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  メルマガ 「いいテク・ニュース」 雑記帳 2014年 1月22日(Vol.121) 『富士山』       ≫雑記帳トップへ


  『富士山』

今年はじめてのメルマガですので、お正月でもあり、世界遺産に登録されおめでたい名峰
「富士山」についてのおもしろ豆知識をお届けします。

◎一富士、二鷹、三なすびの由来は?
 初夢に見ると縁起がいいといわれる、「一富士、二鷹、三なすび」はあまりにも有名です。
 しかし、なぜこの組み合わせなのか。 
 これには、
 ○駿河の国で高いものベスト3説 
  富士山、愛鷹山、そして茄子の値段。
  今でこそ茄子も一年中食べられますが、もともとは夏が旬の野菜。
  江戸時代には、冬に夏の食べ物である茄子を手に入れるのは至難の業だった。 
 ○徳川家康が好んでいたものベスト3説 
  富士山、鷹狩り、そして贅沢品である冬の茄子。
 などの説があります。
 ちなみに、この「一富士、二鷹、三茄子」には、まだ続きがあり、「四扇、五多波姑(た
 ばこ)、六座頭」と続きます。
 四番目の「扇」は、正月のお祝いの舞で使用します。
 五番目の「多波姑」は、正月の芸者たちが吸う煙草です。
 六番目の「座頭」は、正月に座敷に呼ぶ弾き語りをする法師を意味します。
 正月に富士を眺めながら、芸者を上げて茄子をつつき、酒を飲み煙草を吸って、法師の歌
 に合わせて扇の舞を楽しむ宴こそ、最高の贅沢だったのでしょう。 
 (彩図社『「富士山」99の謎』より) 

◎「どっこいしょ」は富士山が生んだ言葉
 重い荷物を担ぐ時や腰掛ける時「どっこいしょ」ともらしてしまう方は多いのではないで
 しょうか。
 実はこの言葉は、富士山からきています。
 富士登山をする時「六根清浄 お山は晴天」と唱えながら登っている人たちがいます。
 六根とは、眼根(視覚)、耳根(聴覚)、鼻根(嗅覚)、舌根(味覚)、身根(触覚)の五感と、第
 六感ともいえる意根(意識)のことで、清浄とは、六根から生じるさまざまな欲望を捨て、
 清らかになって富士登拝しましょうという意味です。
 「ロッコンショウジョウ」を繰り返しているうちに、息もとだえとだえになり、六根清浄
 が詰まって「ドッコイショ」になったといわれています。 
 日本人にはかりしれない影響を与えてきた富士山は、言葉まで生み出してしまっていたの
 です。

◎春には黄色の富士山?
 地球温暖化の影響で、岩だらけの富士山を植物が覆う日も近いといわれています。
 富士山の森林は、頂上を目指してその生息範囲を広げていて、この最前線を「森林限界」
 といいます。
 森林限界は、数年で数百メートル高くなると予想されていて、先頭を行く黄色い花を咲か
 すオンタデなどの植物は、2020年頃には3300メートル付近まで迫るかも。
 今世紀の終わりに、頂上から裾野まで、いろいろに表情を変える富士山の姿を見ることが
 できるかもしれません。
 冬は雪の白、春はオンタデの黄、夏は緑、秋は紅葉の赤といったカラフルな富士山が見ら
 れる日も、そう遠くはないのかもしれませんね。 
 (彩図社『「富士山」99の謎』より) 

◎富士山から130キロ離れた千葉県に逆さ富士が見られるところがある。
 逆さ富士は五千円札と千円札の裏の図案の本栖湖のものなど、富士五湖や箱根の湖のもの
 が有名でその美しい姿から、昔から日本人に愛でられてきました。
 当然、富士山近くの湖に映るものがほとんどですが、遠くのものでも条件が整えば、直線
 距離で130キロメートル離れた千葉県の手賀沼で見られることがあります。
 富士山と手賀沼を結ぶラインには高い山がなく富士山の五合目から上が見え、よく晴れ、
 大気汚染もなく、湖面に映るために風がない日、とかなり厳しい条件になりますがチャン
 スはあるとのことです。
 130キロメートルも離れた沼に「逆さ富士」。
 マニアの方はその瞬間を辛抱強く待っているのでしょうね。
 (河出書房新社『日本地図の楽しい読み方』より)

◎富士山麓の柿田川は全長約1.2キロなのに湧水量は東洋一の1日約100万m3。
 富士山麓にある「日本三大清流」の一つ柿田川は全長約1.2キロメートル。
 環境省が選定した「名水百選」や森林文化協会と朝日新聞社が選定した「21世紀に残した
 い日本の自然100選」にも選ばれています。
 同じ日本三大清流の四万十川は全長196キロメートル、長良川は全長120キロメートルに対
 して柿田川は1.2キロメートル。
 しかし湧水量は東洋一の1日に約100万m3。
 しかも水温は季節を問わず15℃前後。
 富士山に降る雨や雪が地下に浸透し、「天然のろ過装置」を経て地上に湧き出ています。
 柿田川には清澄な水でしか育たないミシマバイカモ(三島梅花藻)やカワセミも生息し、
 春から初夏にはゲンジボタル、11月下旬から12月には川をのぼっていく大量の鮎がみられ
 ます。
 参考文献:『柿田川ってどんな川、柿田川の自然、水』国土交通省 沼津河川国道事務所

◎富士山のことわざ
 ■富士の山ほど願うて擂り鉢ほど叶う(ふじのやまほどねごうてすりばちほどかのう)
  たくさんの望みや願いを拝んで叶えようとしてもなかなか思うようにいかないことを諭
  (さと)したことわざです。「棒ほど願うて針ほど叶う」と同意です(『俚言集覧』)。
 ■富士の山を蟻がせせる(ふじのやまをありがせせる)
  小さなものが大きなことを企てるたとえを表すことわざです。「せせる」は、あちこち
  つつきまわす意味ですので、力量のない者が途方もないことを企てることへの諭(さと)
  しのことわざでもあります。「大黒柱を蟻がせせる」と同意です(『俚言集覧』)。
 ■富士の山を張り抜く(ふじのやまをはりぬく)
  日本一の富士山を張り子の型にして同じ大きさの張り子をつくることが不可能であるこ
  とを諭したことわざで不可能なことのたとえです(『俚言集覧』)。
 世界文化社『富士山の単語帳』(田部井淳子 監修/富士学会 企画/佐野充 編著)より抜粋

◎富士山と俳句
 富士を詠んだ句は数多くありますが「富士山」そのものは季語ではなく、「初富士」は新
 年、「弥生富士」は春、「富士詣」「赤富士」は夏、「富士の初雪」は秋、「富士颪(ふじ
 おろし)」は冬、のように他の季語と合わせて詠まれています。
 いくつかの名句を選んでみました。
  
                   霧しぐれ富士を見ぬ日ぞおもしろき
                        松尾芭蕉(まつお ばしょう)
                               (1644-1694)

                    かたつぶりそろそろ登れ富士の山
                        小林一茶(こばやし いっさ)
                               (1763-1828)
 
                      赤富士のぬぅつと近き面構へ
                          面構へ=つらがまえ
                       富安風生(とみやす ふうせい)
                              (1885-1979)

                     裏富士のすそ野ぐもりに別れ霜
                         飯田蛇笏(いいだ だこつ)
                              (1885-1962)

                       初富士の正装白衣黒ばかま
                            白衣=びゃくえ
                       平畑静塔(ひらはた せいとう)
                              (1905-1997)

◎富士山と短歌
 富士山は雄大な山の形と美しさ、山頂近くの積雪と噴火と古くから多くの芸術を生む母胎
 となってきました。
 ここでは富士山を詠んだ短歌を選んでみました。

       時しらぬ山は富士の嶺いつとてか鹿の子まだらに雪の降るらむ
                 在原業平(ありわらのなりひら)(825-880)
                            『新古今和歌集』

      人しれず思ひするがのふじのねはわがごとやかく絶えず燃ゆらむ
                        伊勢(いせ)(生年不詳-939)
                               『伊勢集』

           高嶺には秋なき雪の色冴えて紅葉ぞ深きふじのむら山
                道興准后(どうこう じゅごう)(1430-1527)
                              『廻国雑記』
                            
◎これは一見の価値があります。
 
 「冨嶽三十六景」博物館資料のなかの『富士山』
  −山梨県立博物館が収蔵するシリーズ46作の画像。
  
今回は『富士山』についてのいろいろをお届けしました。

                      富士を背に襷ひきつぐ冬日和
                    襷=たすき、冬日和=ふゆびより
                               白井芳雄
      
最後までお読みいただきありがとうございました。
   
                 (株)技術情報センター メルマガ担当 白井芳雄

全体を通じての参考文献:『「富士山」99の謎』(彩図社)

            『日本地図の楽しい読み方』(河出書房新社)

             『柿田川ってどんな川、柿田川の自然、水』
            (国土交通省 沼津河川国道事務所)

            『富士山の単語帳』(世界文化社)

             飯田龍太・稲畑汀子・金子兜太・沢木欣一監修
                        『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』(講談社)

                         白井明大・有賀一広
                        『日本の七十二候を楽しむ−旧暦のある暮らし−』(東邦出版)

                         フリー百科事典
                        『ウィキペディア(Wikipedia)』


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