【受講対象】
ステンレス鋼を用いた装置及び部品メーカー、エンジニアリング会社などのエンジニア・設計・技術・施設・工務・設備保全ご担当者ならびに、ステンレス鋼の溶接に関心のある技術者・管理者。
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【予備知識】
上記対象者であれば専門知識は特に必要ございません。
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【修得知識】
ステンレス鋼における溶接冶金学全般
・組織
・割れ発生機構
・脆化機構
・耐食性
・各種組織図の見方と応用方法
ステンレス鋼を中心とした異材溶接の考え方
ステンレス鋼溶接材料の規格体系(JIS、AWS、ISO等)
溶接欠陥発生機構と防止策
溶接ひずみ発生機構と対策
溶接材料選定の考え方
溶接補修の考え方
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【講師の言葉】
ステンレス鋼は優れた耐食性と強度を備えた材料であるが、腐食環境や幅広い温度環境など、炭素鋼に比べ厳しい環境で使用されるため、各種の劣化損傷が問題となりやすい。特に溶接構造物に関しては、溶接部は溶接欠陥発生の危険性のみならず、各種特性が素材とは異なるものとなるため、機械的性能や耐食性ついてもその理解が必要となる。ここでは、ステンレス鋼の溶接について,基本技術であるアーク溶接方法を中心にして,溶接材料の選定,溶接部の性質,溶接における注意点および想定される溶接欠陥と対策、溶接補修の要点について平易に解説する。また高耐食、高強度で話題となっている二相ステンレス鋼も取り上げる予定です。
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【プログラム】
T.ステンレス鋼の種類と特性
1.ステンレス鋼の種類
2.ステンレス鋼の機械的性質
3.ステンレス鋼の耐食性
U.ステンレス鋼の溶接方法の特徴と選択のポイント
1.各種溶接方法の種類と適用性(選択)
(1)アーク溶接
〜被覆アーク溶接(SMAW)、TIG溶接(GTAW)、
GMA溶接(MIG・MAG溶接:GMAW)、フラックスコアードアーク溶接(FCAW)、
サブマージアーク溶接(SAW)〜
(2)電子ビーム溶接
(3)レーザー溶接
(4)電気抵抗溶接
2.溶接材料の種類と選び方
(1)溶接材料の種類
〜被覆アーク溶接棒、フラックス入りワイヤ、TIG溶接材料、MIG溶接ワイヤ、
サブマージアーク溶接材料、バンド溶接、A-TIG溶接〜
3.ステンレス鋼溶接材料の規格(含Ni合金溶接材料)
(1)溶接材料規格の体系(JIS、AWS、ISO)
(2)JISのISO規格整合化のための改正のポイント
(3)Ni合金溶接材料の規格
V.ステンレス鋼の溶接技術と注意すべきポイント
1.ステンレス鋼溶接金属の性能
(1)化学成分と組織とその冶金的性質
(2)各種組織図の見方と特徴
(3)フェライト量の測定方法とその注意点
2.各種ステンレス鋼の溶接(共金溶接)のポイント
(1)マルテンサイト系およびフェライト系ステンレス鋼
(2)オーステナイト系ステンレス鋼
(3)二相系ステンレス鋼
(4)スーパーオーステナイト系ステンレス鋼
3.炭素鋼への肉盛溶接と異材溶接のポイント
(1)肉盛溶接とクラッド鋼の溶接
(2)炭素鋼とのステンレス鋼の異材溶接
(3)異種ステンレス鋼の溶接
(4)Ni合金溶接材料による異材溶接
4. 各種産業分野での溶接方法、溶接材料の選び方・使い方のポイント
(1)石油化学プラント
〜化学装置、脱硫リアクター、熱交換器〜
(2)エネルギー関連プラント
〜原子力発電、火力発電、水力発電、LNGプラント〜
(3)輸送機器
〜自動車、鉄道車両、船舶〜
(4)建築、土木
〜屋根、水門、橋脚〜
(5)食品、水関連
〜各種タンク、ポンプ〜
(6)モニュメント
W.ステンレス鋼における溶接部の欠陥発生原因と補修・防止方法
1.溶接部の欠陥の種類、原因と防止方法
(1)溶接欠陥
〜ブローホール、スラグ巻き込み、裏波溶接とバックシールド〜
(2)溶接割れ
〜低温割れ、高温割れ、再熱割れ、亜鉛脆化、その他の溶接割れ〜
(3)高温損傷
〜σ脆化、鋭敏化、475℃脆化、浸炭〜
(4)溶接変形の発生原因と対策
2.ステンレス鋼溶接部における腐食
(1)全面腐食
(2)粒界腐食
(3)応力腐食割れ(SCC)
(4)微生物腐食
3.欠陥の適切な補修方法とその留意点
(1)欠陥の除去
(2)補修における注意点
(3)熱管理
(4)検査
X.質疑応答
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− 名 刺 交 換 な ど −
セミナー終了後、ご希望の方はお残りいただき、 講師とご受講者間での名刺交換ならびに講師へ個別質問をお受けいたします。
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