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  メルマガ 「いいテク・ニュース」 雑記帳 2013年5月23日(Vol.117) 『てんとうむし』        ≫雑記帳トップへ


   『てんとうむし』

赤や黄の地色に黒や黄や白の水玉模様がおもちゃのようで愛嬌があるてんとうむし。

今回は指輪やブローチ、ネイルアートなどのデザインで世界中で愛され、幸運のシンボルと
して親しまれている「てんとうむし」についての豆知識をお届けします。

◎てんとうむしの名前の由来
  てんとうむしは木の枝や指にとまると上へ上へ登って行き、先端まで来ると太陽(お天道様)
  に向かって飛んで行くことから「天道虫」と名付けられたとする説が有力です。

  また、他には16世紀に布教に来日した宣教師が「天道常に善人にくみす」。「この虫は神の
  遣いです」と言ったからという説もあります。

◎欧米での名前
  てんとうむしは英語で一般的には「ladybird」あるいは「ladybug」(北米)と呼ばれます。
  「lady」は聖母マリア「Our Lady Virgin Mary」に由来しています。
  中世ヨーロッパで、害虫によって農作物が壊滅的な被害にあいました。
  農民は聖母マリアに助けを求め祈りました。
  すると、どこからかてんとうむしがやってきて、農作物に被害を与えていたアブラムシを
  食べて農民を助けたと伝えられています。
  そこから、てんとうむしは「聖母マリアの虫」「ladybird」「ladybug」と呼ばれています。
  ちなみに「ladybird」は太陽に向かって鳥のように飛んでいくことからもそう名付けられた
  のでしょうね。

◎斑点は悲しみを表現している
  てんとうむしの代表格に七星天道虫(ナナホシテントウムシ)があります。
  その名の通り七個の斑点がありますが、これは聖母マリアがイエスの母であるが故に経験
  した七つの悲しみを表していると伝えられています。
  てんとうむしの七つの斑点は聖母マリアの悲しみの表現とは…。
  昔から、指輪やブローチのデザインにてんとう虫がよく使われるのは宗教的な意味を持つ、
  神秘的な昆虫だからなのですね。

◎てんとうむしは苦虫?
  てんとうむしは派手な色と模様です。
  これは外敵に対して「私を食べると苦いですよ」「ひどい臭いを出しますよ」とのメッセ
  ージになっています。
  このため鳥はてんとうむしをあまり捕食しませんが、たまに無謀にも食べる鳥がいるよう
  ですが、食べると必ず吐き出します。
  また、ハチやアリやカマキリなど、敵が襲ってくると関節から悪臭を放出し撃退します。
  危険が迫ってくると時にはしんだふり(偽死)をすることもあります。

◎てんとうむしと俳句
  夏の季語で、瓢虫、天道虫、てんとむしで詠まれています。
  よく見かけるのは七星天道虫(ななほしてんとうむし)と並天道虫(なみてんとうむし)です。
  聖母マリアの箇所での逸話の通り益虫です。
  一方、二十八夜星天道虫(にじゅうはちやほしてんとうむし)類は茄子やじゃがいもなどの
  葉を食べる害虫です。
  「てんとうむしだまし」とも呼ばれ農家からは嫌われています。
  「てんとうむし」を詠んでいる句を選んでみました。

                                                    天道虫天の密書を翅裏に
                                                             密書=みっしょ
                                                         翅裏に=はねうらに
                                                 三橋鷹女(みつはしたかじょ)
                                                               (1899-1972)

                                            愛しきれぬ間に天道虫掌より翔つ
                                                     掌より翔つ=てよりたつ
                                                 加倉井秋を(かくらいあきお)
                                                               (1909-1988)

                                          罪いつぱい背にてんとうむしだまし
                                                 熊谷静石(くまがいせいせき)
                                                               (1920-2000)

今回は『てんとうむし』についてのいろいろをお届けしました。

                                           花柄のシャツに憩ふやてんとむし
                                                          憩ふや=いこふや
                                                                  白井芳雄

最後までお読みいただきありがとうございました。

                                    (株)技術情報センター  メルマガ担当  白井芳雄

全体を通じての参考文献:飯田龍太・稲畑汀子・金子兜太・沢木欣一監修
                       『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』(講談社)

                        白井明大・有賀一広
                       『日本の七十二候を楽しむ−旧暦のある暮らし−』(東邦出版)

                        フリー百科事典
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