EV化社会において、モータは性能の重要さだけでなく材料資源調達のリスクを伴うという、電池と同様な立ち位置におかれています。そこで本書では、第1章では重希土類等の低減、第2章ではモータの構造や軽量化・高回転化、第3章では電磁鋼板の高性能化や替わりとなる磁性材料、第4章ではモータと材料のリサイクル、第5章では評価・解析、の5つの観点から、資源対策技術を企業、大学の第一線技術者・研究者に解説いただきました。EV用モータがおかれている資源面の位置づけ、その解決のための技術アプローチ、現状の技術課題と将来展望を見とおす資料としてお役立ていただければ幸いです。
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第1章 | 省・脱レアアース磁石による対策 |
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第1節 | 省重希土類ネオジム焼結磁石 |
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1. | はじめに |
2. | Nd磁石の製造方法 |
3. | 粒界拡散技術 |
4. | 供給形態による種々の粒界拡散技術 |
5. | 保磁力分布磁石のモータへの応用 |
6. | 結晶粒微細化技術 |
7. | 粒界相改質技術 |
8. | まとめ |
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第2節 | ネオジム新積層磁石の開発 |
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1. | はじめに |
2. | EV用主機モータに搭載されるネオジム焼結磁石の課題 |
3. | ネオジム新積層磁石開発の取り組み |
3.1 | ユニット焼結磁石作製工程の検討 |
3.2 | 焼結磁石の塑性変形(デフォーム)工程開発 |
3.3 | 接合+デフォーム工程の実施 |
3.4 | 磁気特性検証 |
3.5 | 高抵抗接合層形成技術および粒界拡散処理の検討 |
3.6 | 高電気抵抗層厚みと渦電流損失との関係調査 |
4. | EV拡大期におけるネオジム新積層磁石への期待 |
5. | 最後に |
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第3節 | 重希土類フリー熱間加工ネオジム磁石 |
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1. | はじめに |
2. | ネオジム磁石の保磁力向上方法について |
3. | 熱間加工ネオジム磁石について |
4. | 組織制御による熱間加工磁石の特性向上 |
5. | 今後の展開 |
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第4節 | DyフリーNd-Fe-B系異方性ボンド磁石 |
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1. | はじめに |
2. | DyフリーNd系異方性ボンド磁石(マグファイン磁石) |
2.1 | 異方性磁石粉末 |
2.1.1 | d-HDDR技術 |
2.1.2 | Dyフリーのための拡散処理技術 |
2.1.3 | 高性能異方性磁石粉末の開発 |
2.2 | 異方性ボンド磁石 |
2.2.1 | 異方性磁石粉末の表面処理技術 |
2.2.2 | ボンド磁石用コンパウンド技術 |
2.2.3 | 成形技術 |
2.2.4 | 新成形技術の開発 |
3. | Dyフリー異方性ボンド磁石(マグファイン磁石)の応用 |
3.1 | 省資源化のためのEVモータへの展開 |
4. | 結言 |
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第5節 | Sm-Fe-N系ボンド磁石および焼結磁石 |
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1. | はじめに |
2. | Sm-Fe-N系材料の種類,特性と製法 |
2.1 | Sm-Fe-N系磁石材料の基本的磁気特性 |
2.2 | Sm2Fe17N3粉末の製法 |
2.3 | SmFe7-10N粉末の製法 |
3. | Sm-Fe-N系ボンド磁石 |
4. | Sm-Fe-N系焼結磁石 |
5. | おわりに |
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第6節 | 高性能フェライト磁石 |
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1. | はじめに |
2. | フェライト磁石 |
2.1 | フェライト磁石の特徴 |
2.2 | フェライト磁石の製造工程 |
2.3 | フェライト磁石の高性能化とそのメカニズム |
3. | xEVモータへの適用検討 |
3.1 | Nd-Fe-B磁石用原料価格の推移 |
3.2 | フェライト磁石を用いたxEV用モータの設計検討 |
3.3 | 今後の課題 |
4. | まとめ |
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第2章 | モータ形式・構造・小型化による対策 |
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第1節 | 誘導モータ |
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1. | はじめに |
2. | 誘導モータの原理と構造 |
3. | 誘導モータの制御 |
4. | EV用としての誘導モータ |
4.1 | 資源 |
4.2 | 冷却 |
4.3 | 引きずり損失 |
4.4 | 高速回転 |
5. | 自動車駆動への適用例 |
5.1 | テスラ |
5.2 | アウディ |
5.3 | トヨタ |
5.4 | エルフEV |
6. | 今後の課題 |
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第2節 | 巻線界磁モータ |
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1. | はじめに |
2. | 技術と特徴 |
2.1 | モータ構造 |
2.2 | dq回転座標系の観点からのモータ構造の特徴 |
2.3 | ロータ巻線への界磁電流供給方法 |
2.3.1 | ブラシ給電方式 |
2.3.2 | 回転トランス給電方式 |
2.3.3 | 容量性結合給電方式 |
2.3.4 | 時間高調波励磁方式 |
2.3.5 | 空間高調波励磁方式 |
3. | 普及・拡大の課題 |
3.1 | 性能 |
3.2 | 製造・コスト |
3.3 | ロータ巻線冷却 |
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第3節 | リラクタンスモータ(SynRM,SRM) |
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1. | はじめに |
2. | シンクロナスリラクタンスモータ(SynRM) |
3. | スイッチトリラクタンスモータ(SRM) |
3.1 | SRMの基本構造と動作原理 |
3.2 | SRM用駆動回路 |
3.3 | SRMの制御方法 |
4. | リラクタンスモータの最新動向 |
4.1 | SynRMの最新動向 |
4.2 | SRMの最新動向 |
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第4節 | 高速回転モータ用回転子 |
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1. | はじめに |
2. | 回転子の設計 |
3. | 回転子を構成する各部品の要件 |
3.1 | ロータコア |
3.2 | 磁石 |
3.3 | 充填材 |
3.4 | 端板 |
3.5 | シャフト |
4. | 回転子(ロータコア)形状の最適化 |
4.1 | 回転子形状設計の制約 |
4.2 | 磁石レイアウトの例 |
4.3 | 回転子応力低減の工夫 |
4.4 | 今後の展望 |
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第5節 | 高速回転モータ用軸受 |
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1. | まえがき |
2. | 高速回転の課題 |
3. | 深溝玉軸受の高速回転化技術 |
3.1 | グリースの最適化 |
3.2 | 保持器形状の最適化 |
3.3 | 高剛性樹脂材料 |
4. | あとがき |
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第3章 | 電磁鋼板と代替技術による対策 |
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第1節 | EV駆動モータ用無方向性電磁鋼板 |
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1. | 緒言 |
2. | EV駆動モータ性能と電磁鋼板への要求特性 |
3. | EV駆動モータに適した電磁鋼板 |
3.1 | 高効率モータ用ハイエックスコア(R) |
3.2 | 薄手ハイエックスコア(R) |
3.3 | 高張力ハイライトコア(R) |
4. | 打抜き性に優れた電磁鋼板用環境対応型絶縁被膜 |
5. | HEV/EV駆動モータの性能を支える利用技術 |
5.1 | 電磁鋼板磁化過程と主要材質因子 |
5.2 | 鉄損増加要因を考慮した電磁界解析 |
6. | グローバル市場に向けた電磁鋼板特性値評価のトレーサビリティ向上 |
7. | 日本製鉄におけるCO2排出量削減の取り組み |
8. | 結言 |
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第2節 | 省資源型Si傾斜磁性材料 |
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1. | はじめに |
2. | Si傾斜磁性材料(JNHF(R)) |
3. | Si局在化材料(JNSF(R)) |
4. | 高磁束密度Si傾斜磁性材料(JNRF(R)) |
5. | おわりに |
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第3節 | 高効率モータ用液体急冷合金リボン |
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1. | 背景 -パワーエレクトロニクスを取り巻く環境の変化 |
1.1 | SiCの実用化 |
1.2 | 従来の軟磁性材料とこれからの軟磁性材料に求められる要件 |
2. | 液体急冷合金 |
2.1 | 軟磁気特性として適当な液体急冷リボン ードローン用モータ開発例 |
2.2 | 液体急冷リボンの将来展望 -高Bsナノ結晶合金リボン |
3. | 液体急冷リボンの課題 |
3.1 | 打抜き効率と軟磁気特性のバランス,打抜き効率の低下 |
4. | 液体急冷リボンと資源 |
4.1 | モータコア損失低減が資源に及ぼす効果 |
4.2 | Fe基アモルファス合金とナノ結晶合金の金属資源 |
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第4節 | アキシャルギャップモータ用圧粉磁心 |
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1. | 緒言 |
2. | 圧粉磁心の概要と特徴 |
2.1 | 圧粉磁心の概要 |
2.2 | 圧粉磁心の材料特性 |
3. | アキシャルギャップモータへの適用 |
3.1 | アキシャルギャップモータの概要 |
3.2 | アキシャルギャップモータによる小型化 |
3.3 | モータ高性能化に寄与する圧粉磁心の開発 |
3.3.1 | 一体ツバ付コア成形技術 |
3.3.2 | 絶縁塗装技術の向上 |
4. | 圧粉磁心とアキシャルギャップモータによる環境への貢献 |
4.1 | 駆動モータへの圧粉磁心・アキシャルギャップモータ適用 |
4.2 | 圧粉磁心搭載アキシャルギャップモータの製造時におけるCO2排出量 |
5. | 緒言 |
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第4章 | モータ・材料リサイクルによる対策 |
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第1節 | EVリサイクル・資源循環の展望 |
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1. | はじめに |
2. | 世界のLIBの生産状況と蓄電池産業の育成(とくに車載用LIBに注目して) |
3. | EUの拡大生産者責任と自動車指令 日本の自動車リサイクル法と対比して |
3.1 | 使用済自動車のEU指令と日本の自動車リサイクル法 |
3.2 | 欧州のEV推進の実情とEVセルの生産拠点 |
3.2.1 | EV生産台数の推移 |
3.2.2 | 欧州のEVセルの生産拠点 |
3.3 | 欧州バッテリー指令から規則(案)への変更とLIBリサイクルの現状 |
3.3.1 | 回収・再資源化の対象バッテリー |
3.3.2 | 拡大生産者責任の具体的内容 |
1) | 回収率 |
2) | 原材料別の再資源化率 |
3) | エコデザイン |
4) | バッテリーパスポートとカーボンフットプリント |
3.4 | 欧州のLIBリサイクル拠点 |
4. | 日本のLIBの生産とリサイクルの現状、リサイクル政策 |
4.1 | 東アジア3国の部材別LIBの生産状況 |
4.2 | 日本における車載用LIBの生産工場 |
4.3 | 日本のブラックマス製造工場 |
4.4 | 日本の製錬工場におけるLIBリサイクル |
4.5 | 自工会の使用済EV由来のLIB回収事業 |
4.6 | 中国韓国のLIB製造メーカーとLIBリサイクルの概観 |
5. | おわりに |
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第2節 | 電動車用モータの解体と希少資源回収 |
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1. | はじめに |
2. | モータで使用されている材料 |
2.1 | モータで使用されている材料の種類と含有量 |
2.2 | モータで使用されている希少な資源、リサイクルの必要性 |
3. | モータの解体性 |
3.1 | モータの解体性調査の背景 |
3.2 | 解体対象モータ |
3.3 | モータの解体に使用した工具および機器 |
3.4 | モータの解体手順・結果 |
3.5 | モータの解体結果・まとめ |
4. | 今後の課題(モータの解体性、資源回収) |
4.1 | モータの解体、資源回収の効率化 |
4.2 | 解体モータの数量確保、サプライチェーン構築 |
5. | まとめ |
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第3節 | ロータ解体が不要なモータからのレアアースリサイクル |
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1. | はじめに |
2. | 現行の電動車用モータからのレアアース回収方法 |
3. | ロータ解体が不要なモータからのレアアースリサイクル |
4. | おわりに |
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第4節 | ネオジム磁石スクラップからのレアアースの回収・分離精製技術 |
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1. | はじめに |
2. | ネオジム磁石の生産及びサプライチェーン |
3. | ネオジム磁石からのレアアース回収・分離精製技術の開発 |
3.1 | 混合希土(Nd,Pr,Dy,Tb)回収装置の開発 |
3.2 | 軽希土(Nd、Pr)・重希土(Dy、Tb)分離精製装置の開発 |
3.3 | 重希土(Dy)・重希土(Tb)分離精製技術の開発 |
4. | モバイルリサイクルの実証 |
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第5節 | 廃ネオジム磁石からの吸着分離法によるディスプロシウムの分離回収 |
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1. | はじめに |
2. | コーティング型SIRの調製とその性能評価 |
3. | ネオジム磁石の浸出および浸出液中の鉄とREの粗分離 |
4. | コーティング型SIRを用いたDyの分離回収 |
5. | まとめ |
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第6節 | ワイヤーハーネス細線の被覆樹脂および銅の分離技術 |
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1. | はじめに |
2. | 物理的分離手法 |
3. | 化学的分離手法 |
4. | 物理的手法と化学的手法を組み合わせた分離手法 |
5. | おわりに |
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第5章 | 資源低減につながる評価・解析技術 |
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第1節 | モータの磁性特性,鉄損評価技術 |
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1. | はじめに |
2. | Hコイルとサーチコイルを設けることにより局所的な鉄損を求める方法 |
2.1 | 測定原理 |
2.2 | モータ鉄損の測定方法 |
2.3 | 測定結果 |
3. | 実駆動時のインバータ波形そのもので励磁したリング試料の鉄損からモータ損失を推定する方法 |
3.1 | モータ鉄損の推定方法 |
3.2 | 実験装置の仕様 |
3.3 | 実験結果 |
4. | まとめ |
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第2節 | モータの鉄損解析 |
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1. | はじめに |
2. | 鉄損の算定精度を左右する要因 |
3. | 鉄損の計算手法 |
3.1 | 鉄損計算の原理 |
3.2 | 時間高調波の考慮法と影響度 |
3.3 | ビルディングファクターの考慮法 |
3.3.1 | 応力の考慮 |
3.3.2 | 加工歪の考慮 |
4. | モータの効率マップの設計最適化事例 |
5. | おわりに |
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