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廃プラスチックのケミカルリサイクル
―技術開発動向と展望―

〜解重合・液化・ガス化・各種分解プロセス等の技術と事業化の動向〜

[コードNo.25STM091]

■体裁/ B5判並製本 236頁
■発行/ 2025年1月28日 サイエンス&テクノロジー(株)
■定価/ 55,000円(税・送料込価格)
■ISBNコード/ 978-4-86428-325-0

著者

アイシーラボ 代表室井城 氏
【著者略歴】
1968年 福島工業高等専門学校 工業化学科 卒業 住友金属鉱山(株) 中央研究所配属
1969年 日本エンゲルハルド(株)/現エヌ・イーケムキャット(株) 市川研究所出向
1970年 日本エンゲルハルド(株) 本社営業第一部 化学触媒・自動車触媒の販売に従事
      以降同社にて、カスタム触媒開発、公害防止VOC除去触媒開発、Engelhard社
      (現BASF Catalysts )のProcessのライセンシング、化学触媒事業部長、理事、
      事業開発部にて燃料電池触媒と新規事業担当部長、Engelhard社ポリオレフィン
      触媒の担当、エヌ・イーケムキャット(株)執行役員、常勤顧問を務める。
2008年 エヌ・イーケムキャット(株)を退社
      アイシーラボを設立し、以降工業触媒コンサルタントとして活動
      この他、BASFジャパン(株)主席顧問、日本ガス合成(株)執行役員、
      フロンティア・ラボ(株)顧問を担当
【業界での活動、受賞等】
2005年 触媒学会功績賞を受賞
2006年 触媒学会副会長 早稲田大学客員研究員
2007年 神奈川大学非常勤講師
2014年 NEDO 戦略センター 客員フェロー
【主な著書】
2003年「工業貴金属触媒」JITE社
2008年「工業触媒の劣化対策と再生、活用ノウハウ」サイエンス&テクノロジー社
2010年「エネルギー触媒技術」監修 S&T出版社
2013年「新しいプロピレン製造プロセス」監修 S&T出版社
2013年「工業触媒の最新動向」CMC出版
2013年「シェールガス・オイル革命の石油化学への影響」S&T出版社
2014年「シェールガス革命 “第二の衝撃”」日刊工業新聞社
2017年「触媒からみるメタン戦略・二酸化炭素戦略」シーエムシー・リサーチ社
2020年「触媒からみる二酸化炭素削減対策2020」シーエムシー・リサーチ社
2021年「触媒からみる炭素循環(カーボンリサイクル)技術2021」シーエムシー・リサーチ社
2023年「グリーン燃料とグリーン化学品製造―技術開発動向とコスト―」サイエンス&テクノロジー社

書籍趣旨

 世界的には、欧米をはじめ、容器包装材の使用そのものを削減しようとする動きが始まっている。さらに、プラスチック循環について世界的な法的拘束力のある国際条約が決められつつある。条約では、廃プラスチックの再利用だけでなく、プラスチックの生産や用途も含まれることになる。既に、欧州ではプラスチック容器などに再生プラスチックの一定量の使用割合が定められている。自動車部品のプラスチックも、ある一定量の再生プラスチックの使用が義務付けられ始めた。

 2050年には、Net Zero社会が到来する。ということは、地球温暖化ガスを排出する化石資源は、全く使われなくなるということである。それは、ナフサクラッカーがなくなることを意味している。プラスチックは、バイオマスまたは再エネ水素とCO2から合成することになるが、7割以上は再生プラスチックが用いられると予想されている。プラスチックはマテリアルリサイクルされるのが理想であるが、混合プラスチックや食品残渣などにより汚れたプラスチックはリサイクル困難である。今後、ソーティング技術が進歩し、解重合を含めマテリアルリサイクル技術が進歩するものと思われるが、これらのリサイクル困難なプラスチックは、ガス化するのではなく、熱分解で液化し、当面は既存のナフサクラッカーでスチームクラッキングしてポリマーの原料とするのが再利用への近道である。都市ごみなどと混合した回収困難なプラスチックは、都市ごみと一緒に焼却されるのではなく、ガス化してメタノールなどの化学品の製造に用いられなければならない。

 本書ではケミカルリサイクルを中心に、廃プラスチックリサイクル技術開発の経緯や近年の動向、今後の展望をまとめた。これらの内容が今後の研究開発やリサイクル技術の発展にお役に立てれば幸いである。

                                                      (はじめにより抜粋)

目次

はじめに
第1章廃プラスチックリサイクルの現状と規制動向
1.世界のプラスチック
 1.1世界のプラスチック生産量
 1.2世界のプラスチック原料
2.海外の廃プラスチックリサイクルの現状
 2.1海外の廃プラスチック処理
 2.2日本の廃プラスチックリサイクル割合
3.欧州の廃包装プラスチックのリサイクル率
4.廃プラスチック規制
 4.1EUのシングルユース・プラスチックに関する規制
 4.2海外の規制動向
 4.3欧州のプラスチック関連税
5.EUにおけるリサイクル材の最低含有率
 5.1容器包装材
 5.2自動車リサイクルプラスチック
6.国際条約
第2章化学的マテリアルリサイクル
1.マテリアルリサイクル
2.再生プラスチックの微量有臭成分除去
 2.1EREMA社のReFresher
 2.2BEAUTYCLE社
3.溶剤を用いた再生
 3.1PureCycle社
 3.2多層フィルムの溶媒による分離
  3.2.1ウィスコンシン大学
  3.2.2BASF社,Krones社,SÜDPACK社,TOMRA社
4.廃プラスチックの脱インキ
 4.1アリカンテ大学
 4.2DIC社<
 4.3着色ポリスチレンのリサイクル
 4.4軟包装材水平リサイクル
5.添加剤による廃プラスチックのアップグレード
 5.1添加剤
 5.2ADEKA社
 5.3BASF社
 5.4東ソー社
第3章ケミカルリサイクル
1.ケミカルリサイクル技術
2.廃プラスチックのケミカルリサイクルによるポリマーの製造
 2.1ナフサからのポリマーの製造
 2.2廃プラスチックのガス化によるケミカルリサイクル
 2.3マスバランス方式
3.日本の従来のケミカルリサイクル
 3.1日本のケミカルリサイクル
 3.2コークス製造利用
 3.3高炉利用
 3.4アンモニアの製造
  3.4.1EUPプロセス
  3.4.2宇部興産社
  3.4.3レゾナック社
  3.4.4EUPプロセスのライセンシング
第4章PETボトルのリサイクル
1.廃PETボトルのリサイクルの現状
2.廃PETの回収技術
3.固相重合によるPETのリサイクル
 3.1固相重合による再生方法
 3.2固相重合によるPET再生会社
 3.3PETボトルの製法
4.国内の解重合技術
 4.1エチレングリコール(EG)による解重合
 4.2帝人プロセス
 4.3AIESプロセス
  4.3.1アイエス社/JEPLAN社
  4.3.2東レフィルムズヨーロッパ社
  4.3.3化粧品のボトル容器
 4.4アルカリ加水分解によるPETの解重合
 4.5超臨界メタノールによるPETの解重合
 4.6産業技術総合研究所の高温加水分解
 4.7炭酸ジメチルを用いたPETの低温解重合
 4.8塩化ビニルとの共熱反応によるPETの解重合
5.海外の解重合技術
 5.1固相重合
 5.2Loop Industries社
  5.2.1加水分解プロセス
  5.2.2Indorama Ventures社
  5.2.3SK Geo Centric社
 5.3Eastman Chemical社
 5.4Shell Chemical社
 5.5Ioniqa社
 5.6Carbios社
 5.7Gr3n社
 5.8IBM社
6.再生ポリエステル繊維
 6.1帝人ファイバー社
  6.1.1DMT法
  6.1.2BHET法
 6.2BCDグループ
第5章廃プラスチックの解重合
1.解重合
2.PSの解重合
 2.1廃PSのモノマー化
 2.2Agilyx社
  2.2.1Agilyxプロセス
  2.2.2INEOS Styrolution社
  2.2.3東洋スチレン社
  2.2.4錦湖石油化学社
 2.3東芝プラントシステム社
  2.3.1東芝プラントシステム社実証プラント
  2.3.2PSジャパン社
 2.4Polystyvert社
3.PMMAの解重合
 3.1三菱レイヨン社(現・三菱ケミカル社)と北海道大学
 3.2三菱ケミカルグループ
 3.3住友化学社
 3.4NextChem社
4.PURの解重合
 4.1PURの加水分解
 4.2マイクロ波によるPURの解重合
5.ナイロンの解重合
 5.1ポリアミド6(6-ナイロン)
  5.1.1東レ社
  5.1.2Aquafil社
 5.2ポリアミド6,6(6,6-ナイロン)
6.PLAの解重合
 6.1PLAの製法
 6.2廃PLAの解重合
 6.3均一系触媒による解重合
 6.4Galactic社
 6.5TotalEnergies Corbion社
7.PCの解重合
8.PBTの解重合
第6章廃プラスチックの液化
1.廃プラスチックからナフサの製造
2.プラスチックの熱分解
3.廃プラスチック熱分解液化油とナフサ成分比較
4.廃プラスチック熱分解液化油の生産予測
5.廃プラスチックの液化プロセス
 5.1廃プラスチックの熱分解プロセス
  5.1.1TAC Oilプロセス
  5.1.2Plastic Energy社
  5.1.3Quantafuel社
  5.1.4Recycling Technologies社
  5.1.5Cat-HTRTMプロセス
  (1)Licella社
  (2)Mura Technology(Mura)社
  (3)KBR社
  (4)Dow社
  5.1.6Fuenix Ecogy Group社
  5.1.7Nexus Fuels社
  5.1.8Nexus Circular社
  (1)独自の熱分解装置
  (2)LyondellBasell社
  (3)Chevron Phillips Chemical(CPChem)社
  5.1.9ExxonMobil社
 5.2廃プラスチックの接触分解プロセス
  5.2.1Recenso社
  5.2.2カールスルーエ工科大学
  (1)MoReTec技術
  (2)LyondellBasell社
  5.2.3環境エネルギー社
 5.3廃プラスチックの水素化分解
第7章マイクロ波による廃プラスチックの分解
1.ケミカルリサイクルにおけるマイクロ波技術
2.Pyrowave社
3.Gr3n社
4.マイクロ波化学社
 4.1PlaWave®
 4.2MMAの解重合
 4.3三菱ケミカルグループ
 4.4レゾナック社
 4.5マイクロ波化学社と共同開発会社
 4.6セブン‐イレブン・ジャパン社
第8章廃プラスチックから軽質オレフィンの合成
1.ポリオレフィンの解重合
2.熱分解(Battelle Memorial研究所)
 2.1循環流動層(CFB)
 2.2CFBによるLDPE転化率とエチレン生成率
 2.3CFBによるHDPEのスチームキャリアーガスによる熱分解
 2.4混合ポリマーの熱分解
3.廃プラスチックの接触分解
 3.1酸性度の異なる触媒による生成物
 3.2PEの接触熱分解
 3.3PEのZSM-5とUSYによる接触分解
  3.3.1接触分解生成物
  3.3.2生成物のカーボン数分布
 3.4使用済みFCC触媒とZSM-5混合触媒によるPEの迅速分解
 3.5PEのHZSM-5による円錐噴流層による接触分解
  3.5.1HZSM-5によるHDPEの接触分解
4.二段階方式による廃ポリオレフィンの接触分解
 4.1二段階高温熱分解
 4.2二段階HZSM-5による接触分解
 4.3マイクロウェーブ熱分解生成物のZSM-5による接触分解
5.芳香族生成を抑制した低級オレフィン
第9章廃プラスチックから芳香族の製造
1.ゼオライトによる芳香族の製造
 1.1室蘭工業大学
 1.2IHI社
2.Anellotech社
 2.1Plas-TCatTMプロセス
 2.2アールプラスジャパン社
3.BioBTX社
4.Encina社
第10章廃タイヤのリサイクル
1.廃タイヤのリサイクル状況
 1.1日本の廃タイヤの回収率
 1.2日本の廃タイヤリサイクル内訳
 1.3欧米における廃タイヤリサイクルの状況
 1.4廃タイヤリサイクルの日欧比較
2.日本における廃タイヤ利用の歴史
3.廃タイヤの成分
 3.1廃タイヤ熱分解成分
 3.2合成ゴムの熱分解データ
4.廃タイヤの熱分解
 4.1廃タイヤのTGAデータ
 4.2粒子径の異なる廃タイヤの熱分解生成物
 4.3廃タイヤの温度による熱分解生成物
 4.4廃タイヤの熱分解油とチャー
 4.5各種廃タイヤの熱分解データ
 4.6熱分解反応器と生成物
 4.7合成ゴムの熱分解
5.廃トラックタイヤとゴム手袋の熱分解
 5.1熱分解条件
 5.2熱分解結果
 5.3トラックとタイヤとゴム手袋の熱分解結果
 5.4温度による生成物の収率
 5.5エチレン,プロピレン収率
 5.61,3-ブタジエン
 5.7イソプレン
 5.8iso-ブテン
 5.9タール
 5.10硫黄
 5.11カーボンブラック
 5.12経済性
6.廃タイヤの接触分解
 6.1各種触媒を用いた廃タイヤの接触分解
 6.2Na2CO3触媒
7.ゼオライトを用いた廃タイヤの熱分解
8.HZSM-5とHYゼオライトによるタイヤの接触分解
 8.1円錐形噴流層による試験
 8.2円錐形噴流層による試験結果
  8.2.1ガス留分
  8.2.2C5〜C10留分
  8.2.3芳香族
  8.2.4タール
  8.2.5カーボンブラック
 8.3生成ガス成分
 8.4触媒劣化
9.廃タイヤの熱分解油のナフサ利用
 9.1BASF社
 9.2Pyrum Inovations社
 9.3Michelin社
10.廃タイヤの解重合
 10.1東北大学
 10.2メタセシス反応による解重合
第11章廃プラスチックの利用
1.アスファルト改質剤
 1.1Dow社
 1.2花王社
2.廃プラスチックから界面活性剤
第12章廃プラスチックのガス化
1.EUPプロセス
 1.1EUPプロセスによるガス化
 1.2宇部興産社
 1.3レゾナック社
 1.4EUPプロセスのライセンシング
 1.5廃プラスチックから水素製造事業
2.ICFG(内部循環型流動床ガス化炉)
3.H-Cycle社
 3.1OMNI Conversion Technologies社の水素製造プロセス
 3.2出光興産社による出資
4.廃プラスチックの分解によるターコイズ水素とCNTの製造
第13章廃プラスチックの熱分解試験
1.熱分解試験装置
 1.1パイロライザー
 1.2レジ袋の熱分解
2.タンデム型パイロライザー
第14章CO2を原料としたプラスチック
1.CO2原料
2.メタンとCO2からポリマーの合成
3.ポリカーボネート(PC)
 3.1アルキレンカーボネート
 3.2ポリプロピレンカーボネート(PPC)
  3.2.1Covestro社
  3.2.2Econic Technologies社
 3.3ジフェニルカーボネート(DPC)
  3.3.1EG併産法
  3.3.2フェノールとCO2からPC
 3.4ヒドロキシポリウレタン
4.ジメチルカーボネート(DMC)
 4.1併産法
  4.1.1旭化成社のDPC製造プロセス
  4.1.2遼寧奥克化学社
  4.1.3プロピレングリコール併産法
 4.2CO2とメタノールからDMEの合成
 4.3ポリカーボネートジオール
 4.4COとメタノールからDMCの合成
5.合成ガスからエチレンの合成
6.COとエチレンからアクリル酸の合成
7.COと水素からテトラメチルベンゼン
8.β-プロピオラクトン
9.ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)
10.尿素化合物
11.ポリヒドロキシブチレート(PHB)
第15章廃プラスチックを含む都市ごみの利用
1.都市ごみ
2.都市ごみのガス化
 2.1ごみ焼却
 2.2廃プラスチック(都市ごみ)ガス化合成ガスの利用
 2.3ガス化炉
  2.3.1JFEサーモセレクト方式ガス化炉
3.都市ごみ合成ガスからメタノールの合成
 3.1Enerkem社のメタノール合成
 3.2JFEエンジニアリング社,三菱ガス化学社
 3.3都市ごみガスからのメタノール合成の合理性
4.都市ごみ合成ガスからエタノールの合成
 4.1Enerkem社
  4.1.1都市ごみからエタノール
 4.2積水化学工業社
  4.2.1都市ごみのガス化合成ガスからエタノールの合成
  4.2.2エタノールからPE
第16章プラスチックリサイクルの展望
1.プラスチックの国際条約
2.今後のプラスチック原料
 2.1バイオマス原料
 2.2廃プラスチックのリサイクル
 2.3CO2と再エネ水素からプラスチック
3.カーボンニュートラルのプラスチック
 3.1Nova Institute社の予測
 3.22050年のプラスチック再生ビジネス



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