9:50 | 11:50
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T.閉鎖循環式陸上養殖システム設計の基本と飼育事例
陸上養殖は環境に優しく、天候や病原菌の侵入、立地条件の影響を受けにくいことから近年注目されています。一方で異分野から参入した場合は飼育の肝がつかめず、飼育技術やシステム設計に大きな壁があるのも事実です。本セミナーでは閉鎖循環飼育システムを用いた魚介類飼育の基礎や留意事項、陸上養殖の特徴や注意点、システムにおける水質浄化や設計の基礎まで丁寧に解説します。飼育現場で長年飼育を行ってきた研究者として、飼育の成功事例や失敗事例も交えながら、これから起業される方や飼育初心者の視点で解説します。
1.循環飼育のメリットとデメリット
2.水質管理とシステム設計
〜アンモニアの毒性と除去方法、懸濁物処理、ろ材の選定とろ過方法、
疾病防除方法、殺菌、システム設計の考え方〜
3.実証・飼育事例
〜親魚の養成から種苗生産、陸上養殖、餌料培養まで事例を交えて解説
:魚種としてはトラフグ、マダイ,ハタ類,カンパチ など〜
4.質疑応答・名刺交換
(森田 氏)
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12:50 | 13:50
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U.希釈海水を利用した陸上養殖の展望
魚類の浸透圧調節に関する基礎研究を進める中で、海水魚を海水よりも薄い環境水(希釈海水)で飼育することの有用性が明らかとなってきた。本セミナーでは、はじめに魚の浸透圧調節について概説し、続いて海水の1/3の塩分を含む温泉水を利用して陸上養殖を行う「温泉トラフグ」を例に、希釈海水を利用した陸上養殖の可能性について解説する。また、養殖した魚を出荷直前に高塩分水に晒すことで味を向上させる「味上げ」技術についても紹介する。
1.魚の浸透圧調節の仕組み
2.海水魚にとって快適な水とは?
3.「温泉トラフグ」−海なし県でも海水魚養殖−
4.「味上げ」−養殖魚の味をアップする−
5.質疑応答・名刺交換
(金子 氏)
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14:00 | 15:00
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V.新技術を用いた海水魚陸上養殖技術の開発
〜ハタ類、タツノオトシゴ類〜
新潟県では冬期に沿岸域の海水温が低く、また強い波浪により養殖生け簀等の通年設置が困難なことから、海面養殖には不向きとされてきた。しかし、地方創生と将来的な水産物の安心・安全供給のため、平成26年より陸上養殖の試験研究を行っている。対象魚種はハタ類及びタツノオトシゴ類である。
ハタ類ではこれまで屋内水槽における最適飼育条件を把握し、マハタでは低塩分海水での飼育試験から、その有効性が示された。また、養殖における生産性向上に有効な技術として、既存の研究により水質改善や魚の成長促進効果が報告されている酸素ウルトラファインバブル(UFB)に着目し、マハタの閉鎖循環式養殖システムに酸素UFBを取り入れた効果実証試験に取り組んでいる。
タツノオトシゴ類では、天然親魚の養成を行い、F1、F2の産出に成功している。現在、完全養殖技術の確立を目指し、主に稚魚の最適飼育条件を明らかにするための研究を行っている。今回は、これらの取り組みについて紹介する。
1.寒冷地でも可能な陸上養殖
2.ハタ類(マハタ及びクエ)の飼育試験について
3.先端技術を利用した生産コスト削減への取り組み
4.タツノオトシゴ類(クロウミウマ)の完全養殖について
5.質疑応答・名刺交換
(緒方 氏)
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W.淡水・海水での陸上養殖の低コスト化の検討事例と
生産コストシミュレーションについて
魚介類由来のタンパク供給は、新興国の人口増加や先進国の健康志向で今後も増加が想定されている。研究や親魚育成ならびに種苗生産などでは、循環飼育が徐々に実用化されつつある。近年、食のタンパク供給の観点では、成長の良いサーモンなどで半循環養殖式の陸上養殖の実用化が国内でも試みられている。
しかし、国内のシステム設計に関しては、業者により大きな技術格差があるのが実状であり、統一的に評価をする基準が少ない。アユやアワビの陸上かけ流し養殖の実例解析の紹介とその知見を基にした生産コストシミュレーションの検討方法の紹介を行い、陸上養殖での低コスト化のシステム検討に関して紹介を行う。
1.アユかけ流し養殖における溶存酸素改善検討事例紹介
2.アワビ種苗生産施設における溶存酸素挙動の定量評価の事例紹介
3.ヒラメを対象とした陸上養殖シミュレーション事例紹介
4.アワビにおける今後の課題とテーマ
5.陸上養殖システムにおける技術評価方法の提言
6.質疑応答・名刺交換
(増田 氏)
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16:20 | 17:50
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X.養殖(魚類)へのゲノム編集技術利用の取組み
近年の世界中での健康志向の高まりから、日本食への関心が高まっている。日本食の中でも、中性脂質の少ない良質のタンパク質原である魚肉は、ヘルシーな食材として関心が高まっている。また、新興国の経済発展に伴い、食料増産の観点から、多くの国々で養殖業が盛んになってきた。このような状況下、消費者のニーズや日本の水産業の振興のためには、より高品質の養殖魚が求められている。
しかし、作物や家畜のように養殖魚での育種は進んでいないのが現状で有る。これまでの育種方法、つまり、自然突然変異体から有用形質を持つ個体を見つけ出し、継代飼育により形質の顕在化と固定化を行う選抜育種法では、望む形質が得られる保証はなく、また、長期間を有する。一方、ゲノム編集技術を用いれば、短期間で望む形質を計画的に作出できる。
本講演では、魚類へのゲノム編集技術の利用に関して、その方法と魚類特有の課題、実施例、産業化への課題と展望について紹介する。
1.魚類へのゲノム編集技術の適応方法
〜受精卵の確保、マイクロインジェクション法〜
2.魚種による受精卵の特性
〜メダカ、マダイ、トラフグの受精卵の特徴〜
3.標的配列の選択方法
4.筋肉増量マダイ、トラフグの事例
5.産業化への課題と展望
〜飼育管理方法、地域創生〜
6.質疑応答・名刺交換
(木下 氏)
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− 名 刺 交 換 な ど −
セミナー終了後、ご希望の方はお残りいただき、 講師とご受講者間での名刺交換ならびに講師へ個別質問をお受けいたします。
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