水中や液中における現象の理解や測定は、大気や真空中とは異なる独自のアプローチが必要になります。本書では、界面、挙動、形態、物性、元素、環境、距離、通信など、その目的に合わせた機器・方法の選定から、手順、工夫、陥りがちな注意点、困難なポイント、応用方法、未知・未解決領域での取組事例を、実際に取り組んだ人ならではの視点で解説しています。水中・液中における課題解決・技術開発のヒントにお役立ていただければ幸いです。
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第1章 | 水中・液中における形態・物性・挙動の観察・測定技術と応用技術 |
第1節 | 周波数変調原子間力顕微鏡(FM-AFM)の原理と水中・油中での計測事例 |
1. | 原子間力顕微鏡(AFM):もっともよく使われる走査型プローブ顕微鏡 |
2. | コンタクトモードAFM:もっとも単純なAFM |
3. | ダイナミックAFM:もっとやわらかい試料をみたい |
4. | 市販の顕微鏡装置 |
5. | FM-AFMの装置構成 |
6. | 構造化した界面液体の可視化 |
7. | 炭酸カルシウム鉱物(カルサイト)の水中計測 |
8. | 固体表面の水酸基(OH)に水素結合した水分子 |
9. | 潤滑油研究への応用 |
10. | 展望 |
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第2節 | 原子間力顕微鏡を用いたバイオ界面評価 |
1. | 原子間力顕微鏡について |
1.1 | 原子間力顕微鏡の歴史 |
1.2 | AFMの測定モード |
2. | バイオ界面解析のAFMの応用例 |
2.1 | 高分解能計測 |
2.2 | 高速AFM |
2.3 | ナノ力学測定 |
2.3.1 | ナノ力学マッピング |
2.3.2 | 単一分子の力学測定 |
2.3.3 | 表面間力測定 |
2.4 | 顕微鏡法、分光法など他の測定技術との融合 |
3. | おわりに |
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第3節 | SEMによる油中・グリース中も含めた摩擦界面の直接観察 |
1. | はじめに |
2. | 境界潤滑下の摩擦界面観察について |
3. | SEM摩擦界面観察装置 |
4. | 観察例 |
4.1 | 乾燥摩擦下での摩擦界面の観察 |
4.2 | 境界潤滑下の摩擦界面の観察 |
5. | おわりに |
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第4節 | 走査電子顕微鏡、誘電率顕微鏡による液中試料観察 |
1. | はじめに |
2. | 電子顕微鏡による液中観察の概要 |
3. | 走査電子誘電率顕微鏡の概要 |
4. | 走査電子誘電率顕微鏡による生物試料の観察と構造解析 |
5. | 走査電子誘電率顕微鏡による牛乳の直接観察 |
6. | まとめ |
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第5節 | 熱分析および動的粘弾性測定による有機溶剤中のゴムの膨潤測定 |
1. | はじめに |
2. | TMAおよびDMAの概要 |
2.1 | TMAの概要 |
2.2 | DMAの概要 |
3. | TMAおよびDMAによるキシレン中のゴムの膨潤挙動の観察 |
4. | TMAおよびDMAによる有機溶剤中の天然ゴムの膨潤挙動の観察 |
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第6節 | 水中におけるひずみ測定法とその応用例 |
1. | はじめに |
2. | ひずみ測定の方法 |
2.1 | ひずみ測定法 |
2.2 | ひずみゲージ法の概要 |
2.2.1 | 応力とひずみ |
2.2.2 | ひずみゲージの構造 |
2.2.3 | ひずみ測定回路 |
2.2.4 | ひずみ測定システム |
2.2.5 | ひずみゲージの取付け |
2.2.6 | ひずみゲージの接着剤及びコーティング剤 |
2.3 | ひずみゲージ法の選択要件 |
2.4 | ひずみ測定精度への影響因子 |
2.4.1 | 自己温度補償ゲージ |
2.4.2 | リード線の選択の影響 |
3. | 水中および水圧下のひずみ測定 |
3.1 | 水中および水圧下のひずみ測定上の障害要因 |
3.2 | 水中および水圧下のひずみ機材の選定要件 |
3.2.1 | ひずみゲージの選択 |
3.2.2 | リード線の選択 |
3.2.3 | 防水・耐圧用コーティング処理 |
3.3 | 水中および水圧下のひずみ測定精度への影響因子 |
3.3.1 | 絶縁不良 |
3.3.2 | 圧力効果ひずみ |
3.4 | 内水圧のひずみ測定 |
3.4.1 | リード線取出口充填部からの漏水・出水 |
3.4.2 | リード線被覆内からの漏水(中継器に至る場合あり) |
3.4.3 | リード線取出口継ぎ手フランジまたは溶接部からの出水 |
3.4.4 | ひずみゲージまたはリード線の浸水による絶縁不良に基づく零点移動 |
3.4.5 | レジューサ型取出管による具体例 |
3.4.6 | 多孔式フランジ(蜂の巣状取出板)を利用した具体例 |
3.4.7 | ネジ式端子引出しフランジを利用した具体例 |
3.5 | 水蒸気環境 |
4. | 終わりに |
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第7節 | 水中の材料開発に必要な生物のくっつく分子戦略 |
1. | 複合機能としての水中接着 |
2. | 生物のくっつき方 |
3. | 生物接着モデルとしてのイガイとフジツボ |
4. | フジツボとイガイの水中接着タンパク質 |
5. | 水の中の材料開発へのインパクト |
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第8節 | 気泡を利用する水中接着機構 |
1. | 水中でのハムシの歩行能力の調査 |
2. | 泡の役割 |
3. | 気泡を接着剤とするクリーンな技術 |
4. | おわりに |
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第2章 | 水中・液中における化学物質・元素・成分の測定・分析技術 |
第1節 | 水環境にかかわる分析計測技術 |
1. | 水環境の評価に求められる計測 |
2. | オンライン計測 |
2.1 | 水を直接測定する技術 |
2.2 | 採水してオンラインで測定する技術 |
2.3 | 海洋での技術 |
3. | 新たな環境水計測のアプローチ |
3.1 | 蛍光性溶存有機物の追跡 |
3.2 | スマートフォンと連携したオンサイト計測 |
4. | 新たな計測対象へ |
4.1 | 環境DNA |
4.2 | 未知の汚染物質へ |
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第2節 | 生分解性樹脂の海洋生分解性評価 |
1. | はじめに |
2. | 生分解性プラスチック |
3. | 生分解性プラスチックの海洋生分解 |
3.1 | 試験方法 |
3.2 | 海洋生分解に影響する因子 |
3.3 | 海水由来の因子 |
4. | 海洋生分解の国際標準化 |
4.1 | 生分解性プラスチック製品の生分解条件 |
4.2 | ISO規格化のプロセス、活用法 |
4.3 | ISO規格に定められた生分解評価法 |
5. | 今後の展開 |
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第3節 | 蛍光X線による液体試料の元素分析 |
1. | はじめに |
2. | 測定原理 |
2.1 | 定量分析 |
2.2 | FP(ファンダメンタルパラメータ)法による定量分析 |
3. | 蛍光X線分析装置の構成 |
4. | 液体試料分析 |
4.1 | 液体法 |
4.2 | 点滴法 |
4.3 | 分析例 |
4.3.1 | ASTM D2622に基づく原油中イオウ分析 |
4.3.2 | 極微量塩素の分析 |
4.3.3 | 点滴法による分析 |
5. | まとめ |
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第4節 | ICP-MSによる水中・液中の元素分析 |
1. | はじめに |
2. | ICP-MSの基礎 |
3. | ICP-MSにおける問題点とその抑制法 |
3.1 | 非スペクトル干渉 |
3.2 | 非スペクトル干渉の確認法 |
3.3 | 非スペクトル干渉の除去法 |
3.4 | スペクトル干渉 |
3.5 | スペクトル干渉の確認法 |
3.6 | スペクトル干渉の除去法 |
4. | ICP-MSによる水中・液中の元素分析 |
4.1 | サンプルの前処理 |
4.2 | 定性(半定量)分析 |
4.3 | 添加回収実験 |
4.4 | 内標準補正法 |
4.5 | 実サンプルの測定 |
4.5.1 | 超純水 |
4.5.2 | 河川水、水道水 |
4.5.3 | 海水、工場排水、金属材料 |
4.5.4 | 土壌 |
4.5.5 | 有機溶媒 |
4.5.6 | ナノ粒子の粒度分布の測定(SP-ICP-MS) |
4.5.7 | LC-ICP-MS法を用いた測定 |
5. | 最後に |
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第5節 | 空港における液体爆発物検査 |
1. | はじめに |
2. | 空港における液体検査の要件 |
3. | 検査手法の選定 |
4. | 近赤外分光法の課題 |
5. | 検査波長域の検討とスペクトル収集 |
6. | 多様な液体物の吸光度スペクトルの分布 |
7. | 容器の色による影響 |
8. | 懸濁液の検査 |
9. | 液体検査装置の光学系 |
10. | 金属缶への対応 |
11. | 液体物判別方法 |
12. | 検査装置の試作 |
13. | 実用機の開発 |
14. | まとめ |
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第6節 | 油中の水分分析 |
1. | はじめに、 |
2. | 水分子の物理化学的性質を利用した油中の水分分析 |
3. | 水分子との化学反応を利用した油中の水分分析 |
4. | おわりに |
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第3章 | 水中におけるセンサー・通信技術 |
第1節 | 水中における音波伝搬と音響計測技術 |
1. | 水中音波の特徴 |
2. | 水中の速度計測 水中の音速 |
3. | 水中の音波減衰 |
4. | 双方向伝搬による音速と流速の計測 |
5. | 物体までの距離の測定 |
6. | 物体位置の測定 |
7. | 水中の速度計測 |
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第2節 | 水中におけるレーザー光の伝搬メカニズムと水中LiDAR・光通信技術 |
1. | はじめに |
2. | 水中における光の伝搬特性 |
2.1 | 減衰特性 |
2.2 | 乱流特性 |
3. | 水中におけるレーザー応用 |
3.1 | 水中LiDARの開発事例 |
3.1.1 | 3D at Depth「SL3」 |
3.1.2 | 三菱電機特機システム(株)「U4LE」 |
3.1.3 | 2G Robotics(ULS-500 PRO) |
3.1.4 | その他 |
3.2 | 水中光無線通信の開発事例 |
3.2.1 | Sonardyne「BlueComm 200,BlueComm 200UV」 |
3.2.2 | (株)島津製作所「MC100」 |
3.2.3 | KDDI |
3.2.4 | その他 |
4. | まとめ |
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第3節 | 水中・海中における電磁場とその応用 |
1. | はじめに |
2. | 水中電磁気学 |
2.1 | 純水ならびに海水による電磁場エネルギーの損失 |
2.2 | 波長・誘電性・導電性 |
2.3 | 水中伝播 |
3. | 海中アンテナと電子回路 |
3.1 | 海中アンテナ |
3.2 | 海中機器の設計 |
4. | 研究トピックと水域産業への応用 |
4.1 | 研究トピック |
4.2 | 産業への応用 |
5. | まとめ |