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  メルマガ 「いいテク・ニュース」 雑記帳 2014年 3月19日(Vol.122) 『コーヒー』       ≫雑記帳トップへ


 『コーヒー』

「強いコーヒーをたっぷり飲めば目がさめる。コーヒーは暖かさと不思議な力と心地よい
苦痛を与えてくれる。余は無感より苦痛を好む。」
ナポレオン・ボナパルトの残した言葉です。
世界で最も多くの国で飲まれ、憩いのひとときを与えてくれるコーヒー。
一次産品としては石油に次ぐ貿易規模を誇ります。
今回はそんな「コーヒー」についての文字通りおもしろ豆知識をお届けします。

◎コーヒーはヤギが発見した?
 コーヒー発見には二大伝説があります。
 1.エチオピアのヤギ飼いの少年はヤギが野性の赤い実を食べて興奮し、はしゃぎまわって
   いるのを見て不思議に思い、修道院の僧侶に相談し自分も食べてみました。
   すると、気分爽快、すっきりと目がさえて興奮状態になりました。
   修道院の僧侶も食べてみたところ、夜中の修行でも眠気を感じなくなりました。
   これがコーヒーの実の発見とされています。
   この少年の名前がKALDI(カルディ)。
   コーヒーショップでお馴染みの名前ですね。
 2.アラビア(現イエメン)の僧オマールはある不詳事を疑われ山中に追放されました。
   食べるものは草木しかない山中でさまよっていた時、一羽の鳥が赤い木の実をついばん
   でいるのを見つけました。
   その実を煮て口にしたところ飢えが癒され、気力、体力がよみがえりました。
   その後、彼を追放した町に戻り、疫病に苦しむ人々にコーヒーを飲ませると病人たちは
   すぐに回復し、オマールは薬を発見した僧として崇拝されました。

◎コーヒーハウスは女人禁制?
 1645年頃からコーヒーはヨーロッパに伝わり、人気が高まりました。
 しかし、当時はコーヒーを飲むと子供が産めなくなる、肌が黒くなるなどといわれ、女性
 は堂々とコーヒーを楽しめなかったそうです。
 コーヒーの普及に比例して、コーヒー愛好者と反対派の間での騒動がヨーロッパ中で起こ
 ります。
 この様子を風刺喜劇にしたのがヨハン・セバスチャン・バッハです。
 コーヒー好きな娘とコーヒーをなんとか止めさせようとする古風な父親の様子をコミカル
 に表現しています。
 「お静かに、おしゃべりなさるな」という曲名だったのですが、バッハの「コーヒー・カ
 ンタータ」として有名ですね。
 バッハは教会のオルガン奏者でもありましたが、音楽を神に捧げるだけに留まらず、演奏
 の場を教会からコーヒーハウスまで広げた人でもありました。
 ちなみにバッハもコーヒーの愛好家だったそうです。 

◎インスタントコーヒーはジョージ・ワシントンが発見した?
 ほとんど毎日お世話になっているインスタントコーヒー。
 実は発明した人に日本人とアメリカ人がいます。
 1899年、アメリカ在住の科学者加藤サトリ氏は緑茶のインスタント化を研究していました
 が、その過程で液体にしたコーヒーを粉末にする「真空乾燥法」の実験に成功。
 1901年にニューヨーク州で開催された「全米博覧会」にソリューブルコーヒー(可溶性コー
 ヒー)として出品。
 しかし特許を取得しておらず、1903年に別の方法でインスタントコーヒーを発明したアメ
 リカ人が3年後に特許を取得しました。
 ヨーロッパの市場に「ベルナ」という商品名で売り出されたインスタントコーヒーのラベ
 ルによるとアメリカ人発明者の名前は「ジョージ・ワシントン」であったそうです。
 もちろんアメリカ合衆国初代大統領とは別人です。

◎君たちは今、熱いコーヒーへの道を歩いているのだ。
 1970年4月にヒューストン空軍基地から打ち上げられたアポロ13号は酸素タンク破裂のトラ
 ブルに見舞われました。
 地球への帰還のためにエネルギーを節約し、宇宙船内の暖房も切られ、船内の温度は0℃近
 くまで下がり、水の飲用も制限されました。
 極度の緊張と疲労と寒さの中、ヒューストン基地から乗務員を励ますメッセージが何度も送
 られてきました。
 「こちらヒューストン。がんばれ、乗組員の諸君!君たちは今、熱いコーヒーへの道を歩い
 ているのだ。」
 「熱いコーヒー」という魔法の言葉が乗組員を力づけ、アポロ13号は奇跡的に地球に生還し
 ました。
 この逸話は映画『アポロ13』(アポロサーティーン、Apollo 13)で描かれています。
 
◎コーヒーと俳句
 「コーヒー」そのものは季語ではなく、夏の季語として「アイスコーヒー」があります。
 コーヒーは明治時代に普及した飲み物ですから、「珈琲」、「コーヒー」を詠んだ句も
 少ないのですが、印象に残ったいくつかの句を選んでみました。

                      ブラジルに珈琲植ゑむ秋の風
                     萩原朔太郎(はぎわら さくたろう)
                               (1886-1942)

                  パウリスタ五銭のコーヒー今日も飲む
                           新居格(にい いたる)
                               (1888-1951)
 
                      父を呼ぶコーヒの時間春の宵
                        小山白楢(おやま しろなら)
                              (1895-1981)

                    モカ飲んでしぐれの舗道別れけり
                         丸山薫(まるやま かおる)
                              (1899-1974)

                  アイスコーヒー身に闇生るる気配かな
                         闇生るる=やみあるる
                        大元祐子(おおもと ゆうこ)
                                (1956-)
 
◎コーヒーと短歌
 短歌に詠まれるコーヒーの銘柄は「モカ」と「キリマンジャロ」が多いようです。
 「モカ」は都会的な雰囲気があり、「キリマンジャロ」はヘミングウェイの小説から映画化
 された『キリマンジャロの雪』のイメージが強いからでしょうか。

         ふるさとの訛なくせし友といてモカ珈琲はかくまでにがし
                              訛=なまり
                 寺山修司(てらやま しゅうじ)(1935-1983)

       君去りしけざむい朝挽く豆のキリマンジャロに死すべくもなく
                              朝=あした
                    福島泰樹(ふくしま やすき)(1943-)

       ひと息にキリマンジャロを飲みいるは先ほどはつか怒りし咽喉
                             咽喉=のみど
                  中川佐和子(なかがわ さわこ)(1954-)


今回は『コーヒー』についてのいろいろをお届けしました。

                       長閑なり耕し一服缶コーヒ
                         長閑なり=のどかなり
                               白井芳雄
      
最後までお読みいただきありがとうございました。
   
                 (株)技術情報センター メルマガ担当 白井芳雄

全体を通じての参考文献:伊藤博『コーヒー事典』(保育社)

            広瀬幸雄・圓尾修三・星田宏司『コーヒー学入門』(人間の科学社)

            田口護『プロが教えるこだわりの珈琲』(NHK出版)

            アントニー・ワイルド『コーヒーの真実』三角和代訳(白揚社)

            AGF HP『コーヒー大事典』

            飯田龍太・稲畑汀子・金子兜太・沢木欣一監修
                       『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』(講談社)

                        白井明大・有賀一広
                       『日本の七十二候を楽しむ−旧暦のある暮らし−』(東邦出版)

                        フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


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