【習得知識】 
・米国の一歩先のエネルギー貯蔵ビジネスの今と将来 
・定置型エネルギー貯蔵ビジネスの勘所 
・日本が参考にすべき新たな流れ 
・スマートインバーター(UL1741)や通信方式(SEP2)等の新しい標準化の流れ 
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【講演主旨】 
 米国にとって「エネルギー政策」は「国家安全保障上の問題」であり、また「雇用創出」でもある。 政権が代わり、大統領がトランプになり、パリ協定からの離脱等で、クリーンエネルギーには逆風が吹いているような報道が日本では散見されるが、実際問題としては、エネルギー政策は連邦政府よりも州政府が主導しており、大きな後退は感じられない。 
サニバ訴訟等、太陽光発電ビジネスには不安要素があるのも事実であるが、先進10州のクリーンエネルギー化への取り組みは、より加速されている。 
ハワイ州では2045年までに再生可能エネルギー発電を100%にするという州法にそって、具体的な取り組みが始まっている。カリフォルニア州では、2030年までに50%にするという現行州法をさらに加速させ、2045年までに100%にするという州法が上院を通過した。まだ下院では議論中であり、実際に法案化されるかどうかは未定ではある。 
これらの州法で定める再エネ比率(RPS)が「飴と鞭」となり、電力会社の再エネ化をドライブしてきたが、近年では「再エネの方が安いから」という経済的理由による採用も増えてきている。 
しかし、電気料金の上昇、電力網(特にPV率の高いFeeder線)の不安定化、NEM(Net Energy Metering)のもたらす不平等感、ダックカーブ、Over Generation等、弊害も指摘されだした。 
これらの再生可能エネルギー発電比率の急激な上昇に伴う電力網の不安定化を補うための施策として、(1)スマートインバーターの必須化(Rule21/Rule14H)(2)大型のエネルギー貯蔵装置の導入(3)変電所の自動化(IEC61850)(4)家庭用バッテリーとハイブリッドインバーターの推奨(5)家庭向けTOU(Time Of Use)の導入(6)家庭向けデマンドチャージの導入(7)プラグイン車を用いた双方向の電力融通の試行(8)高精度センサーや次世代AMIの導入(9)ハワイにおけるIPRの試行(10)家庭や商業施設のエネルギーをシェアするアグリゲーションやマイクログリッド(11)DOE/SunShotが推進するSEAMSアーキテクチャー(12)DERと系統運用者間の通信プロトコルの標準化(IEEE2030.5)等がここ数年矢継ぎ早に打ち出されている。 
残念ながら日本メーカーは周回遅れの様相を呈しており、これらの施策の意義やビジネスインパクトはおろか、そもそも米国のエネルギー事情がどういう方向に進もうとしているかさえ把握できていない。 
このセミナーでは、上記の再生可能エネルギー増加に伴う問題の解決策としてここ数年大きな注目を集めている「定置型エネルギー貯蔵(定置型バッテリー)」に焦点を当てる。 
特に、ハワイ州とカリフォルニア州の施策を細かく見ていく。 
例えば、ハワイ州では、エネルギー貯蔵がその役割を増やしており、カウアイ島での「太陽光発電+4時間のバッテリー」の組み合わせで、電力会社との売電価格が$0.14/kWhとなるなど、あきらかに石油火力発電よりも安くなっている。 
カリフォルニア州でも、エネルギー貯蔵に関する幾つかの州法(AB2868, AB33, AB2861)が議会を通過し、州知事がサインし発効した。2020年までの大型エネルギー貯蔵のパイプラインの80%以上はカリフォルニア州である。 
これらの実例を交えながら、(1)エネルギー貯蔵システムのコストトレンドはどうなっているのか(2)カリフォルニア州が進めているエネルギー貯蔵はこれらの課題に答えられるのか(3)定置型蓄電ビジネスは本当に利益が出るのか(4)定置型蓄電を用いたアンシラリーサービスマーケットはどれぐらいの利益が見込めるのか(5)そもそもアンシラリーサービスマーケットは各地域(州)でどのような体系になっているのか(6)米国ではどのような蓄電関連のベンチャー企業が出て来ているのか(7)需要家側に置かれた定置型蓄電の経済性は?(8)太陽光発電と組み合わせた場合の経済性は?(9)日本の会社はこの波に乗るためには何をすればいいのか、等を細かく解説する。 
特に、(1)電力会社・系統向け(2)ビジネス顧客向け(3)家庭向けの3つのセグメントそれぞれで、米国のエネルギー貯蔵ビジネスの現状を比較分析し、今後の動向を予測する。 
4時間という短い時間であるが、上記の内容について質疑応答を入れながら内容の濃いセミナーにしたい。 
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【プログラム】 
   
1. はじめに
    
 
 1-1) 米国のエネルギー状況 
 1-2) 非常にややこしいエネルギー関連の組織 
  - 連邦政府・州政府・系統運用者 
  - 電力会社・発電事業者 
 
 
  
   
2. 米国内における再生可能エネルギー関係の動向
    
 
 2-1) 温暖化ガス低減目標に向かっての施策 
 2-2) カリフォルニア州で議論中の再生可能エネルギー発電100%(2045年)のインパクト 
 2-3) ハワイ州の再生可能エネルギー発電の動向 
 2-4) テキサス州、ニューヨーク州の動向 
 
 
   
3. 蓄電装置の設置で必須となる高性能インバーター(スマートインバータ)の動向
    
 
 3-1) スマートインバータは何が優れており、どうして蓄電装置を用いた電力系統の安定化に役立つのか 
 3-2) 蓄電装置とスマートインバーターの関係 
 3-3) 各州の動向 
  - カリフォルニア州(Rule 21), ハワイ州(Rule 14H) 
 3-4) UL1741-SAの動向 
 3-5) 複雑で地域ごとに異なる分散電源との通信規格 
 3-6) アグリゲーションビジネスと蓄電装置 
 
 
   
4. 定置型蓄電ビジネス
    
 
 4-1) アンシラリーサービスビジネスの詳細 
 4-2) 大型の蓄電装置の動向 
  - 送電網や変電所設置の蓄電装置について 
  - 大型の装置の価格動向と主な参入企業 
  - カリフォルニア州のアリソ渓谷ガス漏れ事故対策で導入されたエネルギー貯蔵装置 
  - ハワイ州で導入された「太陽光発電+4時間のバッテリー」の組み合わせ 
 4-3) 太陽光発電と蓄電の組み合わせの収益性 
  - ビジネス向け 
  - 家庭向け 
 4-4) 電力網接続型と需要家設置型の違い 
 4-5) 蓄電装置への米国の政策状況、補助金 
 4-6) 米国における定置型蓄電ビジネスの今後 
 
 
   
5. エネルギー貯蔵関連の技術開発動向と注目の会社
    
 
 5-1) システムインテグレーター(5社程度を紹介) 
 5-2) リチウムイオン電池(5社程度を紹介) 
 5-3) フロー電池(2社程度を紹介) 
 5-4) 新しい化学に基づくエネルギー貯蔵技術(5社程度を紹介) 
 
 
   
6. まとめ「日本はこれらの流れから何を学び、どうビジネスに結びつけるか」
    
 
 
7.質疑応答(適宜) 
  
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   − 名 刺 交 換 な ど − 
   セミナー終了後、ご希望の方はお残りいただき、 講師とご受講者間での名刺交換ならびに講師へ個別質問をお受けいたします。
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