制御 |
3 | 超分子ゲルとポリマーの複合化と応用 |
3.1 | 超分子ゲルのポリマー化 |
3.2 | ポリマー中への超分子ゲル機能の導入 |
3.2.1 | バルク重合による導入 |
3.2.2 | ポリマーブレンドによる導入 |
3.2.3 | ポリマー中でのナノ繊維形成の直接観察 |
3.3 | 光変調材への展開 |
3.3.1 | 波長コンバータ |
3.3.2 | 円偏光発光材 |
おわりに |
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第4節 | ゾル-ゲルプロセスとコロイド化を用いた波長変換フィルムの開発と太陽電池への応用 |
はじめに |
1 | 太陽電池用波長変換フィルムに要求される特性 |
1.1 | 太陽電池用波長変換フィルムが求められる理由 |
1.2 | 太陽電池用波長変換フィルムに用いられる各種蛍光体 |
1.3 | 希土類錯体の発光原理 |
2 | 希土類錯体の耐久性の向上手法 |
2.1 | ゾル-ゲル法を用いた手法 |
2.2 | コロイド化を利用した手法 |
3 | 変換効率をもたらすメカニズムと他技術との比較優位性・特徴 |
4 | 太陽電池への使用部位と実装技術 |
5 | 太陽電池用波長変換フィルム |
6 | 太陽電池以外への応用 |
7 | まとめと今後の展望 |
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第5節 | 錯体蛍光体含有塗料による波長変換材料の作製と太陽電池への応用 |
はじめに |
1 | 太陽光発電に利用できる波長変換技術について |
2 | 太陽光発電用波長変換材料(錯体蛍光体含有塗料)について |
3 | 錯体蛍光体含有塗料による太陽光発電の効果 |
4 | まとめ |
最後に |
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第6節 | 耐光性が向上可能な希土類錯体の開発とシリコン太陽電池への応用 |
はじめに |
1 | 材料設計 |
2 | 材料合成 |
3 | 配位子の検討 |
4 | 混合配位子錯体と性能評価 |
5 | 太陽電池への使用部位と実験・実証効果 |
5.1 | 表面設置型 |
5.2 | 封止材添加型 |
6 | 今後の課題 |
おわりに |
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第7節 | 紫外線-波長変換による太陽電池の発電効率向上 |
1 | 太陽電池モジュールの構造 |
2 | EVA樹脂に関して |
2.1 | EVA樹脂の生産量 |
2.2 | EVA樹脂の分類 |
3 | 結晶系シリコンセルの封止向けEVA封止材について |
3.1 | EVA封止材の組成と架橋・接着の原理 |
3.2 | 結晶系シリコン太陽電池モジュールの製造方法 |
3.3 | 太陽電池ラミネーターの条件設定に関して |
4 | EVA封止材の評価方法 |
5 | EVA封止材の開発動向 |
5.1 | 原理 |
5.2 | 詳細 |
5.3 | 発電量向上に関する実証試験 |
5.4 | 太陽電池市場の変化の中での発電効率向上への取り組み |
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第2章 | 近赤外線─可視光変換による太陽電池の発電効率向上 |
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第1節 | スピン反転励起を示すRu錯体色素の開発と広帯域色素増感太陽電池への応用 |
はじめに |
1 | 色素増感太陽電池における吸収領域の長波長化 |
1.1 | 色素増感太陽電池の動作メカニズムと増感色素の働き |
1.2 | 増感色素の光吸収領域の拡張を目指した従来の研究 |
2 | 新しい高効率・広帯域色素増感太陽電池の開発 |
2.1 | スピン反転励起 |
2.2 | スピン反転励起の遷移確率の制御 |
2.3 | スピン反転励起の遷移エネルギーの制御 |
2.4 | S-T遷移を示すRu錯体を用いた広帯域DSSC |
3 | 広帯域色素増感太陽電池を用いた多接合型太陽電池 |
3.1 | 多接合太陽電池の原理 |
3.2 | 広帯域増感色素を用いた多接合型色素増感太陽電池 |
3.3 | ペロブスカイト太陽電池を用いた多接合型色素増感太陽電池 |
おわりに |
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第2節 | Pbフリーペロブスカイト太陽電池と近赤外光電変換機能 |
はじめに |
1 | Sn/Pbカクテルペロブスカイト太陽電池 |
2 | Snペロブスカイト太陽電池 (Pb freeペロブスカイト太陽電池) |
3 | 結論 |
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第3節 | アップコンバージョン蛍光体による赤外可視波長変換と太陽電池への応用 |
はじめに |
1 | 重希土類によるアップコンバージョン発光の原理 |
2 | 重希土類ドープアップコンバージョン蛍光体の設計 |
2.1 | 重希土類ドープ量と濃度 |
2.2 | フォノン(格子振動)エネルギー |
2.3 | 希土類サイトの局所対称性 |
3 | アップコンバージョン蛍光体の合成例 |
3.1 | 単純酸化物アップコンバージョン蛍光体 |
3.2 | 複合酸化物アップコンバージョン蛍光体 |
4 | アップコンバージョン蛍光体を用いた純赤外光発電試験 |
5 | アップコンバージョン蛍光体を用いた太陽電池の発電効率向上に向けた課題と展望 |
5.1 | 内部量子収率の向上と発光波長(アップコンバージョン蛍光体の開発) |
5.2 | 外部量子収率の向上(散乱の抑制、吸収の増大、吸収波長の拡張) |
5.3 | 光束密度の向上(発光効率の向上と温度の影響) |
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第4節 | 近赤外捕集アンテナ技術の開発と太陽電池への応用 |
はじめに |
1 | 金属ナノ構造による光電場増強 |
2 | 光アンテナ機能を有する金ナノ構造体の作製とその光学特性 |
3 | 光アンテナ搭載型可視・近赤外光電変換システム |
4 | 光アンテナを用いた全固体太陽電池 |
5 | 全可視光を利用できる光アンテナを用いた水の完全分解 |
おわりに |
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第5節 | 光アンテナによる微弱な光の高効率波長変換 |
はじめに |
1 | 微弱光による波長変換に必要なブレークスルー |
2 | 光アンテナにおけるエネルギー透過効果 |
3 | 遷移選択則を超えて |
4 | 微弱光による高効率な波長変換の機構 |
おわりに |
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第6節 | 光合成型集光アンテナ構造を組み込んだ色素増感太陽電池の開発 |
はじめに |
1 | シリンダー型相分離界面を利用した色素分子の環状集積化 |
1.1 | 両親媒性液晶ブロック共重合体の高配向性ミクロ相分離構造 |
1.2 | 相分離界面をテンプレートとする色素分子の環状集積化 |
1.3 | ブロック共重合体の分子設計の最適化 |
2 | 光捕集アンテナ薄膜の光電流応答 |
3 | 集光アンテナ構造を組み込んだ色素増感太陽電池の作製 |
4 | まとめと展望 |
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第3章 | 量子ドットを用いた太陽電池の発電効率向上 |
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第1節 | 量子ナノ構造のキャリア多体効果を利用した高効率太陽電池への挑戦 |
はじめに |
1 | 半導体と太陽電池 |
2 | 太陽電池材料としての半導体ナノ粒子 |
3 | ナノ粒子におけるキャリア多体効果 |
4 | 稠密なナノ粒子薄膜の作製 |
おわりに |
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第2節 | コロイダル量子ドットを用いた超高効率太陽電池素子の開発 |
はじめに |
1 | コロイダル量子ドット |
2 | 量子ドットによる太陽電池素子の超高効率化 |
3 | 超高効率太陽電池素子に供するコロイダル量子ドットの合成 |
3.1 | コロイダルPbSe量子ドット |
3.2 | コロイダルPbS量子ドット |
3.3 | コロイダルInAs量子ドット |
4 | コロイダル量子ドットでのミニバンド形成 |
5 | コロイダル量子ドットの薄膜化、太陽電池素子 |
6 | 今後にむけた課題 |
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第3節 | 高収率光エネルギー変換部材・ナノフォトニックドロップレット |
はじめに |
1 | ドレスト光子 |
1.1 | 基本的な描像 |
1.2 | 近接場光エネルギー移動 |
2 | ナノフォトニックドロップレット |
2.1 | 形成原理 |
2.2 | 機能原理 |
3 | ナノフォトニックドロップレットの光学特性 |
3.1 | 光硬化性樹脂ベースのナノフォトニックドロップレット |
3.2 | 熱硬化性樹脂ベースのナノフォトニックドロップレット |
4 | 光エネルギー変換フィルムの試作 |
おわりに |