【受講対象】
・吸着式デシカント空調に興味がある方
(湿式デシカントは本セミナーでは概略説明に留まります)
・ZEB/ZEHを推進されている(空調関連)技術者,研究者,設計・施工ご担当者
・空調の省エネルギーに興味のある方
・熱エネルギーの有効活用に興味のある方
|
【予備知識】
専門知識は特に必要ございません。空気線図の見方、湿度、エンタルピーなどデシカント空調を理解する上で必要となる基礎は、セミナー冒頭の30分程度を使って説明いたします。
|
【習得知識】
1.デシカント空調システムの特徴(長所・短所)
2.デシカント空調の簡易設計・操作および評価手法
3.デシカント空調システムの簡易シミュレーション
4.吸着剤ロータやデシカント空調システムの開発動向
5.デシカント技術の応用可能性(蓄熱、農業利用など)
|
【講師の言葉】
デシカント空調の誕生は1950年代と言われる。それから半世紀以上が経ち,現在では,各種排熱や太陽熱の積極利用による節電・省エネルギーと地球温暖化対策,また,従来空調装置と連携した潜熱顕熱分離処理による空調の高品質化への期待を背景に,注目される空調技術となった。特にここ数年の技術開発および研究展開は目覚ましく,様々なデシカント材が開発あるいは改良され,また,ヒートポンプとの組み合わせなど流路構成やシステムに関する工夫も多く検討されてきた。さらに,デシカント技術は,一般空調に留まらず産業用低露点空気製造や蓄熱・昇温操作,無給水加湿など,その応用分野は幅広い。例えば,省エネルギー技術戦略2011に重要技術として掲げられた,ゼロエネルギービル/ハウス(ZEB/ZEH),次世代型ヒートポンプシステム,定置型燃料電池,熱・電力の次世代ネットワークは,いずれもデシカント技術が直接的あるいは間接的に貢献できる技術分野である。
一方,デシカント空調の普及や従来空調装置との連携は限定的である。装置サイズとコストが最大課題とされるが,やや難解な運転挙動は空調技術者の理解不足につながり,不適合条件への導入は,デシカント空調の省エネルギー性や快適性が疑われることになる。今回,受講の皆様には,わが国におけるデシカント空調技術の研究開発動向や実用化に向けた取り組み,運転挙動や適合条件に関して正しく理解していただけるよう,デシカント空調の欠点も含めて概説する。
デシカント空調が普及する社会環境は急速に整いつつある。正しい理解と専門分野・業種を越えた相互連携の強化は迅速な技術的課題の克服につながり,デシカント空調およびその応用技術を真の社会技術に導くものと期待する。
|
【プログラム】
T.空気線図とデシカント空調の基礎
(1) 空気線図
(2) 凝縮除湿と吸着式除湿
(3) 構成機器と作動原理
(4) デシカント空調の導入メリット
U.デシカントロータとその運転挙動
(1) 吸着材デシカントロータ
(2) 除湿ロータ出口の空気状態分布
(3) 除湿ロータの最適回転数と再生風量のコントロール
(4) デシカントロータの運転挙動と“直感的”操作法
(5) システム構成、流路構成による除湿ロータの効率的利用
(6) デシカントロータにおける熱・物質移動と数値計算
V.デシカント空調システムの構成例と特徴
(1) デシカント空調システムの構成例
(2) 吸着入口・再生入口での予冷効果
(3) 望ましいデシカント空調機の流路構成
(4) 再生エネルギー削減のための段階再生手法
(5) パージゾーンの導入方法と効果
W.デシカント空調システムの設計例と導入指針
1.デシカント空調システムの性能評価
(1) 利用熱源(温度)と除湿性能、省エネルギー性
(2) サイズとコスト概略
2.デシカント空調システムの設計例と評価
(1) 換気量が多い建物
〜学校、劇場、病院、工場など〜
(2) 湿度コントロールが要求される建物
〜食品工場、クリーンルーム、スーパーマーケットなど〜
(3) 潜熱負荷の大きい建物
〜蒸気を発する場所、屋内プールなど〜
(4) 一般家庭への導入
X.デシカント空調システムの開発動向
(1) 低温排熱源利用のためのシステム・吸着材開発
(2) 各種低級熱エネルギーや自然エネルギーとの組み合わせ
@コージェネやGHP排熱
A燃料電池
B太陽熱
C電気式ヒートポンプ
(3) 地下水や地中熱など環境冷熱源との組合せ
(4) デシカント除湿技術の応用
@蓄熱・熱輸送
Aビニールハウスの冬季除湿暖房
Y.質疑応答
|
−名刺交換会−
セミナー終了後、ご希望の方はお残り頂き、講師と参加者間での名刺交換会を実施させて頂きます。
|