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T.脱炭素社会に必須の蓄熱発電と国内外の技術開発動向・事業展望
脱炭素社会化に加速しつつあります。その社会での電源は、再生可能エネルギーか原発しかなく、どちらも需要に合わせた発電が難しい電源です。需要を制御する技術もありますが、それだけでは間に合わず、蓄エネルギーを利用した需要時発電の能力が必要です。これに高温蓄熱を利用する蓄熱発電が世界で急速に広がり始めました。近年目立つのは、欧米の電力会社主導の本格的な開発です。この蓄熱発電の世界の様々なプロジェクトを紹介し、また、電力系統での回転発熱機の必要性を紹介します。
1.蓄熱発電の概要
(1)基本構成
(2)簡単な経済性試算
(3)蓄熱発電の歴史
2.世界の再エネの実態
(1)蓄エネルギーが必須に
(2)低下する再エネ発電コスト
3.世界の開発プロジェクト
(1)電力会社系プロジェクト
〜急速に顕在化した米国、EPRI/Southern、Duke、NYPA、欧州RWE、
Vattenfall、seas-nve、南米チリでも。日本では中部電力〜
(2)メーカ系プロジェクト
〜先鞭つけたシーメンス、グーグルからスピンオフ、マルタ、既に商用か、Azelio〜
(3)ベンチャー等の様々なプロジェクト
〜熱電併給(コジェネ)、鉄鋼プロセスも〜
4.蓄熱技術の概況
〜商用技術から、水素吸蔵合金応用まで〜
5.電熱変換の重要性
〜実はキーテクノロジー〜
6.慣性力の必要性
7.JEPX(日本卸電力取引所)利用のビジネスモデル
8.質疑応答・名刺交換
(岡崎 氏)
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U.再エネ蓄熱発電(P2H2P)のための化学蓄熱・ケミカルヒートポンプ
カーボンニュートラル社会実現に向けた二酸化炭素排出の抜本的な削減には再生可能エネルギー(再エネ)の有効利用が重要である。主力再エネである太陽エネルギーは出力変動が大きく導入が増えるにつれ出力抑制(発電放棄)が世界中で課題となっている。この変動の吸収、平準化のためのエネルギー貯蔵機能が喫緊に求められている。電力貯蔵が候補であるが高コスト、資源制約が課題である。これに対し欧州などでは太陽エネルギーを熱として回収そして貯蔵(蓄熱)し、必要に応じて蒸気発電にて電力供給を行う再エネ蓄熱発電(P2H2P, Power to Heat to Power)が社会実装されつつある。今後の技術課題として効率的な蓄熱があり、高密度蓄熱が期待できる高温化学蓄熱に可能性がある。化学蓄熱は操作モードの選択により、熱駆動で入熱温度より高温の出力が可能なケミカルヒートポンプが可能である。P2H2Pを対象として、これらの技術について原理から応用事例までの最新情報を解説する。
1.P2H2Pと蓄熱
2.蓄熱の技術動向
(1)蓄熱の種類
〜顕熱蓄熱、潜熱蓄熱、化学蓄熱・ケミカルヒートポンプ〜
(2)高温蓄熱の技術動向
3.高温向けケミカルヒートポンプ
(1)ケミカルヒートポンプの基礎
(2)高温ケミカルヒートポンプ
(3)ケミカルヒートポンプ蓄熱材料開発事例
(4)ケミカルヒートポンプシステム開発事例
4.まとめ、開発の要点、将来展望
5.質疑応答・名刺交換
(加藤 氏)
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V.次世代太陽熱発電の最新研究動向と熱化学プロセスによる
太陽熱水素製造・二酸化炭素循環利用技術
集光太陽熱発電(Concentrating Solar Power:CSP)技術の開発が欧米諸国を中心に進展しており、国際エネルギー機関の試算によるとCSPの発電容量は2050年には1000GWに達し、海外では主要な電力源の一つとして活用されることが予測されている。また、タワー型の大型太陽集光発電システムではソーラーレシーバ部において〜1500℃の高温太陽集熱が得られることから、次世代の太陽熱利用技術として、熱化学プロセスによる太陽熱水素・二酸化炭素分解技術の研究開発が欧米諸国の国立研究所や大学で研究されている。
本講演では米国と欧州で進む次世代太陽熱発電の研究動向と、高温太陽熱を熱源とすることを想定した熱化学プロセスの原理と太陽熱水素・二酸化炭素分解の研究事例を紹介する。
1.次世代太陽熱発電における米国・欧州の最新研究動向
(1)太陽熱発電の基本構成と要素技術
(2)タワー型太陽熱発電で進む高温・高効率化
(3)研究課題と将来展望
2.高温太陽熱利用による水素製造・二酸化炭素循環利用技術の最新研究動向
(1)熱化学プロセスを利用した水や二酸化炭素の二段階熱分解技術の原理
(2)ペロブスカイト酸化物による水素/合成ガス製造の研究事例
(3)簡単なコスト試算事例、研究課題と将来展望
3.まとめ
4.質疑応答・名刺交換
(郷右近 氏)
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W.高温熱源を利用した高効率水素製造技術開発(熱化学法ISプロセス)
太陽熱を始めとした高温熱源の効率的な利用方法として、熱化学水素製造法がある。水の熱分解には3000℃以上の高温が必要であるため、触媒となる添加物をリサイクルさせることで、1000℃以下の熱源より水より水素と酸素を得る方法である。例えば、太陽電池による発電と水の電気分解を組み合わせるケースと比較すると、水素製造効率が高いことが特徴と言える。ここでは、熱化学水素製造法の概要とその中で最も検討されている熱化学法ISプロセスについて説明を行う。熱化学法ISプロセスでは、添加物として硫黄とヨウ素を用いることで、数百℃から1000℃程度の熱源より水素を得る。リサイクルのために反応と分離の組み合わせが必要となるが、近年検討されている膜分離ISプロセスの技術的動向についてまとめる予定である。
1.熱化学水素製造法
2.膜分離ISプロセス
(1)HI分解反応
(2)膜ブンゼン反応
(3)硫酸分解反応
3.まとめ、開発の要点、将来展望
4.質疑応答・名刺交換
(野村 氏)
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X.熱エネルギー貯蔵材料開発に向けた無容器での非平衡溶融合金の熱物性計測
近年合金系の潜熱型蓄熱材として、高温安定相の中に低温で融解する相が存在する相分離型の合金が注目されている。この合金の組織を制御し、高温での安定相をフレーム、低温で融解する相を潜熱での熱エネルギー貯蔵材料部として利用することで、構造材料と蓄熱材料を一体化した材料としての利用が期待できる。
この相分離型合金のミクロ組織を制御し、その熱的な機能を評価するためには、過冷却状態を含む溶融状態の物質移動を支配する熱物性値が必要であるが、従来の方法で溶融状態にある金属および合金の熱物性を測定することは難しい。演者は無容器法を用いて高温融体の熱物性計測法を開発してきた。本手法による熱物性計測の成果と、無容器法での非平衡組織を有する材料設計について紹介する予定である。
1.浮遊法による超高温融体、過冷却融体へのアプローチ
2.熱物性計測
(1)熱容量、熱伝導率測定
(2)表面張力、粘性測定
3.過冷却融体からの非平衡組織制御に向けて
4.まとめ、開発の要点、将来展望
5.質疑応答・名刺交換
(小畠 氏)
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− 名 刺 交 換 な ど −
セミナー終了後、ご希望の方はお残りいただき、 講師とご受講者間での名刺交換ならびに講師へ個別質問をお受けいたします。
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