本書は、永年要望が寄せられてきた、界面で発現する現象や機能を活用するための一冊です。界面現象の基礎的な解説から、性能や効率の向上を図るための界面制御や積層・集積・接合方法、期待される活用領域について、各分野の第一人者、新材料の界面研究を先導する先生方にご執筆いただきました。研究フィールドや応用対象などの専門を超え、横断的な知見を得ていただける構成となっています。材料・デバイス界面の研究に携わっている方だけでなく、界面に興味をお持ちの皆様の業務・研究のお役に立てれば幸いです。
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第1章 | パワー半導体の界面現象と制御技術 |
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第1節 | SiCパワー半導体の界面現象と制御 |
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1. | はじめに |
2. | 高効率パワーデバイスのためのワイドギャップ半導体材料 |
3. | SiC MOSFET形成技術に残された課題: SiCのMOS界面現象の制御と特性向上 |
3.1 | 一般論としてのゲート絶縁膜と半導体の界面の制御とその評価手法の特徴 |
3.2 | SiC上の熱酸化によるゲート絶縁膜形成プロセスの材料学的理解と課題 |
3.3 | SiCの窒化反応を始めとする各種の界面欠陥抑制技術の課題 |
4. | まとめ |
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第2節 | GaN半導体デバイスのMIS界面評価と制御 |
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1. | はじめに |
2. | GaN系MISデバイスのゲート絶縁膜 |
3. | ワイドギャップ半導体のMIS界面評価 |
4. | ヘテロ構造MIS界面の評価 |
5. | GaN系半導体のMIS界面向上プロセス |
6. | 課題と展望 |
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第3節 | ダイヤモンド絶縁膜の界面欠陥の原子イメージング |
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第2章 | 半導体界面の制御と半導体異種集積・接合技術 |
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第1節 | 金属/半導体界面の現象と電子物性制御 |
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1. | はじめに |
2. | 金属/半導体界面の電子物性 |
2.1 | 金属/半導体界面のエネルギーバンド構造 |
2.2 | 金属/半導体界面におけるコンタクト抵抗率 |
3. | 金属シリサイド/シリコン接合形成プロセス |
4. | 金属/半導体接合の界面構造および電気伝導特性制御 |
4.1 | NiSi/Si界面の熱的安定化とコンタクト抵抗低減 |
4.2 | エピタキシャル金属ジャーマナイド/Ge接合によるFLP解消とSBH低減 |
5. | まとめ |
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第2節 | 酸化物界面構造の機能と制御 |
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1. | 研究の背景 |
2. | 界面で起こっている現象 |
3. | 界面形成と計測方法 |
4. | 酸化物界面構造の原子レベル制御 |
5. | 原子レベル制御した界面電子機能の創出 |
6. | まとめ |
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第3節 | 半導体ウェハ接合技術の太陽電池応用 |
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1. | はじめに |
2. | 背景 |
2.1 | 半導体ヘテロ構造 |
2.2 | ヘテロエピタキシャル成長と結晶欠陥 |
3. | 半導体ウェハ接合技術 |
3.1 | ウェハ接合とは |
3.2 | 半導体ウェハ接合の熱力学 |
4. | ウェハ接合による太陽電池 |
4.1 | III-V化合物半導体太陽電池 |
4.1.1 | ウェハ接合によるサブセルの接続 |
4.1.2 | 上下逆方向成長とウェハ接合の活用 |
4.2 | III-V/Si多接合太陽電池 |
4.3 | III-V/CIGS多接合太陽電池 |
4.4 | 有機太陽電池 |
5. | 太陽電池用途のウェハ接合技術 |
5.1 | メカニカルスタッキング |
5.2 | 直接半導体ウェハ接合 |
5.3 | 金属を介したウェハ接合 |
5.4 | 透明導電材料を介したウェハ接合 |
5.5 | 機能性ウェハ接合 |
5.5.1 | 発電材料を介したウェハ接合 |
5.5.2 | 波長変換材料を介したウェハ接合 |
6. | その他のウェハ接合の太陽電池応用 |
6.1 | 軽量・フレキシブル太陽電池 |
6.2 | 金属背面構造の薄膜太陽電池 |
6.3 | ウェハ再利用技術 |
7. | まとめ |
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第4節 | Si太陽電池の高性能化に向けたヘテロ界面制御 |
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1. | はじめに |
2. | 太陽電池の高性能化のキーテクノロジー |
2.1 | キャリアの光生成と再結合 |
2.2 | 表面パッシベーション |
3. | ヘテロ接合型シリコン太陽電池における界面制御技術 |
3.1 | 高品質アモルファスシリコン薄膜の水素脱離抑制 |
3.2 | 真性アモルファスシリコン薄膜の積層化 |
3.3 | 透明導電膜/アモルファスシリコン界面の高性能化 |
4. | むすび |
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第5節 | 有機半導体の界面における光アップコンバージョン |
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1. | はじめに |
2. | 用いた材料系の特徴とサンプル作製 |
3. | アップコンバージョン発光の効率の算出 |
4. | 有機半導体界面でのアップコンバージョン発光 |
5. | アップコンバージョン発光のメカニズム |
6. | 有機半導体界面近傍での三重項励起状態の拡散挙動 |
7. | おわりに |
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第6節 | 化合物半導体ナノワイヤ異種集積技術 |
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1. | はじめに |
2. | 半導体異種集積技術の重要性 |
2.1 | 次世代フォトニクス分野 |
2.2 | 次世代エレクトロニクス分野 |
3. | Si基板上のIII-V族化合物半導体ヘテロエピタキシャル成長技術 |
3.1 | バッファ層成長技術 |
3.2 | マイクロチャネルエピタキシー |
3.3 | 原子層ステップ基板 |
4. | Si基板上のIII-V族化合物半導体ナノ構造の異種集積技術 |
4.1 | 選択成長法による化合物半導体ナノ構造成長 |
4.2 | Aspect-Ratio Trapping (ART)法 |
4.3 | Template-Assisted Selective-area Epitaxy (TASE)法 |
5. | Si基板上のIII-Vナノワイヤ異種集積技術 |
5.1 | 選択成長法による化合物半導体ナノワイヤ集積 |
5.2 | 選択成長法によるSi上の化合物半導体ナノワイヤ異種集積技術 |
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第7節 | ハロゲン架橋金属錯体の一次元ヘテロ接合 |
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1. | はじめに |
2. | ハロゲン架橋金属錯体(MX錯体)の概要 |
3. | MX錯体ヘテロ結晶の作製 |
4. | 一次元ヘテロ接合の原子分解能観察 |
5. | まとめと展望 |
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第8節 | 異種材料接合による弾性波デバイスの高性能化 |
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1. | はじめに |
2. | 弾性波デバイスの動作原理と要求される特性 |
2.1 | 弾性表面波デバイス |
2.2 | バルク弾性波デバイス |
2.3 | 弾性波フィルタ |
2.4 | 弾性波デバイスに要求される特性と高性能化へのアプローチ |
3. | 異種材料接合技術の弾性波デバイスへの適用例 |
3.1 | SAWデバイス |
3.2 | 板波デバイス |
3.3 | BAWデバイス |
4. | 水晶支持基板との異種材料接合によるSAWデバイスの高性能化 |
4.1 | LSAWの伝搬・共振特性 |
4.1.1 | 解析解 |
4.1.2 | 有限要素法による解析 |
4.1.3 | 実験 |
4.2 | LLSAWの伝搬・共振特性 |
4.2.1 | 解析解 |
4.2.2 | 有限要素法による解析 |
4.2.3 | 実験 |
5. | おわりに |
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第9節 | 半導体異種材料接合技術:CFB(クリスタル・フィルム・ボンディング) |
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1. | はじめに |
2. | 半導体デバイスの付加価値を向上するCFBソリューションの特長 |
2.1 | プリンター事業で培われたCFB技術 |
2.2 | CFBソリューションのビジネスモデル |
2.3 | CFBソリューションのバリエーション |
3. | 応用事例1:フルカラーマイクロLEDディスプレイ |
3.1 | 用途市場のニーズと課題 |
3.2 | フルカラーマイクロLEDディスプレイの実証 |
4. | 応用事例2:MEMS超音波センサー |
4.1 | 市場ニーズと課題(超音波センサー) |
4.2 | 共創パートナーの特長:I-PEX Piezo Solutions株式会社のKRYSTAL(R) Wafer |
4.3 | 共創成果:超音波センサーの性能向上の実証 |
5. | 応用事例3:縦型GaNパワーデバイスの社会実装に向けた新技術 |
5.1 | 市場ニーズと課題(次世代パワーデバイス) |
5.2 | 共創パートナーの特長(信越化学工業株式会社のGaN on QST基板) |
5.3 | 共創成果(縦型GaNパワーデバイスに向けた新技術) |
6. | あとがき |
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第3章 | 強磁性体・強磁性半導体の界面現象と制御技術 |
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第1節 | 強磁性金属/酸化物の界面現象と制御 |
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1. | はじめに |
2. | 強磁性トンネル接合の界面物性 |
2.1 | 界面の原子レベルの乱れとTMR |
2.2 | 界面のスピンの揺らぎの影響 |
2.3 | コヒーレントトンネル効果における原子ステップの効果 |
3. | 強磁性金属/酸化物界面の評価・解析 |
4. | 課題と展望 |
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第2節 | 非磁性/強磁性半導体の二層ヘテロ接合の電子伝導現象とその制御 |
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1. | はじめに |
2. | 強磁性半導体:磁性不純物を添加する半導体の研究 |
2.1 | 強磁性半導体研究の概要 |
2.2 | FeドープIII-V族狭ギャップ強磁性半導体の開発 |
3. | 近接効果を利用した強磁性半導体の実現 |
3.1 | 強磁性半導体/非磁性半導体界面における新しい近接磁気抵抗効果 |
3.2 | 強磁性半導体/非磁性半導体界面における磁気近接効果の物理機構 |
3.3 | 磁気近接効果による非磁性半導体InAsのスピン分裂した電子状態の観測 |
4. | おわりに |
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第3節 | スピントロニクス材料と半導体の超高品質接合 |
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1. | はじめに |
2. | 半導体スピントロニクスデバイス |
3. | 強磁性ホイスラー合金と半導体ゲルマニウムの超高品質界面の作製 |
4. | ゲルマニウムスピントロニクスデバイスの室温動作 |
5. | まとめ |
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第4節 | 界面マルチフェロイク材料 |
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1. | はじめに |
2. | 電気-磁気結合とその物理起源 |
2.1 | 電気-磁気結合定数 |
2.2 | 電気-磁気結合の起源 |
2.2.1 | 電荷蓄積効果 |
2.2.2 | 磁気弾性効果 |
2.2.3 | 交換結合効果 |
2.2.4 | イオン伝導効果 |
3. | 電気-磁気結合の特徴 |
3.1 | 応答速度 |
3.2 | 消費電力 |
4. | 界面マルチフェロイク材料の例 |
4.1 | 電荷蓄積効果 |
4.2 | 磁気弾性効果 |
4.3 | 交換結合効果 |
4.4 | イオン伝導効果 |
5. | 将来展望 |
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第5節 | トポロジカル材料の表面・界面の物理 |
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1. | はじめに |
2. | トポロジカル絶縁体 |
2.1 | トポロジカル絶縁体とは |
2.2 | 2次元トポロジカル絶縁体とヘリカルエッジ状態 |
2.3 | 3次元トポロジカル絶縁体とヘリカル表面状態 |
2.4 | ヘリカルエッジ状態・表面状態の性質とクラマース縮退 |
2.5 | 磁性によるトポロジカル表面状態への影響 |
3. | トポロジカル結晶絶縁体 |
4. | まとめ |
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第4章 | 常温・低温・大気中直接接合技術 |
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第1節 | 低温・常温接合技術の技術動向と高熱伝導率材料の異種材料集積 |
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1. | はじめに |
2. | さまざまな接合技術 |
3. | 表面活性化接合技術 |
3.1 | 半導体の直接接合 |
3.2 | 金属薄膜の直接接合 |
4. | 高熱伝導率材料の集積化による高放熱構造 |
5. | まとめ |
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第2節 | 高耐熱性ダイヤモンド/異種材料接合の素子応用―ダイヤモンド上低熱抵抗GaNトランジスタ |
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1. | はじめに |
2. | 高耐熱性ダイヤモンド/異種材料接合 |
2.1 | Si/ダイヤモンド接合 |
2.2 | GaN薄層/ダイヤモンド接合 |
3. | GaN-on-diamond HEMT |
3.1 | 窒化物半導体/ダイヤモンド接合及びGaN-on-diamond HEMTの作製 |
3.2 | GaN-on-diamond HEMTの素子特性-自己発熱の抑制 |
3.3 | ダイヤモンド上GaN HEMTの素子特性-電気特性 |
4. | まとめ・将来展望 |
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第3節 | 酸化ガリウム/ダイヤモンドおよび酸化ガリウム/炭素ケイ素の接合技術 |
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1. | 概要 |
2. | 序論 |
3. | Ga2O3/ダイヤモンドの接合 |
4. | Ga2O3/SiC基板の直接接合 |
5. | まとめと今後の展望 |
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第4節 | 常温接合によるレーザーの作製とその応用 |
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1. | はじめに |
2. | 常温接合プロセス |
3. | 複合構造レーザーの作製 |
3.1 | 異種材料複合構造レーザー |
3.2 | マイクロチップ複合構造レーザー |
4. | 波長変換デバイスの作製 |
4.1 | ウォークオフ補償デバイス |
4.2 | 擬似位相整合デバイス |
5. | まとめと今後の展望 |
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第5章 | 2次元原子層物質の積層・集積と界面現象および制御技術 |
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第1節 | 2次元原子層物質の積層と物性制御 |
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1. | はじめに |
2. | 2層ヤヌスTMDの積層配向による電子物性制御 |
3. | 2層TMD系における電界効果キャリア蓄積 |
4. | まとめ |
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第2節 | グラフェン/hBN構造の作製と物性制御 |
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1. | はじめに |
2. | 積層構造作製技術 |
3. | 素子作製プロセス |
4. | グラフェン/hBNモアレ超格子の量子輸送 |
5. | まとめ |
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第3節 | 2次元半導体応用のための界面・表面制御 |
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1. | 2次元半導体の集積回路実装における期待と課題 |
2. | 表面電荷移送ドーピングによる2次元半導体のキャリア制御 |
3. | ノンドープWSe2 FETの基本特性 |
4. | 分子吸着によるWSe2の電子ドーピング |
5. | 表面酸化によるWSe2のホールドーピング |
6. | まとめ |
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第4節 | 酸化物ナノシートの階層的集積による機能性ナノ構造材料の創製 |
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1. | はじめに |
2. | ソフト化学プロセスによる酸化物ナノシートの合成 |
3. | 酸化物ナノシートの階層的集積と機能 |
3.1 | 静電的自己組織化 |
3.2 | ラングミュア・ブロジェット法 |
3.3 | スピンコート法 |
4. | おわりに |
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第6章 | 全固体電池の界面現象と制御技術 |
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第1節 | 全固体リチウム電池における界面抵抗の解明と低減 |
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1. | 全固体電池における界面抵抗の低減の重要性 |
2. | 清浄な界面を有する薄膜型電池を活用した界面の定量的な研究 |
3. | 固体電解質-正極間の界面抵抗の起源を定量的に理解する |
4. | Li3PO4酸化物固体電解質-正極間における抵抗起源の定量的な研究 |
5. | 硫化物固体電解質-正極間の界面抵抗の起源解明に向けて |
6. | Li3PS4固体電解質をLiCoO2正極上に堆積した場合の電池動作 |
7. | Li3PO4緩衝層の導入による電池動作の改善 |
8. | 界面抵抗の定量的な研究を通して今後の展望 |
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第2節 | リチウム固体電解質界面における電気二重層効果の制御 |
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1. | はじめに |
2. | 電界効果トランジスタを用いたホール測定に基づくリチウム固体電解質/ダイヤモンド界面の電気二重層効果の調査 |
3. | リチウム固体電解質/ダイヤモンド界面への中間層挿入による充放電応答速度の制御 |
4. | 終わりに |
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