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  メルマガ 「いいテク・ニュース」 雑記帳 2013年7月30日(Vol.118) 『花火』            ≫雑記帳トップへ


   『花火』

花火はその美しさと華やかさと一瞬にして消え去るはかなさから300年以上も前から日本人に
親しまれてきました。
今回は夏の夜の風物詩である花火についての豆知識をお届けします。

◎花火の価格と開花した時の直径・高度
  夜空に美しく打ち上がる花火。
  花火の種類、複雑さ、花火師等により複雑に価格が変わりますが、一般的な打ち上げ花火の
  一発あたりの相場と開花した時の直径・高度などを表にしてみました。

                        価格       開花時の直径  打ち上がる高さ
  ●3号玉(約9cm)      約3,400円〜      100m     地上約120m
  ●5号玉(約15cm)     約1万円〜        150m     地上約190m
  ●10号玉(約30cm)    約6万円〜        320m     地上約330m(東京タワーと同じくらい)
  ●20号玉(約60cm)    約55万円〜       450m     地上約500m
  ●正三尺玉(約90cm)  約150 万円〜     550m     地上約600m(スカイツリーと同じくらい)
  ●正四尺玉(約120cm) 約260 万円〜     800m     地上約800m

  意外と安いかも!?
  これはあくまで、花火単体の価格で打ち上げのための設備費・人件費・警備も別途必要と
  なります。
  また、おもちゃ花火以外は火薬類取締法で製造・消費ともに規制されていて、直接、個人
  には販売されません。
  残念です。
  念のため。

◎「たまや〜」と「かぎや〜」
  花火大会で「たまや〜」「かぎや〜」の掛け声を耳にします。
  この掛け声は江戸時代の花火業者の屋号「玉屋」と「鍵屋」に由来します。
  最初に、民間の花火業者として店を構えたのが「鍵屋」。
  「玉屋」は鍵屋の手代が暖簾分けをしてもらい誕生しました。
  1810年(文化7年)から両国の川開きは、両国橋を挟んで上流を玉屋、下流を鍵屋が担当し、
  二大花火師の競演が行われました。
  当時の浮世絵に玉屋の花火が多く描かれていて、玉屋の花火の方が人気があったようです。
  当時の歌にも「橋の上、玉や玉やの声ばかり。なぜに鍵やといわぬ情(じょう)なし」
  (「情」と鍵屋の「錠」をかけている)が残っています。
  しかし「玉屋」は1843年(天保14年)に失火し、財産没収、江戸追放となり、一代で断絶
  してしまいました。(当時、失火は重罪。)
  鍵屋は第2次世界大戦時に花火製造は取り止めましたが、打ち上げ専業業者として現在も
  15代目として続いています。

◎花火と俳句
  俳句では「花火」だけであれば専門の花火師が揚げる打上げ花火を指し、一般家庭で
  楽しむものは「手花火」「線香花火」「庭花火」などで表現します。

                                                    川舟や花火の夜も花火売
                                                   小林一茶(こばやしいっさ)
                                                               (1763-1828)

                                                化学とは花火を造る術ならん
                                                   夏目漱石(なつめそうせき)
                                                               (1867-1916)

                                            赤くあがり青くひらきし花火かな
                                             久保田万太郎(くぼたまんたろう)
                                                               (1889-1963)

                                              ふと闇の花火に反く艪のきしり
                                                       反く=そむく、艪=ろ
                                                 中村汀女(なかむらていじょ)
                                                          (1900-1988)

                                                線香花火玉頑張って又咲きぬ
                                                   島田摩耶子(しまだまやこ)
                                                                   (1928-)

◎花火と短歌
  短歌も、その華やかさとはかなさの両面を詠んだものが多いです。

                      青玉のしだれ花火のちりかかり消ゆる途上を君よいそがむ
                                               北原白秋(きたはらはくしゅう)
                                                               (1885-1942)

                          野末なる三島の町の揚花火月夜の空に散りて消ゆなり
                                                 若山牧水(わかやまぼくすい)
                                                               (1885-1928)

                        はなび花火そこに光を見る人と闇を見る人いて並びおり
                                                         俵万智(たわらまち)
                                                                   (1962-)

今回は『花火』についてのいろいろをお届けしました。

                                               花火より染まる頬みる恋愛期
                                                                 白井芳雄

最後までお読みいただきありがとうございました。

                                    (株)技術情報センター  メルマガ担当  白井芳雄

全体を通じての参考文献:飯田龍太・稲畑汀子・金子兜太・沢木欣一監修
                       『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』(講談社)

                        白井明大・有賀一広
                       『日本の七十二候を楽しむ−旧暦のある暮らし−』(東邦出版)

                        フリー百科事典
                       『ウィキペディア(Wikipedia)』

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