10:15 | 11:30
|
T.水処理膜研究の現在と今後の動向
水処理膜の研究フェーズは新たな段階に突入しつつある。これまで水処理を中心に開発が進んできた膜だが、社会全体が「サーキュラーエコノミー」、「低炭素社会」、「デジタルトランスフォーメーション」など、新たなキーワードを掲げて変革しつつある。これらの変革に向けて、膜の利用形態や技術開発の方向性も徐々に変化しているように感じている。現在の水処理膜研究の現状を振り返ると共に、今後の技術開発の方向性や期待される技術について展望したい。
1.水処理膜研究の歴史と経緯
(1)産業分野
(2)公共分野
2.社会の変化と膜に期待されること
(1)人口減少社会での膜の役割
(2)サーキュラーエコノミー社会での膜の役割
(3)低炭素社会での膜の役割
3.最新の研究事例
(1)デジタル×膜技術
(2)汚泥処理×膜技術
4.今後の課題と展望
5.質疑応答
(山村 氏)
|
11:45 | 13:00
|
U.セラミック膜による水処理の可能性とその応用
海水淡水化など、これまでの水処理は、高分子膜が用いられてきた。しかし、薬品安定性や有機液体含有系など、使用範囲が限定されている。一方、セラミック膜は、精密ろ過や限外ろ過などには利用されてきた。近年、セラミック膜の研究では、シリカ系分離膜でのサブナノメートルオーダーでの細孔径制御など、ガス分離を中心に製膜技術が進展している。本講演では、セラミック膜の高圧液体分離の応用の現状をまとめ、製膜技術の基礎から将来展望を含め講演を行う。
1.セラミック膜による逆浸透分離の歴史
1.1 高分子逆浸透膜の歴史
1.2 セラミック膜による逆浸透分離の歴史
2.化学蒸着法によるシリカ系膜の現在技術
2.1 対向拡散CVD法
2.2 有機系シリコンアルコキシドによる細孔径微細制御
3.シリカ系膜による高圧透水性能
3.1 分画分子量とイオン透過特性の評価
3.2 有機置換基導入による膜性能制御
4.シリカ系膜による酸分離
4.1 硫酸水溶液透過特性
4.2 耐酸性の向上
5.シリカ系膜の有機液体分離の可能性
6.ゼオライト膜による逆浸透分離の現状と可能性
6.1 高圧イオン分離特性
6.2 環境応答型セラミック膜への期待
6.3 有機液体分離の可能性
7.まとめ
8.質疑応答
(野村 氏)
|
14:15 | 15:30
|
V.先進ナノカーボンを用いたロバスト逆浸透膜の開発
1970年代当初以降、芳香族ポリアミド(PA)をはじめとする高分子膜は逆浸透(RO)膜、ナノろ過(NF)膜、限外ろ過(UF)膜として多大な貢献を果たしてきている。PA-RO膜の性能向上も強く要請され、造水コストをさらに低減する観点から、高脱塩率を維持しつつ更なる高速透水性が必要である。特に現在のRO膜は、基本性能は比較的高いものの、耐ファウリング性(防汚性)、耐薬品性、耐熱性等のロバスト性に課題があり、これらはプラント稼働において大きな問題となっている。ここでは、先進ナノカーボンを用いた新規なRO膜についてその特色と機能発現メカニズムについて解説する。
1.水問題と膜処理
2.先進ナノカーボン概要
3.各種ナノカーボンによる水分離膜
(1)カーボンナノチューブ/ポリアミド複合RO膜
(2)ダイヤモンドライクカーボンNF/RO膜
(3)酸化グラフェンNF膜
4.今後の課題と展望
5.質疑応答
(竹内 氏)
|
15:45 | 17:00
|
W.FO膜の開発動向と三酢酸セルロース製中空糸型FO膜モジュール
半透膜と高浸透圧溶液を用いて、正浸透(FO:Forward Osmosis)の現象を利用した水処理技術は、例えば逆浸透(RO:Reverse Osmosis)膜法にみられる、圧力を加えて駆動する膜分離法と異なり、二種類の供給液の濃度差による浸透圧差を駆動力として利用する膜分離法であり、圧力を加えることなく自発的に水を透過させるプロセスである。 そのためFO膜法は、RO膜法の限界を超えるポテンシャルを持ち、また、浸透圧発電など、これまでにない市場を開く可能性を持った水処理技術として大きく注目されており、海水淡水化、廃水処理、濃縮等、多様な分野での利用が提案されている。本講演ではFO膜の技術要素と、特に中空糸型のFO膜モジュールについて紹介する。
1.FO膜・プロセスの概要
2.FO膜プロセスを用いたアプリケーション
2-1 省エネルギー海水淡水化
2-2 浸透圧発電(PRO;Pressure Retarded Osmosis)
3.FO膜技術の動向
3-1 FO膜の開発状況・特徴
3-2 中空糸型のFO膜の特徴
4.まとめと今後の展望
5.質疑応答
(三浦 氏)
|